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第六章 冒険編 出来損ないの小鳥
過去を知った者達
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「フォルスさんにそんな事が…………」
真緒達はトハから、自分がフォルスの祖母である事や飛べない理由が、過去の悲劇が原因になっているのを知った。
「わしはその後、族長を問い詰め全ての経緯を知った。…………絶対に帰ってこないと思ってた。でも、今こうしてあなた達の口からフォルスちゃんの名前を聞けるなんて…………長生きはするもんだねぇ」
「トハさん…………」
トハは少し涙ぐむが、指でそれを拭き取る。
「あんた達とフォルスちゃんの関係は何だい?」
「仲間です!」
真緒は“仲間”という言葉を強調する様に言った。その言葉を聞いたトハは、少々驚きの表情を浮かべるが直ぐに笑顔を見せた。
「そうかい……フォルスちゃんに、鳥人以外の仲間が出来るなんてね……それで、あの子は今何処に?」
「「「!!」」」
真緒達は困惑していた。仲間だと言った手前、今現在一緒に行動していないなどと、言うのが躊躇われる。
「あの…………実は、フォルスさんはパーティーを脱退しました」
「何だって…………」
声のトーンが変わった。先程までの明るい声とは違い、酷く低音になっていた。
「どういう事だい?」
「…………それが……」
真緒達はトハに、この里に来る途中で何があったのか話した。里に近づくにつれ、フォルスの様子がおかしくなっていった事。心配して話を聞いたら、ヘルマウンテンを迂回しようと言ってきた事。そして、それをきっかけに真緒とフォルスが戦い合う事態に陥り、ケンカ別れしてしまった事。
「……はぁー…………」
真緒達の話を聞き終わったトハは、深いため息をついた。
「フォルスちゃんは変な所で意地っ張りだから、自分から姿を見せる事はしないだろうね…………けど、これだけは分かるよ」
「「「?」」」
トハは少し溜める仕草をすると、真緒達の目をしっかりと見つめて優しい声で言った。
「フォルスちゃんは、決して仲間を見捨てたりしない。あなた達を置いてどっかに行くなんて考えられないよ。ケンカ別れした状態なら尚更ね」
「フォルスさんの事、信頼しているんですね」
「そりゃあそうさ!わしはあの子を、二十年も育てて来たんだよ。あの子の性格は全て知り尽くしているさ!」
笑いながら自慢気に語るトハに、只純粋に凄いと思った真緒達。
「それじゃあ、わしはそろそろ失礼させてもらうよ」
「もう、行ってしまうんですか!?」
トハは、ゆっくりと腰を上げるとそのまま扉の前まで歩いて行く。
「あんた達のおかげで、ボケていた頭がスッキリしたからね。感謝してるよ」
そう言うと信じられない光景を真緒達は目にした。曲がっていた筈の腰が、徐々に真っ直ぐ縦になっていったのだ。
「ト、トハさん……こ、腰が……」
「あんた達はこれから、ヘルマウンテンに行くんだろ?ならわしも、わしにしか出来ない事をしたいのさ。頑張るんだよ若人達!」
そう告げるとトハは、部屋を出て行ってしまった。
「「「…………」」」
静寂な時間が流れる。まるで台風が過ぎ去った後の様だった。
「…………ビックリしたね。まさか、トハさんがフォルスさんのお婆ちゃんだったなんて……」
「…………私、フォルスさんに謝らなければいけません!」
真緒がフォルスの過去に驚いていると、リーマが思い詰めた表情をしながら深刻に口にした。
「フォルスさんにも、フォルスさんなりの辛い過去があったのに……それなのに私は…………」
「リーマ…………」
自分を責め立てるリーマに、真緒はそっと肩に手を乗せた。
「マオさん…………」
「なら、今度フォルスさんに会ったら皆で謝ろう。その上で、次こそは必ずこの里まで引っ張って行こう!!」
「ぷっ、あはははは」
フォルスへのリベンジに執念を燃やす真緒に、思わず笑ってしまうリーマ。
「でもその前に、里の皆を助けないとね」
「そうですね!」
「フォルスざんの故郷を守っで見せるだよ!!」
「今日はしっかりと休んで、明日の早朝にヘルマウンテンに向けて出発するよ!!」
「「「おおーー!!」」」
里の為、仲間の為、真緒達はヘルマウンテンに向けての準備を整えるのであった。
***
「………………」
その夜、真緒達が寝静まっている中、エジタスだけが眠っておらずゆっくりと静かに体を起こした。
「………………」
エジタスは無言のまま、パチンと指を鳴らす。すると既にそこにはエジタスの姿は無くなっていた。
「誰だ!!…………ああ何だ、エジタスさんか……」
場所は変わって、鳥人の里からかなり離れた所にフォルスは一人、焚き火を起こしていた。しかし、何者かの気配を感じ取り素早く振り返るとそこには、転移でやって来たエジタスが立っていた。
「驚かないのですね~」
「そりゃあまぁ、エジタスさんには一度見た対象物の下に一瞬で辿り着ける“転移”があるから、いつかは来るとは思っていたけど…………まさか、こんなにも早く来るとはな。エジタスさん一人なのか、マオ達はどうしたんだ?」
伊達に三十五年間も生きてはいないと、言わんばかりに予測していたフォルスは、真緒達がいない事を疑問に思っていた。
「マオさん達なら明日、里の上昇気流が突然止まった原因を探るべく、ヘルマウンテンに行く準備を整えていますよ」
「何、里の上昇気流が止まったのか!?」
フォルスは慌てて、エジタスに顔を向けた。
「ええ、そのせいで里の皆さんは飛べなくなってしまって困っていましたよ。良かったじゃないですか~、飛べないからと言ってあなたを追い出したのでしょう?いい気味です」
「ち、違うんだ!本当は俺自身が決めた事で「知ってますよ」……えっ?」
フォルスが追い出された事について、誤解であるのを説明しようとするとエジタスは、それを遮った。
「あなたの祖母であるトハさんから、全て聞きましたよ。飛べない理由も含めてね…………」
「そう……だったのか……」
「それにしても…………ガッカリですよ」
「…………えっ?」
誤解は既に解けていた事に安堵していたフォルスだったが、エジタスの一言に耳を疑った。
「飛べない訳なのだから、さぞかし壮絶な理由だろうと思っていたのですが、聞いてみれば過去のトラウマって…………くだらない、くだらない、くだらない、くだらない、くだらない!!」
「エ、エジタスさん…………?」
突然の言動にフォルスは、呆気に取られていた。
「ありきたりなんですよ!私はね、そういうのを腐るほど見てきました!自分のせいで、母親が死んでしまったショックから飛べなくなるなんて、正直…………期待外れですよ」
「………………」
何を言われているのか、頭の理解が追い付かず、困惑する。そんなフォルスに、エジタスが仮面の顔を近づけてきた。その時の仮面は、いつも以上に不気味に笑っている様に見えた。
「もうあなたに興味はありません。もう帰って来なくて大丈夫ですから、安心してください」
「エジタスさん……俺……」
フォルスが何かを言い掛けるが、パチンという指を鳴らす音と同時に、エジタスの姿は無くなっていた。
「俺は…………どうしたらいいんだ……」
フォルスの言葉は無情にも、誰一人として聞こえる事無く、響き渡っていた。
真緒達はトハから、自分がフォルスの祖母である事や飛べない理由が、過去の悲劇が原因になっているのを知った。
「わしはその後、族長を問い詰め全ての経緯を知った。…………絶対に帰ってこないと思ってた。でも、今こうしてあなた達の口からフォルスちゃんの名前を聞けるなんて…………長生きはするもんだねぇ」
「トハさん…………」
トハは少し涙ぐむが、指でそれを拭き取る。
「あんた達とフォルスちゃんの関係は何だい?」
「仲間です!」
真緒は“仲間”という言葉を強調する様に言った。その言葉を聞いたトハは、少々驚きの表情を浮かべるが直ぐに笑顔を見せた。
「そうかい……フォルスちゃんに、鳥人以外の仲間が出来るなんてね……それで、あの子は今何処に?」
「「「!!」」」
真緒達は困惑していた。仲間だと言った手前、今現在一緒に行動していないなどと、言うのが躊躇われる。
「あの…………実は、フォルスさんはパーティーを脱退しました」
「何だって…………」
声のトーンが変わった。先程までの明るい声とは違い、酷く低音になっていた。
「どういう事だい?」
「…………それが……」
真緒達はトハに、この里に来る途中で何があったのか話した。里に近づくにつれ、フォルスの様子がおかしくなっていった事。心配して話を聞いたら、ヘルマウンテンを迂回しようと言ってきた事。そして、それをきっかけに真緒とフォルスが戦い合う事態に陥り、ケンカ別れしてしまった事。
「……はぁー…………」
真緒達の話を聞き終わったトハは、深いため息をついた。
「フォルスちゃんは変な所で意地っ張りだから、自分から姿を見せる事はしないだろうね…………けど、これだけは分かるよ」
「「「?」」」
トハは少し溜める仕草をすると、真緒達の目をしっかりと見つめて優しい声で言った。
「フォルスちゃんは、決して仲間を見捨てたりしない。あなた達を置いてどっかに行くなんて考えられないよ。ケンカ別れした状態なら尚更ね」
「フォルスさんの事、信頼しているんですね」
「そりゃあそうさ!わしはあの子を、二十年も育てて来たんだよ。あの子の性格は全て知り尽くしているさ!」
笑いながら自慢気に語るトハに、只純粋に凄いと思った真緒達。
「それじゃあ、わしはそろそろ失礼させてもらうよ」
「もう、行ってしまうんですか!?」
トハは、ゆっくりと腰を上げるとそのまま扉の前まで歩いて行く。
「あんた達のおかげで、ボケていた頭がスッキリしたからね。感謝してるよ」
そう言うと信じられない光景を真緒達は目にした。曲がっていた筈の腰が、徐々に真っ直ぐ縦になっていったのだ。
「ト、トハさん……こ、腰が……」
「あんた達はこれから、ヘルマウンテンに行くんだろ?ならわしも、わしにしか出来ない事をしたいのさ。頑張るんだよ若人達!」
そう告げるとトハは、部屋を出て行ってしまった。
「「「…………」」」
静寂な時間が流れる。まるで台風が過ぎ去った後の様だった。
「…………ビックリしたね。まさか、トハさんがフォルスさんのお婆ちゃんだったなんて……」
「…………私、フォルスさんに謝らなければいけません!」
真緒がフォルスの過去に驚いていると、リーマが思い詰めた表情をしながら深刻に口にした。
「フォルスさんにも、フォルスさんなりの辛い過去があったのに……それなのに私は…………」
「リーマ…………」
自分を責め立てるリーマに、真緒はそっと肩に手を乗せた。
「マオさん…………」
「なら、今度フォルスさんに会ったら皆で謝ろう。その上で、次こそは必ずこの里まで引っ張って行こう!!」
「ぷっ、あはははは」
フォルスへのリベンジに執念を燃やす真緒に、思わず笑ってしまうリーマ。
「でもその前に、里の皆を助けないとね」
「そうですね!」
「フォルスざんの故郷を守っで見せるだよ!!」
「今日はしっかりと休んで、明日の早朝にヘルマウンテンに向けて出発するよ!!」
「「「おおーー!!」」」
里の為、仲間の為、真緒達はヘルマウンテンに向けての準備を整えるのであった。
***
「………………」
その夜、真緒達が寝静まっている中、エジタスだけが眠っておらずゆっくりと静かに体を起こした。
「………………」
エジタスは無言のまま、パチンと指を鳴らす。すると既にそこにはエジタスの姿は無くなっていた。
「誰だ!!…………ああ何だ、エジタスさんか……」
場所は変わって、鳥人の里からかなり離れた所にフォルスは一人、焚き火を起こしていた。しかし、何者かの気配を感じ取り素早く振り返るとそこには、転移でやって来たエジタスが立っていた。
「驚かないのですね~」
「そりゃあまぁ、エジタスさんには一度見た対象物の下に一瞬で辿り着ける“転移”があるから、いつかは来るとは思っていたけど…………まさか、こんなにも早く来るとはな。エジタスさん一人なのか、マオ達はどうしたんだ?」
伊達に三十五年間も生きてはいないと、言わんばかりに予測していたフォルスは、真緒達がいない事を疑問に思っていた。
「マオさん達なら明日、里の上昇気流が突然止まった原因を探るべく、ヘルマウンテンに行く準備を整えていますよ」
「何、里の上昇気流が止まったのか!?」
フォルスは慌てて、エジタスに顔を向けた。
「ええ、そのせいで里の皆さんは飛べなくなってしまって困っていましたよ。良かったじゃないですか~、飛べないからと言ってあなたを追い出したのでしょう?いい気味です」
「ち、違うんだ!本当は俺自身が決めた事で「知ってますよ」……えっ?」
フォルスが追い出された事について、誤解であるのを説明しようとするとエジタスは、それを遮った。
「あなたの祖母であるトハさんから、全て聞きましたよ。飛べない理由も含めてね…………」
「そう……だったのか……」
「それにしても…………ガッカリですよ」
「…………えっ?」
誤解は既に解けていた事に安堵していたフォルスだったが、エジタスの一言に耳を疑った。
「飛べない訳なのだから、さぞかし壮絶な理由だろうと思っていたのですが、聞いてみれば過去のトラウマって…………くだらない、くだらない、くだらない、くだらない、くだらない!!」
「エ、エジタスさん…………?」
突然の言動にフォルスは、呆気に取られていた。
「ありきたりなんですよ!私はね、そういうのを腐るほど見てきました!自分のせいで、母親が死んでしまったショックから飛べなくなるなんて、正直…………期待外れですよ」
「………………」
何を言われているのか、頭の理解が追い付かず、困惑する。そんなフォルスに、エジタスが仮面の顔を近づけてきた。その時の仮面は、いつも以上に不気味に笑っている様に見えた。
「もうあなたに興味はありません。もう帰って来なくて大丈夫ですから、安心してください」
「エジタスさん……俺……」
フォルスが何かを言い掛けるが、パチンという指を鳴らす音と同時に、エジタスの姿は無くなっていた。
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