61 / 432
第3章 邂逅
54話 特区へ
しおりを挟む
私は早朝の駅構内を歩く3人と1機を眺めながら僅か半日前の出来事を思いだした。有り得ない負け方もそうだがそれ以上に気になるのは最前列を歩くあの少女。ゴロツキ共を束ね、幾つもの死線を潜り抜けながらマフィアのボスへと上り詰めたアックスを恐怖させた少女が見せた冷めた目だ。
どうしたらあんな目が出来るのか?あの底冷えするような冷たい目を見た時、最初は神か悪魔かと思ったものだが、一方で熱を失った目は全てに絶望したような印象も持った。それはきっと彼も同じであり、だからこそ今朝方にあんな提案をしたのだ。
※※※
――ゴールデンアックス内一室
時を少し遡る。時刻の鐘が午前6時を告げる頃。アックスの部下に呼ばれた青年一行は促されるままアジトへと赴いた。雨風を凌ぐには十分な宿と簡素な食事は異星の迷い人達にはさぞ有り難かったであろうが、しかし平然と振る舞う青年に反し少女はやや眠たげな様子。恐らく眠れなかったのだろう。
身形や立ち居振る舞いを見れば相当に身分が高いであろう少女にしてみれば、小汚い安宿と粗末な食事など不潔極まりなく到底受け入れられない……と思われたのだが、私の予想に反し少女はそのような物言いを一切しなかった。
アックスを待つ間、青年や機械と談笑する少女は安宿の女将の心遣いに感謝し、食事も"美味しかった"と文句の1つも零さなかった。育ちの良さだけでなく性格の良さも滲み出る一幕。だが、この少女は昨日の勝負でアックスを挑発した上で一方的に容赦なく叩きのめした。何か……途轍もなく悍ましい手段を用いて。だからこそ、アックスはあんなことを言ったのだ。
「俺もアンタ達に同行する。所謂護衛だな。無論タダだし、だからって手を抜いたりはしねぇ。それにアンタ達、別の星から来てこの星にはまだ詳しくないようだ。幾ら強いとは言えあんな危険な場所うろつく位だからな。ならこの星のルールやら風土やらを知るヤツが着いて言った方がトラブルも無くていい筈だ。悪くない提案だろ?」
応接室の扉を開け放ち青年と少女の前に姿を見せたアックスは開口一番にそう提案した。彼の性格ならば先ずは遅れた事を詫びる筈だが、どうやら少女への恐怖と関心が勝っていたようだ。一方、そんな事情を知らない青年達に断る理由は無かった。何せアックスの言葉通り、誰もこの惑星の事情を知らないのだから。
「私は別に構いません」
「あぁ、俺も構わないがアンタの部下達は良いのか?」
青年の足元を転がる機械が即答すれば、青年もその後に続く。が、青年が気に掛けていたのは短気で粗暴、本来ならば気を掛ける必要など全くないアックスの部下の方だった。随分と気が回る人物だと私は感心した。この青年も少女も根っこは同じ、力を持ちながら他者を思いやる余裕と気配りが出来るようだ。
「アイツ等は何だかんだで俺のやり方を良く分かってくれている。ドイツもコイツも色んな不幸を経て俺の下に集まったはみ出し者で、まぁちょいと要領が悪いのも玉に瑕だが、それでも数日位なら大丈夫さ」
「そうか」
その言葉を聞いた青年はそれ以上を言わず、また少女と機械も青年の判断を尊重する形でアックスの提案を許可した。朝を告げる鐘の音が鳴り響く中、僅か数分のやり取りでアックスの同行は決まった。その彼の眼差しは何やら固い決意を秘めていることが伝わるのだが、それにはもう1つだけ理由がある。彼はこの出会いに何か確信めいたモノ……あるいは運命と呼べる何かを感じ取っていた。
※※※
――時間を更に昨晩まで遡る。ゴールデンアックス内、アックスの私室。彼はとある場所に連絡を入れていた。それは彼ととてもなじみの深い場所でもあり、最も忌々しいと感じる場所だ。その場所にはとある老人がいる、哀れで愚かな1人の老人だ。
「すまぇね、ノクス爺さんに無茶言って。3人分、頼めるか?」
通信の向こうから聞こえる男の声に老人は懐かしさを感じた。昔と変わらぬ懐かしい声に耳を傾けた老人はその若干無茶な申し出を快く引き受けた。一等客室のチケットは競争倍率が桁違いであり、本来ならば空きなど出る筈は無いが……しかしそれは市民を欺く方便である。
その理由の1つは鉄道会社に縁ある者の為に空き車両を確保しているという単純な理由であり、もう1つは他星系とのコネクションを強化したいが為である。つまり、他星系に強い影響力を持つ者が"急に列車に乗りたい"と無茶を言いだした場合に対応する為だ。律儀に待つ者からしてみれば堪ったモノではないが、しかしこう言った話は表に出ないだけで別に珍しい訳ではない。
「良いですよ。アクス坊ちゃんの為だ」
「止してくれ、俺は逃げたんだ」
「それでも私にとっては坊ちゃんは坊ちゃんですよ。畏まりました、私の名義で用意いたしましょう」
「感謝する」
「ですがお気を付けください、アクス坊ちゃん」
めでたく目的を達成できたアックスだが、電話の向こうから聞こえた神妙な声に緩んだ表情が一気に強張った。持ってきた酒を一気に煽り、灰皿に置きっぱなしの煙草を一服くゆらせた。
「何をだい?」
その言葉に何か良からぬ気配を感じ取ったアックスは半分以上残る煙草を灰皿に押し付けながら電話の向こうに尋ね……
「実は坊ちゃんがその2人組と接触した丁度その頃に旦那様に匿名の連絡が入りました」
電話口の向こうからの思わぬ事実に言葉を詰まらせ……
「え……あのクソ親父に?何処からだ?」
「旗艦アマテラス、そう名乗っておりました」
続いて聞こえた"旗艦アマテラス"という単語に言葉を失った。スサノヲと呼ばれる連合最強の戦闘集団の一員であるスーツの青年とこの星が繋がったからだ。それはまだか細い線だが、しかし確実に2つは繋がっていて、この星に……いや、この星をも巻き込んだ何かが起きると男は直感した。ソレまで漠然と、漫然と目的を果たそうと動いていた男の目に確かな光が宿り始めた。
「で、内容は?」
内容が気になったアックスは喰いつく様に電話の向こうの老人に問いかけた。
「私も詳しくは。ですがどうやら人探しのようです。もしかしたら坊ちゃんが関わったと言うその青年と少女がそうではないかと思いましてご報告した次第ですが、もしそうならば……」
「そうならば……どうしたんだ?」
「力づくで、生死問わず。そういった指示があったようです。旦那様は腕利きの用心棒を雇ってそちらに向かうやもしれません。坊ちゃんの銃の腕が人並み外れている事は私も存じておりますが、しかしそれでもお気を付けください」
「そうか、重ねて感謝する」
「チケットは私と懇意の駅長に話を通しておきますので、急ぎならば駅で直接お受け取り下さい」
「何からなにまで有り難い、何も出来なくて済まねぇ」
「いえ、お気になさらず。それでは坊ちゃんもお気をつけて」
「あぁ、爺さんも長生きしてくれよ」
用件を終えたアックスは電話口に老人を労う言葉投げかけると通信端末を切り、そしてこれまで見たことが無い程に神妙な顔つきと共に何事かを考え始め、やがて"何かが起こる"と、そう呟いた。あの2人を切っ掛けに何かが起こる。それがこの星か、それとも旗艦アマテラスという超巨大戦艦か、それともその2つを内包するカガセオ連合か。
それはまだ直感でしかない……いや、直感とさえ呼べない荒唐無稽な妄想と呼んだ方が正しいだろう。だが彼は行動の指針とするには余りにも頼りない妄想が現実に起こり得ると確信しており、そんな自らの勘を頼りに2人に同行する事をこの時に決断した。起こり得る何かを言語化することはまだ出来ないが、だが何かが起きるならば確実にあの2人がその渦中にいると、そんな悍ましい気配を感じ取ったのだ。
また私もその考えを支持している。但し私の場合は"アックス=G・ファーザーの勘は恐ろしい程に鋭く、今まで悪い予感を一度として外したことが無い"と言う何とも単純で個人的で馬鹿馬鹿しい、彼を長きに渡り監視してきた私だからこその理由だ。
どうしたらあんな目が出来るのか?あの底冷えするような冷たい目を見た時、最初は神か悪魔かと思ったものだが、一方で熱を失った目は全てに絶望したような印象も持った。それはきっと彼も同じであり、だからこそ今朝方にあんな提案をしたのだ。
※※※
――ゴールデンアックス内一室
時を少し遡る。時刻の鐘が午前6時を告げる頃。アックスの部下に呼ばれた青年一行は促されるままアジトへと赴いた。雨風を凌ぐには十分な宿と簡素な食事は異星の迷い人達にはさぞ有り難かったであろうが、しかし平然と振る舞う青年に反し少女はやや眠たげな様子。恐らく眠れなかったのだろう。
身形や立ち居振る舞いを見れば相当に身分が高いであろう少女にしてみれば、小汚い安宿と粗末な食事など不潔極まりなく到底受け入れられない……と思われたのだが、私の予想に反し少女はそのような物言いを一切しなかった。
アックスを待つ間、青年や機械と談笑する少女は安宿の女将の心遣いに感謝し、食事も"美味しかった"と文句の1つも零さなかった。育ちの良さだけでなく性格の良さも滲み出る一幕。だが、この少女は昨日の勝負でアックスを挑発した上で一方的に容赦なく叩きのめした。何か……途轍もなく悍ましい手段を用いて。だからこそ、アックスはあんなことを言ったのだ。
「俺もアンタ達に同行する。所謂護衛だな。無論タダだし、だからって手を抜いたりはしねぇ。それにアンタ達、別の星から来てこの星にはまだ詳しくないようだ。幾ら強いとは言えあんな危険な場所うろつく位だからな。ならこの星のルールやら風土やらを知るヤツが着いて言った方がトラブルも無くていい筈だ。悪くない提案だろ?」
応接室の扉を開け放ち青年と少女の前に姿を見せたアックスは開口一番にそう提案した。彼の性格ならば先ずは遅れた事を詫びる筈だが、どうやら少女への恐怖と関心が勝っていたようだ。一方、そんな事情を知らない青年達に断る理由は無かった。何せアックスの言葉通り、誰もこの惑星の事情を知らないのだから。
「私は別に構いません」
「あぁ、俺も構わないがアンタの部下達は良いのか?」
青年の足元を転がる機械が即答すれば、青年もその後に続く。が、青年が気に掛けていたのは短気で粗暴、本来ならば気を掛ける必要など全くないアックスの部下の方だった。随分と気が回る人物だと私は感心した。この青年も少女も根っこは同じ、力を持ちながら他者を思いやる余裕と気配りが出来るようだ。
「アイツ等は何だかんだで俺のやり方を良く分かってくれている。ドイツもコイツも色んな不幸を経て俺の下に集まったはみ出し者で、まぁちょいと要領が悪いのも玉に瑕だが、それでも数日位なら大丈夫さ」
「そうか」
その言葉を聞いた青年はそれ以上を言わず、また少女と機械も青年の判断を尊重する形でアックスの提案を許可した。朝を告げる鐘の音が鳴り響く中、僅か数分のやり取りでアックスの同行は決まった。その彼の眼差しは何やら固い決意を秘めていることが伝わるのだが、それにはもう1つだけ理由がある。彼はこの出会いに何か確信めいたモノ……あるいは運命と呼べる何かを感じ取っていた。
※※※
――時間を更に昨晩まで遡る。ゴールデンアックス内、アックスの私室。彼はとある場所に連絡を入れていた。それは彼ととてもなじみの深い場所でもあり、最も忌々しいと感じる場所だ。その場所にはとある老人がいる、哀れで愚かな1人の老人だ。
「すまぇね、ノクス爺さんに無茶言って。3人分、頼めるか?」
通信の向こうから聞こえる男の声に老人は懐かしさを感じた。昔と変わらぬ懐かしい声に耳を傾けた老人はその若干無茶な申し出を快く引き受けた。一等客室のチケットは競争倍率が桁違いであり、本来ならば空きなど出る筈は無いが……しかしそれは市民を欺く方便である。
その理由の1つは鉄道会社に縁ある者の為に空き車両を確保しているという単純な理由であり、もう1つは他星系とのコネクションを強化したいが為である。つまり、他星系に強い影響力を持つ者が"急に列車に乗りたい"と無茶を言いだした場合に対応する為だ。律儀に待つ者からしてみれば堪ったモノではないが、しかしこう言った話は表に出ないだけで別に珍しい訳ではない。
「良いですよ。アクス坊ちゃんの為だ」
「止してくれ、俺は逃げたんだ」
「それでも私にとっては坊ちゃんは坊ちゃんですよ。畏まりました、私の名義で用意いたしましょう」
「感謝する」
「ですがお気を付けください、アクス坊ちゃん」
めでたく目的を達成できたアックスだが、電話の向こうから聞こえた神妙な声に緩んだ表情が一気に強張った。持ってきた酒を一気に煽り、灰皿に置きっぱなしの煙草を一服くゆらせた。
「何をだい?」
その言葉に何か良からぬ気配を感じ取ったアックスは半分以上残る煙草を灰皿に押し付けながら電話の向こうに尋ね……
「実は坊ちゃんがその2人組と接触した丁度その頃に旦那様に匿名の連絡が入りました」
電話口の向こうからの思わぬ事実に言葉を詰まらせ……
「え……あのクソ親父に?何処からだ?」
「旗艦アマテラス、そう名乗っておりました」
続いて聞こえた"旗艦アマテラス"という単語に言葉を失った。スサノヲと呼ばれる連合最強の戦闘集団の一員であるスーツの青年とこの星が繋がったからだ。それはまだか細い線だが、しかし確実に2つは繋がっていて、この星に……いや、この星をも巻き込んだ何かが起きると男は直感した。ソレまで漠然と、漫然と目的を果たそうと動いていた男の目に確かな光が宿り始めた。
「で、内容は?」
内容が気になったアックスは喰いつく様に電話の向こうの老人に問いかけた。
「私も詳しくは。ですがどうやら人探しのようです。もしかしたら坊ちゃんが関わったと言うその青年と少女がそうではないかと思いましてご報告した次第ですが、もしそうならば……」
「そうならば……どうしたんだ?」
「力づくで、生死問わず。そういった指示があったようです。旦那様は腕利きの用心棒を雇ってそちらに向かうやもしれません。坊ちゃんの銃の腕が人並み外れている事は私も存じておりますが、しかしそれでもお気を付けください」
「そうか、重ねて感謝する」
「チケットは私と懇意の駅長に話を通しておきますので、急ぎならば駅で直接お受け取り下さい」
「何からなにまで有り難い、何も出来なくて済まねぇ」
「いえ、お気になさらず。それでは坊ちゃんもお気をつけて」
「あぁ、爺さんも長生きしてくれよ」
用件を終えたアックスは電話口に老人を労う言葉投げかけると通信端末を切り、そしてこれまで見たことが無い程に神妙な顔つきと共に何事かを考え始め、やがて"何かが起こる"と、そう呟いた。あの2人を切っ掛けに何かが起こる。それがこの星か、それとも旗艦アマテラスという超巨大戦艦か、それともその2つを内包するカガセオ連合か。
それはまだ直感でしかない……いや、直感とさえ呼べない荒唐無稽な妄想と呼んだ方が正しいだろう。だが彼は行動の指針とするには余りにも頼りない妄想が現実に起こり得ると確信しており、そんな自らの勘を頼りに2人に同行する事をこの時に決断した。起こり得る何かを言語化することはまだ出来ないが、だが何かが起きるならば確実にあの2人がその渦中にいると、そんな悍ましい気配を感じ取ったのだ。
また私もその考えを支持している。但し私の場合は"アックス=G・ファーザーの勘は恐ろしい程に鋭く、今まで悪い予感を一度として外したことが無い"と言う何とも単純で個人的で馬鹿馬鹿しい、彼を長きに渡り監視してきた私だからこその理由だ。
0
あなたにおすすめの小説
ト・カ・リ・ナ〜時を止めるアイテムを手にしたら気になる彼女と距離が近くなった件〜
遊馬友仁
青春
高校二年生の坂井夏生(さかいなつき)は、十七歳の誕生日に、亡くなった祖父からの贈り物だという不思議な木製のオカリナを譲り受ける。試しに自室で息を吹き込むと、周囲のヒトやモノがすべて動きを止めてしまった!
木製細工の能力に不安を感じながらも、夏生は、その能力の使い途を思いつく……。
「そうだ!教室の前の席に座っている、いつも、マスクを外さない小嶋夏海(こじまなつみ)の素顔を見てやろう」
そうして、自身のアイデアを実行に映した夏生であったがーーーーーー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
サイレント・サブマリン ―虚構の海―
来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。
科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。
電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。
小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。
「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」
しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。
謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か——
そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。
記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える——
これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。
【全17話完結】
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる