笑顔の絶えない世界~道楽の道化師の軌跡~

マーキ・ヘイト

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第五章 冒険編 海の男

真緒パーティー VS ジェド海賊団

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 「マオ、ハナコ、リーマ!」



 「皆さん、大丈夫ですか~?」



 「フォルスさん、師匠……私達は大丈夫です」



 「ビックリじだなぁ」



 「何なんですか、あの人達は!?」



 フォルスとエジタスの呼び掛けに一早く反応し、浜辺に戻って来た三人。すぐ近くではボートに乗り込み、こちらに向かってくる一団がいた。



 「よーし、動くんじゃねぇぞ!」



 ボートの先頭に乗っていた赤いコートの男が、真緒達にカットラスを向けて命令してきた。



 「いいかよく聞け!本日をもってお前達は俺様、“ジェド海賊団船長”ジェドの所有物となった!痛い目に遭いたくなければ大人しくするんだな!」



 「所有物って……勝手に決めないでください!」



 「悪いがこれは決定事項なんだ!ヤローども構うことはねぇ、捕まえろ!」



 「「「「「へい!!!」」」」」



 ジェドの掛け声と供に、数十人の海賊達が近づいてきた。



 「へへへ、怪我したくないだろ?」



 「大人しくするんだな、じゃないとその柔らかい肌に傷がつく事になるぜ~」



 海賊達は不適な笑みを浮かべながら、ジリジリと真緒達に近づいてくる。



 「…………」



 しかし、真緒達は以外にも冷静で、何の迷いも無くそれぞれが武器を構えた。



 「いけるか、マオ?」



 「ええ、勿論です。いつもの防具ではありませんが、些細な事です!」



 「そうか……なら良かった!スキル“ロックオン”」



 近づいてくる海賊の一人にマーカーが表示される。



 「俺達を狙った事を後悔させてやる……よ!」



 「ぎゃああああ!!」



 フォルスが放った矢は見事、海賊の左肩に命中した。



 「安心しろ、急所は外してやったから命に別状はない」



 「な、なんだあいつは!?」



 「狼狽えるな!厄介なのはあの鳥人だけだ、それに連発は出来ないと見た。数で押し切るんだ!」



 ジェドの言葉で平常心を取り戻した海賊達は、一斉にフォルスに襲い掛かる。



 「厄介なのはフォルスさんだけではありませんよ!」



 リーマは魔導書を広げ、魔法を唱える。



 「食らいなさい!“ウォーターキャノン”」



 リーマの目の前に大きな水の塊が形成され、その塊は海賊達目掛けて飛んでいった。



 「「「ぐああああ!!」」」



 数十人あまりが、リーマの魔法に吹っ飛ばされた。



 「まさか、魔法使いまでいるとはな……それに……」



 「はああ!スキル“ロストブレイク”」



 「スキル“熊の一撃”」



 フォルスやリーマに負けじと、真緒とハナコも次々と海賊達を打ち倒していく。



 「まさかこんなにも強い連中だったとは……今日はついてないぜ。……仕方ねぇ、一か八か賭けてみるか!」



 次第に少なくなっていく手下達を見かねて、ジェドが手下達と真緒達の間に割り込んだ。



 「ちょっと待って貰おうか!」



 「え、何!?」



 「船長!?」



 船長の突然の行動に戸惑ってしまう真緒達と手下達。



 「お前達がここまで強いとは正直予想外だった。こちらとしても、これ以上仲間が傷つくのは見ていられない」



 「船長……」



 「そこでどうだろう、俺と一騎討ちの勝負をしてくれないか?」



 「一騎討ち?」



 「ああ、お前達の誰かが俺と一対一の勝負をして、勝った方が負けた方に何でも命令できるんだ」



 「待て、俺達が優先なこの状況で、そんな意味が無いことをやる訳がないだろ」



 「(やはりそう来るか……)」



 何とか一騎討ちに持ち込めれば、勝てる希望もあったのだが、この状況で受ける“バカ”はいないと思ったジェド。



 「いいでしょう、その勝負受けて立ちます!」



 「……えっ!?」



 「な、何を言っているんだお前はー!!」



 しかしここで、まさか真緒が、一騎討ちの申し出を受けてしまった。



 「そうか!では早速「ちょ、ちょっと待ってくれ!」」



 ジェドは申し出を受けた事に心で舞い上がりつつ、話を進めようとするがフォルスに遮られる。



 「何だ?一度交わした約束を破るのは無しだからな」



 「……少しの間、話し合わせてくれないか?」



 「……まぁ、いいだろう。だが、逃げたりするなよ」



 「あ、ああ……」



 一時的に話し合う時間を貰ったフォルスは、皆を呼び集める。



 「どうして、一騎討ちを受けたんだ!」



 「そうだよマオぢゃん……」



 「何か、考えがあるんですか?」



 フォルス達はジェド達に聞こえないように、小声で話し合う。



 「うん、“水の都”は海の底にあるって言われているでしょ、だから一騎討ちで勝って、あの船を貰えないかなって思ったんだ」



 「確かに勝てばその要求が出来るが……奴が俺達の実力を知って尚、一騎討ちを望むという事は、勝つ自信があるという事だ。それでもやるつもりなのか?」



 「はい、このチャンスを逃す訳にはいきません!」



 真緒に闘志の炎が浮かび上がる。



 「……分かった、お前に俺達の全てを託そう。そして絶対に勝てよ!」



 「はい!勝ちます!」



 「マオぢゃん、頑張っで!!」



 「マオさんなら勝てます」



 「無理はしないでくださいね~」



 仲間の声援を受けながら真緒は、ジェドの前に立った。



 「どうやら、話し合いというのは本当だったみたいだな……それで、お前が俺と戦うのか?」



 「ええ、そうですよ」



 「なら、先に謝っておかないとな。本来だったらお前達の勝利が確定していたが、一騎討ちという形に持っていければ話は別だ……なぜなら俺は、一騎討ちで一度も負けた事がないんだ!」



 ジェドが勝利を宣言すると、真緒に向かって走り出した。その際右手に“カットラス”を持ち、左手は素早く砂を掴む。



 「おらよ!」



 「きゃあ!」



 ジェドは左手に掴んだ砂を、真緒の顔目掛けて投げ付けた。



 「め、目が……」



 真緒の目に砂が入り、まともに開けられなくなってしまった。



 「おい!卑怯だぞ!」



 「そうだぁ!」



 「そこまでして勝ちたいんですか!?」



 あまりの非道なやり方にフォルス達は憤慨した。



 「どう勝ったのかは問題じゃない、勝った奴が正義で負けた奴が悪なんだよ。それに“海賊”ってのは卑怯がなんぼの世界さ」



 そしてジェドはこの行為を、さも当然と言わんばかりの表情をしていた。



 「皆、心配しないで!」



 「マオ……」



 「マオぢゃん……」



 「マオさん……」



 「どんな手を使われようと、私は必ず勝って見せるから!」



 真緒は心配する仲間達を安心させる為、笑って見せた。



 「勝って見せるだぁ……視界がまともに見えない奴が何抜かしてやがる!」



 ジェドは目が見えない真緒に対して、背後から斬りかかる。



 「マオ!後ろだ!」



 「クッ!」



 フォルスの助言で咄嗟に反応した真緒は、ジェドの攻撃を受け止める事が出来た。



 「成る程、信頼できる仲間がいるから俺の攻撃も怖くないという訳か……それなら、こういうのはどうかな?」



 ジェドは足下の砂浜に手をかざす。



 「実は俺、“風魔法”が使えるんだが素質があまり無くてな、小さな竜巻しか起こせないんだ“サイクロン”」



 ジェドのかざした場所に小さな竜巻が発生する。



 「けどな、こういうきめ細かい砂で起こせば…………」



 その言葉と重なるように、竜巻が砂を巻き上げ真緒とジェドの姿を覆い隠した。



 「こんな芸当も出来るんだぜ」



 「マオ!」



 「これで、仲間の助けは借りられないぜ」



 ジェドは真緒の周りを、足音を立てずに歩き始める。



 「さぁーて、何処から攻撃してやろうかな?前かな、横かな、それとも後ろかな?」



 「(どうしよう……どうしよう……考えろ……考えろ……考えろ!)」



 目が開けられないこの状況で、真緒は生き残る方法を必死で考える。



 「マオ!」



 「マオぢゃん!」



 「マオさん!」



 皆の声が聞こえる……。しかし、周りからは見えない為、直接的な助言は聞こえてこない。そう思っていると……。



 「マオさ~ん」



 「師匠?」



 ここで初めてエジタスの声が聞こえてきた。



 「あなたは今、目が見えません。でもだからこそ有利でもあるんですよ」



 「え?」



 見えないからこそ有利、その言葉の意味を考える真緒。



 「見えないからこそ……見えないからこそ……」



 「(へへへ、そろそろけりを付けさせて貰うとするか)」



 真緒にバレないように声を殺し、場所を悟らせない。そして真横で武器を振り上げる。



 「見えない……見えない……あ、そうか……」



 「(悪く思うなよ!!)」



 ジェドの攻撃が真緒へと襲い掛かる。



 「“ライト”!!」



 「ぐあ!ま、眩しい!!」



 真緒の掌から、目が開けられないほどの光を放つ玉が作り出された。



 「そこだ!!」



 「し、しまっ……クボァ!!」



 突如強い光が現れ、思わず声が出て居場所がバレ、真緒の持っていた剣の柄による腹攻撃が、見事命中するのであった。
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