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運び屋ケイン2 ~懲りない王国~
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プルプルプルプル…。
ギャン!ギャン!ギャン!…。
「あーーっ! うるさーーい!!」
小型飛行艇リトルホープ号のエンジン音と貨物室から聞こえてくる動物の鳴き声が混ざり合いケインを苦しめていました。
ケインは、運び屋。
頼まれた荷物を指定された日時に、指定された場所まで運ぶ仕事。
今回、荷物の届け先は、サイホック王国。
国の真ん中に大きな湖が在る王国です。
1年前、王国の依頼で、キコと言う動物を数匹届けました。
王国は、ジーミと言う害獣による農作物の被害が甚大で、その対策として天敵であるキコを輸入したのです。
王国にキコは居なかったので…。
効果は、てき面。
ジーミは、駆逐され被害は殆ど無くなりました。
すると困った事が起こります。
キコは繁殖力が強く、増えすぎてしまったのです。
餌のジーミが足りなくなったキコが、ヒヨヒ鳥を襲い始めたのです。
ヒヨヒ鳥は、家畜として飼われており、このまま放置するわけにはいきません。
対策として、キコの天敵ピョポンの輸入を決めました。
今、そのピョポンが、ケインを苦しめているのです。
と、サイホック王国の湖が見えてきました。
ケインは安堵の声を上げると湖に着水します。
…
湖に設けられた桟橋の上で、王国の役人が4名待って居ました。
ケインは、飛行艇のロープを桟橋に向って投げます。
すると役人がロープを受け取り、杭に括り付けてくれました。
ケインは、飛行艇から降ります。
「サイホック王国の方々ですね。
荷物をお届けに参りました。」
そう言って機体横、貨物室のドアを開けます。
ギャン!ギャン!ギャン!…。
檻の中のピョポンが、今まで以上に大きな声で鳴き始めました。
檻は2つ。
1つの檻に4匹、計8匹のピョポンが入っています。
どうやらオスとメスで、檻を分けているようです。
と、桟橋近くに居たキコが、ピョポンの鳴き声で、一目散に逃げ出しました。
それを見た役人は笑顔を見せます。
「ケイン! ありがとう。
どうやらキコの天敵で、間違いないようだ。」
ケインは、ピョポンが入った檻を役人に渡します。
「ピョポンの飼育について、いくつか注意点があるのですが…。」
「近くにレストランがあります。
そこで食事をしながら、色々と教えて下さい。」
役人の言葉にケインは頷きました。
…
レストランは、桟橋から数分の場所にありました。
湖が見えるレストラン。
ケインは、役人2人とテーブルを囲みます。
2人は、飼育係に任命されたホネンとフトタ。
痩せている方が、ホネン。
太っている方が、フトタです。
残る2人は、檻をトラックに積んで王都へ向かいました。
テーブルに料理が運ばれてきます。
「食事をしながら話しましょう。」
フトタの言葉にケインは笑顔で頷きました。
ケインは、料理をパクつきながら注意点を話します。
・つがいにすると一週間で、子供を4~5匹産む非常に繁殖力が強い動物なので、必ずオスとメスを分けて飼育する。
・鳴き声が、うるさく、特に春、発情期を迎えると、一日中鳴く事もあるので、街中では飼わない方が良い。
ホネンが頷きながらメモを取ります。
フトタが質問してきました。
「以前、輸入したキコは、ジーミが居なくなるとヒヨヒ鳥を餌にしたが、ピョポンがキコを駆逐した後、同じような事にはならないのか?」
一番の心配事なのでしょう。
繁殖力が強い事に不安を覚えたようです。
「ピョポンの一番の好物は、キコですが、普段はヒヨヒ鳥と同じ餌を食べます。
その為、ヒヨヒ鳥と一緒に飼われることも多く、ヒヨヒ鳥には絶対手を出しません。」
ケインの言葉に役人2人は顔を見合わせ安堵の表情を浮かべます。
ケインは、言葉を続けます。
「仮にピョポンが増えすぎたとしても、ピョポンはヒヨヒ鳥と同じくらい美味いので、家畜として利用できるんですよ。」
役人2人は、大喜び。
フトタは、質問し忘れた事が無いか手帳を確認します。
ホネンは、メモの内容に間違いが無いか確認します。
その間に、ケインは料理を食べ終りました。
役人2人が、ケインの手を取り、礼を言います。
「ありがとう!
まさか家畜として利用できるとは思いもしなかった。」
「ヒヨヒ鳥より繁殖力が強いなんて、次に来られた時には、家畜が全てピョポンに変わっているかもしれませんよ。」
ケインは、食事の礼を言うとレストランを出ました。
役人2人もレストランを出ると車に乗り、王都へ向かいました。
ケインは、リトルホープ号に戻りエンジンをかけると、サイホック王国を飛び立ちます…。
…
プルプルプルプル…。
夢8型エンジンが、のん気な音を立てます。
行きの騒々しさが嘘のようです。
(あんなに感謝されると、心苦しいな…。)
ケインは、苦笑いを浮かべます。
実は、発情期を迎えたピョポンは、通常の10倍近い鳴き声を上げるのです。
その声は、10km先まで届くと言われ、近隣に住む人々は全員寝不足になります。
なにしろ一日中鳴くのですから…。
原産地では、この鳴き声が問題になり、飼育を禁じています。
ケインは、この一番の問題を話しませんでした。
届けたピョポンを受け取って貰えない事を恐れたのです。
春まで、あと3ヶ月…。
(うーん…、あまり繁殖させないよう、引き返して注意した方が良いのか…?
いや、知らなかったふりをして、来月あたり行って話した方が良いか…?)
ケインは、ポリポリと頭をかきます。
リトルホープ号は、ケインの悩み、そのままにフラフラと揺れながら飛ん行くのでした……。
ギャン!ギャン!ギャン!…。
「あーーっ! うるさーーい!!」
小型飛行艇リトルホープ号のエンジン音と貨物室から聞こえてくる動物の鳴き声が混ざり合いケインを苦しめていました。
ケインは、運び屋。
頼まれた荷物を指定された日時に、指定された場所まで運ぶ仕事。
今回、荷物の届け先は、サイホック王国。
国の真ん中に大きな湖が在る王国です。
1年前、王国の依頼で、キコと言う動物を数匹届けました。
王国は、ジーミと言う害獣による農作物の被害が甚大で、その対策として天敵であるキコを輸入したのです。
王国にキコは居なかったので…。
効果は、てき面。
ジーミは、駆逐され被害は殆ど無くなりました。
すると困った事が起こります。
キコは繁殖力が強く、増えすぎてしまったのです。
餌のジーミが足りなくなったキコが、ヒヨヒ鳥を襲い始めたのです。
ヒヨヒ鳥は、家畜として飼われており、このまま放置するわけにはいきません。
対策として、キコの天敵ピョポンの輸入を決めました。
今、そのピョポンが、ケインを苦しめているのです。
と、サイホック王国の湖が見えてきました。
ケインは安堵の声を上げると湖に着水します。
…
湖に設けられた桟橋の上で、王国の役人が4名待って居ました。
ケインは、飛行艇のロープを桟橋に向って投げます。
すると役人がロープを受け取り、杭に括り付けてくれました。
ケインは、飛行艇から降ります。
「サイホック王国の方々ですね。
荷物をお届けに参りました。」
そう言って機体横、貨物室のドアを開けます。
ギャン!ギャン!ギャン!…。
檻の中のピョポンが、今まで以上に大きな声で鳴き始めました。
檻は2つ。
1つの檻に4匹、計8匹のピョポンが入っています。
どうやらオスとメスで、檻を分けているようです。
と、桟橋近くに居たキコが、ピョポンの鳴き声で、一目散に逃げ出しました。
それを見た役人は笑顔を見せます。
「ケイン! ありがとう。
どうやらキコの天敵で、間違いないようだ。」
ケインは、ピョポンが入った檻を役人に渡します。
「ピョポンの飼育について、いくつか注意点があるのですが…。」
「近くにレストランがあります。
そこで食事をしながら、色々と教えて下さい。」
役人の言葉にケインは頷きました。
…
レストランは、桟橋から数分の場所にありました。
湖が見えるレストラン。
ケインは、役人2人とテーブルを囲みます。
2人は、飼育係に任命されたホネンとフトタ。
痩せている方が、ホネン。
太っている方が、フトタです。
残る2人は、檻をトラックに積んで王都へ向かいました。
テーブルに料理が運ばれてきます。
「食事をしながら話しましょう。」
フトタの言葉にケインは笑顔で頷きました。
ケインは、料理をパクつきながら注意点を話します。
・つがいにすると一週間で、子供を4~5匹産む非常に繁殖力が強い動物なので、必ずオスとメスを分けて飼育する。
・鳴き声が、うるさく、特に春、発情期を迎えると、一日中鳴く事もあるので、街中では飼わない方が良い。
ホネンが頷きながらメモを取ります。
フトタが質問してきました。
「以前、輸入したキコは、ジーミが居なくなるとヒヨヒ鳥を餌にしたが、ピョポンがキコを駆逐した後、同じような事にはならないのか?」
一番の心配事なのでしょう。
繁殖力が強い事に不安を覚えたようです。
「ピョポンの一番の好物は、キコですが、普段はヒヨヒ鳥と同じ餌を食べます。
その為、ヒヨヒ鳥と一緒に飼われることも多く、ヒヨヒ鳥には絶対手を出しません。」
ケインの言葉に役人2人は顔を見合わせ安堵の表情を浮かべます。
ケインは、言葉を続けます。
「仮にピョポンが増えすぎたとしても、ピョポンはヒヨヒ鳥と同じくらい美味いので、家畜として利用できるんですよ。」
役人2人は、大喜び。
フトタは、質問し忘れた事が無いか手帳を確認します。
ホネンは、メモの内容に間違いが無いか確認します。
その間に、ケインは料理を食べ終りました。
役人2人が、ケインの手を取り、礼を言います。
「ありがとう!
まさか家畜として利用できるとは思いもしなかった。」
「ヒヨヒ鳥より繁殖力が強いなんて、次に来られた時には、家畜が全てピョポンに変わっているかもしれませんよ。」
ケインは、食事の礼を言うとレストランを出ました。
役人2人もレストランを出ると車に乗り、王都へ向かいました。
ケインは、リトルホープ号に戻りエンジンをかけると、サイホック王国を飛び立ちます…。
…
プルプルプルプル…。
夢8型エンジンが、のん気な音を立てます。
行きの騒々しさが嘘のようです。
(あんなに感謝されると、心苦しいな…。)
ケインは、苦笑いを浮かべます。
実は、発情期を迎えたピョポンは、通常の10倍近い鳴き声を上げるのです。
その声は、10km先まで届くと言われ、近隣に住む人々は全員寝不足になります。
なにしろ一日中鳴くのですから…。
原産地では、この鳴き声が問題になり、飼育を禁じています。
ケインは、この一番の問題を話しませんでした。
届けたピョポンを受け取って貰えない事を恐れたのです。
春まで、あと3ヶ月…。
(うーん…、あまり繁殖させないよう、引き返して注意した方が良いのか…?
いや、知らなかったふりをして、来月あたり行って話した方が良いか…?)
ケインは、ポリポリと頭をかきます。
リトルホープ号は、ケインの悩み、そのままにフラフラと揺れながら飛ん行くのでした……。
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