【完結】G.o.D 完結篇 ~ノロイの星に カミは集う~

風見星治

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第4章 凶兆

97話 ???(夢の中)

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 夢を見ている。見た事も無い景色、見た事も無い人と物。

『コレは記憶、あの男の記憶』

 ココはドコだと呟いた俺の言葉に耳元から誰かが囁いた。とても綺麗で、澄んだ少女の声だ。が、"あの男の記憶"と回答されてもそれが誰なのかは全く分からない。夢は最初はとても曖昧だったが、次第にはっきりとその景色が見え始めた。霧がかかったかのように白んだ景色は徐々に晴れ、その向こうにはっきりとした景色と色が映り始める。

 そうして完全に霧が晴れた頃、再び囁き声が聞こえてきた。

『もうすぐだ』

 何が?と聞き返そうとした次の瞬間……俺の身体はふっ飛ばされ、見た事もない装飾で飾り付けられた壁に叩きつけられた。

「何が、何が起こったんだ※※※!!」

 直ぐ近くから誰かの声が聞こえた。聞き覚えのある、心地よい低音。だけど傍には誰もいない……いや、いる。俺だ。言葉が出たのは俺の口からだった。俺は気付けば知らない誰かの名前を口走っていた。同時に俺の身体は俺の意志とは無関係に何処かへと走り出し、部屋の外へと飛び出した。

 次に映ったのは冷たい鈍色の廊下。壁は冷たい灰色、床も同じく灰色だがこっちは何か白い筋が規則的な模様を描いていて、更に仄かに輝いている。が、やはり見たことは無い。俺は不意に灰色の壁に近づくと、ソレはほんの一瞬で透明になり真っ暗な闇を映し出した。

 宇宙だ。視界に映るのは見慣れた様な見慣れないような奇妙な違和感を抱く宇宙空間に、これまた見慣れたような見慣れない様な幾つもの艦。形状だけを見れば旗艦アマテラスで製造されるアメノトリフネ?という艦に似ていなくもないが、ソコまで考えた俺は視界の中央に映った男の姿に意識を奪われた。窓に反射する男の姿。コレは、この男は見た記憶がある。確か……

『この男はカイン、君達がそう認識する男だ』

 耳元で囁く声はそう教えてくれた。名前は知っている。ツクヨミを造ったという天才科学者の名前だ。ならば今見ている光景は500年間の出来事なのか?だけど、俺にはどうしてもそうは思えない。艦内の風景も、窓の外に映る艦の姿も俺が知る旗艦アマテラスやアメノトリフネとは似ているが全く違う。それとも500年前はこんな形状や内装が流行っていたのだろうか。

「無事か。カイン!!何が起こったのか俺達にも分からない、どうやら奴等とは違うらしい事しか分からない!!」

「らしいが?何だ、何が起こってる?」

「分からない!!僕達とは全く違う、見た事も無い振る舞いをする未知の何かを確認した!!だがこれは危険すぎる、桁違いの速度で宇宙を汚染しながら広がっている事は確認したが、それ以上にコレは、まるで黒い何か自体に意志があるかの様にしか思えない、何なんだコレは!!」

「奴等が用意した切り札という可能性は?」

「分からない、ある瞬間に突然と姿を現したんだ。全く情報が足らなすぎる!!だから君も早くこっちに……」

 通信は途中で途絶え、再び視界が大きく揺らいだ。視界は只ならぬ何かを悟り何処かに向けて走り出す男を追いかけるように壁が透明になる様子を捉えた。

 外は相変わらず闇一色で何の変わり映えもしないが、闇を映す窓に廊下の照明が反射する事で、苦悶の表情を浮かべながら走る男の姿を浮かび上がらせた。光に反射する赤い髪の男は……そうだ、この男は半年前に一度夢で見た……

 やはりこれは500年前で、夢として見ているこの光景はその時に起こった出来事なのか?スサノヲに襲撃されたというのは嘘で、実際は正体不明の何かに襲撃されたという事だろうか。

 だけど、そんな嘘をつく理由が分からない。何を隠したいにせよ、寄りにも寄ってスサノヲが襲撃しましたなんて偽れば旗艦側の印象は致命的に悪化するのは目に見えている。アマテラスオオカミがそんな事を理解しないとは思えない、となれば今ここで起きている事はそうまでして隠したい事実なのだろうか?

 だけど、通信から聞こえた声は"汚染"という物騒な言葉。コレにも聞き覚えがある。宇宙中に蔓延るマガツヒという全知的生命体の敵がそんな特徴を持っていた。と、するならば今襲撃しているのはマガツヒ?だけど、ならば隠す必要はもっとない筈だ。コレは一体どういう事だろうか。

『コレは私の記憶でもある。この日、私とあの男は出会ったのだ』

 何が何だかサッパリ分からない中、闇の中から少女のような俺の耳元からそう語り掛ける。時折、クスクスと嬉しそうに笑いながら。
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