ひとまず一回ヤりましょう、公爵様5

木野 キノ子

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第4章 交流

9 黒幕たちの企みはまだまだ続く…

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さて…交流会終了から、数日後…。
ケイシロン公爵家では、ローエンじい様・ローカス・ルリーラ・マギー・クァーリアが
庭でお茶を飲んでいた…。

「びっくりしたわ、もう…。まさかゾフィーナ夫人が…私に謝るなんてね…」

お茶に口をつけつつ、ルリーラがかなり…信じられないモノを見たと言いたげに、
困惑顔をしている。
自分が悪くたって、頭下げるタイプじゃないからなぁ。

「まあ…それだけ姉の件で受けた痛手が、大きかったと言う事よ…。
実際…あの醜聞のせいで、領地経営は傾くし、懇意にしていた貴族からそっぽを向かれるしで
だいぶ大変だったみたい…。
王家も…あまり助けなかったみたいだし…」

と言うか…助ける余裕なかったんちゃう?
王家にだって…絶対に飛び火したぞ。

「その手間をまた、さかれるかも…と思えば…アナタに頭の1つも下げてしまったほうがいい…
そういった計算高さは、しっかり備わっている方だからね…」

クァーリアがお茶に手をかけると、代わるように、

「しかし…仮にもそういう形に持って行ったのは、他ならぬオルフィリア公爵夫人じゃろ?」

ローエンじい様が口を挟む。

「ええ、その通りですよ、ローエン閣下…」

クァーリアはティーカップを静かに置き、

「これで…私の言う事が、お分かりになられたでしょう?」

全員を見据える…。

「オルフィリア公爵夫人に安易に手を出してはいけない…と」

そこにいた全員の沈黙が…その言葉への同意を現していた…。


--------------------------------------------------------------------------------------------


「そんなことがあったとはな…」

コウドリグス侯爵家で…本日休みのベンズは、ジュリアの話を聞いていた。
ベンズは王后陛下の護衛のため、懇親会は欠席したから、騒ぎは見ていなかったのだ。

「もう本当にね!!凄いの一言よ!!
王女殿下だけでも面倒くさいのに、レベッカとゾフィーナ夫人まで、同時にさばいてしまうなんて!!
本当に見事としか、言いようがない!!
力のある人だってことは、わかっていたけれど…あそこまでとはね!!」

「ゾフィーナ夫人は…そんなに凄いのか?」

すると…ジュリアの顔が引きつった。

「凄いなんてもんじゃないですよ!!騎士団関係者じゃないからこそ…レベッカほど接点がない
だけで…レベッカをさらに狡猾にして、身分を上げたような方です…。
取り巻きを使うのが非常に上手いですが…自身の能力は取り巻き以上だから、本当に攻撃対象に
なると、厄介なんです。
事実…ゾフィーナ夫人に嫌われて社交界で見なくなった方…それなりにいますよ」

ベンズは…やはりその辺はかなり疎いようだ。

「それをさばけるとは…オルフィリア公爵夫人は本当に力のある人なんだな…」

「ええ!!うちもぜひ、懇意にしたいですわ」

「ふむ…そうなると…交流会を毎年やる…というのは、いいことなのかもしれないな…」

「え!!毎年やることになったんですか?」

「ああ…。皆からあれを…式典として一回で終わらせるのは…という話が、かなり上がっていてな…。
王立騎士団・近衛騎士団双方が、互いに磨きをかける場があってもいいんじゃないか…って。
ローエン閣下とギリアム公爵閣下が話をして…、来年もやろうと言う事になったよ」

「まああぁっ!!素晴らしいじゃないですか!!
じゃあいずれ、ウチの子たちもやるかもしれないですね!!」

「そうだな…ところで…」

ベンズはちょっと、心配そうな顔をして、

「私が一兵卒になったことで…色々言われていないか?」

ジュリアは…

「何を言うかと思えば…大丈夫ですよ。むしろ…変な利権関係目的の人が寄ってこなくなったから、
清々していますよ!!」

愉快そうに笑った。

「それに…いい考えだと思いました…。
アナタの役目は…本来あなたに不向きです…。
この機会に…付き合うべき人と、付き合うべきでない人を…選別しておきましょう」

「そう言ってもらえると…私も自分のやりたいことが、思い切りできそうだ」

ベンズもまた…笑った…。


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「お、奥様!!おやめください奥様!!」

メイドたち数人が…部屋の小物という小物が、飛び交う最中、必死に声を上げている。
ある小物は調度品に当たり、ある小物は粉々に砕け、部屋の中は…見るも無残に
廃墟のような散らかり具合となった。

「うるさいわよっっ!!あの女!!あのクソ女!!
卑しい身分から、運よく取り立てられたくせに!!この私に逆らうなんて!!
許されると思っているのっ!!
絶対に!!あってはならない事なのよ!!」

絶叫する主は…ゾフィーナだった…。
物に当たり散らし、叫び…交流会が終わってから、静かだと思ったら、急に癇癪を
起こすものだから、使用人たちは疲弊しきってたいた。

……バカ王女の血筋って…。
癇癪持ちが多いのか?
それとも…そもそもの身分のせいで、自分の好きにならないことが、我慢ならないのか?

どっちにせよ、ド庶民還暦越えから言わせてもらやーよ。
世の中、自分の好きなようになる方が…少ないぜ?

「あの女をどう血祭りにあげてやるか…アナタ達も考えなさい!!
上手くいったモノには…褒美を出すわよ!!」

震えるだけで…何ともいえない使用人…。

「本当に使えない奴らばかりよね!!」

言い捨てると、急に部屋を出ていき…長い廊下を小走りに進む…。
やがて大きな扉に出ると…。

「開けなさい!!」

立っていた門番らしき者が…無言で扉を開ける…。

そこは…肖像画のある部屋だった…。

中に飾られた肖像画…その一つ…。
どうやら家族が描かれたもののようだが…1人の顔が原型をとどめないぐらい、ズタズタに
切り裂かれ、もはや誰の顔なのかわからない…。
その前で足を止めたゾフィーナは…。

「馬鹿な女…」

ポツリとこぼす。

「アンタがねぇ!!ファルメニウス公爵夫人になれたのは!!
馬鹿だったからよ!!
それ以外にあると思うの!!
馬鹿の方がねぇ!!御しやすいのよ!!
そんな事もわからないなんて、本当に愚かよねぇ!!
挙句の果てにさぁ!!
散々自分だけ好き勝手やって、楽しんだくせに!!
その後処理を何もしないで、死んじまうなんてさぁ!!
馬鹿の極み以外、どう表現すりゃいいのよぉ!!」

激しい慟哭は…大きな肖像画部屋を…満たすのに十分だった。

「おまけにさぁ!!
あんな…こっちの言う事何も聞きゃぁしない、甥っ子1人残してさぁ!!
可愛げないだけならまだしも、優秀すぎて傀儡に全然できないじゃない!!
叔母が苦しんでるって時にもさぁ、何の手も差し伸べない!!
貴族の協力体制も鼻で笑う!!
高貴な血の意味も分からない!!
金も地位も全部…全部ひとり占め!!
ふざけんじゃないわよ!!」

ゾフィーナの目は血走り…口の中も真っ赤だ。

「アンタの醜聞のおかげで、こっちがどれだけ苦労したか、わかってんの!!
お父様とお母様の財産も権威も…全部全部、おじゃんにしやがって!!
ねぇ、聞いてる!!」

涙を流す…というより、血を吐くと言ったほうが、あっているだろう…。
事実、血走った目から、涙は出ていない…。
叫ぶその口が…信じられないぐらい…大きく開くだけだ。

永遠に騒ぎ立てそうな雰囲気だったが、

「お、お前…ちょっといいか…」

かなり控えめな声で、その叫びは止まるのだった…。

「何よ!!アナタ!!この部屋に入った時は、絶対に立ち入らないでって言ったでしょ!!
何回言わせる気!!」

怒鳴られて…かなりびくつく。
どうやら…ゾフィーナの連れ合いの様だ…。

「わ…わかっていたんだが…、あの人からの伝言は…、何をやっていても、必ずすぐに
伝えるようにと…お前が言っていたから…」

それを聞いたゾフィーナは、乱れた髪を手櫛で整え、

「あらヤダ…、それを早く言ってちょうだいよ。
で?あの人なんだって?」

「じゅ、準備は整った…。
次の評議会で仕掛けるから…関係者に声かけを頼む…と…。
あと…危険因子は排除するから、安心するように…と。
わ、私には何のことか、さっぱりわからないのだが…」

「アナタはわからなくていいの!!
ただ…次の評議会…私の言う通りにしてください…。
それだけです」

「わ、分かった…」

ゾフィーナは…ようやっと、顔に笑みが戻った。
だがそれは…かなりいびつで…人目で悪巧みだとわかる笑み…。

「おもしろくなってきたわねぇ…。
さて…あの人はどうするのかしらぁ?
お手並み拝見と行くわ…。
上手くいけば…あの忌々しい甥っ子に、一泡吹かせられる…」

ゾフィーナの口角がせりあがる。

「ふふふ…。
私をないがしろにしたこと…たっぷり後悔しなさいな」

絶叫とはまた一味違う…その癇に障る笑い声は…ドラヴェルグ公爵邸を席巻しつつ、
いつまでも響き渡り…使用人の恐怖を、より煽るのだった。


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第5部はここで終わりとなります。
何だか…色々次から次へと、キャラクターが浮かんできて、物語が浮かんできて…を
繰り返しております。
せっかくなので、行くところまで行こうかと…。
どうぞ、お楽しみください!!

第6部公開は、1週間後を予定しております。

追伸
最近エロのみ集がちっとも更新できないので、突発で書いた描き下ろしでも乗せようと
思っています。
第6部公開までに、ちょこちょこ出す予定ですので、そちらもご覧いただけると嬉しいです。
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感想 5

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みんなの感想(5件)

hiro
2024.10.02 hiro

1週間が待ちきれません!!!
その間、全部読み返してきます!!

2024.10.04 木野 キノ子

いつもありがとうございます😊
そう言ってもらうと、モチベがめっちゃ上がります😁 
エロのみ集に、ちょいと短編のせるので、よろしければ…😅 

解除
まいたぬき
2024.10.01 まいたぬき

定期的な更新ありがとうございます!
毎回あまりにも先が気になるので、ため込んでから読もうと思いつつ毎回すぐに読んでいます(笑)

ギリアム母の醜聞、エロ集の方で是非聞きたいですー!!

2024.10.02 木野 キノ子

いつもご愛読ありがとうございます。

エロのみ集…更新が全くできていないので、たまに書いていた本編と連動しない描き下ろしを、発表しようと思っていたところです。

ギリアム母の醜聞は…書いていなかったので、リクエストとして今後書こうと思います。
少し先になるかもですが、書いた折には、お楽しみください。

解除
hiro
2024.09.22 hiro

毎回、本当に更新楽しみにしてます。
一気に読みたい気持ちもわかるし、更新されたらすぐ読みたい気持ちもあっていつも悩みます。
って言いながらすぐ読んで次の更新までソワソワするんですよね(笑)

また楽しみに待ってます

2024.09.24 木野 キノ子

嬉しいお言葉の数々、ありがとうございます😭😊
いつも返信遅いですが、大変励みになってます🥹  

感謝感激🤩😆🤗

解除

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