ひとまず一回ヤりましょう、公爵様 11

木野 キノ子

文字の大きさ
59 / 59
番外編

ギルディス君の報告タイム

しおりを挟む
「舞踏会の様子?」

キョトンとする可愛いギルディスに、

「そうだ。何があったか、キミの見たものを聞かせて欲しい…」

ギリアムが問いかけている。

「えっとねぇ。まずね、ボクは檻に入りなさいって言われたから、言う通りにしたの。
おねぇちゃんもそうするように、言ってきたから。
いざとなったら、そんな檻壊して出られるし」

「そうか…。いい判断だ」

頭を撫でて貰って、嬉しそうなギルディス。

「それでね。
暫くしたら…檻に入ったお猿さんと、豚さんが入ってきてね。
豚さんはね、おねぇちゃんの足元に、ブヒブヒ言って寄って来たのね」

「あ、お靴舐めたりしてたみたい」

「おねぇちゃんはそれをね、鞭で躾したの。
そしたら~、豚さんみんな、おねぇちゃんのいう事をよく聞いてたよ」

ここで…ギリアムはもちろん、フォルトとエマの頭にも?マークが。

「……動物を見世物にするパーティーは、一定数あるが…。
調教をフィリーにやらせたという事か?
てっきりもっと何か…屈辱的な事をやらせるか、酷い状況に置くかすると思ったのだが…」

「……話しを聞く限りで、そのようで…。
大人しい動物なら…まあ、問題ないでしょうが…」

「でも…猛獣ではないとはいえ、豚は結構大きいですよ。
普通のご婦人には恐怖では?」

私はそんな3人の会話を、ちょっと離れた所から、お茶を飲みつつ、生暖か~い目をして
見ている。

「ギルディス…。もうちょっと詳しく、覚えていることを言ってくれないか?」

ギリアムと違って、ギルディスの記憶力はたかが知れている。
それでも…覚えられないわけではない。

「うん。わかった。
お猿さんはね…檻に入ったままだったんだけど、おねぇちゃんに何か…飛ばしてたみたい。
おねぇちゃんは上手くよけたけどね。
あと…おねぇちゃんがお猿さんを、鞭で散々叱ったら、みんなやらなくなったよ」

「そうか…」

ギリアムの眉間にしわ…。
ギルディスは、理路整然と話すことが、凄く苦手。
時系列なんて言葉、頭にない。

私の生暖かい目は、さらに強くなる。

「あとね…。豚さんはおねぇちゃんに鞭で打たれると、怒ったりしないで喜んでた。
おねぇちゃんがお尻洗ってきなさーいって言ったら、素直に洗ってたし。
そんでね。
おねぇちゃんがお尻触ってあげたら、やっぱりすごく喜んでたよ」

……本格的にわからなくなった3人…。

「んで、最後はねぇ。
ボクもお手伝いして、動物さんみんな、しばってつないだの。
暴れたりすると、迷惑だから…って、おねぇちゃんが言うからね。
みんな捕まえようとすると、逃げたけど、ボクは足が速いから、直ぐ捕まえた。
そんで…おねぇちゃんの言う通りに縛って、繋いだの。
皆ぴいぴい泣いてたけど、おねぇちゃんがそのうち大人しくなるから、ほっときなさいって。
それで全部繋いだら…最後はボスの雌豚さんの調教したんだよ」

「雌豚さんね。最初すごく偉そうだったけど、おねぇちゃんが調教したらすぐ大人しくなった。
おねぇちゃんてすごいよね、おにぃちゃん」

ニコニコしながら言うギルディスを、とりあえず撫でてやるギリアム。

そして…私の目の前にお菓子が運ばれてきたことで、ギルディスの興味はそっちに移った。

ギリアムは…眉間の皺をさらに深くして、報告書を眺めつつ、

「……報告書には、動物がいた記録がないのだが…。
全て逃げ出した後だったのか…。
縛られていたのは、いずれも人間で…。
まあ、イカガワシイプレイの最中だったようだから、フィリーが見てショックを受けなかったのなら
別に私としては構わないんだがな…。
全員暫く檻の中だし…」

「そうですね…。王立騎士団員から、筆舌に尽くしがたい光景だったと…」

「私も少し聞きましたけど…。
あのようなものを、フィリー様が見たら、一生のトラウマになってしまう所でしたわ。
ご覧にならなかったのなら、本当に良かった…」

「そうだな…。
フィリーの様子はいつもと変りなく、動揺しているさまも、ショックを受けているさまも無かったから、
きっとフィリーが出た後に、変態共が勝手にやったんだろう。
まあ、フィリーに何かあったら、全員命はなかったろうから、運がいいと言えば運がいい連中だ」

「全くです…。
仲間内で何をやろうと構いませんが、あのような変態の祭典など、フィリー様に見せるべきでは
御座いません」

「全くですわ。この話もフィリー様にはしないように致しましょう。
お耳汚しですし、淑女にとっては、聞いただけでももショックで寝込むレベルでございますよ」

私はこの3人のこしょこしょ会話に、聞き耳を立てつつ、

え~っと、その変態の極みと言える光景、むしろ嬉々として作りあげたのは…私ですが何か?
トラウマとは何でしょうか?
何度でも出来ますし、とっても楽しかったんですが?

などと言うツッコミは、心の中にしまい込む。

あの連中には、キッチリ釘を刺したからね。
私の前で裸晒したこと、この会場だから許すが、もし…外で喋ったらギリアムがアンタら殺すと
思うよ…ってね。
おまけに酷い拷問の末、悲惨な死が待ってるよって。
わたしゃ、あの手の脅しも得意だからさ。
ギルディスに再度…ギリアムの真似して、絶対に壊せないような大理石の彫刻、粉々にして
貰ったからさ…。
皆震えあがってたよ…。
ギルディスは人の顔なんか、正確に覚えられないだろうけど…。
ギリアムの記憶力の良さは、子供でも知ってるからね。
王立騎士団には、何も喋らなかったのが、いい証拠さ。

「おねぇちゃん、これ美味しい…」

ギルディスが目を輝かせながら、言っているから、

「あら。じゃあ、全部食べて良いわよ」

「わ~い」

私はお菓子を頬張るギルディスを撫でつつ、

げに有難きは、子供の語彙力!!

と、ガッツポーズをした。心の中で。

結局この後…難しい顔をしている3人とも一緒にお茶をして…。
私の秘密は一切喋らず、楽しく会話をするのだった…。
しおりを挟む
感想 8

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(8件)

うねまま
2025.11.30 うねまま

最好調に面白くなってきましたね。
続きがとても楽しみです。
1週間、待ちまーす。

2025.12.07 木野 キノ子

いつも応援感謝しております!!
新しい話、アップしましたので、お楽しみください!!

解除
hiro
2025.11.24 hiro

そうだよね〜こんな娘育てた王妃のせいだよねwww
ドンドン面白くなってくるっw

2025.12.07 木野 キノ子

いつも応援感謝しております!!
返信遅くなり、申し訳ございません。
そこ同意してくださり、嬉しいです。
新しい話、アップしましたので、お楽しみください。

解除
mitubayasi
2025.11.24 mitubayasi

罠に掛かったレティアが何をやらかすかは皆簡単に予想出来たと思いますが、代償は大きいようですね。
バカが付く王后王女はそろそろ退場でしょうか。本丸には届かなくとも外堀は埋められるだけ埋めとかないと。
他国の王族等が登場しているので、今後登場人物の紹介欄を設けられるようでしたら国々の位置関係が分かる簡単な地図を付けて頂けると嬉しいです。

2025.12.07 木野 キノ子

相関図…確かに必要になりそうですね…。検討いたします。
いつも応援感謝いたします。
返信遅くなり申し訳ありません。
新しい話アップしますので、宜しくお願い致します。

解除

あなたにおすすめの小説

一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました

しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、 「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。 ――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。 試験会場を間違え、隣の建物で行われていた 特級厨師試験に合格してしまったのだ。 気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの “超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。 一方、学院首席で一級魔法使いとなった ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに―― 「なんで料理で一番になってるのよ!?  あの女、魔法より料理の方が強くない!?」 すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、 天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。 そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、 少しずつ距離を縮めていく。 魔法で国を守る最強魔術師。 料理で国を救う特級厨師。 ――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、 ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。 すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚! 笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました

下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。 ご都合主義のSS。 お父様、キャラチェンジが激しくないですか。 小説家になろう様でも投稿しています。 突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

【完結】そして異世界の迷い子は、浄化の聖女となりまして。

和島逆
ファンタジー
七年前、私は異世界に転移した。 黒髪黒眼が忌避されるという、日本人にはなんとも生きにくいこの世界。 私の願いはただひとつ。目立たず、騒がず、ひっそり平和に暮らすこと! 薬師助手として過ごした静かな日々は、ある日突然終わりを告げてしまう。 そうして私は自分の居場所を探すため、ちょっぴり残念なイケメンと旅に出る。 目指すは平和で平凡なハッピーライフ! 連れのイケメンをしばいたり、トラブルに巻き込まれたりと忙しい毎日だけれど。 この異世界で笑って生きるため、今日も私は奮闘します。 *他サイトでの初投稿作品を改稿したものです。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない

しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

転生調理令嬢は諦めることを知らない!

eggy
ファンタジー
リュシドール子爵の長女オリアーヌは七歳のとき事故で両親を失い、自分は片足が不自由になった。 それでも残された生まれたばかりの弟ランベールを、一人で立派に育てよう、と決心する。 子爵家跡継ぎのランベールが成人するまで、親戚から暫定爵位継承の夫婦を領地領主邸に迎えることになった。 最初愛想のよかった夫婦は、次第に家乗っ取りに向けた行動を始める。 八歳でオリアーヌは、『調理』の加護を得る。食材に限り刃物なしで切断ができる。細かい調味料などを離れたところに瞬間移動させられる。その他、調理の腕が向上する能力だ。 それを「貴族に相応しくない」と断じて、子爵はオリアーヌを厨房で働かせることにした。 また夫婦は、自分の息子をランベールと入れ替える画策を始めた。 オリアーヌが十三歳になったとき、子爵は隣領の伯爵に加護の実験台としてランベールを売り渡してしまう。 同時にオリアーヌを子爵家から追放する、と宣言した。 それを機に、オリアーヌは弟を取り戻す旅に出る。まず最初に、隣町まで少なくとも二日以上かかる危険な魔獣の出る街道を、杖つきの徒歩で、武器も護衛もなしに、不眠で、歩ききらなければならない。 弟を取り戻すまで絶対諦めない、ド根性令嬢の冒険が始まる。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。