笑顔の絶えない世界~道楽の道化師の軌跡~

マーキ・ヘイト

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第七章 冒険編 極寒の楽園

氷雪の洞窟

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 「階段だと…………」



 「どうしてこんな物が、ここにあるのでしょうか?」



 真緒達は“クラウドツリー”に向かう途中で、急激な吹雪に見舞われ近くにあった洞穴で収まるのを待っていると、奥の方に人工的な階段を発見した。



 「分からない……だがこれだけは言える。ここは洞穴なんかじゃ無い、意図的に作り出された洞窟だったんだ!」



 「洞窟…………」



 目の前の階段から導き出された事実に、驚きを隠せない真緒達。



 「それでどうしますか~?」



 「どうって……何がですか?」



 エジタスの問いに、察しが悪いマオは聞き返した。



 「この階段を降りて行くのか、それとも見なかった事にして、ここで吹雪が収まるのを待つのか……」



 「私はここで、吹雪が収まるのを待つ方に賛成です!!」



 二つの選択肢に、リーマが待つ方に勢いよく手を挙げた。



 「……俺は、階段を降りて行く方が良いと思う」



 「オラもその方が良いと思うだぁ」



 「私も同じく、降りた方が良いと思います」



 「勿論、私も同じ意見ですよ~」



 「ええっ!!そんな!?」



 しかし、リーマ以外の全員は階段を降りる方に賛成した。



 「皆さん、考え直して下さい!ここですら既に限界の寒さなのに、それ以上の寒さが予想される階段の下に行こうだなんて、正気の沙汰ではありません!」



 リーマの言う通り、奥にある階段の下から今いる場所よりも、更に冷たい冷気が伝わって来る。



 「それよりも、ここで吹雪が収まるのを待つ方が賢明だと言えます!」



 「……だがそれだといつ吹雪が収まるのかが、分からないのじゃ無いか?」



 「そ、それはそうですけど……」



 外の吹雪は一向に収まる気配を見せず、今も尚吹き荒れている。



 「それに、ここより冷たい冷気が伝わるって事は、外が雪で覆われたのと何か関係があるかもしれないよ」



 「う、うう…………」



 完全に論破されてしまった。いつ収まるのか不明な吹雪をひたすら待つよりも、奥へと進んで原因を探す方がまだ望みが残っている。



 「それならリーマさんは、留守番という事でいいんじゃないでしょうか~?」



 「えっ…………?」



 「あー…………そうだね、リーマの言う通り吹雪が収まった時の事も考慮して、誰か一人がここに残って吹雪の様子を確かめたら良いのかもしれない」



 「そ、そんな……」



 エジタスの一言でまさかの展開に変わってしまい、窮地に立たされるリーマ。



 「それじゃあ、リーマはここに残って……」



 「い、嫌です!私も皆さんと一緒に降りますー!!」



 「ちょっ…………!!」



 「「「「「うわぁあああ!!」」」」」



 一人残されるのを恐れたリーマは、真緒達に向かって走り出すが、勢い余って一緒に階段下に転げ落ちてしまった。



 「もぉー、リーマったら慌て過ぎだよ…………」



 「ご、ごめんなさい……」



 「最初っから、置いて行くなんて選択肢は存在していないから、安心してよかったんだぞ」



 「そうだったんですか!?」



 フォルスの言葉に、驚きの声を上げるリーマ。



 「こんな寒い中、誰か一人を残すなんて自殺行為。暖を取る意味でも一緒に行動するのが最適だ」



 「それならそうと、言って下さいよー…………」



 「ごめんね。リーマを説得しようと思って、師匠の言葉を利用したんだけど…………強すぎたね」



 「本当ですよ!かなり焦ったんですからね!!」



 「「あはははは!」」



 真緒とフォルスの二人は、リーマの焦る顔を見て思わず笑ってしまう。



 「あれ、演技だっだの?オラはでっぎり本気なのがど思っだだぁ」



 「私もですよ~」



 「「「…………えっ?」」」



 それからしばらくの間、真緒達の中で静寂が流れるのであった。







***







 「それにしても凄いですね……まさか、階段の下がこんな事になっているだなんて……」



 真緒達の目線の先には、全てが氷と雪で作られた道が存在していた。透明度が高い為、壁、床、天井に真緒達が反射して写っている。凹凸が一切見受けられないその道は、人工的に補強されているのは明白だ。



 「足下に気を付けろ、氷と雪のせいで滑りやすくなっているからな」



 「おどどどっ……うわぁ!」



 言っている側からハナコがバランスを崩し、転んでしまった。



 「これは、進むのにも一苦労だな」



 「何でフォルスさんは、そんな平然と立っていられるんですか?」



 各々がふらふらになっている中で、フォルスだけが余裕の表情で立っていた。



 「俺の足は鉤爪だからな。滑らない様に突き刺しているんだ」



 よく見ると、フォルスの鉤爪の先が氷に突き刺さっていた。



 「羨ましい…………」



 「ほら、無駄口叩いていないで先へ進むぞ」



 ふらふらの真緒達に構わず、先頭を進んで行くフォルス。



 「あ、待って下さいよフォルスさん!!」



 真緒達は転ばない様に気を付けながら、フォルスの後を追いかけて行った。







***







 氷の上で歩くのも慣れ始め、しばらく歩いていると“ある物”が見えて来た。



 「あれは…………氷像?」



 五メートル近くあるその氷像は、巨大な氷の剣を両手で持ち、足下の台に突き刺す様な勇ましい姿をしており、道の左右に向き合い規則的に立ち並べられ、まるで花道の様であった。



 「大きいですね~」



 「こんな物まで置かれているだなんて、ここを作ったのはどんな人なんでしょうか…………」



 そう呟きながら、八体の氷像の横を通り過ぎる真緒達だったが、その内の一体の目がこちらを追う様に動いた。



 「…………あれ?」



 「どうしたのリーマ?」



 最後尾にいたリーマが、氷像の動きに気が付いた。



 「今、この氷像の目がこちらを見ていた気がしました……」



 リーマが氷像を見つめるが、特に変わった様子は無かった。



 「そんな怖い事、言わないでよ」



 「気のせいじゃないのか?」



 「うーん、気のせいだったのでしょうか…………?」



 それでも尚、氷像を睨み付けるリーマだが特に変わった様子は無かった。



 「そうだよ……像が動き出すだなんて、おとぎ話じゃ無いんだから……」



 そう言う真緒の背後で、巨大な氷の剣を降り掲げる者がいた。



 「マオさん、危ない!!!」



 「えっ……!?」



 バゴォン!!という、けたたましい音が鳴り響いた。リーマの叫び声で咄嗟に反応を示した真緒は、寸前の所で避ける事に成功した。そのすぐ横では、氷像が振り下ろした巨大な氷の剣が氷の地面に突き刺さり、ひびが入っていた。そしてそれを合図にしていたかの様に、次々と他の氷像も乗っていた台から降りて動き出した。



 「こ、こいつら動くぞ!!」



 真緒に攻撃した氷像も、氷の地面に突き刺さった剣を引き抜き、他の氷像と同じ様に構える。



 「み、皆、戦闘準備!!」



 「「「「了解!!」」」」



 八体の氷像に囲まれ戸惑いながらも、真緒達の戦闘が開始するのであった。
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