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エリア2・海の街
リーダー不在
しおりを挟む一方その頃、第2エリア港町にて。
無事に案内人なしで本来の目的地である港町へと上陸した伯万、因幡、頚城の三人だったが――。
「んでこの街全部値上がりしてんだよ!!」
「そりゃあエリア移動したからね、きっと僕たちのレベルに合わせてくれたんだ」
「だからって宿屋の値段上げるやつがあるかよ……ッ!! くそ、薬草も買えねえじゃねえか……!」
賑やかなメインストリート、その宿屋前に悲痛な伯万の声が響き渡った。
新たな街に辿り着いて「一旦好きに街見て回るか」と散策したのが数時間ほど前、一通り街中を確認し終わり戻って再び三人合流したが、結果は散々だった。
物価の上昇――消費ポイントがほぼ倍の金額に釣り上がった上、今回は飯を奢ってくれるサポート型アンドロイドも途中で逸れてしまった。というよりも見捨ててきた。
それが不味かったのか、と頭を抱える伯万の肩にぽんと手を添え因幡は笑う。
「まあ薬くらいだったら僕が調合するよ。材料は?」
「さっきカジノの軍資金にしようと思って全部売った」
「じゃあ今夜は野宿だね」
「自業自得じゃねえか」とブチ切れ寸前の頚城はさておき、野宿なんてクソ喰らえと思っている伯万にとって野宿を強いられるこの状況は最悪以外の何者でもないだろう。
「ざけ……ッ、あ、そこのお姉さ~ん! 一晩俺のこと買わない?」
早速通りすがりの女性NPCに片っ端から声をかけていくが、全員テンプレートの返事を繰り返すばかりだ。
それでもめげずにメインストリートを忙しなく動いてる伯万を遠巻き眺める影が二つ。頚城と因幡だ。
伯万を横目に頚城は深く息を吐く。
「馬鹿がまた馬鹿やってんのかよ……まともに稼ぐって選択肢はねえのかよ、あいつは」
「まあまあ。それより頚城君、そっちは収穫はなんかあった?」
「ねえよ」
そう頚城が言ったそばから頚城が背負っていた鞄の中からわふ!と仔獅子が顔を出した。
その口には仔獅子サイズの肉のキレが加えられており、まだ牙が生え揃っていない仔獅子はそれをおもちゃのようにガジガジと噛み付いては因幡に見せつける。
それを見て因幡は「おや?」と目を細めた。
「随分と美味しそうなものを食べてるね」
「なんか……もらった、かわいいねえって」
「はあ?! 俺の分は?!」
どこから聞いていたのか、光の速さで戻ってきた伯万。
「魔物のエサを欲しがる気かテメェは!!」という頚城渾身のツッコミが街中に響き渡った。
数分後。一度落ち着くために三人でレンガ道の上、肉を齧って遊んでる仔獅子を囲むように座り込む。
「まあ、これから暫くは資金調達が最優先事項かな?」
「だりぃ~~、面倒くせ。やってられっかよ」
「まあまあ、佐藤君たちとも逸れちゃったし自力でこのエリア突破するために情報収集もしなきゃならないからね」
「無理パス俺そう言うの向いてねえからお前らで頼むわ」
「ああ?! テメェもやるんだよ!」
「因幡に任せときゃいいだろ、その辺は」
「まあ僕は別に構わないけど、勿論僕が稼いだ分は僕が好きに使わせてもらうから」
近くのベンチに腰をかけ、ひらひらと手を振る因幡。その言葉に伯万と頚城の声が「なに?」と綺麗に重なった。
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