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第三章 前哨
1 宴の後の悪だくみ
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「奥様ぁ~~~~。ご無事ですかぁ――――――――――――――――っ!!」
わんこ君の調教を終えた私に…帰ってきて、待機していたみんなが…一斉に寄って来た。
「大丈夫よ…。体はもう、ほとんど治ってる。だから…安心してちょうだい」
みんなの顔を見て…私も安心した。
「申し訳ありません!!やはり分散して、直ぐに帰るべきでした…」
スペードが…申し訳なさそうに言っているから、私は思わず、
「あのね!!ギルディスの速さに、誰もついてこれないでしょ?
それに…せっかく取り戻したアンナマリー嬢を、奪われるわけにはいかなかった。
だから…一番信頼できる、アナタ達に任せたの!!
よくやったわ。ありがとう!!」
アンナマリーは無事に家族の元に帰り…アルフレッドとも再会できたらしい。
「それよりも…こっちも色々と動きがあったから、報告するわ」
私は自分でしても良かったのだが、過保護なギリアムが、私の代わりに説明した。
まあ…説明は私より、確実に上手いからいいんだけど。
「ふざけんなぁ――――――――――――――――――――――――――――っ!!」
みんなが絶叫したのは…言うまでも無いだろう。
口々に文句を言いつつ、スッゲー怒ってる。
「奥様が裸になったのは、マーガレット夫人と子供を助けるためでしょ!!」
……色々はしょってない?アンタらも…。
「ご当主様!!奥様!!オレらなんでもやりますよ!!」
「どんな汚れ仕事でも、こなせる自信あります!!」
何だか…必死の形相で迫ってきている…。ありがたいけどね。
「ひとまず…作戦を考えたから、その通りに動いてちょうだい。
下調べも含めて…ね。話はそれからよ」
「はい!!」
いいお返事だ。
「あ…でも…。ダイヤの裁判はどうするんです?」
ハートの素朴な疑問だった。
「そんなもん、無視だ、無視!!そもそもオレは、あいつ等と仲良くする気は、一切ねぇ!!
こんな時に、ホントに何考えてんだよ!!奥様に迷惑しかかけないなんて!!」
ダイヤ…怒り心頭来ている所、悪いんだけど…。
「それは予定通りにするわよ!!そもそも…ダイヤの裁判も、相手の企みの1つなんだから。
せっかくシルスがうまくやってくれてるんだから、思いっきりぶっ壊すわよ」
私の力強い言葉に、
「はい!!奥様!!」
ダイヤだけでなく、全員が返事をした。
「それではフィリー…ひとまず、ご挨拶に行きましょうか」
「へ?」
私は…とても素敵な…でも、楽なドレスにお着換えさせられ…。
連れていかれた場所には…。
「お~う、オルフィリア公爵夫人!!大事無いか?もう起きて大丈夫か?」
ティタノ陛下?もうお帰りのお時間では?
なんでまったりと、ティータイムを楽しんでいるんだろう?
私が…そんなことを顔に書いたのが、分かったみたいで、
「滞在を伸ばすことにしたんじゃよ。もともと片付かなければ、その予定じゃったしな!!
それに…」
何だか…楽しそうに、
「お前たちが、お詫びにと用意した、旅行の目的地…。
ギリアム公爵に聞いたら、随分と画期的で、面白い施設を作ったそうじゃないか…。
そのおかげで、死にかけていた街…だけでなく、近隣の街も非常に活気づいたとな…」
ああ…何だかわかってきた。
「リュクシュイ村の件があるからのぉ…。是非とも視察したくなったんじゃよ」
そう言った名目で…本国と家臣を…納得させたのか…。
まあ実際に、見てみたいのは本当なんだろうけど…。
「そのような過分なお引き立て…ありがとうございます。
歓待パーティーでの失態を…取り戻す機会を与えていただき、恐悦至極に存じます」
私は…できるだけ綺麗な形で…お辞儀をした。
「そんなにかしこまらんでいい!!とにかく体を休めろ!!」
そう言ってもらえるだけでも、ありがたいなぁ…。
私は…ギリアムやみんなに引き続き、心がじんわりしてくる。
エネルギーチャージできそうだ。
「…で?お前はどう動く?ギリアム公爵よ」
今度は…私の時とは打って変わって、とても…不敵な笑みをたたえている。
「ひとまず…売られた喧嘩は買うのみですよ。ティタノ陛下とて、そうでは?」
私が…閨でよーく、言い聞かせたから…冷静に考えてくれてる。
よかったよかった。
「まあの…。だが…」
ここから…不敵な笑みに、怒気が籠る。
「仮にもこのわしの、歓待パーティーをめちゃくちゃにしたんじゃ。
一枚かませろ!!」
ギリアムを真っすぐ見据え…かなり強めのオーラを放っている。
それを浴びて…へーぜんとしてられる、ギリアムもすごいけど…。
「……実は、5日後に王宮でパーティーが開かれるようでしてね…。
それに夫婦共々、出席するよう言われているのですよ」
「なにぃ?」
ティタノ陛下の顔が…少し歪んだよ…。怒りの方向性に…。
「オルフィリア公爵夫人の状況は、伝えてあるのじゃろ?」
「ええ。あの会場にいた人間には、国王陛下も含めて、状況をお話してあります。
全て知っているハズですよ」
「しょーもないのぉ…。そのくらい抑えろっちゅーんじゃ!!
確かにあのクッチェンバラスのバカ娘に、多少の配慮は必要じゃろうがな」
あ、説明が遅れました。クッチェンバラス王国ってのは、レファイラ王后陛下の実家国ね。
ウチとのパワーバランスはトントンだから、どうしても…強く出れない部分もある。
ティタノ陛下は…怒るの通り越して、呆れてる…。
「いえ…。むしろ私は好機と見ていますよ…。まあ、フィリーの策でもありますがね」
「ほお…。聞かせい!!」
眼が…ランランと輝いている…。
「では…わたくしが…」
私はさらに喋ろうとしたギリアムを、制した。
自分の策は…自分で説明したい。
「実は3日後に…ティタノ陛下にもお話した、ウチのダイヤの裁判が開かれます」
「なにぃ?」
ここでも…すっごく渋顔になっちまった。
「お前たちの方に、通達は来たのか?
そもそも…わしが帰る予定だった日から3日後など…。よほど危急の案件でなければ、行われん
だろ?」
この辺は…国を隔てても、あまり違いが無いらしい。
こちらへの通達は…今日来たよ…うん。
「ええ、その通りです。どうやら…何者かが、裁判所に圧力をかけ、こちらに届かないように
していたようです。
私が…末端をあまり攻撃しないのも、こういう時に不利になります…」
ギリアムが…すかさず出る。
「そこは変えないでください…ギリアム。
ただし…例え命令されたとしても、私に…毒を盛った人間は、許さなくていいですから」
「もちろんだ。それを許したら、極論、命令されて殺人を犯した人間を、許すことになる」
まあ、わかってると思ったよ。
「最初私は…ダイヤをラスタフォルス侯爵家の跡取りに据える事で、様々な利権や弱みを握る
事が、目的だと思いました」
ダイヤは脛に傷の持ち具合が、軽犯罪じゃすまないレベルだからね。
いかようにも…崩せるし、脅しようがあるのだろう。
もっともそれは…ダイヤがラスタフォルス侯爵家に執着している場合だと思うんだが…。
それでも多少の使いようはあるのだろうな…。
「しかし…それだけではないような気がします」
「というと?」
ティタノ陛下が興味深げに、私を見つめる。
「恐らく…ダイヤをラスタフォルス侯爵家に入れる際…私兵の仲間も一緒に引き取る…。
そう言ってくるような気がします。
ダイヤと一緒に育ってきた者たちの…つながりが非常に強い事は…調べればすぐにわかります
からね。
そうすれば…ファルメニウス公爵家に行く理由が、なくなると思っていても、おかしくない」
「そんな馬鹿な事があるか!!オレは…仲間と一緒に、ここに!!いたいんです!!
奥様の私兵として、一生を過ごしたいんです!!」
ダイヤがたまらず出てきたが、ティタノ陛下の御前のため、慌てて少し下がらせた。
「あ~、かまわん、かまわん。わしもそいつら気に入っておるよ」
そう言ってもらって、ホッとしたよ…まったく。
「ラスタフォルス侯爵家は…先代ファルメニウス公爵家と比べれば、遥かにマトモですが…。
それでも中に入ってしまったら、分かりませんからね…。
もちろん私も、彼らを手放す気はありません」
「ただ…重要なのは、私から…私兵をはぎ取りたいんですよ…黒幕は」
私の言に、
「そりゃ、そうじゃろ。間違いなく、そいつらは優秀じゃよ。
ファルメニウス公爵家のパーティーで…刺客の入り込むすきがあったのは、そいつらがいなかった
からだと言っても、過言ではあるまい」
ティタノ陛下は頷きながら、答えた。
ファルメニウス公爵家の護衛騎士は…当然優秀だけどね。
こと…暗殺や裏家業の考え方だったら、こいつ等が一番わかっている。
それに…同業者ってのは、同業の匂いや感覚を…鋭敏にキャッチできる。
私だって…どんなに隠してても、なんとなく…娼婦だって、分かる…。
今世でもね。
トランペストが敵だった時…私がジェードばっかり、連れて歩いたのは、まさにそれがある。
ギリアムも…そうしろって言ったからね。
「だから…その企み自体…裁判でぶっ潰して、御覧に入れます!!」
私は…力いっぱい答えた。
「できるのか?」
「ええ…。こちらの伏兵が、とてもいい仕事をしてくれて…。
手の中で踊らされている事…気づいていない模様ですので」
不敵な笑みを顔に張りつけつつ、ティタノ陛下の目を真っすぐ見る。
「なるほどな!!しかし…わしも噛ませろと、言ったはずだが?」
「ティタノ陛下には…5日後の王宮でのパーティー…。
その場で大いに活躍して、頂きとうございます…」
「策を聞かせい!!」
私は…自分の策を話し続け…時折ギリアムとティタノ陛下が…注略や案を出してくれたものを…
ふんだんに取り入れていくのだった…。
わんこ君の調教を終えた私に…帰ってきて、待機していたみんなが…一斉に寄って来た。
「大丈夫よ…。体はもう、ほとんど治ってる。だから…安心してちょうだい」
みんなの顔を見て…私も安心した。
「申し訳ありません!!やはり分散して、直ぐに帰るべきでした…」
スペードが…申し訳なさそうに言っているから、私は思わず、
「あのね!!ギルディスの速さに、誰もついてこれないでしょ?
それに…せっかく取り戻したアンナマリー嬢を、奪われるわけにはいかなかった。
だから…一番信頼できる、アナタ達に任せたの!!
よくやったわ。ありがとう!!」
アンナマリーは無事に家族の元に帰り…アルフレッドとも再会できたらしい。
「それよりも…こっちも色々と動きがあったから、報告するわ」
私は自分でしても良かったのだが、過保護なギリアムが、私の代わりに説明した。
まあ…説明は私より、確実に上手いからいいんだけど。
「ふざけんなぁ――――――――――――――――――――――――――――っ!!」
みんなが絶叫したのは…言うまでも無いだろう。
口々に文句を言いつつ、スッゲー怒ってる。
「奥様が裸になったのは、マーガレット夫人と子供を助けるためでしょ!!」
……色々はしょってない?アンタらも…。
「ご当主様!!奥様!!オレらなんでもやりますよ!!」
「どんな汚れ仕事でも、こなせる自信あります!!」
何だか…必死の形相で迫ってきている…。ありがたいけどね。
「ひとまず…作戦を考えたから、その通りに動いてちょうだい。
下調べも含めて…ね。話はそれからよ」
「はい!!」
いいお返事だ。
「あ…でも…。ダイヤの裁判はどうするんです?」
ハートの素朴な疑問だった。
「そんなもん、無視だ、無視!!そもそもオレは、あいつ等と仲良くする気は、一切ねぇ!!
こんな時に、ホントに何考えてんだよ!!奥様に迷惑しかかけないなんて!!」
ダイヤ…怒り心頭来ている所、悪いんだけど…。
「それは予定通りにするわよ!!そもそも…ダイヤの裁判も、相手の企みの1つなんだから。
せっかくシルスがうまくやってくれてるんだから、思いっきりぶっ壊すわよ」
私の力強い言葉に、
「はい!!奥様!!」
ダイヤだけでなく、全員が返事をした。
「それではフィリー…ひとまず、ご挨拶に行きましょうか」
「へ?」
私は…とても素敵な…でも、楽なドレスにお着換えさせられ…。
連れていかれた場所には…。
「お~う、オルフィリア公爵夫人!!大事無いか?もう起きて大丈夫か?」
ティタノ陛下?もうお帰りのお時間では?
なんでまったりと、ティータイムを楽しんでいるんだろう?
私が…そんなことを顔に書いたのが、分かったみたいで、
「滞在を伸ばすことにしたんじゃよ。もともと片付かなければ、その予定じゃったしな!!
それに…」
何だか…楽しそうに、
「お前たちが、お詫びにと用意した、旅行の目的地…。
ギリアム公爵に聞いたら、随分と画期的で、面白い施設を作ったそうじゃないか…。
そのおかげで、死にかけていた街…だけでなく、近隣の街も非常に活気づいたとな…」
ああ…何だかわかってきた。
「リュクシュイ村の件があるからのぉ…。是非とも視察したくなったんじゃよ」
そう言った名目で…本国と家臣を…納得させたのか…。
まあ実際に、見てみたいのは本当なんだろうけど…。
「そのような過分なお引き立て…ありがとうございます。
歓待パーティーでの失態を…取り戻す機会を与えていただき、恐悦至極に存じます」
私は…できるだけ綺麗な形で…お辞儀をした。
「そんなにかしこまらんでいい!!とにかく体を休めろ!!」
そう言ってもらえるだけでも、ありがたいなぁ…。
私は…ギリアムやみんなに引き続き、心がじんわりしてくる。
エネルギーチャージできそうだ。
「…で?お前はどう動く?ギリアム公爵よ」
今度は…私の時とは打って変わって、とても…不敵な笑みをたたえている。
「ひとまず…売られた喧嘩は買うのみですよ。ティタノ陛下とて、そうでは?」
私が…閨でよーく、言い聞かせたから…冷静に考えてくれてる。
よかったよかった。
「まあの…。だが…」
ここから…不敵な笑みに、怒気が籠る。
「仮にもこのわしの、歓待パーティーをめちゃくちゃにしたんじゃ。
一枚かませろ!!」
ギリアムを真っすぐ見据え…かなり強めのオーラを放っている。
それを浴びて…へーぜんとしてられる、ギリアムもすごいけど…。
「……実は、5日後に王宮でパーティーが開かれるようでしてね…。
それに夫婦共々、出席するよう言われているのですよ」
「なにぃ?」
ティタノ陛下の顔が…少し歪んだよ…。怒りの方向性に…。
「オルフィリア公爵夫人の状況は、伝えてあるのじゃろ?」
「ええ。あの会場にいた人間には、国王陛下も含めて、状況をお話してあります。
全て知っているハズですよ」
「しょーもないのぉ…。そのくらい抑えろっちゅーんじゃ!!
確かにあのクッチェンバラスのバカ娘に、多少の配慮は必要じゃろうがな」
あ、説明が遅れました。クッチェンバラス王国ってのは、レファイラ王后陛下の実家国ね。
ウチとのパワーバランスはトントンだから、どうしても…強く出れない部分もある。
ティタノ陛下は…怒るの通り越して、呆れてる…。
「いえ…。むしろ私は好機と見ていますよ…。まあ、フィリーの策でもありますがね」
「ほお…。聞かせい!!」
眼が…ランランと輝いている…。
「では…わたくしが…」
私はさらに喋ろうとしたギリアムを、制した。
自分の策は…自分で説明したい。
「実は3日後に…ティタノ陛下にもお話した、ウチのダイヤの裁判が開かれます」
「なにぃ?」
ここでも…すっごく渋顔になっちまった。
「お前たちの方に、通達は来たのか?
そもそも…わしが帰る予定だった日から3日後など…。よほど危急の案件でなければ、行われん
だろ?」
この辺は…国を隔てても、あまり違いが無いらしい。
こちらへの通達は…今日来たよ…うん。
「ええ、その通りです。どうやら…何者かが、裁判所に圧力をかけ、こちらに届かないように
していたようです。
私が…末端をあまり攻撃しないのも、こういう時に不利になります…」
ギリアムが…すかさず出る。
「そこは変えないでください…ギリアム。
ただし…例え命令されたとしても、私に…毒を盛った人間は、許さなくていいですから」
「もちろんだ。それを許したら、極論、命令されて殺人を犯した人間を、許すことになる」
まあ、わかってると思ったよ。
「最初私は…ダイヤをラスタフォルス侯爵家の跡取りに据える事で、様々な利権や弱みを握る
事が、目的だと思いました」
ダイヤは脛に傷の持ち具合が、軽犯罪じゃすまないレベルだからね。
いかようにも…崩せるし、脅しようがあるのだろう。
もっともそれは…ダイヤがラスタフォルス侯爵家に執着している場合だと思うんだが…。
それでも多少の使いようはあるのだろうな…。
「しかし…それだけではないような気がします」
「というと?」
ティタノ陛下が興味深げに、私を見つめる。
「恐らく…ダイヤをラスタフォルス侯爵家に入れる際…私兵の仲間も一緒に引き取る…。
そう言ってくるような気がします。
ダイヤと一緒に育ってきた者たちの…つながりが非常に強い事は…調べればすぐにわかります
からね。
そうすれば…ファルメニウス公爵家に行く理由が、なくなると思っていても、おかしくない」
「そんな馬鹿な事があるか!!オレは…仲間と一緒に、ここに!!いたいんです!!
奥様の私兵として、一生を過ごしたいんです!!」
ダイヤがたまらず出てきたが、ティタノ陛下の御前のため、慌てて少し下がらせた。
「あ~、かまわん、かまわん。わしもそいつら気に入っておるよ」
そう言ってもらって、ホッとしたよ…まったく。
「ラスタフォルス侯爵家は…先代ファルメニウス公爵家と比べれば、遥かにマトモですが…。
それでも中に入ってしまったら、分かりませんからね…。
もちろん私も、彼らを手放す気はありません」
「ただ…重要なのは、私から…私兵をはぎ取りたいんですよ…黒幕は」
私の言に、
「そりゃ、そうじゃろ。間違いなく、そいつらは優秀じゃよ。
ファルメニウス公爵家のパーティーで…刺客の入り込むすきがあったのは、そいつらがいなかった
からだと言っても、過言ではあるまい」
ティタノ陛下は頷きながら、答えた。
ファルメニウス公爵家の護衛騎士は…当然優秀だけどね。
こと…暗殺や裏家業の考え方だったら、こいつ等が一番わかっている。
それに…同業者ってのは、同業の匂いや感覚を…鋭敏にキャッチできる。
私だって…どんなに隠してても、なんとなく…娼婦だって、分かる…。
今世でもね。
トランペストが敵だった時…私がジェードばっかり、連れて歩いたのは、まさにそれがある。
ギリアムも…そうしろって言ったからね。
「だから…その企み自体…裁判でぶっ潰して、御覧に入れます!!」
私は…力いっぱい答えた。
「できるのか?」
「ええ…。こちらの伏兵が、とてもいい仕事をしてくれて…。
手の中で踊らされている事…気づいていない模様ですので」
不敵な笑みを顔に張りつけつつ、ティタノ陛下の目を真っすぐ見る。
「なるほどな!!しかし…わしも噛ませろと、言ったはずだが?」
「ティタノ陛下には…5日後の王宮でのパーティー…。
その場で大いに活躍して、頂きとうございます…」
「策を聞かせい!!」
私は…自分の策を話し続け…時折ギリアムとティタノ陛下が…注略や案を出してくれたものを…
ふんだんに取り入れていくのだった…。
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