【完結】G.o.D 完結篇 ~ノロイの星に カミは集う~

風見星治

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第3章 邂逅

58話 神話 其の1

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 ――連合標準時刻:火の節 83日目 夜

 南部首都サウスウエスト=ウッドを出発し経済特区へと向かう超豪華観光列車襲撃事件は呆気なく解決した。こんなド派手な真似をするのだから相応の手練れだったと思われるのだが、しかし相手が悪かった。伊佐凪竜一の展開する防壁は黒ずくめがどれだけ攻撃しても全く攻撃が通らなかったが、一方で彼の攻撃は黒ずくめの防壁を容易く貫通するどころか、両手を交差させる事で防壁の強度を前面に集中させる構えの上からであっても容赦なく破壊、吹き飛ばした。

 しかも相手は1人だけではない。アックス=G・ファーザーというこの惑星でも指折りの銃の名手ガンナーは、初めて扱う筈の旗艦製の銃を用いると襲撃者の数名をあっさりと列車から叩き落した。2人の獅子奮迅の活躍により1人また1人と襲撃者は列車外へと放り出され、全員が居なくなるのに戦闘開始から五分も掛からなかった。

「痛ってテテテッ、何じゃこりゃァ!!」

 漸く落ち着きを取り戻した伊佐凪竜一の背後から情けない声と共にトンッと重い何かが絨毯に落下する音が聞こえた。音の方向を見れば銃を床に落とし、利き腕をダランとぶら下げながら苦悶の表情を浮かべる男の姿。どうやら右腕に相当に負担が掛かったようだがそれも当然、スサノヲという戦闘集団用に調整された武器を鍛えていない人間使用すれば大抵彼の様な状況に陥る。それはカグツチが余りにも強く御し難い性質だと理解するには十分な光景だ。

「どうやら無事に撃退出来たようですね、ありがとうございます」

 伊佐凪竜一が健闘を称えるように片膝をつくアックスに片手を差し出すと、彼は何時もの如く"コレでお前が綺麗なお姉様だったらなぁ"なんてか軽口を叩き、そんな言動に呆れた表情を浮かべる伊佐凪竜一の背後からそんな声が聞こえた。

 安全が確保されたと知った彼女は列車同士を繋ぐ扉を器用に開けるとコロコロと2人の足元付近に転り"迎えに来ました"と、端的に目的を告げた。また同時、騒動の終焉を知った観光客と乗務員達もゾロゾロと集まって来た。が、事の成り行きを知っているツクヨミが2人を素直に労うのに反し、大勢は足元を転がる妙な機械と一等客室に不釣り合いな恰好をしたアックスに複雑な視線を向ける。不信、不安、懐疑、彼等の目には色々な感情が混じり合い酷く不安定な色をしている。

「しっかし、そもそもありゃあ誰なんだよ?噂に聞く旗艦アマテラスの専用装備って事は知り合いじゃないのか?」

「間違いないけど、だから尚の事なんだ。狙われる理由が全く分からない」
 
「今はそれよりもいったん戻りましょう。ココでは不味い……遅かったようです」

 一方、漸く落ち着いた2人は呑気にその場で話し込むが、しかしその行動はほんの少しばかり迂闊だった。またツクヨミの助言も同じく。フワリと空中に浮かび上がり両者の視界内に入ったツクヨミは、中央に取り付けられた丸いレンズを2人の背中へと向けた。

「え?もしかしてアイツ等、旗艦アマテラスからなの?大丈夫?今ゴタゴタしてて治安悪化しているって聞いたけどまさか……」

 彼女の行動に2人が背後へと向きを変えると、ソコには露骨なまでに否定的な目線を向ける大勢の観光客の姿。会話の端にあった"旗艦アマテラス"という単語がまるで波紋の様に周囲に広がり、あらぬ憶測を交えながら観光客の不安を煽り、押し広げた結果だろう。

「馬鹿言っちゃいかん、崩壊したとはいえそれでも連合の中枢。新たな指導者の元で再建を図っている最中だと言うぞ」

「ホント?神の不在に何がどうなったかなんて今でも把握できてないんでしょ?」

「連合にはもう一柱の神がおられる、早々に崩れる事は有るまい。私としては寧ろそこの胡散臭い格好の男が手引きした可能性が高いと思うがね?」

 擁護する声はごく僅かであり、更に誰が言いだしたかアックスに疑いの目を向け始めると誰もがソレに続いた。状況は悪化の一途を辿る。

「そう言えば、ちょっとアンタ担当者でしょ?なんで一等客室にギャングっぽいヤツが乗ってるのさ?」
 
「は、はい。あの……ですが、正規の手続きを経て搭乗されている事を確認しておりますので私は何とも……」
 
「まぁ待ちたまえ、一端のギャング風情が気軽に乗れるような値段では無いだろう?。コネがあったとしても相応以上の値段はする筈だ。真っ当な稼ぎの無い連中が揃えるのは先ず不可能。となればこの星でそれが出来るのは連合にコネクションを広げようとしているノーストて……」

 雰囲気には一気に最悪へと傾いた。ヒソヒソと棘のある言葉がツクヨミと伊佐凪竜一を通り越しアックス1人へと向かう中……

「俺は雇われですよ。コチラのお客さんがこの星にあまり詳しくないって事で急遽雇われて同乗したんですよ。護衛を兼ねてって話だったんですが結局はこのザマ、皆様には返す言葉も無い」

 大枚を叩いた旅行を台無しにされた客人達から辛辣な言葉が零れ始めると、渦中のアックスは泰然自若とした態度で詫びた。観光客を真っすぐに見つめると帽子を取り深々と頭を下げるその仕草に偽りは無い。

「ウ……うむ、そうか。ならいいんだが」

 その行動に誰もがしどろもどろに肯定するか、さもなくば押し黙ってしまった。彼の雰囲気は口調こそ穏やかであるが明らかに怒気を含んでおり、口調と表情からは全く想像できない程に強い威圧感に呑まれ、気圧されてしまった。やがて誰ともなく部屋へと戻り始めると、その他大勢がぶつくさと文句を言いながらも後に続き、更にその後を接客担当者達が追いかける。彼等の目的は不幸に見舞われた金づる達を必死で宥める事。程なく喧騒は静まり返り、周囲に木霊すのは列車が揺れる音だけとなった。

「戻ろうか」

 無言の間を破り伊佐凪竜一はそう声を掛けた。アックスは"あぁ"とだけ呟くが、その視線は消えゆく観光客達の姿をずっと追っている。そんな様子に伊佐凪竜一は一声かけると先んじて部屋へと戻り、もぬけの殻となった列車の通路にはツクヨミとアックスだけとなった。

「どうした?ナギに付いて行かなくて良いのか?」

 アックスは足元に転がるツクヨミにそう声を掛けるが、しかし彼女の反応は芳しくない。まるで先程の敵襲を察知したかのように不気味な程に動きを見せないその様子に彼は一瞬だけ警戒を強めた。"もしかしてまだ……"そう呟くと、痛みで覚束ない手つきで銃を握り締める。

「違います」

 が、即座に否定されたアックスは大いにズッコケた。

「は?じゃあなんだよ!?」

「アックス」

 大いに不満を露わにする言動にツクヨミは漸く真面な反応を返すと、フワリと彼の顔の高さまで浮かび上がった。無機質なカメラレンズがジッとアックスを見つめる。

「何?何か聞きたいのか?つーかどういう仕組みで浮いてんだよお前さんは」

 アックスはツクヨミの内面を測りかねているようだった。今この場でコレまでべったりと傍に付き添って来た伊佐凪竜一を放置してまで何を聞きたいのか、彼の表情には無機質で感情の無い機械が見せる理解不能な一面への困惑の色が浮かんでいる。

「この星の事を教え頂きたいのです。時間の許す限り全部を君の口から直接です、お願いできますか?」

 アックスは呆然とした。勉強熱心なのだろうか、それとも他に意図があるのか。何をどうすれば先の戦いからいきなりその質問に辿り着くのか、それともただ単に興味関心が湧いたのか。人間ならば口調や表情などから相手の感情を推察する事も出来るのだが、生憎とアックスの眼前に居るのはそう言った代物を一切持たない機械であり、心中を測るのは困難を極める。

「なんだ、突然だな?」

「そう言う訳ではありませんよ、疑問があるのです」

「疑問だぁ?」

「はい、だからその糸口となる情報を収集したいと考えました」

 彼は必至で会話についていこうとするが、聞けば聞くほどに困惑する。が、素直に頼まれては断れぬのが彼の性分でもある。

「で、なんだい?知ってる範囲なら嘘偽りなく答えるぜ?」

「それは大丈夫です、偽っても高い精度でそれを看破出来ますから」

 何とも怖い返答だ。どうやらツクヨミという式守は見た目以上に性能が高いらしい。

「で、知りたいのは何でございますか?」

 アックスが何時もの飄々とした態度で尋ねると……

「神話」
 
「は?」

 思わぬ言葉にアックスは素っ頓狂な声を上げた。

 ※※※

 過大なトラブルがあったものの、超豪華観光列車"黄金郷"は経済特区に向けひた走る。時刻はアレから30分程が経過した頃合い。アックスは話をする前にと言い訳染みた言葉と共に客室の中へと消え、程なく酒瓶とグラスを持って出て来た。

「さて。喉も潤ったところで……とは言っても神学は寝ぼけ半分に聞いた程度だから余り当てにしないで欲しいんだけどな」

 酒を一杯煽り終え漸く話が進むと思いきや、アックスから飛び出た言葉は何とも頼りなかった。

「自分の未来が掛かっているのだから学業は真面目に受けるべきなのですが、既に過ぎた話ですね」

 そんな適当な言動に流石のツクヨミもほんの僅かに語気を荒げるが、しかし興味と関心が勝っているのかそれ以上の文句は言わずただジッとアックスを待つ。

「耳の痛い話だ。それじゃあ……」

 彼は面目無さそうに言うとこの星に伝わる神話、お伽噺としてこの星に伝わる伝承をツクヨミに聞かせ始めた。

「昔、神々が住む世界があった。至上の神、硬い肉体に変わらぬ意志を持った新しき神が支配する安定した世界。穏やかな波に揺り動かされる世界。だがその世界に途轍もなく大きな揺らぎが起きた。強い意志を持った人間が生まれると新しき神の支配に対し反旗を翻した。彼等は自らを"新しき人類"と名乗った。両者の戦いは長く続いたが、やがて劣勢へと傾いた神は禁じられた門を開いた。別次元への門にあるとされる破滅の力を使い戦況を覆そうと試みたが、そう言った土壇場の行動はお約束通り失敗に終わり、門の向こうから異形の神が現れた。自らを八柱の邪神と名乗ったその内の一柱がこの世界へと侵入を果たした。神達は急ぎ門を閉じたが既に邪神は完全な姿でこの次元に現れていた。その邪神はあらゆる存在を闇に染め上げ、神の住まう世界はその大半が闇に落ちた。遂には神が全て闇に呑み込まれ、残ったのは僅かな"新しき人類"だけとなった。"新しき人類"は最後の戦いに臨み、幾人もの犠牲を出しながら遂に邪神は神の世界を照らす巨大な黄金の輝きの中心へと叩き込んだ。だが同時に黄金の光も消失してしまった。光が消失した事で神の住まう世界は崩壊し、墓標と変わり果てた。残された"新しき人類"は墓標を後に新たな地へと旅立っていった。コレが最初の宇宙"ソウセイラン"の話だ。ソッチじゃなんていうか知らんけどね。次、漂流した"新しき人類"の1人が長い放浪の末この星に降り立った。"ソウセイラン"からやって来た"赤いカミ"はこの星に生命を生み出すと最初に"見守る者"を作りだした」

「見守る者?」

 その言葉にツクヨミは酷く関心を持ったようだ。私は複雑な感情でその様子を見守る。

「どうした?何か気になったか?」

「いえ、すみません。続けてください」

「じゃあ、続きな。"見守る者"は"赤いカミ"の命令を受けてこの星に命を芽吹かせた。何も無かった星に木々や草花を生み、動植物を生み、そして最後に人間を生んだ。"見守る者"は人に"赤いカミ"の言葉を伝えた。"世界を愛しなさい、人を愛しなさい、草花と木々と動植物を愛しなさい。自らが生み出せぬ全てを愛し、自らが生み出したモノも等しく愛しなさい。人と創造主との懸け橋はすぐ傍にいる事を覚えておきなさい"、とさ。だが、過去の人間はその約束を忘れちまった」

 アックスはそこまで話し終えると空になったグラスに酒を注ぎ、そして一気に飲み干した。彼が話す御伽噺にはまだもう少しだけ続きがある。それは、愚かで度し難い過去の話だ……
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