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2.シャーデンフロイデ
02※
「っ、ぅ、んん……っ、ふ、ゃ、……っ、じもんく……っも、い、から……っ」
何度止めようとしても慈門君の耳には聞こえていないようだ。それとも、全部ポーズと思われているのか。
追い討ちをかけるように指で責め立てられ、腰が揺れる。
痙攣に合わせて震える亀頭からはとろりと先走りが溢れ、下腹部を汚していく。
「んっ、ぅ、ふー……っ、ぅ゛……っんん゛……っ!」
気持ちいい。建前も全部無視して触れて欲しい所を全部触れてくる慈門君にあっという間に追い詰められ、無意識に慈門君の腕にしがみついていた。
前立腺を一定の間隔で刺激され、我慢できずにそのまま大きく仰け反る。
「……っ、……っ!」
下半身から脳天まで甘い快感は昇っていき、脳の髄まで満たしたそれは明確に僕の思考力を奪っていく。
気持ちいいだけが頭の中を満たしていき、その快感を追いかけるように無意識にぎゅうっと慈門君の腕を強く掴んでいた。
うっかり爪を立ててしまおうが慈門君は寧ろ嬉しそうな顔をして笑うのだ。
「……っ、はは……折、感じすぎ」
かくかくと余韻で揺れる下半身から指を引き抜いた慈門君。急にもの寂しくぱっくりと開いたそこを優しく撫で、そのまま慈門君の指は僕の性器へと絡みついてきた。
根本から亀頭の凹凸部分まで、裏筋を辿るように撫でる指先に全神経が集中する。
滴るカウパーを絡み付け、ぬちりと音を立てながら優しく昇ってくる指にぞわりと腰が震えた。
「ん゛ぅ……っ、ぁ、や、やだ、それ」
「なにが?」
「っ、そ、それ……触り方……やだ……っ」
「擽ったいの好き?」
逃げようとすればするほど慈門君は楽しげに喉を鳴らした。
ベッドベッドへと逃げようとしていた体を抱き込まれ、そのままゆるく性器で弄ばれる。
まるでオモチャかなにかで手遊びするみたいにカウパーを塗りたくりながら顔を覗き込んでくる慈門君。
「っ、ぅ……っ」
何も考えられない。
中途半端に弄られた肛門の奥が物足りない。
うず、と下腹部が熱くなり、けれどそれを自分の口から慈門君に伝えるのはあまりにも端なくて、僕は慈門君に抗議の目を向けるのが精一杯だった。
けれど、
「ぅ、あ……っ、ぁ、ん、じも……っ、も……」
「は……折、お前まじでエロすぎ」
「……っ、じも――」
ん君、と言い終わるよりも先に慈門君は慈門君のものを握ったままの僕の手を掴む。
ドクドクと先程よりもさらに鼓動は激しさを増し、爆発寸前にまで膨張したそれは僕の目から見ても限界に見えた。
「ん、ぅ……っ」
「お前が可愛いからこんなんなってんの、さっきから。……まじで、頭おかしくなりそう」
「慈門く……」
「――ずっと我慢してた」
二人きりのベッドの上。慈門君のものの存在を嫌と言うほど意識しながら僕は目の前の慈門君と手の中のそれに目を向ける。
汗で滲んで張り付く前髪を掻き上げられれば、開けた視界の中、覗き込んでくる慈門君とまともに視線がぶつかり合う。
「でも折に嫌われたくねえからさ、だから我慢してたわけ。俺。我慢とか俺すげー嫌いなんだけど……なあ、折」
「……っ、じ、もんく、」
「褒美、くれよ」
それは懇願にも聞こえた。
お互いの体液やローションで汚れた手が重なり合う。
僕にはもう何かを考えるほど脳味噌など残っていなかった。
震える指先で自分から足を開く。それが僕の精一杯で、ごくりと喉仏が上下するのを見た。
ずっと慈門君が我慢してくれていたのは知っていた。
だから、これくらいなら――いいだろう。
建前を並べながらも一時の性欲に流される言い訳を探してる。
けれどどれだけ言葉を並べたところできっと僕たちがしていることに変わりなどないのだと、そんなことだけぼんやりと思った。
僕は先生との約束を破ったのだ。
「折」と名前を呼ばれる。確かめるように何度も頬を撫でられ、目尻や頬に唇を押し付けられる。
「……っ、ぁ、ん、……っ、ぅ、じも、く……」
「……は……っ、ぁ、やべ……暴発しそー……」
膝裏を掴まれ、大きく持ち上げられる下半身。
「折、足持ってて」と慈門君に言われ、つい反射で言われた通りに自分の膝裏を抱き抱える。
そんな俺に口元を緩ませ、慈門君は「上出来」と笑った。
「ふ……っ」
亀頭から垂れた先走りが滴り落ちていく。
散々慣らされ、柔らかくなったその口に慈門君のものが押し付けれるのを感じた。
鬱陶しそうにシャツの裾を持ち上げ、そのまま噛んだ慈門君はそのまま亀頭をゆっくりと沈めてくる。
「……っ、ぅ、あ、……っぁ……っ」
逃げ出したい。逃げ場なんてないのに。
後ずさろうとする体を捉えられたまま、慈門君はそのまま更に奥へと腰を進める。
焼けるように熱くて、お腹がいっぱいになる。
内臓を押し上げられるような圧迫感に耐えきれず、喉奥から溢れてくる声を抑えることもできなかった。
最初はゆっくり、それでも腰を掴む慈門君の手には次第に力が篭る。
「ふ……っ、ぅ、おり、……っ」
「んっ、は、……っ、待っ、ぅ……っんん……ッ!」
ずりゅ、と散々弄られた前立腺を性器を押し潰されるだけで眼球の裏で無数の火花が散る。それらは脳まで広がり、何度も繰り返される抽送に耐えきれずに慈門君のシャツを掴んだ。
「ぁっ、う、……っ、ゆ、っくり……! っ、ぅ、じ、もんく……っ、苦し……っ、ぃ゛、ぐ……ッ!」
奥まで一気に捩じ込まれる亀頭。抉られるようなピストンに目を見開き、慈門君の肩を掴む。何度か胸を叩いても慈門君は僕の声なんて届いてないみたいに腰を動かした。「折」と荒い呼吸混じり名前を呼ばれ、待って、と声を上げようと開いた口も慈門君に塞がれる。
「ん、っ、う゛……っ! ふ、ぅ゛……っ」
「っは、悪い……無理、気持ちよすぎて……止めらんね……まじでごめん」
「っ、ぅ、ん゛ぅ……っ、はっ、じも、く」
「……っ、その代わり、よくするから」
「お前のこと」と伸びてきた手に性器を握られ、囁きかけられるその声に僕は頷くこともできなかった。
限界まで拡げられた括約筋を何度も行われるピストンの度に捲れ上がりそうになる。激しく脈打つ結合部、そこに響く鼓動が自分のものなのか慈門君のものかも分からなかった。
残ったローションと体液混ざった粘液を絡めた指先で性器を扱かれ、慈門君に犯される。
声を抑えることもできず、体を揺さぶられる都度「ぁ、あ」と情けない声が漏れてしまう。
けど、痛くはない。噛みつかれてもない。殴られてもない。ひたすら肉体に快楽を刻みつけるみたいに慈門君に隈なく犯される。
「っ、ぁ、あ、……っ、は、じもんく……っ」
「きもちい? 折」
「わ、かんな……っ、わかんない……っ、ぃ、……っ、ひ、う゛……っ! っ、そこ、そこ、やだ」
「やだじゃなくて良いんだよ」
そう腰をグラインドさせた慈門君に腰を深く挿入されたまま結腸の入り口に亀頭を引っ掛けられる。何度もその窪みの感触を味わうように腰を動かしては溶けたような声を漏らす慈門君の下から逃れることもできないまま、僕の許容量を越えた性感を受け入れることしかできない。
その都度精液とカウパーが混ざったような少量の体液が吹き出し、慈門君は一層興奮したように腰を打ちつける。
それから慈門君が僕の中に吐精するのに時間は要いなかった。締めつけた拍子に小さく慈門君は呻き、僕の体を強く抱きしめる。
骨が折れそうなほどの強い力の中、逃れることも忘れてただ腹の奥、たっぷりと注がれる精液の勢いと重みに呑まれそうになりながらも僕は天井を見上げることしかできなかった。
僕、なんで慈門君とセックスしてるんだっけ。
あんなに悲しくて、苦しかったのになんで。
ふわふわとした頭の中、すぐに再開される抽送でより一層激しく奥を突き上げられ、その思考はすぐに乱された。
なんか、もう……どうでもいいや。
慈門君が幸せそうに微笑み、僕の唇に噛みついてくる。それを今度は自分から向かい入れた。
「……やっぱお前が一番だわ」
囁かれるその言葉に返す暇もなく再び奥まで穿られる。
そうすればすぐに何も考えられなくなり、再び僕は慈門君に体を受け渡すことになった。
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