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神魔戦役篇 エピローグ
幕間23-1 終戦後 ~ 戦場に降り立つ地球の神 其の1
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20XX/12/22 1115
灰色の光の中から現れた医療関係者達と出迎えたスサノヲ達が互いに目を合わせ、無言で首を縦に振る。両者共に無言で崩壊した街へと駆け出した瞬間――スサノヲ達の端末から緊急を告げる警報が鳴り響いた。安堵した。どうやら彼女は無事に地上へと出られたようだ。
「何事だ?」
「どうしました?」
「き、来ました……居ます!!」
「何が?」
「ひ、人らしき誰かが2人の傍に立っています。直前に未知の転移反応を確認、何処からか転移してきた模様です。特徴は、青と白の服に青い髪。清雅という企業の社員と思われますが……」
「それ以外は?」
「彼等の使用する兵器と同じ……いえ、それよりも遥かに強力な反応を確認。ですが、同一のデータが有りません。出鱈目な数値を表示していて既存の全システムでは何も……だ、誰でしょうか?何なんでしょうか?」
戦闘が終了し、落ち着きを取り戻した戦場に突如として現れた正体不明の女に誰もが目を丸くした。
「ツクヨミ、ですね?」
アマテラスオオカミが正体不明の女に問いかけた。まだ戦闘を継続しようと考える者がいるならば、ツクヨミ以外に存在しない。アマテラスオオカミの言葉を切っ掛けに戦場に緊張が走り、同時に誰もが忘れていた事を悔いる。余りにも急展開だった事、死力を尽くした戦いであった事など言い訳は履いて捨てる程にある。
だから、忘れていた。この戦いの理由、発端、地球の神ツクヨミの存在を。準備を整えながらツクヨミに注意を促した。
「大丈夫」
彼女は満面の笑みと共にたった一言を私に送ると一方的に通信を切断した。
彼女は脱出艇内の転移装置を使い地上に転移後、真っ先に伊佐凪竜一とルミナの元へと向かった。医療関係者と護衛のスサノヲよりも早く彼等の傍に到着した彼女はもう動く事のない2人を、今まで画面の向こうから監視という一方的な形でしか知らなかった2人の感触を確かめるように優しく撫でた。
スサノヲ達はその様子に困惑する。今回の一連に巻き込まれた大多数は彼女を戦いの元凶と考えていた。旗艦側に立てば、アラハバキが何を理由にしてか地球から強奪を試みた500年前に製造された式守
旗艦は何を理由にしてか地球から強奪しようと目論み、反抗する為に戦力を整え、戦いに打って出ると決めた先導者。地球側は清雅一族を支配する実質的な頂点、地球を歪めた存在。
視線を外せない。誰もその姿形を知らなかったが、少なくと頭に描いた予想が外れた事だけは確かだろう。あるいは伊佐凪竜一とルミナに労わる悲しく儚げな姿に、ともすれば女神の様な印象を受けたのかもしれない。アマテラスオオカミも無言を貫く。恐らく彼女の意図を予測しているのだろう。
「先ずお前は誰だ?そして、今更何の用だ?」
ドスの効いた声が戦場を震わせた。痺れを切らしたスクナが問い質す。声色と顔には隠し切れない苛立ちと怒りが表出し、納めた筈の刀を抜き放っていた。抜き身の刀身が陽光を反射し、鈍色に煌めく。何かあれは即座に斬りかからんと気迫を滾らせるスクナの眼光は、真っ当な人間ならば視線を合わせただけで恐怖に竦む程の威圧を放つ。が、ツクヨミは動じない。地上に存在する全てのスピーカーを操り自身の声を戦場に届けた。
「初めまして、アマテラスオオカミ。私がツクヨミだ」
自己紹介したツクヨミに改めて驚きの声が上げった。感情の源泉は清雅を率い、カガセオとの戦いを先導した女神の姿を見たからに他ならない。人と見紛う姿と、それ以上の美しさに。これまでの戦いを振り返れば、結果として相当に残酷で冷酷な判断を下した様に見える地球の神は如何なる姿をしているのか、誰もが口にこそ出さないが疑問に思っていた。
多くの者の中で膨らんだ想像の中のツクヨミ、その姿が現実と大きくかけ離れていたようだ。旗艦側はそもそも人型をしていると想像していなかった。旗艦において人型の式守が稼働するようになったのは最近の話。
その旗艦側に輪をかけて動揺するのは地球側。清雅に支配されたも同然な現在の地球を作った神は誰にとっても忌々しく、だからこそ想像を絶するほどに醜く、物語の悪役然とした姿を想像していたに違いない。
「何の用だ」
再びスクナの声。彼だけは周囲の空気に流されていない。その目は怒りに満ち、今にも飛びかかろうとしている。地球の女神として君臨するツクヨミはスクナを見つめながら、もう一言呟いた。
「2人を助ける」
灰色の光の中から現れた医療関係者達と出迎えたスサノヲ達が互いに目を合わせ、無言で首を縦に振る。両者共に無言で崩壊した街へと駆け出した瞬間――スサノヲ達の端末から緊急を告げる警報が鳴り響いた。安堵した。どうやら彼女は無事に地上へと出られたようだ。
「何事だ?」
「どうしました?」
「き、来ました……居ます!!」
「何が?」
「ひ、人らしき誰かが2人の傍に立っています。直前に未知の転移反応を確認、何処からか転移してきた模様です。特徴は、青と白の服に青い髪。清雅という企業の社員と思われますが……」
「それ以外は?」
「彼等の使用する兵器と同じ……いえ、それよりも遥かに強力な反応を確認。ですが、同一のデータが有りません。出鱈目な数値を表示していて既存の全システムでは何も……だ、誰でしょうか?何なんでしょうか?」
戦闘が終了し、落ち着きを取り戻した戦場に突如として現れた正体不明の女に誰もが目を丸くした。
「ツクヨミ、ですね?」
アマテラスオオカミが正体不明の女に問いかけた。まだ戦闘を継続しようと考える者がいるならば、ツクヨミ以外に存在しない。アマテラスオオカミの言葉を切っ掛けに戦場に緊張が走り、同時に誰もが忘れていた事を悔いる。余りにも急展開だった事、死力を尽くした戦いであった事など言い訳は履いて捨てる程にある。
だから、忘れていた。この戦いの理由、発端、地球の神ツクヨミの存在を。準備を整えながらツクヨミに注意を促した。
「大丈夫」
彼女は満面の笑みと共にたった一言を私に送ると一方的に通信を切断した。
彼女は脱出艇内の転移装置を使い地上に転移後、真っ先に伊佐凪竜一とルミナの元へと向かった。医療関係者と護衛のスサノヲよりも早く彼等の傍に到着した彼女はもう動く事のない2人を、今まで画面の向こうから監視という一方的な形でしか知らなかった2人の感触を確かめるように優しく撫でた。
スサノヲ達はその様子に困惑する。今回の一連に巻き込まれた大多数は彼女を戦いの元凶と考えていた。旗艦側に立てば、アラハバキが何を理由にしてか地球から強奪を試みた500年前に製造された式守
旗艦は何を理由にしてか地球から強奪しようと目論み、反抗する為に戦力を整え、戦いに打って出ると決めた先導者。地球側は清雅一族を支配する実質的な頂点、地球を歪めた存在。
視線を外せない。誰もその姿形を知らなかったが、少なくと頭に描いた予想が外れた事だけは確かだろう。あるいは伊佐凪竜一とルミナに労わる悲しく儚げな姿に、ともすれば女神の様な印象を受けたのかもしれない。アマテラスオオカミも無言を貫く。恐らく彼女の意図を予測しているのだろう。
「先ずお前は誰だ?そして、今更何の用だ?」
ドスの効いた声が戦場を震わせた。痺れを切らしたスクナが問い質す。声色と顔には隠し切れない苛立ちと怒りが表出し、納めた筈の刀を抜き放っていた。抜き身の刀身が陽光を反射し、鈍色に煌めく。何かあれは即座に斬りかからんと気迫を滾らせるスクナの眼光は、真っ当な人間ならば視線を合わせただけで恐怖に竦む程の威圧を放つ。が、ツクヨミは動じない。地上に存在する全てのスピーカーを操り自身の声を戦場に届けた。
「初めまして、アマテラスオオカミ。私がツクヨミだ」
自己紹介したツクヨミに改めて驚きの声が上げった。感情の源泉は清雅を率い、カガセオとの戦いを先導した女神の姿を見たからに他ならない。人と見紛う姿と、それ以上の美しさに。これまでの戦いを振り返れば、結果として相当に残酷で冷酷な判断を下した様に見える地球の神は如何なる姿をしているのか、誰もが口にこそ出さないが疑問に思っていた。
多くの者の中で膨らんだ想像の中のツクヨミ、その姿が現実と大きくかけ離れていたようだ。旗艦側はそもそも人型をしていると想像していなかった。旗艦において人型の式守が稼働するようになったのは最近の話。
その旗艦側に輪をかけて動揺するのは地球側。清雅に支配されたも同然な現在の地球を作った神は誰にとっても忌々しく、だからこそ想像を絶するほどに醜く、物語の悪役然とした姿を想像していたに違いない。
「何の用だ」
再びスクナの声。彼だけは周囲の空気に流されていない。その目は怒りに満ち、今にも飛びかかろうとしている。地球の女神として君臨するツクヨミはスクナを見つめながら、もう一言呟いた。
「2人を助ける」
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