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第六章 黒幕
7 その頃別動隊は…
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さて…時は少し戻って、フィリーと別れたばかりの別動隊がどうなったか…。
「おー、ここにもあった」
ファルメニウス公爵家の控室で…ウリュジェとフューロットが何やらごそごそ…。
「こっちもあったぞ~。本当によくこれだけ仕込んだもんだ、全く…」
それなりに広いが、それでも…と言いたげだ。
フィリーは…ファルメニウス公爵家のスペースには、必ず何かあると踏んで、調べるよう
指示していた。
そして…その考えは、大当たりだった。
ネズミ捕りのような陰湿なものから、少しの怪我をするものばかりが、よくもまあこれだけ…と、
泥棒であるウリュジェとフューロットも、舌を巻いていた。
そんな中…。
「お待たせしました。行きましょうか…」
シルスが…準備が整ったようで、出てきた。
「おお、相変わらずすごいな、オマエ…」
「お褒めに預かり、光栄です」
シルスは…モブとしてしっかりと溶け込めるような、何の変哲もないメイドの姿になっていた。
元の姿は…影も形もない。
こうして…ジョーカーとクローバも含め、5人がやって来たのは…。
王宮の奥深く…ひときわ豪華絢爛な装飾が施された宮殿だった。
「間違いなくここなのか?」
クローバが首をひねっている。
「ああ。王宮の図面は、ギリアム様に言われて全部頭に入っている。
ここしか考えられない」
ウリュジェとフューロットが答えた時、
「しっ!!」
ジョーカーからストップがかかった。
物々しい警備の人間達が…通りかかったからだ。
「かなりの数…いるようじゃ。どうやら当たりじゃな…」
「んじゃ、適当にやるか…」
クローバがぽきぽきと指を鳴らす。
そして瞬く間に…護衛の人間達が音もなく…消える。
気絶させて縛り上げ、物陰に隠したのだ。
「さてと…じゃあ、ここからは私の出番ですね…。隠れていてください」
シルスが…他の人間を下がらせると、1人…鍵のかかった扉の前に…。
その扉を…勢いよく蹴っ飛ばす。
もちろん扉はびくともしないが…。
「ちょっと!!誰!!扉に何か当たったわよ!!気を付けなさい!!」
中から…非常に甲高い声が。
「え…?あ…?失礼しました…。人がいらっしゃるとは思わなくて…」
「はあ?アンタ誰?私が誰か知らないの!!」
「あ…あの、私…。来たばかりで、まだすべて…覚えきれていないのです…。
申し訳ございません…」
シルスは声色を変えるのもうまい。
その声は…誰が聞いても、まだ幼さの残る少女のモノに聞こえるだろう。
そしてとても気弱な雰囲気を与える。
「あそ…。でも、周りにいる兵士に聞いてないの?」
「兵士…ですか?この扉の周辺には、誰もいらっしゃらなかったので…。
てっきり今は使っていないのかと…」
「なんですって!!」
すると甲高い声は…少しの間止まり…。
「ねえ、アナタ…。王宮のスペアキーのありか…知ってる?」
「え…はい。説明を受けた時に、一通りは…」
「いいわ。最高よ!!この部屋の鍵…持ってきてくれない?」
「え…。あの…。中から開かないのですか?」
「ええ。ちょっと壊れちゃってね…」
「そうだったんですね…でも…」
「なに!!私のいう事が聞けないっての!!」
「そ、そうじゃなくて…。今は…部屋からお出にならない方がいいかもと…。
ちょっと…。舞踏会のホールが…大変な事になっているので…」
「え?何があったの?」
「そ、その…オルフィリア公爵夫人をご存じですか?」
「よく知ってるわよ!!忌々しい…」
扉越しで姿は見えずとも、苦虫をかみつぶしているのがよくわかる。
「そ、そのオルフィリア公爵夫人が…ティタノ陛下と一緒に王宮にいらっしゃって…」
「え?ティタノ陛下って帰ったハズでしょ?」
「そ…そうなんです…。それに…私見ちゃったんです…」
「何を?」
「オルフィリア公爵夫人が…全くの別人に、ティタノ陛下の変装をさせている所…」
「なんですって!!」
「そ、それで舞踏会のホールで、ティタノ陛下と一緒になって暴れていて…。
みんなティタノ陛下の偽物を、本物だと信じ込んでいるから、誰も何も言えなくて…。
でも私が偽物だと言った所で、相手は公爵夫人だからきっと酷い目に合う…。
だ、だから…怖くなって…。人のいない方に逃げてきたら…ここに…」
「へ~、あの女…。とうとう本性を現したのね…」
少しドスのきいたその声は、
「わかったわ!!私が何とかしてあげるから、急いでここを開けなさい!!」
不敵な笑みを浮かべる…根拠のない自信がのっかっているようだった。
「え…でも…。もしあなたが酷い目に遭ったら…」
「大丈夫よ!!私は…あの女より、身分が上なんだから!!」
「そ…そうなのですか?」
「そうよ!!だから…とっとと鍵を開けなさい!!私が…成敗してあげるわ!!」
「あ…あの、でも…」
「なによ!!私の言葉が信じられないっての!!」
「いえ…あの…。オルフィリア公爵夫人の言いなりになっている…偽ティタノ陛下なんですが…。
その人も…無理やり従わされているらしくて…。
と、年老いたお母様を…養わなきゃいけないって…言っていたので…。
あまり…酷い目に遭わせては…可哀想だな…って」
「あら、そうだったのねぇ…。相変わらず酷い女だ事…。
大丈夫よ。そういう事なら…私が配慮してあげるから」
「本当ですか!!」
「ええ…」
「わ…わかりました…。少々お待ちくさださい…。鍵を取ってまいります」
そうしてシルスは扉の前から離れると…ウリュジェとフューロットの所に来て、
「それじゃあよろしく…。ああ、少し時間を置きましょう」
「わかってるよ。鍵のありかはおそらくメイン宮殿のどこかだろうから、その時間を考えると…」
一流泥棒ゆえ、図面を見ればある程度の時間が予測できる。
なのでその時間をしっかりと置いて…。
鍵自体はあまり複雑なものではないらしく、ウリュジェとフューロットはさっさかと開けてしまった。
そして元通り隠れると、
「あ…あの…空きました。扉を開けますね」
メイドに化けたシルスの言葉で、スタンバイしていたレティアがすぐさま出てきた。
「アンタは使えるわね!!いい子よ!!」
えらく…ご機嫌である。
「あ、ありがとうございます…。あの…よろしければこちら、使ってください」
シルスが差し出したのは、黒い泥玉のようなものを、布でくるんであった。
「なにこれ?」
「あの…くれぐれも触らないでください。
護身用に持っているんですけど…。相手に当たると非常に臭い匂いがつくので…」
「あらぁ。本当に使える子ねアンタ…」
シルスからそれを受け取ると、振り返りもせずにさっさと行ってしまった。
その後…。
「もう出てきて大丈夫そうだな…」
ひょいっとクローバたちが顔を出す。
「しかし…お前って本当に、凄いなぁ…。信じ切ってたぞ」
ウリュジェとフューロットも…盗みの為に、変装をしたことがあるからこそ、シルスの
凄さがわかるようだ。
「いえいえ。あれは…ダイヤの件に輪をかけて騙しやすいタイプだからですよ。
あなた方でも結構いけたと思いますよ。
フィリアム商会の会合で何回か、影から見たことがあるのですがね。
まあ…私の人生で3指に入る、自分の見たいものしか見ない、信じたいものしか信じない
タイプだなぁと思ったものです」
格好は全く違っても、特徴的な口調は、シルスのそれだ。
「でもよ…。バレた時のリスクを考えると、やっぱり傍に寄りたくないぜ?」
「まあ…関わりたくないタイプでもあることは認めますよ」
そんな話をしつつ、
「なら…奥様の所に帰るかの?」
ジョーカーの号令で…皆移動を始めた。
作戦行動はおおむね終了したが、まだ…戦いは終わっていないから。
「おー、ここにもあった」
ファルメニウス公爵家の控室で…ウリュジェとフューロットが何やらごそごそ…。
「こっちもあったぞ~。本当によくこれだけ仕込んだもんだ、全く…」
それなりに広いが、それでも…と言いたげだ。
フィリーは…ファルメニウス公爵家のスペースには、必ず何かあると踏んで、調べるよう
指示していた。
そして…その考えは、大当たりだった。
ネズミ捕りのような陰湿なものから、少しの怪我をするものばかりが、よくもまあこれだけ…と、
泥棒であるウリュジェとフューロットも、舌を巻いていた。
そんな中…。
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シルスが…準備が整ったようで、出てきた。
「おお、相変わらずすごいな、オマエ…」
「お褒めに預かり、光栄です」
シルスは…モブとしてしっかりと溶け込めるような、何の変哲もないメイドの姿になっていた。
元の姿は…影も形もない。
こうして…ジョーカーとクローバも含め、5人がやって来たのは…。
王宮の奥深く…ひときわ豪華絢爛な装飾が施された宮殿だった。
「間違いなくここなのか?」
クローバが首をひねっている。
「ああ。王宮の図面は、ギリアム様に言われて全部頭に入っている。
ここしか考えられない」
ウリュジェとフューロットが答えた時、
「しっ!!」
ジョーカーからストップがかかった。
物々しい警備の人間達が…通りかかったからだ。
「かなりの数…いるようじゃ。どうやら当たりじゃな…」
「んじゃ、適当にやるか…」
クローバがぽきぽきと指を鳴らす。
そして瞬く間に…護衛の人間達が音もなく…消える。
気絶させて縛り上げ、物陰に隠したのだ。
「さてと…じゃあ、ここからは私の出番ですね…。隠れていてください」
シルスが…他の人間を下がらせると、1人…鍵のかかった扉の前に…。
その扉を…勢いよく蹴っ飛ばす。
もちろん扉はびくともしないが…。
「ちょっと!!誰!!扉に何か当たったわよ!!気を付けなさい!!」
中から…非常に甲高い声が。
「え…?あ…?失礼しました…。人がいらっしゃるとは思わなくて…」
「はあ?アンタ誰?私が誰か知らないの!!」
「あ…あの、私…。来たばかりで、まだすべて…覚えきれていないのです…。
申し訳ございません…」
シルスは声色を変えるのもうまい。
その声は…誰が聞いても、まだ幼さの残る少女のモノに聞こえるだろう。
そしてとても気弱な雰囲気を与える。
「あそ…。でも、周りにいる兵士に聞いてないの?」
「兵士…ですか?この扉の周辺には、誰もいらっしゃらなかったので…。
てっきり今は使っていないのかと…」
「なんですって!!」
すると甲高い声は…少しの間止まり…。
「ねえ、アナタ…。王宮のスペアキーのありか…知ってる?」
「え…はい。説明を受けた時に、一通りは…」
「いいわ。最高よ!!この部屋の鍵…持ってきてくれない?」
「え…。あの…。中から開かないのですか?」
「ええ。ちょっと壊れちゃってね…」
「そうだったんですね…でも…」
「なに!!私のいう事が聞けないっての!!」
「そ、そうじゃなくて…。今は…部屋からお出にならない方がいいかもと…。
ちょっと…。舞踏会のホールが…大変な事になっているので…」
「え?何があったの?」
「そ、その…オルフィリア公爵夫人をご存じですか?」
「よく知ってるわよ!!忌々しい…」
扉越しで姿は見えずとも、苦虫をかみつぶしているのがよくわかる。
「そ、そのオルフィリア公爵夫人が…ティタノ陛下と一緒に王宮にいらっしゃって…」
「え?ティタノ陛下って帰ったハズでしょ?」
「そ…そうなんです…。それに…私見ちゃったんです…」
「何を?」
「オルフィリア公爵夫人が…全くの別人に、ティタノ陛下の変装をさせている所…」
「なんですって!!」
「そ、それで舞踏会のホールで、ティタノ陛下と一緒になって暴れていて…。
みんなティタノ陛下の偽物を、本物だと信じ込んでいるから、誰も何も言えなくて…。
でも私が偽物だと言った所で、相手は公爵夫人だからきっと酷い目に合う…。
だ、だから…怖くなって…。人のいない方に逃げてきたら…ここに…」
「へ~、あの女…。とうとう本性を現したのね…」
少しドスのきいたその声は、
「わかったわ!!私が何とかしてあげるから、急いでここを開けなさい!!」
不敵な笑みを浮かべる…根拠のない自信がのっかっているようだった。
「え…でも…。もしあなたが酷い目に遭ったら…」
「大丈夫よ!!私は…あの女より、身分が上なんだから!!」
「そ…そうなのですか?」
「そうよ!!だから…とっとと鍵を開けなさい!!私が…成敗してあげるわ!!」
「あ…あの、でも…」
「なによ!!私の言葉が信じられないっての!!」
「いえ…あの…。オルフィリア公爵夫人の言いなりになっている…偽ティタノ陛下なんですが…。
その人も…無理やり従わされているらしくて…。
と、年老いたお母様を…養わなきゃいけないって…言っていたので…。
あまり…酷い目に遭わせては…可哀想だな…って」
「あら、そうだったのねぇ…。相変わらず酷い女だ事…。
大丈夫よ。そういう事なら…私が配慮してあげるから」
「本当ですか!!」
「ええ…」
「わ…わかりました…。少々お待ちくさださい…。鍵を取ってまいります」
そうしてシルスは扉の前から離れると…ウリュジェとフューロットの所に来て、
「それじゃあよろしく…。ああ、少し時間を置きましょう」
「わかってるよ。鍵のありかはおそらくメイン宮殿のどこかだろうから、その時間を考えると…」
一流泥棒ゆえ、図面を見ればある程度の時間が予測できる。
なのでその時間をしっかりと置いて…。
鍵自体はあまり複雑なものではないらしく、ウリュジェとフューロットはさっさかと開けてしまった。
そして元通り隠れると、
「あ…あの…空きました。扉を開けますね」
メイドに化けたシルスの言葉で、スタンバイしていたレティアがすぐさま出てきた。
「アンタは使えるわね!!いい子よ!!」
えらく…ご機嫌である。
「あ、ありがとうございます…。あの…よろしければこちら、使ってください」
シルスが差し出したのは、黒い泥玉のようなものを、布でくるんであった。
「なにこれ?」
「あの…くれぐれも触らないでください。
護身用に持っているんですけど…。相手に当たると非常に臭い匂いがつくので…」
「あらぁ。本当に使える子ねアンタ…」
シルスからそれを受け取ると、振り返りもせずにさっさと行ってしまった。
その後…。
「もう出てきて大丈夫そうだな…」
ひょいっとクローバたちが顔を出す。
「しかし…お前って本当に、凄いなぁ…。信じ切ってたぞ」
ウリュジェとフューロットも…盗みの為に、変装をしたことがあるからこそ、シルスの
凄さがわかるようだ。
「いえいえ。あれは…ダイヤの件に輪をかけて騙しやすいタイプだからですよ。
あなた方でも結構いけたと思いますよ。
フィリアム商会の会合で何回か、影から見たことがあるのですがね。
まあ…私の人生で3指に入る、自分の見たいものしか見ない、信じたいものしか信じない
タイプだなぁと思ったものです」
格好は全く違っても、特徴的な口調は、シルスのそれだ。
「でもよ…。バレた時のリスクを考えると、やっぱり傍に寄りたくないぜ?」
「まあ…関わりたくないタイプでもあることは認めますよ」
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