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1 憧れのプロポーズ
しおりを挟む「……百合香、俺と結婚してほしい、
一生幸せにすると誓うから。」
……まるで、乙女マンガのようなプロポーズだと思った。周りが羨むような、素敵な彼氏に夜景の綺麗な展望台で膝まずいて指輪を渡される。
女友達たちに言ったら、キャーッッ///と声を揃えて話を聞きたがることだろう。
かくいう私も、そんなプロポーズを夢見る普通の女だった。それなのに…どうして心はこんなにも冷めたままなのだろうか。
優しくて、紳士的で、エリートで。
顔もスタイルも抜群。そんな素敵な私の彼氏、早川 聖也さん(31)。
そして、そんな男性に目の前で膝まずかれている黒髪ロングで切れ長の二重。白スーツをすらっと着こなし、できる女性を彷彿とさせる美女が御堂 百合香(26)。
周りを見回さなくても、夜景を楽しむ周りのカップルや女性たちから、羨んだような視線や、「いいなぁ…」という声も聞こえてくる。
きっと誰もが次に続く私の言葉はyesだと確信しているだろう。
彼のことは好きだ。大切な人だと思う。それなのにどこかいつも心が満たされない。私はきっとどこかおかしいのかもしれない。いま自分がどんな表情をしているのかさえ分からないのだから。
(はやく返事をしなきゃ。はいって言えばいいだけじゃないっっ。笑って。。。笑え私)
心の中で何度も自分を叱咤して、…ようやく
「…………はい。」と微笑みを浮かべ返事をした。
周りでオォーッッと歓声と拍手がなった。
素早く立ち上がり、私を優しく抱き締めながら
「ありがとう…百合香。愛してるよ。」
そう、耳元で囁き、おでこに優しいキスをくれた。
指輪をそっと指にはめてくれたあと、微笑み合ったふたりは腕を組んで展望台を後にした。
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