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金属バットとラブレター
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目を覚ませば見慣れない景色が広がっており、そこが病院のベッドの上だと気付くのにさほど時間はかからなかった。
全身が軋むように痛む。
どうやら、ボクはあれから気絶してしまったようだ。
随分眠っていたようで、医者から話を聞いてみれば括約筋が損傷していたようなので手術すれば二週間くらいで元に戻るだとか。
前前からよく肛門で遊んでいたから今回もただハメを外しただけだろうと思われているようで、周りのボクを見る目がちょっと変わっただけで特にごたごたなるようなことにはならなかった。
このままではアナルセックスも出来なくなるし、糞駄々漏れなんてそんな性癖もないボクは手術を受けることにした。
ああ、でも、なんだろうか。
あの日、御厨要人と接触したことを思い出せば体が緊張し、胸が高鳴った。
あのなにを考えているのか全く読めない目に、冷めた眼差し。取って付けたような薄っぺらい笑顔に、柔らかい声。容赦ない言動行動。
思い出すだけで胸の奥底から込み上げてくるは得体の知れないものを前にしたような恐怖感に不安感。
胸が高鳴り、息苦しくなる。あの目に、あの乱暴な手つき。
なんのへんてつのないそこら辺にいそうな男子生徒があんな目でボクを見るなんて――。
頬が紅潮し、ドクンドクンと鼓動が速まる。
思い出すだけで肛門が疼き、ぞっとするような恐怖感に全身がぞくりと震える。
どうやらボクは恋をしてしまったようだ。
あんな凡人のくせにあの慶太を顎で使うなんて、ああ、胸が苦しい。
あっさりと手のひらを返し、利用するだけ利用する慶太の冷めた性格も好きだったが、御厨は想像以上だ。
このボクを半殺しにしようだなんて。
あのときの、あの目、あの声、あの手を思い出すだけで勃起してしまいそうだ。
――御厨要人。
あの人に、また、蔑まれたい。虐められたい。力ずくで服従させられたい。
会いたい……会って、嬲られたい。
病室のベッドの上、恋心を確信したボクは一人黒く染められた髪に触れながらほくそ笑む。
◆ ◆ ◆
数日後。
「うわ、また雨か。……最近多いな」
「こういうとき全寮制って便利だよな。傘要らねえし」
「確かにな」
昇降口前。
楽しそうに談笑している榛葉郁と渋谷慶太のその斜め後ろ、時折愛想笑いを浮かべながら歩いていた御厨要人は下駄箱の前で足を止め、上履きを取り出そうとして、硬直する。
下駄箱の中、そこには『要人先輩へ』と書かれた一枚の手紙が入っており、それを見付けた御厨は目を丸くした。
「あれ、御厨お前それって」
そして、横から覗き込んでくる渋谷慶太にぎょっとした御厨は慌てて手紙を手に取り、隠した。
「ううん、なんでもないよ。……ごめん、二人とも先に行っててよ」
「え? あ、おう」
手紙を制服のポケットに突っ込む御厨に対し不思議そうな顔をする榛葉郁と渋谷慶太だったが、あまり突っ込まない方がいいと感じたらしい。慶太は「じゃあまた後でな」と言いながら率先して榛葉を連れて行く。
そして立ち去る二人を見送る御厨は二人がいなくなってようやく手紙を取り出し、辺りを見回した。
大丈夫だよ、そんなに焦んなくても。
……その中に入ってるのは犯行写真じゃなくて本物のラブレターだから。
頬を染めたボクは、焦る御厨の背中を見詰めながらそう小さく笑みを漏らした。
エピソード2【金属バットとラブレター】END
全身が軋むように痛む。
どうやら、ボクはあれから気絶してしまったようだ。
随分眠っていたようで、医者から話を聞いてみれば括約筋が損傷していたようなので手術すれば二週間くらいで元に戻るだとか。
前前からよく肛門で遊んでいたから今回もただハメを外しただけだろうと思われているようで、周りのボクを見る目がちょっと変わっただけで特にごたごたなるようなことにはならなかった。
このままではアナルセックスも出来なくなるし、糞駄々漏れなんてそんな性癖もないボクは手術を受けることにした。
ああ、でも、なんだろうか。
あの日、御厨要人と接触したことを思い出せば体が緊張し、胸が高鳴った。
あのなにを考えているのか全く読めない目に、冷めた眼差し。取って付けたような薄っぺらい笑顔に、柔らかい声。容赦ない言動行動。
思い出すだけで胸の奥底から込み上げてくるは得体の知れないものを前にしたような恐怖感に不安感。
胸が高鳴り、息苦しくなる。あの目に、あの乱暴な手つき。
なんのへんてつのないそこら辺にいそうな男子生徒があんな目でボクを見るなんて――。
頬が紅潮し、ドクンドクンと鼓動が速まる。
思い出すだけで肛門が疼き、ぞっとするような恐怖感に全身がぞくりと震える。
どうやらボクは恋をしてしまったようだ。
あんな凡人のくせにあの慶太を顎で使うなんて、ああ、胸が苦しい。
あっさりと手のひらを返し、利用するだけ利用する慶太の冷めた性格も好きだったが、御厨は想像以上だ。
このボクを半殺しにしようだなんて。
あのときの、あの目、あの声、あの手を思い出すだけで勃起してしまいそうだ。
――御厨要人。
あの人に、また、蔑まれたい。虐められたい。力ずくで服従させられたい。
会いたい……会って、嬲られたい。
病室のベッドの上、恋心を確信したボクは一人黒く染められた髪に触れながらほくそ笑む。
◆ ◆ ◆
数日後。
「うわ、また雨か。……最近多いな」
「こういうとき全寮制って便利だよな。傘要らねえし」
「確かにな」
昇降口前。
楽しそうに談笑している榛葉郁と渋谷慶太のその斜め後ろ、時折愛想笑いを浮かべながら歩いていた御厨要人は下駄箱の前で足を止め、上履きを取り出そうとして、硬直する。
下駄箱の中、そこには『要人先輩へ』と書かれた一枚の手紙が入っており、それを見付けた御厨は目を丸くした。
「あれ、御厨お前それって」
そして、横から覗き込んでくる渋谷慶太にぎょっとした御厨は慌てて手紙を手に取り、隠した。
「ううん、なんでもないよ。……ごめん、二人とも先に行っててよ」
「え? あ、おう」
手紙を制服のポケットに突っ込む御厨に対し不思議そうな顔をする榛葉郁と渋谷慶太だったが、あまり突っ込まない方がいいと感じたらしい。慶太は「じゃあまた後でな」と言いながら率先して榛葉を連れて行く。
そして立ち去る二人を見送る御厨は二人がいなくなってようやく手紙を取り出し、辺りを見回した。
大丈夫だよ、そんなに焦んなくても。
……その中に入ってるのは犯行写真じゃなくて本物のラブレターだから。
頬を染めたボクは、焦る御厨の背中を見詰めながらそう小さく笑みを漏らした。
エピソード2【金属バットとラブレター】END
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