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第一章 観劇
11 ブライト小侯爵との攻防
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ブライト・ルベンディン小侯爵…かなり女遊びが激しいみたいだけど。
私が調べた限り、アンタは落としにくいタイプの女を落として楽しむ男じゃ
ない。
自分が絶対的に優位に立てる…地位も低くて文句を言わないような女しか
相手にしてこなかった…。
この私には丸わかりだ。
簡単に遊べる女しか、相手にしないチャラ男。
私が前世で、アンタみたいなチャラ男をどれだけ喰ってきたかわかるか?
だから考えなんて、ほぼ読める。
まあ、チャラ男の存在を否定はしないよ。
むしろ女も遊びで男を抱きたい場合は、そんなチャラ男の存在は非常にありがた
かったよ、後腐れなくて。
けどよぉ…。
アンタはあたしの逆鱗に触れることを、やりやっがった。
何も知らせず、商売女のカッコをさせて、客として来ている男の前に放り込んだ。
しかも何人も!!
わたしゃねぇ…。
エッチがすごく好きでさ~。
素晴らしいものだって、たくさんの人に思ってもらえたら、嬉しいなぁって
本気で思ってんだ。
騙されて男に襲われた女がさぁ…。
んーなこと思えると思うのか、ゴラァ!!
さて…何とかアタシの上位に立って、アタシにさせたい行動があるんだろーけど。
果たして、アンタにアタシの頭の中がわかるかい?
わかんねぇだろうなぁ。
アタシみたいな、自他ともに認める男4桁以上喰いまくった、売女ビッチを相手に
することは…むしろ避けてきたろうからなぁ。
そんなことを考えていたら、私の後ろに人影。
だいたい理由は分かったので、
「ありがとうございます。
ですがそれは…レイチェル伯爵夫人にかけてあげてください」
ベンズ卿が自分の上着を脱いで、私にかけてくれようとしていた。
「しかし…」
「レイチェル伯爵夫人の格好も、私と大差ありません。
私と違ってレイチェル夫人は、夫以外の男性にそのような姿を見られたら、自殺しかね
ませんので」
「……わかりました」
ベンズ卿は素肌に服一枚の状態なので、どうしても一人分しかない。
これも奴らの演出の一つなんだろうな…。
「随分とお優しいことで」
今度はブライトが皮肉る。
「あら、ありがとうございます~」
今回の皮肉には、素直にお礼を言ったほうが、相手のダメージ、デカいと判断。
……うん、あたりや。
わなわなしとる。
「しかし下着姿で威風堂々とは…、まるで淑女ではなく、娼婦のようだ」
おや、遊んでるだけあって勘がするでぇな。
「まあ、ご冗談を」
私はにこやかに返す。
今世ではギリアムしか、経験が無いからね、うん。
「案外、その格好で人前に立つのがお好きなのでは?」
おやまた鋭い。
プレイってことで金貰えんなら、喜んでやるぜ。
ってことは、もちろん言わんがね。
「それも…御冗談として受け取っておきますわ」
笑顔は絶やさんよ。
実際私にとって、何ら傷つく内容じゃないし。
私を傷つけようってんなら、もっとエグい言葉使えや。
そんな私の心の声を読んだのか…。
「さすがに稀代の色ボケ達の息子を、相手にしてらっしゃる方は違うなぁ。
まさに色ボケ女の極みですね」
趣向を変えよった。
あ~あ、誰とは言わなくても、外野連中はギリアムのことだってすぐにわかるだろーな。
ギリアムの両親の話は、社交界じゃ有名だからな。
ブライトがとても嬉しそうなのが、仮面の上からでもわかる。
けど……砂糖より甘ぇ!!
「あら?わかりますぅ?」
私は最上級の笑顔と共に、言ってやった。
これにはブライトの顎が外れたっぽい。
だろうねぇ…。
ギリアムにとって、両親の事と色ボケという言葉は、最大限のタブーとして、社交界じゃ
知れ渡っているだろう。
流石にそこを突けば、私が怒るか、否定するか、困るかすると思ったんだろうが…。
わたしゃ、ギリアムに対してだったら、いくらでも閨で調整できるんよ。
だからどう言おうと、どんな態度取ろうと、問題なしな~し。
ま、てめぇが金払いのいい客なら、せめてプレイとしてやがる振り位してやるがよ。
お灸をすえる対象の喜ぶことなんざ、誰がするか、ばーか。
う~ん。
やっぱコイツ、雑魚だわ。
ギリアムに対する禁忌に触れるってことがどういう事か…ちょうどいいから、還暦越え
おばはんが教えたるわ。
「まあそれは、冗談ですが、あなたの話は分かりずらいんですよ。
先ほどからちっとも名前が出てこないので、誰のことを指しているのか、私にはわかり
かねますわ」
するとブライトの眼に生気が戻り、
「あなたの方こそ、ご冗談を。
社交界では、とても有名な話ですよ」
下品な笑みを口元に浮かべる。
「そうなのですか?
私、ちょっと前まで、社交界に行くドレスもマトモに買えないぐらい、貧乏でござい
ましたので…。
社交界の噂には、とんと疎いのですよ」
これは本当の事。
ファルメニウス公爵家に来てから、猛勉強する羽目になった。
「おやおや…社交界でトップを歩かねばならない方が、そのようなことでよろしいの
でしょうか…?」
「私もそう思っておりますので、ただ今、猛勉強中でございます。
ですので…」
今度は私が唇の端を吊り上げる。
「ぜひ教えてくださいませんか?
先ほどからあなたがおっしゃっているのが、一体どなたの事なのか…」
するとブライトがわずかに後ずさった。
まあ、そうだろーね。
ギリアムを名指しで批判するような度胸、持ち合わせてねーよな。
「そのようなこと!!ご自分でおやりください!!
今問題視しているのは!!あなたがどうしようもない色ボケ女だということです!!」
お、話しそらしたね。
私は間髪入れず、
「色ボケの何が悪いのですか?」
キョトンとして、聞いてやった。
実はこれ、私の本心なんだよね~、ガチの!!
だって私は、自他ともに認める色ボケ女だし~。
「は…?何を言って…」
「そもそも人間という種が、色ボケでなかったら、とっくに滅んでおりますよ。
そう思いませんか?
だいたい今日、あなたのパーティーに来ている人々を見ましたが…。
ほぼ全員色ボケじゃないですか」
ブライトは、カッとなったらしく、
「アナタ、ご自分のおっしゃっていることの意味を、理解していますか?
ここにいる大多数の人間を、侮辱しているのですよ」
口調が激しくなる。
…侮辱…ねぇ…。
ホントにアンタは、私の望んだ言葉を吐いてくれるねぇ。
「ええ、理解しておりますわ。
ですので…」
私は終始笑顔で、
「どうぞこの会場内でお気に触った方は、わたくしを侮辱罪で訴えてください。
ただし…」
両手を広げ、
「私もギリアム様に、このような格好の私に、一名を除いて布一枚貸して
くださらない方々ばかりだったこと、ご報告いたします」
ただ、笑う。
「ギリアム公爵閣下が、名乗り出た方々をどうするかは…ギリアム様次第です
ので、私のあずかり知るところではありません」
するとにわかに野次馬がざわめきだし、どんどん後ずさって、会場から逃げ出す
者も、ちらほら出てきた。
予想通り過ぎて、少々つまらんな。
ブライトは次の言葉が続かないようだ。
私がアンタの言葉に過剰反応して、泣いたり悔しがったり、怒ったり…そんな所を
観客と共に、楽しむつもりだったんだろう?
もう、ネタ切れかい?
なら、こっちから行くぜ!!
「ところで…、これで舞台は終わりでしょうか?」
「は…?」
脂汗をかいているであろうブライトに、話しかける。
「あまりいい舞台ではありませんでしたねぇ…茶番にすらなっていない…。
きっと、この舞台をとても楽しみにしていた、高貴な方々は残念に…いえ、大層
お怒りでしょうねぇ…」
私としてはカマをかけただけだったが、どうやら大当たりだ。
ブライトの顔がみるみる青ざめた。
コウドリグス侯爵家はルベンディン侯爵家より、序列が上だ。
そしてコウドリグス侯爵家はケイシロン公爵家と、かなり良好な関係を築いている。
その夫人であるジュリアの大事な人間に手を出すなら…よほどの理由と覚悟がいる。
まして、ファルメニウス公爵家に妻になるべくして迎えられている、私を巻き込んで
まで…。
でも私の調べ、見た限りのブライト・ルベンディンと言う人間には、そんな度胸も
気概もあるように見えない。
だったら…強力な後ろ盾があるとしか思えない。
私は心の中で笑った。
全く…浅はかにも程がある。
まあ、アイツぁ懲りないだろうと思っていたから、何かしら仕掛けて来るとは思った
んだよね。
けど…。
人、巻き込みすぎだっての!!
本当に、いつか自分に返ってくるぞ!!
まあ、私の知ったこっちゃじゃねぇけど。
「だめだ…そんなことになったら…オレはおしまいだ…」
なんかぶつぶつ言ってんな。
よく聞こえん。
するとブライトが私の足元に、何やら投げてきた。
私はちらりと見てやったが…どうやら短刀のようだ。
「オルフィリア・ステンロイド男爵令嬢!!
仮にもファルメニウス公爵家に、花嫁として迎えられる予定のあなたが!!
このようないかがわしい場に、出席しただけではなく、恥じらいもない姿になった
こと、どう考えているのですか!!」
いや、どう考えてるも何も…。
アンタがレイチェル使って、有無を言わせず参加するようにしたんだし、
この姿だって、アンタのせいじゃねぇか、バーカと考えておりますが、何か?
と、心の中で鼻をほじりながら思ふわたくし。
「ファルメニウス公爵家の花嫁候補たるもの、淑女の鏡であるべきです。
それが示せなくなった以上、潔く自害するべきですね!!」
……アンタがそれ言うのぉ?いうのぉ?
…………………………………。
ダメだ。
コイツも頭の中、脳みそじゃなくて、ウジ湧いてら。
私は脳内を、バカ用チャンネルに切り替えた。
私が調べた限り、アンタは落としにくいタイプの女を落として楽しむ男じゃ
ない。
自分が絶対的に優位に立てる…地位も低くて文句を言わないような女しか
相手にしてこなかった…。
この私には丸わかりだ。
簡単に遊べる女しか、相手にしないチャラ男。
私が前世で、アンタみたいなチャラ男をどれだけ喰ってきたかわかるか?
だから考えなんて、ほぼ読める。
まあ、チャラ男の存在を否定はしないよ。
むしろ女も遊びで男を抱きたい場合は、そんなチャラ男の存在は非常にありがた
かったよ、後腐れなくて。
けどよぉ…。
アンタはあたしの逆鱗に触れることを、やりやっがった。
何も知らせず、商売女のカッコをさせて、客として来ている男の前に放り込んだ。
しかも何人も!!
わたしゃねぇ…。
エッチがすごく好きでさ~。
素晴らしいものだって、たくさんの人に思ってもらえたら、嬉しいなぁって
本気で思ってんだ。
騙されて男に襲われた女がさぁ…。
んーなこと思えると思うのか、ゴラァ!!
さて…何とかアタシの上位に立って、アタシにさせたい行動があるんだろーけど。
果たして、アンタにアタシの頭の中がわかるかい?
わかんねぇだろうなぁ。
アタシみたいな、自他ともに認める男4桁以上喰いまくった、売女ビッチを相手に
することは…むしろ避けてきたろうからなぁ。
そんなことを考えていたら、私の後ろに人影。
だいたい理由は分かったので、
「ありがとうございます。
ですがそれは…レイチェル伯爵夫人にかけてあげてください」
ベンズ卿が自分の上着を脱いで、私にかけてくれようとしていた。
「しかし…」
「レイチェル伯爵夫人の格好も、私と大差ありません。
私と違ってレイチェル夫人は、夫以外の男性にそのような姿を見られたら、自殺しかね
ませんので」
「……わかりました」
ベンズ卿は素肌に服一枚の状態なので、どうしても一人分しかない。
これも奴らの演出の一つなんだろうな…。
「随分とお優しいことで」
今度はブライトが皮肉る。
「あら、ありがとうございます~」
今回の皮肉には、素直にお礼を言ったほうが、相手のダメージ、デカいと判断。
……うん、あたりや。
わなわなしとる。
「しかし下着姿で威風堂々とは…、まるで淑女ではなく、娼婦のようだ」
おや、遊んでるだけあって勘がするでぇな。
「まあ、ご冗談を」
私はにこやかに返す。
今世ではギリアムしか、経験が無いからね、うん。
「案外、その格好で人前に立つのがお好きなのでは?」
おやまた鋭い。
プレイってことで金貰えんなら、喜んでやるぜ。
ってことは、もちろん言わんがね。
「それも…御冗談として受け取っておきますわ」
笑顔は絶やさんよ。
実際私にとって、何ら傷つく内容じゃないし。
私を傷つけようってんなら、もっとエグい言葉使えや。
そんな私の心の声を読んだのか…。
「さすがに稀代の色ボケ達の息子を、相手にしてらっしゃる方は違うなぁ。
まさに色ボケ女の極みですね」
趣向を変えよった。
あ~あ、誰とは言わなくても、外野連中はギリアムのことだってすぐにわかるだろーな。
ギリアムの両親の話は、社交界じゃ有名だからな。
ブライトがとても嬉しそうなのが、仮面の上からでもわかる。
けど……砂糖より甘ぇ!!
「あら?わかりますぅ?」
私は最上級の笑顔と共に、言ってやった。
これにはブライトの顎が外れたっぽい。
だろうねぇ…。
ギリアムにとって、両親の事と色ボケという言葉は、最大限のタブーとして、社交界じゃ
知れ渡っているだろう。
流石にそこを突けば、私が怒るか、否定するか、困るかすると思ったんだろうが…。
わたしゃ、ギリアムに対してだったら、いくらでも閨で調整できるんよ。
だからどう言おうと、どんな態度取ろうと、問題なしな~し。
ま、てめぇが金払いのいい客なら、せめてプレイとしてやがる振り位してやるがよ。
お灸をすえる対象の喜ぶことなんざ、誰がするか、ばーか。
う~ん。
やっぱコイツ、雑魚だわ。
ギリアムに対する禁忌に触れるってことがどういう事か…ちょうどいいから、還暦越え
おばはんが教えたるわ。
「まあそれは、冗談ですが、あなたの話は分かりずらいんですよ。
先ほどからちっとも名前が出てこないので、誰のことを指しているのか、私にはわかり
かねますわ」
するとブライトの眼に生気が戻り、
「あなたの方こそ、ご冗談を。
社交界では、とても有名な話ですよ」
下品な笑みを口元に浮かべる。
「そうなのですか?
私、ちょっと前まで、社交界に行くドレスもマトモに買えないぐらい、貧乏でござい
ましたので…。
社交界の噂には、とんと疎いのですよ」
これは本当の事。
ファルメニウス公爵家に来てから、猛勉強する羽目になった。
「おやおや…社交界でトップを歩かねばならない方が、そのようなことでよろしいの
でしょうか…?」
「私もそう思っておりますので、ただ今、猛勉強中でございます。
ですので…」
今度は私が唇の端を吊り上げる。
「ぜひ教えてくださいませんか?
先ほどからあなたがおっしゃっているのが、一体どなたの事なのか…」
するとブライトがわずかに後ずさった。
まあ、そうだろーね。
ギリアムを名指しで批判するような度胸、持ち合わせてねーよな。
「そのようなこと!!ご自分でおやりください!!
今問題視しているのは!!あなたがどうしようもない色ボケ女だということです!!」
お、話しそらしたね。
私は間髪入れず、
「色ボケの何が悪いのですか?」
キョトンとして、聞いてやった。
実はこれ、私の本心なんだよね~、ガチの!!
だって私は、自他ともに認める色ボケ女だし~。
「は…?何を言って…」
「そもそも人間という種が、色ボケでなかったら、とっくに滅んでおりますよ。
そう思いませんか?
だいたい今日、あなたのパーティーに来ている人々を見ましたが…。
ほぼ全員色ボケじゃないですか」
ブライトは、カッとなったらしく、
「アナタ、ご自分のおっしゃっていることの意味を、理解していますか?
ここにいる大多数の人間を、侮辱しているのですよ」
口調が激しくなる。
…侮辱…ねぇ…。
ホントにアンタは、私の望んだ言葉を吐いてくれるねぇ。
「ええ、理解しておりますわ。
ですので…」
私は終始笑顔で、
「どうぞこの会場内でお気に触った方は、わたくしを侮辱罪で訴えてください。
ただし…」
両手を広げ、
「私もギリアム様に、このような格好の私に、一名を除いて布一枚貸して
くださらない方々ばかりだったこと、ご報告いたします」
ただ、笑う。
「ギリアム公爵閣下が、名乗り出た方々をどうするかは…ギリアム様次第です
ので、私のあずかり知るところではありません」
するとにわかに野次馬がざわめきだし、どんどん後ずさって、会場から逃げ出す
者も、ちらほら出てきた。
予想通り過ぎて、少々つまらんな。
ブライトは次の言葉が続かないようだ。
私がアンタの言葉に過剰反応して、泣いたり悔しがったり、怒ったり…そんな所を
観客と共に、楽しむつもりだったんだろう?
もう、ネタ切れかい?
なら、こっちから行くぜ!!
「ところで…、これで舞台は終わりでしょうか?」
「は…?」
脂汗をかいているであろうブライトに、話しかける。
「あまりいい舞台ではありませんでしたねぇ…茶番にすらなっていない…。
きっと、この舞台をとても楽しみにしていた、高貴な方々は残念に…いえ、大層
お怒りでしょうねぇ…」
私としてはカマをかけただけだったが、どうやら大当たりだ。
ブライトの顔がみるみる青ざめた。
コウドリグス侯爵家はルベンディン侯爵家より、序列が上だ。
そしてコウドリグス侯爵家はケイシロン公爵家と、かなり良好な関係を築いている。
その夫人であるジュリアの大事な人間に手を出すなら…よほどの理由と覚悟がいる。
まして、ファルメニウス公爵家に妻になるべくして迎えられている、私を巻き込んで
まで…。
でも私の調べ、見た限りのブライト・ルベンディンと言う人間には、そんな度胸も
気概もあるように見えない。
だったら…強力な後ろ盾があるとしか思えない。
私は心の中で笑った。
全く…浅はかにも程がある。
まあ、アイツぁ懲りないだろうと思っていたから、何かしら仕掛けて来るとは思った
んだよね。
けど…。
人、巻き込みすぎだっての!!
本当に、いつか自分に返ってくるぞ!!
まあ、私の知ったこっちゃじゃねぇけど。
「だめだ…そんなことになったら…オレはおしまいだ…」
なんかぶつぶつ言ってんな。
よく聞こえん。
するとブライトが私の足元に、何やら投げてきた。
私はちらりと見てやったが…どうやら短刀のようだ。
「オルフィリア・ステンロイド男爵令嬢!!
仮にもファルメニウス公爵家に、花嫁として迎えられる予定のあなたが!!
このようないかがわしい場に、出席しただけではなく、恥じらいもない姿になった
こと、どう考えているのですか!!」
いや、どう考えてるも何も…。
アンタがレイチェル使って、有無を言わせず参加するようにしたんだし、
この姿だって、アンタのせいじゃねぇか、バーカと考えておりますが、何か?
と、心の中で鼻をほじりながら思ふわたくし。
「ファルメニウス公爵家の花嫁候補たるもの、淑女の鏡であるべきです。
それが示せなくなった以上、潔く自害するべきですね!!」
……アンタがそれ言うのぉ?いうのぉ?
…………………………………。
ダメだ。
コイツも頭の中、脳みそじゃなくて、ウジ湧いてら。
私は脳内を、バカ用チャンネルに切り替えた。
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