ひとまず一回ヤりましょう、公爵様5

木野 キノ子

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第4章 交流

8 ギリアム帰還

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「では…検証を開始いたしましょう!!」

「はい?」

いや…呆けるなや3人とも。

「あら…この話の元は…どうしてこの話題の主は、しっかり教育を受けたにも関わらず、このような
馬鹿なことをしてしまったのか?
そして、どうしたらこのような事が起こらないのか…を、討論するためでございましょう?
お忘れですかぁ?」

再度、扇子で口元を隠し、にっこりと…ね。

「え~、それでは…私が思いまするに、この方は…」

「その話は、お終いです!!」

ゾフィーナのクソばばあ…流石に、ポーカーフェイスが崩れてきやがった…。
まあ、一番触れて欲しくない所だろうからなぁ…。

「このことは!!ギリアム公爵閣下にしっかりとご報告申し上げます!!」

まあ、ギリアムの性格上…私の言ったような猥談は…話さないと思ってるんだろーけど。
甘ぇ!!

「その必要はございませんわぁ。
全て…ギリアムから直接聞いたことを、話しただけでございます。
もうすぐ戻って参ると思いますので…すぐにご確認くださ~い」

私が言えばどうにでもなるし…ギリアムは母親をかなり嫌っているから…母親を貶めた
話しなんて、不快になるわけない。

ああ…さすがにあっけに取られてら…ゾフィーナのクソばばあ。

私はよぉ…ジョノァドと同じように、テメェもとっくに人生からの排除要員と位置付けて
いるんだよ。
ギリアムは…テメェの要求に、何度も嫌だって…不快だって言い続けたのに…未だに自分が
悪かったって言葉は…一切出ていないみたいだからな…。

「え?ギリアム公爵閣下が言っていたの?」

「じゃあ本当に…誇張してないってこと?」

「ひえぇ~、信じらんない…」

「…ってことは、あの人も発覚していないだけで…」

「あり得るぅ~」

外野陣!!援護射撃ご苦労!!

「オ、オルフィリア公爵夫人!!この際言わせていただきますが!!」

一応…余裕は残しているか…ちっ。

「わたくしは…姉とは別の人間でございます!!ドラヴェルグ公爵家とて…ファルメニウス公爵家
とは、別の家でございます!!」

フム…これにも…いっちょう言ってみるかぁ。

「それは…よく存じ上げておりますよ…。
実際…ギリアムは父母とは全く…性質の異なる人間に育ちましたのは、皆さんご存知の通りです。
家の家風だ気風だは、人間と状況によって…変わることはよくあります」

「ゆえに…」

「ケイシロン公爵家もまた…ケイシロン公爵家内部に、まずは任せるべきかと…。
そして…何か不始末があっても、挽回の機会と期間くらい…与えて差し上げるのが、私は妥当と
考えます」

扇子を…閉じ、朗らかな笑顔を作る。

「わたくしのこの考え…いかがでしょうか?ゾフィーナ夫人…」

さあて…どう出る?
ケイシロン公爵家の事…また責め立てるなら、アンタもアンタの家も…姉と同等と見られるぜ?
ゾフィーナくそばばぁ。

少しの間が開いたが、ゾフィーナくそばばぁは、私の斜め後ろで動向を見守っていた、ルリーラ・
マーガレットの所に行き、すっと頭を下げる。

「先ほどは…ご無礼致しました…。ルリーラ夫人、マーガレット夫人…。
同じ公爵家として…ついつい心配になり、いらぬ配慮と、口出しをしてしまいましたこと…
お詫び申し上げます。
ですが…私の言ったことは、何卒頭に留め置いていただきたいです」

ゾフィーナくそばばぁが頭を下げたこと…ルリーラは特に、かなり驚いている…。
やっぱり…結構痛い目にあってるのかも。
ただ…そこは年長者の年季というべきか、

「いいえ…。皆様から色々なご指摘を、すでに受けておりますので…。
ゾフィーナ夫人がそう思われたのも、致し方ないと思います…。
今後…ケイシロンは一丸となって、皆さまのご不安をぬぐっていこうと思っておりますので、
少しの期間、温かく見守って頂きたいです」

と。
…ま、これでオッケーだろ。
面倒くさい事されても、後々厄介だし…。

しかし…終着点がいまだに見えないなぁ…。
バカ王女は私をやり込めないと引かないだろうし、レベッカも退治できたわけじゃない。
ゾフィーナくそばばぁだって、そうだ…。

引くつもりは無いが、終着点をどこにするかは…しっかり見定めないと…。

私のそんな思考は、

「何をやっておる、レティア…」

その声にかき消された。

振り向けば…大層不機嫌そうな国王陛下と王太子殿下…。
傍にはギリアム…。

「レファイラ(王后陛下)と共に、帰れと言ったハズだが?」

「お、お父様…しかし、せっかく来たので…。
どのような懇親会か、少し覗いて行きたくなりまして…」

「言い訳は王宮で聞く。私とケイルクスも帰るゆえ、一緒に来るのだ!!」

そのまま…有無を言わさず、バカ王女はドナドナされていった…。
気づけば、レベッカも姿を消している…。
逃げ足はえぇな。

さて、ゾフィーナくそばばぁは…。

あ、逃げようとして、ギリアムに捕まってら…。

「おやおや、誰かと思えば…ファルメニウス公爵家を出禁になった、叔母上ではありませんか。
その後息災ですか…それは残念です…少しは反省してやつれたかと思いましたが、肌つやも
血色も申し分ないので、暫く出禁は解く必要はございませんねぇ」

何気に…出禁を強調しているよ…。

「ギリアム公爵閣下…失礼ながら、妻にどういった教育をされているのでしょうか?」

ゾフィーナくそばばぁは、さすが…力があって年季が入っているだけあって、慌てず冷静に
対処している…。
この人は…今後、要注意だな…本当に。

「教育ですか?そうですねぇ…母のようになって欲しくないので、出来るだけ母の話はするように
しております!!
先ほどの話は…皆様に楽しんで頂けて、なによりですよぉ」

とってもいい笑顔…。
どっから聞いてたんだろう…。
ゾフィーナくそばばぁが、かなりやがっていたこと…わかってるんだな…。

「しかし!!叔母上は昔から、本当に色んなものが母上に似ておりますね!!
容姿も性格も…会うたびにヒシヒシと思いますよぉ。
ですから私…出来るだけ叔母上にお会いしないよう、努力しておりますので、叔母上もその辺を
しっかり理解していただき、今後、私と妻の前に、出てこないでいただけますか?
お互いのために、その方がよろしいと思います!!」

本当に…嬉々として言ってら…。
ゾフィーナくそばばぁは…震えが増している…。
血のつながりがある方が、ああいうのって耐え難い時があるからなぁ…。
特に…ギリアムがはなたれ小僧だった頃の事…知ってるだろうし…。

「アナタは…久しぶりに会った叔母に対して、言う事がそれですか…」

まだ冷静なように見せられるのは、凄い。

「久しぶりどころか、永久に会いたくありませんでしたよぉ。
父が死に、12歳の私が取り残されてすぐ、無理やり後見人になろうとして、我が家に押し掛けて、
断ったら、社交界にあることないこと触れまわって!!
ああ、我が家の財産を、持ち去ろうとしたこともありましたねぇ。
私が目ざといおかげで、防げましたけどぉ。
あ~、後は…自分の娘だ、いとこだをさんざん私の元に送り込んで、相手をしなかったら酷い男
扱いも受けましたねぇ。
懐かしいですなぁ…!!」

ここまで笑顔で一気に言った後、かなり真顔になり、

「二度と!!
味わいたくございませんが!!」

ひときわ…よく通る声でござんす。

「何ですか!!言うに事を欠いて、こちらを人でなし扱して!!」

いや~、幼い甥から財産奪おうとするのを、人でなしと言わずして、他のなんだろう?

「いえいえ、人でなし扱いなど…」

ギリアムの目が…スッと座る。

「ぬるすぎです!!なので極悪人扱いさせていただいております」

キッパリと…答える。

「ほんっとうに、昔から可愛げのない甥だこと!!」

「ありがとうございます!!あなたに可愛げが無いと言われると…本当にうれしいです!!」

ギリアム…本気で喜んでる…。

「お黙りなさい!!」

「嫌です」

さっきの私とは…別の意味で、一歩も引いていない…。
しかし…ギリアムの身内には、こういうのばっかりなのか?
少しくらい…まともなのいないのか?

「オルフィリア公爵夫人!!」

あんだよ、いきなり…。わたしゃアンタの味方する気は、サラサラないよ。

「アナタは夫を止める気は無いのですか!!」

「なぜ止めねば、ならないのですか?」

本気でわからねぇ…聞かせてくれ。

「貴婦人の社交界において…主役となるのは女性です…。
男性は…特殊な例を除いて、役に立ちません…。
このまま止めずにいるのは、オルフィリア公爵夫人にとってもいいこととは言えないかと…。
お分かりになりませんか?」

……なるほど。
言いたいことはわかったよ、ゾフィーナくそばばぁ!!
アンタほどの人なら、優秀な取り巻きがいて当たり前だ!!
今日は…懇親会だからこそ、連れてきていないんだろう。
下手に王女殿下に気に入られて…連れて来いって言われても困るだろうし。
つまり…アンタの利益になることをしなきゃ、そいつらに攻撃させる…か?

はっ!!!!
……そんな戯言に、このヘドネが引っかかると、本当に思ってんのか?

もう…十分わかってるんだよ。
テメェみたいな奴はよぉ…自分の気分次第で…いくらでも自分以外のモノを踏みにじれるってな!!
そんな奴と仲良くすること考えるくらいなら…永久ボッチでいいっつの。

「わかりますが、あえてやりません!!」

だから、私の答えはこれさ!!

「ギリアム同様…私、今日アナタの事が、大嫌いになりましたので…。
またお会いしましたら…」

私は扇子を三度広げ、口元を隠す。

「ぜひ…今日の続きを、心ゆくまでやりましょう!!
楽しみにしておりますわぁ」

私の目は…とても悪役的な笑いに…満ちていた…。
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