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CASE.10『ヘッドハントヒーロー』
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しおりを挟む――解放区、児童養護施設・カンファレンスルーム。
丁度人気の無さそうなその部屋を少しの間借りることにした俺とサディークさん。
子供達が着いてこないように念の為扉を閉めたあと、そのままサディークさんは近くの椅子に腰をかける。
「……はあ、やっと解放された」
「寂しそうでしたね、子供達……。それにしても、どうして養護施設に?」
「それに関してはまじで完全巻き込まれ。最初はゆっくりしてたら人手足りてねえから荷物運べって言われて、そしたらここで少しの間小さい子の面倒見てほしいとか言われて……」
「ああ、なるほど……」
なんとなくその時の光景が目に映るようだ。
サディークさんには悪いが、子供達に懐かれているサディークさんの図は少し微笑ましくもあった。
「佐渡さん、優しそうだったから皆さんお願いしたんですかね?」
「俺が? だとしたら節穴すぎだし、どうせデカいから荷物持てそうとかそういう理由でしょ。はー、だるすぎ……」
「そんな……だ、だめですよ! どこで子供達が聞いてるかもしれませんし……!」
「心配するのそっち?」と呆れるサディークさん。
確かに俺たちが用心すべき相手は沢山いるが、一先ずこの部屋には防音が施されているようだ。
壁を叩いて確認したサディークさんは「ま、大丈夫そうか?」と首を捻る。
そして改めてこちらへと目を向けてきた。最後に会った時よりもまた伸びた気がしないでもない前髪の下、虚ろな目がこちらをじっと見つめてくる。
「……てか、良平は?」
「俺の方は……まあまあと言ったところでしょうか」
「つまり進捗微妙ってこと?」
「そ、そうとも言うかもしれません……」
ここに来てからはお世話になるヒーローの名前と施設内マップを覚えることに重きを置きつつ、それからしたことといえば遊んでお酒を飲んで寝たくらいだ。
改めて言葉にしてみれば何もできていない。そんな自分に凹んでいると、相変わらずじっと見つめてくるサディークの視線が少し痛い。
いつもなら目を合うことも避けてくるはずなのに、なんだろうか。そう顔を上げれば、サディークは「あのさ」と言いにくそうに口を開く。
「……てか、大丈夫だったわけ?」
「はい、皆さんに良くしていただいたので」
「いや、そう意味じゃなくてさ。そういう意味だけど」
「……?」
「……さっきの奴とか、良平のこと変な目で見てたんだけど。まさか……」
ジトりとさらに細められるサディークさんの目。
まさかそんなことを言われるとは思ってもおらず、つい「えっ?!」と声が裏返りかけた。
「ま、真咲さんはそういうのではありませんよ! な、何言ってるんですか……!」
「『は』って何……他は?」
「お、俺は流石にそこは弁えてますよ! ……そんなに気になるならお……俺の心を読んでください……!」
「いや声デカいしもししたとしても絶対見たくないし……」
「な、何故ですか……?!」
身の潔白を証明しようにもNOを出すサディークには取り付く島もない。
「見なくても想像つく、良平の今までの傾向的にも」そんで俺が嫌な気持ちになるのも、とぼやくように呟くサディークに俺は返す言葉も見つからない。
いや確かに万年青さんにはお尻の穴を見せたりはしたが、逆にそれくらいだ。他の方とはちゃんと仲良くしている……つもりだ。きっと。
それをサディークさんに疑われるなんてとショックを覚えつつ、俺はむっと口を引き締めた。
「俺にも節操くらいは……あります!」
「いや何その間、普通に怖いし。……いいよ、分かったよ。今回は君のこと信じるから。それしかなさそうだし……」
「だ、妥協……!」
「てか良平、なんで君解放区にいないの? さっきのやつに聞いたらここに良平の部屋はないとか言ってたんだけど」
なんだか試合に勝って勝負に負けたような気持ちでいたところ、単刀直入に突っ込んでくるサディークにハッとする。
そういえばここに来たばかりのサディークには色々説明しなければならないことがある。
それはまず、俺とヒーロー協会会長である大帝さんとの関係まで遡る必要があるだろう。
「あ、ええと、そのことですが少し事情がありまして……」
どうせ兄――イビルイーターのことはすぐバレるだろう。
イビルイーターとレヴェナントが同一人物であるということを知られなければ問題はないはずだ。
というか、本当にサディークさんは安生さんに何も聞かされてなかったんだな。
ようやく腰を据えられた今だ。サディークに兄のこと、大帝会長とのことを話した方がいいだろう。
そう、念の為言葉を選びつつ、俺とヒーロー協会の関係について説明することにした。
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