ひとまず一回ヤりましょう、公爵様4

木野 キノ子

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第2章 実家

4 フォルトの正式な名前

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「ななな、何しやがんだ、てめぇ!!」

トレビィよ…。
予想通りのチンピラらしさを発揮してくれてなんだが…、その発言完全にアウトだぞ。

「よろしいですね、フィリー様…」

「あのさ、フォルト。
片付けるのはいいけど…片付け方は指定させてほしいわ」

「かしこまりました。して、どのように?」

「無視すんな―――――――――――っ!!」

うっせえよ。
私は構わず、フォルトに耳打ちする。

「この方が…ダメージデカいと思うから」

「ふむ…、確かにそうですね。では、そのように致します」

ギャーギャーうるさいトレビィを置き去りに、話を進める。

「だから、無視すんなって!!」

「うるさいなぁ…自分が悪いんでしょが!!」

「なっ!!てめぇ、ふざけ…ぎゃっ!!」

学習能力ないなぁ…。
また私に飛び掛かろうとして、ぶん殴られた。

「ふざけんな、てめぇ―――――――っ!!
絶対ぶっ殺してやるからな!!」

私じゃなくて、フォルトに言ってるね…。

「いーかげん止めたら?
フォルトが本気になったら、ぶっ殺されるのは、アンタの方だから」

「何言ってやがる!!たかが使用人風情が、貴族のオレを殺すなんざ…。
絶対そいつを裁判にかけて、断頭台に送ってやる!!」

通常平民と貴族だったら、貴族の方が色々諸々有利になる法律は確かにある。
けどさぁ…。

「あんた何言ってんの?」

「はあ?」

「フォルトはさ…ファルメニウス公爵家の執事よ?」

「ああ?」

「それも…全使用人の総まとめをしている…ギリアム様の父親の代からの人…」

これでもわからんか?
やっぱバカだ。

「もうめんどくさいから…フォルト名乗ってくれない?」

「かしこまりました、フィリー様」

フォルトは私に対しては、優しい笑顔を向ける。

「私の本名はフォルト・ダドラ・ディーブロイド…」

トレビィには、すんごい冷たい目になってる。

「地位は…伯爵です!!」

そうなのよぉ…。
それも、伯爵内の序列で言えば、上位3分の1に入るよ。

「う、嘘だ!!だったら何で、オルフィリアなんかに敬語を…」

「ギリアム様から言われております…フィリー様をファルメニウス公爵家の女主人として
扱えと…。
そして、何より…」

ああ、フォルト…眼が怖いわぁ…。

「私自身が、フィリー様をファルメニウス公爵家の女主人として、認めているからです!!」

「ひっ…ひえぇえぇぇぇ――――――――――――――っ!!」

おお、逃げ足はや!!
さすが小悪党。

「ちょ、ちょっとぉ、トレビィ!!」

アンタも逃げた方が、よくないか?ナンシェーリアよ。
後ろの夫人たちが、燃え盛り方が、収まるどころか強くなってんだけど。

「どーしてアンタは、そんなに冷たいのよ!!
仲良くなりたいだけだって、言ってるでしょ!!」

「仲良くなるかどうか、決める権利はお互いにある…。
そのことをわかってらっしゃらないので、お断りしました」

もう淡々と対応。
かなり塩入。

「なによ、何よ!!あんたみたいな人は、絶対ここにいる皆に嫌われるからね!!」

はあ…もう、相手する気もおきんわぁ…。
すると…。

「オルフィリア嬢…一ついいかしら…」

「…なんでしょう?クァーリア夫人」

「こちらの頭に脳みそが詰まっていないようなご令嬢は…、本当にあなたと血がつながって
いるのですか?」

「私も…繋がっていると思いたくないんですけどねぇ…」

もはや苦笑いしか出ん。

「ななな…」

クァーリア夫人の言葉は、かなり予想外だったようだ。

「そうよねぇ…礼儀作法も全くなっていなくて…なんだか動物みたい。
オルフィリア嬢とは仲良くしたいけど、あなたと仲良くする気は一切おきない
わね~(ケイティ夫人)」

「あら?動物の方が頭良いと思うわよ?
仲良くするしない以前に、こちらのご令嬢はもう一度実家で再教育を受ける
べきでしょう?(サーシャ夫人)」

茶ぁすすりながら、これでもかってくらい、ディスってるね。

「ちょっ!!失礼すぎ!!」

いや、アンタが言うなや…。

「失礼なのはどちらでしょうか?(エティリィ夫人)」

おや、話し合い終わったから参戦するみたい。

「まず…勝手に押し掛けてきた挙句、挨拶も一切なしに、私のお客様を指さして、お友達と共に
失礼な態度をとる…どこをどう取っても、あなたの方が失礼すぎる」

デスヨネー。

「だいたいアナタ…最近ほとほとやりすぎでしたよ。
お茶会に集まった令嬢だけでなく、夫人に対してまで誰彼構わず、自分はファルメニウス公爵家の身内に
なるんだから、全員自分の家来になれとか、自分に失礼な態度を取ったら、ファルメニウス公爵家に罰して
もらうとか…声高らかに言う事ですか!!」

うわぁ…そんなことしてたんだ。

「だから、出禁にしたら…今度は家族で押し掛けてきて、いったい何を考えているんでしょうね!!」

いや~、何も考えてないでしょ?

「そもそも…ファルメニウス公爵家からそんな事実はない…と言われていると、この前皆に周知させたら、
それは不当な言いがかりだと言って…どこが言いがかりなのですか?
実際、あなたはギリアム様ともオルフィリア嬢とも、会ったことがなかったのでしょう?」

やっぱりすでに、やらかしてたかぁ。

「ご迷惑をおかけして申し訳ありません…エティリィ夫人…。
ファルメニウス公爵家からも直々に、文書で出すことに致します」

これはさすがに見逃せん。

「ちょっ…そこまですることないじゃない!!
大体血は繋がってるでしょ!!」

「ですから!!その事実は否定しませんよ?
ただ、付き合いが全くないし、今後もする気は無いですから、それは公表いたします」

するとナンシェーリアはプルプルと震え出し、

「アンタには人間の心が無いのよ…。みんなして私をいじめて楽しんで…」

なんだい、泣き出したね。
何だかなぁ…本気泣きでもウソ泣きでもいいけどさ…。
そういうのは、アンタに惚れてるバカ男とか、女にいいカッコしたいバカ男にしか効かんよ。
だから…、

「すみません…皆さん…。
折角の楽しいお茶会が、台無しになってしまって…。
いずれ必ず、埋め合わせはします」

徹底無視。

「いーえぇ、お気になさらず(サーシャ夫人)」

「そうですよぉ、オルフィリア嬢とはこれからもいい関係を築いていきたいので、この程度で
付き合いを変えるなど致しません(ケイティ夫人)」

「そうです…。
逆に今日が台無しになったのは、今日押しかけて来た連中が悪いのですから、そもそも
オルフィリア嬢が謝ることではありませんわ(クァーリア夫人)」

「またぜひ、私の主催するお茶会に来て下さい!!
様々な催しも準備しておりますので、楽しんでいただけたら幸いです。
皆、オルフィリア嬢にお会いしたいと、口々に言っておりますから(エティリィ夫人)」

和気あいあいとしつつ、泣いてるバカをやっぱり完全無視している。
百戦錬磨の猛者夫人たちは、私に会釈しつつ、会場をさっさと後にした。
ホントよくわかってらっしゃる。
ああいうかまってちゃんは、相手にすると図に乗るだけだって。

「お母様~、私達も帰りましょう。
ギリアム様も、もうすぐ帰ってくると思うし…ね、フォルト」

「ええ、そうですね…。
最後が少し残念な結果になったお茶会ですが…次に期待という事で」

「そうね…お父様も待っているでしょうから、早く帰りましょう」

……一つ気になるのだがね。
泣いているナンシェーリアを、なぜほっぽっといているのかね?
ママン実家の諸君よ。
まさか私らが同情して、慰めるとでも?

…………………………………蜂蜜より甘ぇ。

エマを含め、護衛騎士たちも伴って、私達はさっさと会場を後に…。

「ちょっとぉっ!!」

させてくれよ、頼むから。

「何で誰も、慰めないのよぉ~」

うるさいわ。

「あの~、逆に何で、私達が慰めなきゃいけないんですかぁ?
あなたが泣いているのって…、完全にあなたの自業自得ですよね?」

どうしたって、語尾が強くなっちまう。
さらに泣きだしたナンシェーリアを放って、私らはさっさと、会場を後にするの
だった。

ああそうそう。

トレビィがどうなったかと言いますとね。
こいつ、本当に下半身に節操が無くて、気に入った侍女(平民)に手を出しまくって、
飽きたら捨てて…を繰り返してて…。
まだ19歳だってのに、すでに庶子が3人いるんだよね…。
もちろん保証なんかなんもしてない。

だからファルメニウス公爵家が全面バックアップして、その被害者たちに訴えを
起こさせたの。
通常だとこういうのって、貴族側に有利に働くんだけど…。
裏にいるのがファルメニウス公爵家だったから、当然トレビィん家は敗訴。
随分と多額の金が、一気に…そして今後も被害者たちに支払われることとなりました。

へっ!!ざまっ!!
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