48 / 48
第6章 空回
4 ファルメニウス公爵家にて…
しおりを挟む
「ギリアム公爵閣下とオルフィリア公爵夫人に、お願いがあります」
アルフレッドが開口一番、言った…。
……。
数日前ギリアムが…いきなり帰ってきて、お茶を濁しながら私を連れ出すから…嫌な
予感がひしひしとしたんだけど…。
予想通り、凄い大口の、面倒くさい依頼が入ったんだよね。
大体、シャペロンの件は断ったんだから、蒸し返すなら容赦せんよ。
「一体何かね?」
とりあえず聞くギリアム。
「これから…アンナマリーとそのご家族が、お2人に面会を要求しているでしょう?
その話…アンナマリーがオレにも聞いてほしいって…」
……それなら、まあいいか。
「わかった…。では、庭で話を聞くこととしよう。
隠れられる場所は用意する。だが…絶対に出て来るなよ」
「もちろんです!!」
こうして…アンナマリーとその家族との話し合い。
アンナマリー父・エドガーと、アンナマリー母・イボンヌ、そしてアンナマリーの3人。
対するは、私とギリアム2人…。
「この度は…貴重なお時間を裂いていただき、誠にありがとうございます」
カチコチになったエドガー卿が、ギリアムと私にお辞儀してくれた。
「構わない。そう思うなら、本題に入ってくれ」
そのつっけんどんさが、人の緊張を誘うんだよ、わんこ君…。
「実は…アルフレッド様が、使用人ごと…デラズヴェル男爵家を保護したいとおっしゃって
おりまして…」
あれま。
「……ひょっとして、王立騎士団に訴えてきた、あれが原因か?
ガルドベンダに話をしたのか?」
「は、はい…アンナマリーが話したようで…。
そうしたら、ガルドベンダで保護する…と。家の中なら、安心だから…と」
……デジャヴだな。ギリわんこも私に、同じこと言っとった。
ってかさ、その前に大事な事が…抜けているような気がするのは、私だけか?
「ツァリオ閣下と、アイリン夫人は、ご存じなんでしょうか…」
私は…ひとまず負担にならんよう、ギリアムに話しかける。
「わからん。だが…家に対して正式に要求したなら、話ぐらいはしているハズだ」
そうだよね…。あの2人に何も言わずにやったら、それこそ筋が通らない。
「あの…だから、お願いします!!」
おーい、おとっつあん、おっかさん、何で私とギリアムに頭を下げる。
「どうか…。もう一度こちらで、保護してください」
……わけわからん。
「それは筋が違いすぎるだろう?
以前保護したのは…犯人が片付いてなかったからだ…。
それが片付いた今…こちらが関わる理由はないぞ?
もしどうしても…ガルドベンダの力を使わずに、今の状況から逃れたいなら、保護施設を使うべきだ。
もしくは…イボンヌ夫人の実家に非難させてもらうとかな」
本当だよ…。そのために法整備したんだぞ。
まあもっとも…そう言う連中は、保護施設程度じゃ来るだろうが…。
「妻の実家は頼ったのですが…。そちらにも押し掛けてきて…。遠慮せず横柄な態度を取って…。
終いには妻の兄弟や兄弟の子供にまで、脅しをかける始末…。
だから、もう面倒を見切れない…と、追い出されまして…」
頼った上で、追い出され済みか…なるほど…。
でも…こっちに頼るのは筋違いだよ。
さすがにその連中は…命まで取ろうとはしてないだろう?
「ご存じの通り、私の妹は子供を産んでから、心臓が弱くなって…。
こちらに匿っていただいた時、その事も考慮して、妹の婚家にも護衛を送ってくださった」
「え?そうだったんですか?」
初耳や。
「ああ。調査の結果を踏まえ、必要と判断したからな。
ちなみに誘拐事件が片付いていない時は、イボンヌ夫人の実家にも、王立騎士団を派遣していた」
完璧超人わんこ旦那君は、本当に仕事ができるな…。
何手も先を読んでいる。
「その節は、本当に感謝しているのです。
ですが…王立騎士団が引き上げてから、妹の嫁ぎ先にも押し掛けて…。
妹は寝込んでしまったらしく…」
ありゃま…。命が危ぶまれるのかい。
「だったら余計に保護施設に行くべきだ。
保護した人間に間接的にでも危害を加えているなら、王立騎士団が動く大義名分も出来る」
そこは譲らない。筋の違う事を通すと、寄生虫が絶え間なく来るからね。
私がちょっと思考にふけっていると、
「あ、あの!!オルフィリア公爵夫人!!」
アンナマリーが私に迫ってきた声で、現実に戻る。
「わ、私を!!ファルメニウス公爵家でメイドとして、雇ってください!!
この前の失敗を挽回したいのです!!」
私は…これを聞いて、ちょっとため息つきたくなった。だってさ…。
「あの…。まず、ウチのメイドの募集要項をご確認ください。
それで、自分に応募資格があるかどうか、考えてください」
ウチの応募条件に…40歳以上って出てるぞ、しっかりと。
「で、でも!!ドロテア嬢やハート嬢は…」
「あの2人は護衛騎士という枠で雇ったから、その条件に当てはまらないんです。
アナタは違うでしょう?」
「で、でも!!やる気がある人間には、平等に機会を与えるのが、ファルメニウス公爵家の流儀ではないのですか!!」
……なんでそんなに、食って掛かるんだろう。
まあ確かに…何も持たないアンタが、アルフレッドに添いたいと思ったら、箔を付ける一つの手段にはなるだろうが…。
「あのな!!」
私がどうするか考えていたら、ギリアムが出てきた。
「そこまで言うなら、まず…1にも2にも、借金を返したまえ。
それが出来ないうちは、ファルメニウス公爵家として、何もする気はない。
もちろん雇うなどもってのほかだ!!」
デスヨネー。
「そ、それは…モントリアが原因だと、お話したじゃないですか!!」
確かにね…。アルフレッドが入れちまってたんだよな。
「確かにそそのかした人間は悪い!!だが…騙されたにせよ、相手に損害を与えたら、裁かれる!!それが今の法律だ!!」
警察機構のトップ様は、この辺の甘い考えを持たない。
「だいたい何で、そんなに保護施設が嫌なんだ!!」
「そ、それは…。年頃の娘を置くような場所ではないと…」
エドガー卿がおずおずと答えている。
確かに…ね。
平民との距離が近い上…みんな、着の身着のままで入るような人たちばかりだから…。
私が視察に行った時、マッパの男と思いっきり遭遇したよ。
施設の人間からは謝られたけど…わたしゃ別にそんなの見慣れてるから、良かったんだけどね。
あの状況に…淑女を置きたくはないな、うん。
「だったら!!少し金はかかるが、貴族用の所に行きたまえ。
そうでなければ…女性専用のスペースに、行けばいいじゃないか」
上記の事があって…。私が提案して、ギリアムが作ったのさ。法整備もされたしね。
「そ、そことて…かなり雑多で…」
そりゃそうだろう。そもそも…そういう考えがお貴族様なんだって。
その考えを叶えてくれる場所に行きたきゃ…金が無きゃ無理だよ。
財政状況が悪い上、アンナマリーがやらかして、借金こさえちまったからなぁ…。
その不安もあって、ウチに流れてきたんだろうが…。
「お父様、お母様…。もう、アルフレッド様のご好意に、縋りましょう!!」
アンナマリーがいきなり出てきた。
……私はちょっと違和感を覚えた。だったら最初から、そうすればいいのに…。
「馬鹿な事を言わないの!!そんな事になったら…アナタが婚約者だと、みんな噂するわ!!」
イボンヌ夫人がかなり…血相変えて言っている。
「でも…ファルメニウス公爵家にご厄介になることも、保護施設もダメなのでしょう?」
な~んか、読めてきた。
多分…アンナマリーはとっととアルフレッドの元に行きたい。
でも両親は反対している。だからって、保護施設は嫌。
……ファルメニウス公爵家を、別の意味で利用するつもりだ。
……ま、いいさ。
私だって、目的のために、他者を利用することは、沢山して来たからな。
でも、アンナマリーよ。
アンタは1つ重要な事を見落としてる。
アンタの浅はかな意図を…私が…ギリアムが見抜けないと思ってるのか?
だったら…甘すぎるっての!!
「だいたい!!ガルドベンダの中に入って、どうするつもりだ。
我々は…あちらの家に、何も返せないんだぞ!!」
まーね。ファルメニウス公爵家がこの人たちを保護したのは、こっちの都合だったからね。
金銭なんて要求しなかった。
でも…ガルドベンダがそうかどうかは、わからない。
「ア、アルフレッド様は、身一つで来て大丈夫だと申しております!!
そ、それに!!みんなで使用人として、働けばよいではありませんか!!」
私はこれを聞いて…リアルで頭痛がした。
……どうすっかな。
ただ、私が言う事じゃ無いしなぁ…。
「ダメだ!!行くわけにはいかん!!」
エドガー卿粘ってるな。
「だったら、家に押し掛けて来る方々を、どうするのですか!!
王立騎士団に訴えても、何もしてくれないし、ファルメニウス公爵家だって、匿ってはくれないと言っているじゃないですか!!
もし、強引な事をして来たら、どうするのですか!!
ウチは…護衛騎士を雇うお金もないんですよ!!」
エドガー卿の言葉が無くなっちまったな。
私はここで…ちょっと考えた。
アンナマリーのこの考え方と、態度…。
もともとか?それとも…。
モントリアの毒が…まだ抜けきっていないのか…?
いや…思えばアンナマリーは、1年以上もモントリアを…味方と思って接してきている。
そうなると…思考や行動が…似通ってきちまってもおかしくない。
師として仰いだワケじゃ無くても、師のような状態に…なっちまったのかもな。
無意識化で…。
そうなると…。
できるだけ関わりたくはない…。
うん、関わりたくない。
「さあもう、行きましょう!!
ファルメニウス公爵家にだって、これ以上迷惑をかけられないじゃないですか!!」
ここぞとばかりに…アンナマリーはエドガー卿をぐいぐいと押している。
こりゃあちょっと、出るしかないかぁ…。
「それで?ガルドベンダに行って、どうするのですか?アンナマリー嬢」
「え?」
私が出てくると思わなかったのか、呆けるアンナマリー。
「単純に匿ってもらうにしても…。ずっとそのままというわけには、行きませんよね?
いつかは…出なければいけませんよ。その時のことを…考えていますか?
ハイエナも寄生虫も、どこにいたって寄ってきますよ」
これは私の持論。
「それは大丈夫です!!しっかりと考えがありますので!!」
「考えですか?ならいいですが…。
ガルドベンダだって暇じゃないんです。いつまでも借金ふっ被せた能無しのごく潰しを、置いておくとは思いませんがね…。それにアナタの仕事ぶりによっては、すぐに追い出されてしまうかもしれませんよ?」
能無しのごく潰し…のあたりで、あきらかに不快感をあらわにしている。
表情にもしっかり出ているから、これじゃ、やっていけんよ…と、私は思う。
「わ、私は!!中に入ったら認めて貰って、アルフレッド様と添います!!」
言ってのけた。
その眼は…とても真っすぐで、透き通っている。
心の底からの言葉なのだと、よくわかった。
……まあ、好きな人と添い遂げたいってのは、誰しも持つ願望だからな…。
でも…ガルドベンダってネームバリューの重さを…本当の意味で、理解しているのかい?
私は…ファルメニウスに入って、本当に…驚いたんだぜ。
これは…私が言う事かなぁ…。
他家の事ゆえ、どこまで言っていいのか…本当に参るなぁ。
これがあるから、身分持ちってな面倒くせぇんだよ。
アルフレッドが開口一番、言った…。
……。
数日前ギリアムが…いきなり帰ってきて、お茶を濁しながら私を連れ出すから…嫌な
予感がひしひしとしたんだけど…。
予想通り、凄い大口の、面倒くさい依頼が入ったんだよね。
大体、シャペロンの件は断ったんだから、蒸し返すなら容赦せんよ。
「一体何かね?」
とりあえず聞くギリアム。
「これから…アンナマリーとそのご家族が、お2人に面会を要求しているでしょう?
その話…アンナマリーがオレにも聞いてほしいって…」
……それなら、まあいいか。
「わかった…。では、庭で話を聞くこととしよう。
隠れられる場所は用意する。だが…絶対に出て来るなよ」
「もちろんです!!」
こうして…アンナマリーとその家族との話し合い。
アンナマリー父・エドガーと、アンナマリー母・イボンヌ、そしてアンナマリーの3人。
対するは、私とギリアム2人…。
「この度は…貴重なお時間を裂いていただき、誠にありがとうございます」
カチコチになったエドガー卿が、ギリアムと私にお辞儀してくれた。
「構わない。そう思うなら、本題に入ってくれ」
そのつっけんどんさが、人の緊張を誘うんだよ、わんこ君…。
「実は…アルフレッド様が、使用人ごと…デラズヴェル男爵家を保護したいとおっしゃって
おりまして…」
あれま。
「……ひょっとして、王立騎士団に訴えてきた、あれが原因か?
ガルドベンダに話をしたのか?」
「は、はい…アンナマリーが話したようで…。
そうしたら、ガルドベンダで保護する…と。家の中なら、安心だから…と」
……デジャヴだな。ギリわんこも私に、同じこと言っとった。
ってかさ、その前に大事な事が…抜けているような気がするのは、私だけか?
「ツァリオ閣下と、アイリン夫人は、ご存じなんでしょうか…」
私は…ひとまず負担にならんよう、ギリアムに話しかける。
「わからん。だが…家に対して正式に要求したなら、話ぐらいはしているハズだ」
そうだよね…。あの2人に何も言わずにやったら、それこそ筋が通らない。
「あの…だから、お願いします!!」
おーい、おとっつあん、おっかさん、何で私とギリアムに頭を下げる。
「どうか…。もう一度こちらで、保護してください」
……わけわからん。
「それは筋が違いすぎるだろう?
以前保護したのは…犯人が片付いてなかったからだ…。
それが片付いた今…こちらが関わる理由はないぞ?
もしどうしても…ガルドベンダの力を使わずに、今の状況から逃れたいなら、保護施設を使うべきだ。
もしくは…イボンヌ夫人の実家に非難させてもらうとかな」
本当だよ…。そのために法整備したんだぞ。
まあもっとも…そう言う連中は、保護施設程度じゃ来るだろうが…。
「妻の実家は頼ったのですが…。そちらにも押し掛けてきて…。遠慮せず横柄な態度を取って…。
終いには妻の兄弟や兄弟の子供にまで、脅しをかける始末…。
だから、もう面倒を見切れない…と、追い出されまして…」
頼った上で、追い出され済みか…なるほど…。
でも…こっちに頼るのは筋違いだよ。
さすがにその連中は…命まで取ろうとはしてないだろう?
「ご存じの通り、私の妹は子供を産んでから、心臓が弱くなって…。
こちらに匿っていただいた時、その事も考慮して、妹の婚家にも護衛を送ってくださった」
「え?そうだったんですか?」
初耳や。
「ああ。調査の結果を踏まえ、必要と判断したからな。
ちなみに誘拐事件が片付いていない時は、イボンヌ夫人の実家にも、王立騎士団を派遣していた」
完璧超人わんこ旦那君は、本当に仕事ができるな…。
何手も先を読んでいる。
「その節は、本当に感謝しているのです。
ですが…王立騎士団が引き上げてから、妹の嫁ぎ先にも押し掛けて…。
妹は寝込んでしまったらしく…」
ありゃま…。命が危ぶまれるのかい。
「だったら余計に保護施設に行くべきだ。
保護した人間に間接的にでも危害を加えているなら、王立騎士団が動く大義名分も出来る」
そこは譲らない。筋の違う事を通すと、寄生虫が絶え間なく来るからね。
私がちょっと思考にふけっていると、
「あ、あの!!オルフィリア公爵夫人!!」
アンナマリーが私に迫ってきた声で、現実に戻る。
「わ、私を!!ファルメニウス公爵家でメイドとして、雇ってください!!
この前の失敗を挽回したいのです!!」
私は…これを聞いて、ちょっとため息つきたくなった。だってさ…。
「あの…。まず、ウチのメイドの募集要項をご確認ください。
それで、自分に応募資格があるかどうか、考えてください」
ウチの応募条件に…40歳以上って出てるぞ、しっかりと。
「で、でも!!ドロテア嬢やハート嬢は…」
「あの2人は護衛騎士という枠で雇ったから、その条件に当てはまらないんです。
アナタは違うでしょう?」
「で、でも!!やる気がある人間には、平等に機会を与えるのが、ファルメニウス公爵家の流儀ではないのですか!!」
……なんでそんなに、食って掛かるんだろう。
まあ確かに…何も持たないアンタが、アルフレッドに添いたいと思ったら、箔を付ける一つの手段にはなるだろうが…。
「あのな!!」
私がどうするか考えていたら、ギリアムが出てきた。
「そこまで言うなら、まず…1にも2にも、借金を返したまえ。
それが出来ないうちは、ファルメニウス公爵家として、何もする気はない。
もちろん雇うなどもってのほかだ!!」
デスヨネー。
「そ、それは…モントリアが原因だと、お話したじゃないですか!!」
確かにね…。アルフレッドが入れちまってたんだよな。
「確かにそそのかした人間は悪い!!だが…騙されたにせよ、相手に損害を与えたら、裁かれる!!それが今の法律だ!!」
警察機構のトップ様は、この辺の甘い考えを持たない。
「だいたい何で、そんなに保護施設が嫌なんだ!!」
「そ、それは…。年頃の娘を置くような場所ではないと…」
エドガー卿がおずおずと答えている。
確かに…ね。
平民との距離が近い上…みんな、着の身着のままで入るような人たちばかりだから…。
私が視察に行った時、マッパの男と思いっきり遭遇したよ。
施設の人間からは謝られたけど…わたしゃ別にそんなの見慣れてるから、良かったんだけどね。
あの状況に…淑女を置きたくはないな、うん。
「だったら!!少し金はかかるが、貴族用の所に行きたまえ。
そうでなければ…女性専用のスペースに、行けばいいじゃないか」
上記の事があって…。私が提案して、ギリアムが作ったのさ。法整備もされたしね。
「そ、そことて…かなり雑多で…」
そりゃそうだろう。そもそも…そういう考えがお貴族様なんだって。
その考えを叶えてくれる場所に行きたきゃ…金が無きゃ無理だよ。
財政状況が悪い上、アンナマリーがやらかして、借金こさえちまったからなぁ…。
その不安もあって、ウチに流れてきたんだろうが…。
「お父様、お母様…。もう、アルフレッド様のご好意に、縋りましょう!!」
アンナマリーがいきなり出てきた。
……私はちょっと違和感を覚えた。だったら最初から、そうすればいいのに…。
「馬鹿な事を言わないの!!そんな事になったら…アナタが婚約者だと、みんな噂するわ!!」
イボンヌ夫人がかなり…血相変えて言っている。
「でも…ファルメニウス公爵家にご厄介になることも、保護施設もダメなのでしょう?」
な~んか、読めてきた。
多分…アンナマリーはとっととアルフレッドの元に行きたい。
でも両親は反対している。だからって、保護施設は嫌。
……ファルメニウス公爵家を、別の意味で利用するつもりだ。
……ま、いいさ。
私だって、目的のために、他者を利用することは、沢山して来たからな。
でも、アンナマリーよ。
アンタは1つ重要な事を見落としてる。
アンタの浅はかな意図を…私が…ギリアムが見抜けないと思ってるのか?
だったら…甘すぎるっての!!
「だいたい!!ガルドベンダの中に入って、どうするつもりだ。
我々は…あちらの家に、何も返せないんだぞ!!」
まーね。ファルメニウス公爵家がこの人たちを保護したのは、こっちの都合だったからね。
金銭なんて要求しなかった。
でも…ガルドベンダがそうかどうかは、わからない。
「ア、アルフレッド様は、身一つで来て大丈夫だと申しております!!
そ、それに!!みんなで使用人として、働けばよいではありませんか!!」
私はこれを聞いて…リアルで頭痛がした。
……どうすっかな。
ただ、私が言う事じゃ無いしなぁ…。
「ダメだ!!行くわけにはいかん!!」
エドガー卿粘ってるな。
「だったら、家に押し掛けて来る方々を、どうするのですか!!
王立騎士団に訴えても、何もしてくれないし、ファルメニウス公爵家だって、匿ってはくれないと言っているじゃないですか!!
もし、強引な事をして来たら、どうするのですか!!
ウチは…護衛騎士を雇うお金もないんですよ!!」
エドガー卿の言葉が無くなっちまったな。
私はここで…ちょっと考えた。
アンナマリーのこの考え方と、態度…。
もともとか?それとも…。
モントリアの毒が…まだ抜けきっていないのか…?
いや…思えばアンナマリーは、1年以上もモントリアを…味方と思って接してきている。
そうなると…思考や行動が…似通ってきちまってもおかしくない。
師として仰いだワケじゃ無くても、師のような状態に…なっちまったのかもな。
無意識化で…。
そうなると…。
できるだけ関わりたくはない…。
うん、関わりたくない。
「さあもう、行きましょう!!
ファルメニウス公爵家にだって、これ以上迷惑をかけられないじゃないですか!!」
ここぞとばかりに…アンナマリーはエドガー卿をぐいぐいと押している。
こりゃあちょっと、出るしかないかぁ…。
「それで?ガルドベンダに行って、どうするのですか?アンナマリー嬢」
「え?」
私が出てくると思わなかったのか、呆けるアンナマリー。
「単純に匿ってもらうにしても…。ずっとそのままというわけには、行きませんよね?
いつかは…出なければいけませんよ。その時のことを…考えていますか?
ハイエナも寄生虫も、どこにいたって寄ってきますよ」
これは私の持論。
「それは大丈夫です!!しっかりと考えがありますので!!」
「考えですか?ならいいですが…。
ガルドベンダだって暇じゃないんです。いつまでも借金ふっ被せた能無しのごく潰しを、置いておくとは思いませんがね…。それにアナタの仕事ぶりによっては、すぐに追い出されてしまうかもしれませんよ?」
能無しのごく潰し…のあたりで、あきらかに不快感をあらわにしている。
表情にもしっかり出ているから、これじゃ、やっていけんよ…と、私は思う。
「わ、私は!!中に入ったら認めて貰って、アルフレッド様と添います!!」
言ってのけた。
その眼は…とても真っすぐで、透き通っている。
心の底からの言葉なのだと、よくわかった。
……まあ、好きな人と添い遂げたいってのは、誰しも持つ願望だからな…。
でも…ガルドベンダってネームバリューの重さを…本当の意味で、理解しているのかい?
私は…ファルメニウスに入って、本当に…驚いたんだぜ。
これは…私が言う事かなぁ…。
他家の事ゆえ、どこまで言っていいのか…本当に参るなぁ。
これがあるから、身分持ちってな面倒くせぇんだよ。
10
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(5件)
あなたにおすすめの小説
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました
由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。
尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。
けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。
そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。
再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。
一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。
“尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。
静かに離婚しただけなのに、
なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。
【1話完結】あなたの恋人は毎夜わたしのベッドで寝てますよ。
ariya
ファンタジー
ソフィア・ラテットは、婚約者アレックスから疎まれていた。
彼の傍らには、いつも愛らしい恋人リリアンヌ。
婚約者の立場として注意しても、アレックスは聞く耳を持たない。
そして迎えた学園卒業パーティー。
ソフィアは公衆の面前で婚約破棄を言い渡される。
ガッツポーズを決めるリリアンヌ。
そのままアレックスに飛び込むかと思いきや――
彼女が抱きついた先は、ソフィアだった。
プロローグでケリをつけた乙女ゲームに、悪役令嬢は必要ない(と思いたい)
犬野きらり
恋愛
私、ミルフィーナ・ダルンは侯爵令嬢で二年前にこの世界が乙女ゲームと気づき本当にヒロインがいるか確認して、私は覚悟を決めた。
『ヒロインをゲーム本編に出さない。プロローグでケリをつける』
ヒロインは、お父様の再婚相手の連れ子な義妹、特に何もされていないが、今後が大変そうだからひとまず、ごめんなさい。プロローグは肩慣らし程度の攻略対象者の義兄。わかっていれば対応はできます。
まず乙女ゲームって一人の女の子が何人も男性を攻略出来ること自体、あり得ないのよ。ヒロインは天然だから気づかない、嘘、嘘。わかってて敢えてやってるからね、男落とし、それで成り上がってますから。
みんなに現実見せて、納得してもらう。揚げ足、ご都合に変換発言なんて上等!ヒロインと一緒の生活は、少しの発言でも悪役令嬢発言多々ありらしく、私も危ない。ごめんね、ヒロインさん、そんな理由で強制退去です。
でもこのゲーム退屈で途中でやめたから、その続き知りません。
【完結】お父様の再婚相手は美人様
すみ 小桜(sumitan)
恋愛
シャルルの父親が子連れと再婚した!
二人は美人親子で、当主であるシャルルをあざ笑う。
でもこの国では、美人だけではどうにもなりませんよ。
嫌われ公女に転生したけど、愛されたい願望を捨てたら全員がデレてきた
桃瀬さら
恋愛
嫌われ公女ナディアは、婚約破棄され学園で孤立し、家族からも見放されていた。
どれほど努力しようが周囲からは「嫌われ公女」と蔑まれ、誰も味方なんていない。
「もういい。愛されたいなんて、くだらない」
そう心に誓った瞬間から、状況が一変した。
第二王子が婚約破棄を撤回し跪き、寡黙な騎士団長が「君を守りたい」と熱く迫ってくる。
そして、冷ややかな兄まで「婚約など認めない。家を出ることは許さない」と……。
愛されることを諦めた途端、なぜか執着される。
で、お前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか?
Debby
恋愛
ヴェルトが友人からの手紙を手に辺境伯令嬢であるレィディアンスの元を訪れたのは、その手紙に「詳細は彼女に聞け」と書いてあったからだ。
簡単にいうと、手紙の内容は「学園で問題を起こした平民──エボニーを妻として引き取ってくれ」というものだった。
一方その話を聞いてしまった伯爵令嬢のオリーブは動揺していた。
ヴェルトとは静かに愛を育んできた。そんな自分を差し置いて、言われるがまま平民を妻に迎えてしまうのだろうか。
そんなオリーブの気持ちを知るはずもないエボニーは、辺境伯邸で行儀見習いをすることになる。
オリーブは何とかしてヴェルトを取り戻そうと画策し、そのことを咎められてしまう。もう後は無い。
オリーブが最後の望みをかけてヴェルトに自分を選んで欲しいと懇願する中、レィディアンスが静かに口を開いた。
「で、そろそろお前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか」
「はい?」
ヴェルトは自分が何を言われたのか全く理解が出来なかった。
*--*--*
覗いてくださりありがとうございます。(* ᴗ ᴗ)⁾⁾
★全31話7時19時更新で、全話予約投稿済みです。
★★「このお話だけ読んでいただいてもOKです!」という前提のもと↓↓↓
このお話は独立した一つのお話ですが、「で。」シリーズのサイドストーリーでもあり、第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」の「エボニーその後」でもあります(あるいは「最終話」のその後)。
第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」
第二弾「で、あなたが私に嫌がらせをする理由を伺っても?」
第三弾「で、あなたが彼に嫌がらせをする理由をお話しいただいても?」
どれも女性向けHOTランキングに入り、特に第二弾はHOT一位になることが出来ました!(*´▽`人)アリガトウ
もしよかったら宜しくお願いしますね!
隠された第四皇女
山田ランチ
恋愛
ギルベアト帝国。
帝国では忌み嫌われる魔女達が集う娼館で働くウィノラは、魔女の中でも稀有な癒やしの力を持っていた。ある時、皇宮から内密に呼び出しがかかり、赴いた先に居たのは三度目の出産で今にも命尽きそうな第二側妃のリナだった。しかし癒やしの力を使って助けたリナからは何故か拒絶されてしまう。逃げるように皇宮を出る途中、ライナーという貴族男性に助けてもらう。それから3年後、とある命令を受けてウィノラは再び皇宮に赴く事になる。
皇帝の命令で魔女を捕らえる動きが活発になっていく中、エミル王国との戦争が勃発。そしてウィノラが娼館に隠された秘密が明らかとなっていく。
ヒュー娼館の人々
ウィノラ(娼館で育った第四皇女)
アデリータ(女将、ウィノラの育ての親)
マイノ(アデリータの弟で護衛長)
ディアンヌ、ロラ(娼婦)
デルマ、イリーゼ(高級娼婦)
皇宮の人々
ライナー・フックス(公爵家嫡男)
バラード・クラウゼ(伯爵、ライナーの友人、デルマの恋人)
ルシャード・ツーファール(ギルベアト皇帝)
ガリオン・ツーファール(第一皇子、アイテル軍団の第一師団団長)
リーヴィス・ツーファール(第三皇子、騎士団所属)
オーティス・ツーファール(第四皇子、幻の皇女の弟)
エデル・ツーファール(第五皇子、幻の皇女の弟)
セリア・エミル(第二皇女、現エミル王国王妃)
ローデリカ・ツーファール(第三皇女、ガリオンの妹、死亡)
幻の皇女(第四皇女、死産?)
アナイス・ツーファール(第五皇女、ライナーの婚約者候補)
ロタリオ(ライナーの従者)
ウィリアム(伯爵家三男、アイテル軍団の第一師団副団長)
レナード・ハーン(子爵令息)
リナ(第二側妃、幻の皇女の母。魔女)
ローザ(リナの侍女、魔女)
※フェッチ
力ある魔女の力が具現化したもの。その形は様々で魔女の性格や能力によって変化する。生き物のように視えていても力が形を成したもの。魔女が死亡、もしくは能力を失った時点で消滅する。
ある程度の力がある者達にしかフェッチは視えず、それ以外では気配や感覚でのみ感じる者もいる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
歌詞にもありますが‥。
最善を尽くしても分かり合えない人もいる。
自分の正義が他人の正義とは限らない。
話合いをしても折合いがつかず。
今では向き合う事を辞めました。
関わらない事を選べる立場からだからでしょうね。
とても読み応えがありました。
今後の展開も楽しみにしています♪
この章はかなり自分の言いたいことを詰め込んだので、楽しんでいただけたなら嬉しいです!!
今後も頑張ります!!
応援感謝です!!!
モヤモヤが無くなる、解決する。
本当に良かったね、と思えます。
今後の展開も楽しみにしています(^^)。
1つの過去に区切りがついた瞬間。
楽しんでいただけたなら、良かったです!!
今後も鋭意執筆頑張ります!!
応援いつもありがとうございま~す!!
旅行の準備をするツァリオとローエン、遠足前日の小学生みたいで微笑ましいです。
それにしても、どの家にも表に出せないことがあるのですね~ 蜂蜜の話がずっと後にケイシロン家に繋がり、シンジュクニチョウメの話がガルドベンダ家に繋がる。フラグ回収ですかね。少し前にフィリーとギリアムが何もかも無くなって二人だけになっても生きていけるみたいな事を話していましたが、そんな事にはならない様に願います。権力と財力と武力で悪者を成敗し弱者に手を差しのべてほしいです。
早く続きを読みたいと思えるこの作品を届けて下さってありがとうございます。今年も楽しみにしています。
暗い話ばかりでは…と、出した話を気に入って下さり、ありがとうございます。
今後も鋭意執筆頑張ります!!
いつも応援して下さり、感謝です!!