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第8章 運命の時 呪いの儀式
328話 残酷
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観測部門内は纏まるどころでは無く、山積する問題に愚痴り続ける。が、喚こうが叫ぼうが通知は増え続け、更に右往左往する羽目になる。
「彼方此方から情報を非公開にした経緯と今後の対応要求が届いてます!!」
「そんな事言われたって、俺達を救った英雄がマガツヒに汚染されているなんて情報が不安定な情勢下で投下されれば、纏まるものも纏まれないなんて直ぐに分かるだろうが!!」
「そもそも、説明したところで誰が信じると言うんだ!!500年前の天才科学者が単独でマガツヒの捕縛から無害化までを成し遂げたなんて、俺達ですら信じられないのにッ!!」
「持ち得る情報は全て共有すると返答しといたんですけど、無理ですよね。半年前から汚染されていたとか、何も問題なかったとか……」
意気消沈。あるいは疲弊。1人が全てを語り終える前に口を閉ざすと、自然と誰もが追従した。理解し難い現実を正しく理解できる人間の存在などいないと、無意味なやり取りに、その先の言葉を全て飲み込む。
「神の予言」
誰かが、消え入る様に小さく呟いた。
「どうかしたのか?」
脈絡のない言葉に副主幹の男が訝し気にそう聞き返す。予言とは、アマテラスオオカミが導き出したマガツヒの生態予測。当該情報は神自らが"断定はできない"と前置きした上でスサノヲ、ヤタガラス、黒点観測部門を始めとした幾つかの部門に提供した。
1つ、マガツヒは何かを探している
2つ、序列が存在する
マガツヒの動向を精査した神は、その行動に奇妙で不規則なノイズを確認した。現在確認される二種類の間には確固たる地位が存在、下位は上位の指示を元に動く。敵を発見すれば序列に従い規律正しく行動するマガツヒが、何かを探す時だけ序列を無視して一律同じ行動を取る。主たる役目である巣作りや戦闘の放棄に止まらず、身の安全さえも投げ捨ててまで行う奇妙な行動。
3つ、二種のマガツヒを統括する未知の上位個体が存在する
神はこのノイズから上記を予言、選ばれた者だけに下賜した。
「上位個体ってアレ、もしかしたら突然変異した個体なのかもって」
「変異、か」
「そう。増殖を繰り返す内に、異常個体が生まれても不思議じゃないですよね?良性腫瘍じゃないですけど、人の精神に異常をきたさない力を持った個体が生まれた。だって、そう考えでもしないと説明付かないじゃないですか?」
「だが、もしそうだとして。いや、夢物語だ。艦長に対話してもらおうってのか?そんな都合のいい話……大体、接触からコッチ、一度も意志疎通に成功してないってのに」
都合のいい。突き放すような冷めた台詞に、周囲の空気が再び冷えた。反論する声はない。何処までも自分達に都合のよい話である為、容易く信じるなど出来ないと言う反応が大勢を占めるのは無理もない。
議論らしい議論など出来ず、さりとて有効な打開策も思い浮かばず。とは言え、黙って時が過ぎるのを待てばマガツヒは旗艦に侵入し、全市民から意志を消し去る。
「じゃあどうするんです!!」
八方塞がりな現状に、誰かが声を荒げた。
「相対濃度から予測したヤソマガツヒの戦闘能力は最低でもマガツヒの20倍以上、真面に克ち合っても勝ち目は無い。艦橋に連絡、戦闘が終了するギリギリまで待ってから移動を開始。進路は地球で太陽と呼ばれる恒星、それから避難準備も」
「避難って、何処に!?」
「地球だ。ツクヨミが作った大規模なアラミサキは解体されていないから濃度調整……あぁそうか」
具体的な指示を求める声に、副主幹は具体的な指針を打ち出した。旗艦を太陽へ移動させつつ地球に避難するという。が、不意に言葉が途切れる。何かに気付き、顔面から血の気が引くその様子は程なく全員に伝播した。気づいた。絶望が何を指すのか、その真の意味に。
「逃げる、つもりなんだ」
「あぁ。旗艦に戦力の大半を集中させたのは、地球という逃げ場があるからだ。過去、ツクヨミが建造を指示したアラミサキは解体する理由なんて無いから健在。恐らく、既に稼働している筈。それに、地球人類の中に紛れ込めばマガツヒの目を誤魔化せる可能性もある」
「じゃあタナトスが言ってた絶望って……」
「マガツヒ襲来と同時に自分達は悠々と地球へ逃走、全滅するまで待つつもりだ。艦長達が市民や俺達を見捨てて逃げるなんて絶対にしない。詰まされていた。今、この状況こそが絶望だ。きっと、いや確実に」
「そんな、最悪だ」
「こんなの、教えたら混乱必死じゃないですか!!」
辿り着いた結論に、誰も何もできず。正しいと、間違いないと信じるが故に混乱し、混乱が思考と行動を阻害し、周知すべきか否かの回答が出せない。が、程なく副主幹の一存により、当該情報は予測との前置きと共に旗艦全域に周知された。これ以上、情報を共有しないという選択肢を選ぶことが出来なかった。
絶望が、人の意志を遍く染める。誰の区別無く、例え旗艦アマテラスの監視者であっても変わらず、絶望と言う昏い闇に染め上げた。
記憶を引き継ぎながら監視と言う使命を継承する監視者は思い出す。もう随分と昔、絶望という感情について尋ねた時、主から教えてもらった記録を思い出す。その記録と半年前の出来事を見比べた監視者は考える。あの時も、懸命に戦えども状況は一向に変わらないどころか何処までも悪化していった。
しかし、あの時とは違う。銀河中のカグツチを一か所に掻き集めた奇跡無くしてヤソマガツヒの討伐など叶わないというのに、銀河の端と端に分断された英雄達を合流させることが出来ない。
神道と呼ばれるカグツチの通り道に沿って展開する円形の巨大なゲートは、活性化に伴い朱く輝く様に例えアケドリと呼ばれた。だが、その門は今、硬く閉ざされている。
旗艦側の制御端末が破壊され、門を制御する主星の管理部門との連絡は何らかの理由で途絶した。転移を管理する部門が丸ごと乗っ取られたか、もしくは守護者に同調したか。何れにせよ、転移機能の復活には主星側の戦いが終息しない限り不可能。
が、望みは薄い。主星には最高戦力と名高い総代アイアースとムラクモを持つオレステスが揃って立ち塞がる。あらゆる要素が奇跡を阻み、絶望を招き入れる。
ヤソマガツヒの総攻撃による全知的生命体の絶滅、滅亡、文明の崩壊。その足音が、遠くから響き始める。
※※※
「逃がさない!!」
旗艦大聖堂。その上空に怒号が響く。と同時、一筋の光が青天を切り裂いた。ルミナが深紅の改式目掛けて突っ込み、身の丈ほどある大刀を勢い任せに叩きつけた。
片手で軽々と操る刀はタケル用に調整された特注品。携行性が非常に悪い反面、一流の鍛冶師と研師が魂を籠め鍛えた事でまるで刀自身が意志を持つかの如くカグツチを吸収、圧倒的な硬度と斬撃力への転換を実現する珠玉の一品。
剣戟音。互いの持つ武器が激突、鋭く甲高い音と共に凄まじい衝撃を生む。タナトスは物理法則を無視した機動と速度に反応出来ず、辛うじて青い刃で防いだものの大きく吹き飛ばされ、建造物の残骸に叩きつけられた。その上から、ガラガラと瓦礫が崩れ落ちる。
動きが、鈍い。巨大な刀を杖代わりに辛うじて転倒を避けたが、その様子は何度も攻撃されたかの様に疲弊している。操縦席のタナトスを見れば、明らかに様子がおかしかった。口から零れる息遣いは荒く、それまで余裕を維持した表情は苦悶に満ちる。言うまでもなく、マガツヒと目を合わせた影響によるもの。しかし、諦めない。何を理由にしてか、桁違いの精神力を奮わせ、戦闘継続を試みる。
「化け物……クッ、視線を合わせただけ……しかも映像越しなのにッ!!」
「お下がりください。後は私が!!」
「邪魔だッ!!」
再びの怒号。瓦礫に埋もれるタナトスに追撃を仕掛けるルミナの眼前に、別の改式が立ちはだかった。見上げる程の巨躯を己が肉体の様に操るのはルミナと同じザルヴァートルの異端、ステロペース。
男が得意とするのは桁違いの操縦適性と戦闘技能に加え、英雄並にカグツチを視認できる天与の視覚能力、更に反射神経を総動員して放つ後の先。その圧倒的な技量は、連合最新鋭のタケルを全く寄せ付けない程に高い。が、そんな規格外の能力でさえルミナの前では児戯に等しかった。連合最高峰と呼んで差し支えない反射神経と視覚は、ルミナの蹴りに全く反応出来ない。
「グウゥッ!!な、なんと」
ステロペースの改式は吹き飛ばされこそしなかったが、大きく体勢を崩した。改式は守護者が操る黒雷よりも洗練、高性能化された機体。が、ルミナの前では木偶の坊も同然。少々固い程度で盾にすらなれないという醜態を晒した。そんな、圧倒的で一方的な光景をそれ以外の全員、スサノヲも守護者も呆然と窺うに終始する。
何が起こったのか、何が起きているのか、混乱状態では正しく認識できない。マガツヒの波動が、思考を阻む。が、戦局は刻一刻と様相を変える。吹き飛ばされながらも主を守ったステロペースの努力は報われ、タナトスは空へと舞った。ほんの僅か後、入れ違いに瓦礫が薙ぎ払われる。正に間一髪。
「規格外ね。さぁ再戦と行きましょうか。呆けている奴から死になさいッ!!全員、何としてもココで仕留めるのよ!!」
上空からの号令。その指示を受け、守護者が、改式が動く。銃声が、剣戟音が、戦場を彩り始める。
「チィッ、状況が飲み込めてねぇのにヨォ!!」
「そんな事をする必要はないッ、今ここで死ねェ!!」
「今は戦うしかなイか!!」
「その通りですよタケル殿。もう止まれない、最後の幕が上がったのですからね。では、参ります」
崩壊した大聖堂を起点に、守護者とスサノヲが再び激突した。戦いは優勢と劣勢を入れ替えながら、様々な事象に影響されながら、戦況を目まぐるしく変える。
もはや、当人達には理解できていない。何方が優勢で、何方が劣勢か、この後どうなるのか、誰も何も分からないまま、ただ真正面に立つ敵目掛けて刃を振り下ろし、引き金を引く。
その度に双方から負傷者を出し、血と死で戦場が穢れる。一方、大聖堂の上空では真っ赤な改式と銀色の閃光が青天で激突する。
神代三剣の封を半分解除したタナトスが駆る改式と互角以上の力で戦うのは、同じく神代三剣の一振りであるハバキリ、その正体を知る者から"欠片"と呼ばれる未知の力を覚醒させつつあるルミナ。
その動きが、鈍る。我武者羅に赤い機体を追う彼女の眼前に、無数の青い刃がズラリと並んだ。一振りが数メートルはあろうかというサイズの刃は、光を反射し冷たく光り輝く。掠っただけで真っ二つになる事など容易に想像が付く、無情な光景。
「フフッ」
赤い機体から、笑みが零れた。劣勢に追い込まれているというのに、タナトスは笑った。
「気付いているの?」
女は言葉を続ける。
「何にだッ」
「その力。人とは違う力、人に害成す力。人が持っていてはいけない力。マガツヒの力。見なさい、誰もが貴女を恐怖の目で見る。人だと認めない、認めていない。今も無自覚に振りまく恐怖の波動は、信じて付いてきた仲間を傷つけ追い詰め、何れ殺す。それでも戦うの?」
女は淡々と語った。ルミナが解放しつつある力の危険性を、開放し続けた先に待つ結末を。
鋭利な刃の如き疑問は、ルミナの心に突き刺さり、抉り、傷つける。事ここに至り、漸く当人は戦場の周囲を顧み、そして違和感に気付いた。健在だった仲間達の動きが明らかに落ちている事実に、タナトスの言葉に、何より己が身に起きる異変に、ニニギの言葉に、彼女は心を締め付けられる。
隙が、出来た。ほんの僅かな隙。
「ウフフッ、その反応……知らなかったの?誰かが傷つくのが許せない、だから必死に抑えていると思っていたのだけれど。さぁ見なさい、仲間が苦しむ姿を。犠牲から目を逸らした代償を。そのせいで傷つき、死んでいく人間を!!」
その隙をタナトスは逃さない。生成した青い刃を一斉にけしかけた。無数の刃は地面、樹木、瓦礫を容易く両断しながらルミナの仲間に襲い掛かる。
「イイ加減にしろッ!!」
「彼女に非は無いッ!!」
「アナタ達がこんな真似をしなければッ!!」
タナトスの言葉にタケルが、セオが、アレムが咆えた。また、他のスサノヲ達も賛同する。が、届かず。自分は本当にマガツヒになってしまったのではないか、その疑念が彼女を覆い尽くし、侵食する。異変に気付いたタケルとセオ達がルミナに代わり必至で刃を撃ち落とすが、改式が生成する圧倒的な数量の刃の前には無力。
青く輝く刃は、その数を無情にも増やし続ける。何本撃ち落とそうが、減った分を瞬く間に戻し、その上で更に数を僅かずつ増やす。増える度に不利になる事を理解する状況にスサノヲ達も加勢するが、しかし今度は刃が霧散、別の場所で再生成され始める。破壊する事も叶わず、さりとて止める事も出来ない。
刹那、深紅の改式に銃弾が撃ち込まれた。射線を辿ると、その先には苦悶の表情を浮かべるルミナ。が、攻撃に先ほどまでの精細さも力強さもない。精神の耗弱が影響し、改式を追いきれず、瞬く間に距離を取られた。
尚も銃撃は続く。バン、と重く鈍い音と共に真白い弾丸が撃ち出されると、深紅の改式の脚部に直撃した。しかし、改式は笑い声を上げながら破損部位を切り離し、新たな部位を転移装着する事で儚い抵抗を無へと帰した。
「もう、終わりにしましょうか」
逃げ回る改式から不気味な笑い声が零れる。直後、ルミナの身体を青い刃が貫いた。直接転移か、あるいは彼女の身体を素材に刃を生成したのか。ほんの僅か前の彼女ならば容易く回避できた筈の攻撃。
しかし、タナトスの言が彼女の強靭な意志に僅かな影を落とした、曇らせた。ニニギが好意で黙っていた真実を利用し、追い詰めた。強靭な意志なくばカグツチの制御は叶わない。その真実を利用し、僅かな隙を作り出した。
無情。残酷。絶望的な光景に、スサノヲ達も、その様子を縋る様に見ていた民衆も絶句した。刃は、彼女の心臓を正確に射抜いていた。傷口から青い刃を伝い、赤い血が滴る。
「やっぱり期待するだけ無駄だったわ。残念、さようなら」
無慈悲な言葉が戦場に響いた。
「彼方此方から情報を非公開にした経緯と今後の対応要求が届いてます!!」
「そんな事言われたって、俺達を救った英雄がマガツヒに汚染されているなんて情報が不安定な情勢下で投下されれば、纏まるものも纏まれないなんて直ぐに分かるだろうが!!」
「そもそも、説明したところで誰が信じると言うんだ!!500年前の天才科学者が単独でマガツヒの捕縛から無害化までを成し遂げたなんて、俺達ですら信じられないのにッ!!」
「持ち得る情報は全て共有すると返答しといたんですけど、無理ですよね。半年前から汚染されていたとか、何も問題なかったとか……」
意気消沈。あるいは疲弊。1人が全てを語り終える前に口を閉ざすと、自然と誰もが追従した。理解し難い現実を正しく理解できる人間の存在などいないと、無意味なやり取りに、その先の言葉を全て飲み込む。
「神の予言」
誰かが、消え入る様に小さく呟いた。
「どうかしたのか?」
脈絡のない言葉に副主幹の男が訝し気にそう聞き返す。予言とは、アマテラスオオカミが導き出したマガツヒの生態予測。当該情報は神自らが"断定はできない"と前置きした上でスサノヲ、ヤタガラス、黒点観測部門を始めとした幾つかの部門に提供した。
1つ、マガツヒは何かを探している
2つ、序列が存在する
マガツヒの動向を精査した神は、その行動に奇妙で不規則なノイズを確認した。現在確認される二種類の間には確固たる地位が存在、下位は上位の指示を元に動く。敵を発見すれば序列に従い規律正しく行動するマガツヒが、何かを探す時だけ序列を無視して一律同じ行動を取る。主たる役目である巣作りや戦闘の放棄に止まらず、身の安全さえも投げ捨ててまで行う奇妙な行動。
3つ、二種のマガツヒを統括する未知の上位個体が存在する
神はこのノイズから上記を予言、選ばれた者だけに下賜した。
「上位個体ってアレ、もしかしたら突然変異した個体なのかもって」
「変異、か」
「そう。増殖を繰り返す内に、異常個体が生まれても不思議じゃないですよね?良性腫瘍じゃないですけど、人の精神に異常をきたさない力を持った個体が生まれた。だって、そう考えでもしないと説明付かないじゃないですか?」
「だが、もしそうだとして。いや、夢物語だ。艦長に対話してもらおうってのか?そんな都合のいい話……大体、接触からコッチ、一度も意志疎通に成功してないってのに」
都合のいい。突き放すような冷めた台詞に、周囲の空気が再び冷えた。反論する声はない。何処までも自分達に都合のよい話である為、容易く信じるなど出来ないと言う反応が大勢を占めるのは無理もない。
議論らしい議論など出来ず、さりとて有効な打開策も思い浮かばず。とは言え、黙って時が過ぎるのを待てばマガツヒは旗艦に侵入し、全市民から意志を消し去る。
「じゃあどうするんです!!」
八方塞がりな現状に、誰かが声を荒げた。
「相対濃度から予測したヤソマガツヒの戦闘能力は最低でもマガツヒの20倍以上、真面に克ち合っても勝ち目は無い。艦橋に連絡、戦闘が終了するギリギリまで待ってから移動を開始。進路は地球で太陽と呼ばれる恒星、それから避難準備も」
「避難って、何処に!?」
「地球だ。ツクヨミが作った大規模なアラミサキは解体されていないから濃度調整……あぁそうか」
具体的な指示を求める声に、副主幹は具体的な指針を打ち出した。旗艦を太陽へ移動させつつ地球に避難するという。が、不意に言葉が途切れる。何かに気付き、顔面から血の気が引くその様子は程なく全員に伝播した。気づいた。絶望が何を指すのか、その真の意味に。
「逃げる、つもりなんだ」
「あぁ。旗艦に戦力の大半を集中させたのは、地球という逃げ場があるからだ。過去、ツクヨミが建造を指示したアラミサキは解体する理由なんて無いから健在。恐らく、既に稼働している筈。それに、地球人類の中に紛れ込めばマガツヒの目を誤魔化せる可能性もある」
「じゃあタナトスが言ってた絶望って……」
「マガツヒ襲来と同時に自分達は悠々と地球へ逃走、全滅するまで待つつもりだ。艦長達が市民や俺達を見捨てて逃げるなんて絶対にしない。詰まされていた。今、この状況こそが絶望だ。きっと、いや確実に」
「そんな、最悪だ」
「こんなの、教えたら混乱必死じゃないですか!!」
辿り着いた結論に、誰も何もできず。正しいと、間違いないと信じるが故に混乱し、混乱が思考と行動を阻害し、周知すべきか否かの回答が出せない。が、程なく副主幹の一存により、当該情報は予測との前置きと共に旗艦全域に周知された。これ以上、情報を共有しないという選択肢を選ぶことが出来なかった。
絶望が、人の意志を遍く染める。誰の区別無く、例え旗艦アマテラスの監視者であっても変わらず、絶望と言う昏い闇に染め上げた。
記憶を引き継ぎながら監視と言う使命を継承する監視者は思い出す。もう随分と昔、絶望という感情について尋ねた時、主から教えてもらった記録を思い出す。その記録と半年前の出来事を見比べた監視者は考える。あの時も、懸命に戦えども状況は一向に変わらないどころか何処までも悪化していった。
しかし、あの時とは違う。銀河中のカグツチを一か所に掻き集めた奇跡無くしてヤソマガツヒの討伐など叶わないというのに、銀河の端と端に分断された英雄達を合流させることが出来ない。
神道と呼ばれるカグツチの通り道に沿って展開する円形の巨大なゲートは、活性化に伴い朱く輝く様に例えアケドリと呼ばれた。だが、その門は今、硬く閉ざされている。
旗艦側の制御端末が破壊され、門を制御する主星の管理部門との連絡は何らかの理由で途絶した。転移を管理する部門が丸ごと乗っ取られたか、もしくは守護者に同調したか。何れにせよ、転移機能の復活には主星側の戦いが終息しない限り不可能。
が、望みは薄い。主星には最高戦力と名高い総代アイアースとムラクモを持つオレステスが揃って立ち塞がる。あらゆる要素が奇跡を阻み、絶望を招き入れる。
ヤソマガツヒの総攻撃による全知的生命体の絶滅、滅亡、文明の崩壊。その足音が、遠くから響き始める。
※※※
「逃がさない!!」
旗艦大聖堂。その上空に怒号が響く。と同時、一筋の光が青天を切り裂いた。ルミナが深紅の改式目掛けて突っ込み、身の丈ほどある大刀を勢い任せに叩きつけた。
片手で軽々と操る刀はタケル用に調整された特注品。携行性が非常に悪い反面、一流の鍛冶師と研師が魂を籠め鍛えた事でまるで刀自身が意志を持つかの如くカグツチを吸収、圧倒的な硬度と斬撃力への転換を実現する珠玉の一品。
剣戟音。互いの持つ武器が激突、鋭く甲高い音と共に凄まじい衝撃を生む。タナトスは物理法則を無視した機動と速度に反応出来ず、辛うじて青い刃で防いだものの大きく吹き飛ばされ、建造物の残骸に叩きつけられた。その上から、ガラガラと瓦礫が崩れ落ちる。
動きが、鈍い。巨大な刀を杖代わりに辛うじて転倒を避けたが、その様子は何度も攻撃されたかの様に疲弊している。操縦席のタナトスを見れば、明らかに様子がおかしかった。口から零れる息遣いは荒く、それまで余裕を維持した表情は苦悶に満ちる。言うまでもなく、マガツヒと目を合わせた影響によるもの。しかし、諦めない。何を理由にしてか、桁違いの精神力を奮わせ、戦闘継続を試みる。
「化け物……クッ、視線を合わせただけ……しかも映像越しなのにッ!!」
「お下がりください。後は私が!!」
「邪魔だッ!!」
再びの怒号。瓦礫に埋もれるタナトスに追撃を仕掛けるルミナの眼前に、別の改式が立ちはだかった。見上げる程の巨躯を己が肉体の様に操るのはルミナと同じザルヴァートルの異端、ステロペース。
男が得意とするのは桁違いの操縦適性と戦闘技能に加え、英雄並にカグツチを視認できる天与の視覚能力、更に反射神経を総動員して放つ後の先。その圧倒的な技量は、連合最新鋭のタケルを全く寄せ付けない程に高い。が、そんな規格外の能力でさえルミナの前では児戯に等しかった。連合最高峰と呼んで差し支えない反射神経と視覚は、ルミナの蹴りに全く反応出来ない。
「グウゥッ!!な、なんと」
ステロペースの改式は吹き飛ばされこそしなかったが、大きく体勢を崩した。改式は守護者が操る黒雷よりも洗練、高性能化された機体。が、ルミナの前では木偶の坊も同然。少々固い程度で盾にすらなれないという醜態を晒した。そんな、圧倒的で一方的な光景をそれ以外の全員、スサノヲも守護者も呆然と窺うに終始する。
何が起こったのか、何が起きているのか、混乱状態では正しく認識できない。マガツヒの波動が、思考を阻む。が、戦局は刻一刻と様相を変える。吹き飛ばされながらも主を守ったステロペースの努力は報われ、タナトスは空へと舞った。ほんの僅か後、入れ違いに瓦礫が薙ぎ払われる。正に間一髪。
「規格外ね。さぁ再戦と行きましょうか。呆けている奴から死になさいッ!!全員、何としてもココで仕留めるのよ!!」
上空からの号令。その指示を受け、守護者が、改式が動く。銃声が、剣戟音が、戦場を彩り始める。
「チィッ、状況が飲み込めてねぇのにヨォ!!」
「そんな事をする必要はないッ、今ここで死ねェ!!」
「今は戦うしかなイか!!」
「その通りですよタケル殿。もう止まれない、最後の幕が上がったのですからね。では、参ります」
崩壊した大聖堂を起点に、守護者とスサノヲが再び激突した。戦いは優勢と劣勢を入れ替えながら、様々な事象に影響されながら、戦況を目まぐるしく変える。
もはや、当人達には理解できていない。何方が優勢で、何方が劣勢か、この後どうなるのか、誰も何も分からないまま、ただ真正面に立つ敵目掛けて刃を振り下ろし、引き金を引く。
その度に双方から負傷者を出し、血と死で戦場が穢れる。一方、大聖堂の上空では真っ赤な改式と銀色の閃光が青天で激突する。
神代三剣の封を半分解除したタナトスが駆る改式と互角以上の力で戦うのは、同じく神代三剣の一振りであるハバキリ、その正体を知る者から"欠片"と呼ばれる未知の力を覚醒させつつあるルミナ。
その動きが、鈍る。我武者羅に赤い機体を追う彼女の眼前に、無数の青い刃がズラリと並んだ。一振りが数メートルはあろうかというサイズの刃は、光を反射し冷たく光り輝く。掠っただけで真っ二つになる事など容易に想像が付く、無情な光景。
「フフッ」
赤い機体から、笑みが零れた。劣勢に追い込まれているというのに、タナトスは笑った。
「気付いているの?」
女は言葉を続ける。
「何にだッ」
「その力。人とは違う力、人に害成す力。人が持っていてはいけない力。マガツヒの力。見なさい、誰もが貴女を恐怖の目で見る。人だと認めない、認めていない。今も無自覚に振りまく恐怖の波動は、信じて付いてきた仲間を傷つけ追い詰め、何れ殺す。それでも戦うの?」
女は淡々と語った。ルミナが解放しつつある力の危険性を、開放し続けた先に待つ結末を。
鋭利な刃の如き疑問は、ルミナの心に突き刺さり、抉り、傷つける。事ここに至り、漸く当人は戦場の周囲を顧み、そして違和感に気付いた。健在だった仲間達の動きが明らかに落ちている事実に、タナトスの言葉に、何より己が身に起きる異変に、ニニギの言葉に、彼女は心を締め付けられる。
隙が、出来た。ほんの僅かな隙。
「ウフフッ、その反応……知らなかったの?誰かが傷つくのが許せない、だから必死に抑えていると思っていたのだけれど。さぁ見なさい、仲間が苦しむ姿を。犠牲から目を逸らした代償を。そのせいで傷つき、死んでいく人間を!!」
その隙をタナトスは逃さない。生成した青い刃を一斉にけしかけた。無数の刃は地面、樹木、瓦礫を容易く両断しながらルミナの仲間に襲い掛かる。
「イイ加減にしろッ!!」
「彼女に非は無いッ!!」
「アナタ達がこんな真似をしなければッ!!」
タナトスの言葉にタケルが、セオが、アレムが咆えた。また、他のスサノヲ達も賛同する。が、届かず。自分は本当にマガツヒになってしまったのではないか、その疑念が彼女を覆い尽くし、侵食する。異変に気付いたタケルとセオ達がルミナに代わり必至で刃を撃ち落とすが、改式が生成する圧倒的な数量の刃の前には無力。
青く輝く刃は、その数を無情にも増やし続ける。何本撃ち落とそうが、減った分を瞬く間に戻し、その上で更に数を僅かずつ増やす。増える度に不利になる事を理解する状況にスサノヲ達も加勢するが、しかし今度は刃が霧散、別の場所で再生成され始める。破壊する事も叶わず、さりとて止める事も出来ない。
刹那、深紅の改式に銃弾が撃ち込まれた。射線を辿ると、その先には苦悶の表情を浮かべるルミナ。が、攻撃に先ほどまでの精細さも力強さもない。精神の耗弱が影響し、改式を追いきれず、瞬く間に距離を取られた。
尚も銃撃は続く。バン、と重く鈍い音と共に真白い弾丸が撃ち出されると、深紅の改式の脚部に直撃した。しかし、改式は笑い声を上げながら破損部位を切り離し、新たな部位を転移装着する事で儚い抵抗を無へと帰した。
「もう、終わりにしましょうか」
逃げ回る改式から不気味な笑い声が零れる。直後、ルミナの身体を青い刃が貫いた。直接転移か、あるいは彼女の身体を素材に刃を生成したのか。ほんの僅か前の彼女ならば容易く回避できた筈の攻撃。
しかし、タナトスの言が彼女の強靭な意志に僅かな影を落とした、曇らせた。ニニギが好意で黙っていた真実を利用し、追い詰めた。強靭な意志なくばカグツチの制御は叶わない。その真実を利用し、僅かな隙を作り出した。
無情。残酷。絶望的な光景に、スサノヲ達も、その様子を縋る様に見ていた民衆も絶句した。刃は、彼女の心臓を正確に射抜いていた。傷口から青い刃を伝い、赤い血が滴る。
「やっぱり期待するだけ無駄だったわ。残念、さようなら」
無慈悲な言葉が戦場に響いた。
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