口〈ハコ〉

風見星治

文字の大きさ
上 下
17 / 28

???-2

しおりを挟む
 記録者:不明
 編集者:不明
 登録日:不明

 以下は幾つかの資料の端に記載された落書きを繋いだ文章となっている。但し、誰が、何時、どのような目的で記載したのかは明らかとなっていない。

 ※※※

 名前。人は名前を使い何かを区別する、己とそれ以外を切り分ける。名前は形。存在を決定する重要な要素。そして……アレはのろい。この世のものではないのろいもまた、名前を付ける事によって己が存在を確定する。そうして初めて形をとることが出来る。

 のろいを知ってはいけない。アレはこの世のものとは違う。知る者、知ろうとする者、触れた者、関わった者全て巻き込み破滅させる災厄。まじないが変じたのろい。夥しい数の犠牲と祈りと狂気の果てに生まれたのろい。人に防ぐ手立てはない。ただ1つ、忘れる以外に手立てはない。

 望んでのろいと関わる行為は即ち自らを殺める行為。自殺に等しい行為を実行するならば、それは死者と同じ。詰まるところ、のろいを知るとはそういう事。死人は痛みを感じぬ、ならば(ココから先の文章は見つかっていない)
しおりを挟む

処理中です...