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第七章 冒険編 極寒の楽園
真緒パーティー VS 雪女(後編)
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「“スノーウェーブ”!!」
「ぐわぁああ!!」
「きゃああ!!」
「どわぁああ!!」
フォルス達三人は、スゥーが発した雪の波に押し流された。
「あらあら、三人いてもこの程度なの?」
「くそっ……こんなにも力の差があるだなんて……」
満身創痍のフォルス達に対して、傷一つ付いていないスゥー。明らかな実力差に絶句する。
「さぁ、そろそろ終わりにしましょうか」
「ここまでか……」
「マオさん……」
「マオぢゃん……」
死を覚悟した三人は、これから来る恐怖に目を瞑った。
「スキル“ロストブレイク”!」
「!!」
フォルス達に止めを刺そうとしたその時、背後から真緒がスキルを発動して攻撃を仕掛けた。スゥーは咄嗟に氷の壁を出現させ、攻撃を防いだ。
「やっぱり一筋縄では行かないか……」
「マオ!!」
「マオさん、よかった無事だったんですね!!」
「マオぢゃん、本当に良がっだだぁ!!」
救世主の如く現れた、真緒とケイの下に駆け寄るフォルス達。
「皆、遅くなってごめん。でもその代わり、スゥーさんの弱点が分かったよ!」
「な、何!?それは本当か!?」
「こんな短時間で……」
「凄いだよマオぢゃん!!」
「皆、耳を貸して……」
真緒は、ここまでの経緯として町長の家での出来事を仲間達に伝えた。
「成る程……連続で出す事が出来ないか……もしそれが本当なら……」
「私達にも勝機はあるかもしれません!」
勝てるかもしれない。そうした思いが真緒達に希望の光を与えた。
「私が先行するから、皆はスゥーさんの技を見極めて攻撃して」
「「「了解!!」」」
そう言うと真緒は、スゥーに向かって走り出した。
「あら、作戦会議はもういいの?」
「必ずあなたを助け出して見せます!!“ライト”」
真緒の手から強力な光の玉が作り出され、スゥーは思わず目が眩んだ。
「目眩ましのつもり!?」
「今です!!」
スゥーの目が眩んでいる隙を突き、真横からフォルスが矢を放つ。
「今度こそ、当てて見せる!!“三連弓”」
「!!」
連続で放たれた矢に対して、咄嗟に氷の壁……ではなく雪の壁を出現させた。しかし、雪の壁では防ぎきれず貫通しスゥーの肩に見事命中した。
「くっ……!!」
「やった!遂にダメージを与えたぞ!!」
「なかなかやるわね……」
するとスゥーは、突き刺さった矢を抜き出血している傷口に息を吹き掛け、凍らせる事で止血した。
「何!?」
「息を吹いたなら通る筈です!!“スネークフレイム”!」
リーマの魔導書から、炎で形成された蛇が生み出され、スゥーに向かって放たれる。
「……っ!!」
飛んで来る炎の蛇に、氷の壁を出現させて防いだ。
「隙ありだよぉ!」
「しまった!!」
フォルスの矢とリーマの魔法に気を取られ、背後に回っていたハナコに気が付かなかった。
「スキル“熊の一撃”!」
「調子に乗らない事ね!!」
スゥーが両手を地面に付けると、スゥーを中心に巨大な雪の波が発生した。
「どわぁああ!!」
スキルを当てる前にハナコは、雪の波に押し流されてしまった。
「まだまだ、ひよっこね!」
「本当にそうでしょうか?」
「!!?」
上の方から声が聞こえ、急いで見上げるとそこには“虚空”の力でスゥーの真上を飛んでいる真緒と、その真緒に担がれているケイがいた。
「準備は良い?」
「ああ、勿論だともーーー!!?」
最後まで返答を聞かず手を離した真緒。ケイは、物凄い早さで落下していく。
「まさか、今までのは全て陽動!?本命はあの盗人だと言うの!?」
「これが、俺なりの償いだ!!」
スゥーに向かって落下していくケイは、右手を突き出した。
「させない!!」
向かって来るケイに息を吹き掛けるスゥー。息を浴びたケイは、右手と両足が凍ってしまった。
「これで万策尽きたわね!」
「いや……頭と左手が残っているなら何の問題も無い!!」
ケイは、凍っていない左手を突き出した。
「嘘!!?」
「すまない、しばらくの間眠ってて貰うぞ!“スリープ”」
「こんなの……ありえない……」
“スリープ”の力で眠くなってしまったスゥーは、そのまま無念にも寝てしまうのであった。
***
「…………ん、んん……」
「あ、起きた見たいですよ!」
スゥーが目を覚ますと、周りには真緒達が顔を除き込ませていた。
「気分はどうですか?」
「…………どうして私を殺さなかったの?」
自分が生きている現状に、納得が出来ないスゥー。
「だってスゥーさん、元々私達を殺す気なんて無かったじゃないですか」
「!!!」
今までクールを保っていた顔が、始めて崩れた瞬間であった。
「どうして…………そう思うの?」
「……もし、本当にスゥーさんが私達を殺す気でいるのなら、あんな鬼ごっこなんて回りくどい事をしないで、さっさと凍らせればいい筈です」
「……私は鬼ごっこが好きなのよ」
「だとしても、私達に苦戦せず簡単に氷付けに出来た筈です。それこそ、あの時の氷像を出していたら確実です」
「…………」
「でも、そうはしなかった。それは真の目的があったから……」
「…………」
真緒の言葉にスゥーは、沈黙を貫き通す。
「真の目的……それはスゥーさん、あなた自身が死ぬ事です!!」
「…………流石ね。そこまで見破られてしまったら、もうどうしようも無いわね……」
遂に観念したのか、スゥーは真緒の言葉を認めた。
「スゥーさん、どうしてこんな事を……」
「……一度ならず二度までも、私は町の人達を氷付けにしてしまった。そんな心が不安定になっただけで、力が暴走してしまう様な町長はいなくなった方が良いんです」
「本気で言っているんですか……?」
「…………」
「氷付けにしてしまった事は仕方ありません。誠心誠意謝るしか無いでしょう……でも、それでいなくなった方が良いと思うのは間違っています!!スゥーさんがいなくなるのを町の人達は望んでいません。前町長も……」
「えっ……?」
何故このタイミングで、前町長の話が出て来るのか理解出来ないスゥー。
「これ……前町長の部屋で見つけました」
そう言って取り出したのは、一通の手紙だった。その手紙をスゥーに手渡す。
「これは……?」
「前町長がスゥーさんに宛てた手紙です」
「!!」
前町長がスゥー宛に残した手紙。そんな話は一度も聞いた事が無かった。震える手を抑えながら、手紙の内容を読み始めた。
『スゥーへ
この手紙を読んでいるという事は、私は死んでしまったのだね。それとこの手紙では“スゥー”と記しているが、この名前は今夜伝えようと思っている名前だから、気に入ってくれるかどうか不安だ』
「ふふふ…………」
手紙でも相変わらずの町長で、思わず笑みが溢れる。
『さて、前置きはこの位にしてそろそろ本題と行こう。スゥー、実は君には隠していたが私は元々“山賊”だった』
「ええっ!?」
突然の告白に頭が追い付かない。
『山に住み、麓の村や町を襲っては金品や食料を奪っていた。しかしある日の事、いつもの様に近くの村を襲うとしたが、その襲った村は用心棒を雇っていた。当然仲間は全滅、何とか私だけ生き延びる事が出来て命からがら小さな洞穴へと逃げ込んだ。そう、その洞穴こそが“アンダータウン”に繋がる洞窟だった。今思い返しても恥ずかしい話だが、その時私はこの町を乗っ取ろうと考えた』
「町長が……“山賊”…………」
次々と明らかになっていく町長の過去。ずっと、生まれた時から町の住人だと思っていたのにまさか、自分と同じ他所から来た人だとは想像もしていなかった。
『結果は勿論失敗。そして私は当時の町長に罪滅ぼしという名目で、この町に住まわせて貰う事となった。だが今思えば、あれはあの人の優しさだったのでは無いかと感じる…………それから七十年。当時の町長は亡くなり、私が新しい町長として勤めている時に君に出会った』
「!!!」
『正直、初めて君に出会った時偶然か必然か、山賊だった頃の自分自身と重ねていたよ。でもまぁ実際は、私よりも素直で真面目な心の綺麗な子だったんだけどね。だからこそ、私はスゥーが次の町長になるべきだと判断した。君ならきっとやり遂げてくれると思った』
「町長…………」
スゥーは自分の不甲斐なさに嫌気が差していた。町長がこんなにも信じてくれていたのにも関わらず、その期待を裏切ってしまったのだから。
『さて……何故ここまで長々と自分の過去を明かしたのか……それは、もしかしたらこの手紙を読んでいる現在のスゥーは、自分自身の在り方について悩んでいるのでは無いかと思ったからだ』
「!!!」
町長の予想が見事当たっていた事に、驚きを隠せないスゥー。
『そんなスゥーに人生の先輩からアドバイスを送ろう。“人は何度だって生まれ変われる。生きている限り、悪人だって善人になれる”元山賊だった私が言うのだから間違い無い!!だが、いきなり言われても難しいのは承知だ。ゆっくりで良い、亀の様に遅くとも一歩一歩確実に進んで行きなさい』
「何度だって生まれ変われる……」
山賊に雪女。悪人だった者達がこうして代々町長を勤めている。昔のスゥーでは考えもしなかっただろう。
『もうそろそろ書く事も無くなって来た。最後に炎の王冠の使い方について、書き記しておく』
「炎の王冠!!?」
町長は炎の王冠の使い方を教える事無く、亡くなってしまった。しかし教えるのでは無く、書き残していたのだ。
『王冠は、その使用者が上に立つ人物として相応しいかどうかを見極めてくれる。認められれば自在に操れるが、そうで無ければ只の被り物だ。因みに私が炎の王冠を扱える様になるのに五十年を要した。スゥーも必ず扱える筈だ、そんな気がする。さて、これで私の話は以上となる。この手紙が私の亡くなった後に見つかる事を願い、机の中に閉まって置くとしよう』
「…………」
「スゥーさん、大丈夫ですか?」
手紙を読み終えたスゥーは、しばらくの間固まっていた。やがて優しく笑い始めた。
「ふふふ、町長らしいですね……」
丁寧に手紙を折り畳んだスゥーは、真緒達に向き直した。
「皆さん、ご迷惑をお掛けしました。私は只逃げていただけの様です」
「スゥーさん……」
「一度や二度の失敗で怖じ気づいてしまっていました。でもこれからは違います。今日から新しく生まれ変わった私をお見せします」
完全復活を果たしたスゥー。その表情は、自信とやる気に満ち溢れていた。
「スゥーさん、これ……」
真緒が取り出したのは、炎の王冠だった。
「…………」
「スゥーさんなら、きっと扱えます!!だって前の町長が扱うのに五十年掛かったのなら、同じ五十年町長として勤めているスゥーさんだったら、扱える筈です!!」
「マオさん……ありがとう」
真緒から炎の王冠を手渡される。
「!!!」
「な、何、眩しい!!」
その瞬間、炎の王冠が光輝き始め町全体を包み込んだ。
「ぐわぁああ!!」
「きゃああ!!」
「どわぁああ!!」
フォルス達三人は、スゥーが発した雪の波に押し流された。
「あらあら、三人いてもこの程度なの?」
「くそっ……こんなにも力の差があるだなんて……」
満身創痍のフォルス達に対して、傷一つ付いていないスゥー。明らかな実力差に絶句する。
「さぁ、そろそろ終わりにしましょうか」
「ここまでか……」
「マオさん……」
「マオぢゃん……」
死を覚悟した三人は、これから来る恐怖に目を瞑った。
「スキル“ロストブレイク”!」
「!!」
フォルス達に止めを刺そうとしたその時、背後から真緒がスキルを発動して攻撃を仕掛けた。スゥーは咄嗟に氷の壁を出現させ、攻撃を防いだ。
「やっぱり一筋縄では行かないか……」
「マオ!!」
「マオさん、よかった無事だったんですね!!」
「マオぢゃん、本当に良がっだだぁ!!」
救世主の如く現れた、真緒とケイの下に駆け寄るフォルス達。
「皆、遅くなってごめん。でもその代わり、スゥーさんの弱点が分かったよ!」
「な、何!?それは本当か!?」
「こんな短時間で……」
「凄いだよマオぢゃん!!」
「皆、耳を貸して……」
真緒は、ここまでの経緯として町長の家での出来事を仲間達に伝えた。
「成る程……連続で出す事が出来ないか……もしそれが本当なら……」
「私達にも勝機はあるかもしれません!」
勝てるかもしれない。そうした思いが真緒達に希望の光を与えた。
「私が先行するから、皆はスゥーさんの技を見極めて攻撃して」
「「「了解!!」」」
そう言うと真緒は、スゥーに向かって走り出した。
「あら、作戦会議はもういいの?」
「必ずあなたを助け出して見せます!!“ライト”」
真緒の手から強力な光の玉が作り出され、スゥーは思わず目が眩んだ。
「目眩ましのつもり!?」
「今です!!」
スゥーの目が眩んでいる隙を突き、真横からフォルスが矢を放つ。
「今度こそ、当てて見せる!!“三連弓”」
「!!」
連続で放たれた矢に対して、咄嗟に氷の壁……ではなく雪の壁を出現させた。しかし、雪の壁では防ぎきれず貫通しスゥーの肩に見事命中した。
「くっ……!!」
「やった!遂にダメージを与えたぞ!!」
「なかなかやるわね……」
するとスゥーは、突き刺さった矢を抜き出血している傷口に息を吹き掛け、凍らせる事で止血した。
「何!?」
「息を吹いたなら通る筈です!!“スネークフレイム”!」
リーマの魔導書から、炎で形成された蛇が生み出され、スゥーに向かって放たれる。
「……っ!!」
飛んで来る炎の蛇に、氷の壁を出現させて防いだ。
「隙ありだよぉ!」
「しまった!!」
フォルスの矢とリーマの魔法に気を取られ、背後に回っていたハナコに気が付かなかった。
「スキル“熊の一撃”!」
「調子に乗らない事ね!!」
スゥーが両手を地面に付けると、スゥーを中心に巨大な雪の波が発生した。
「どわぁああ!!」
スキルを当てる前にハナコは、雪の波に押し流されてしまった。
「まだまだ、ひよっこね!」
「本当にそうでしょうか?」
「!!?」
上の方から声が聞こえ、急いで見上げるとそこには“虚空”の力でスゥーの真上を飛んでいる真緒と、その真緒に担がれているケイがいた。
「準備は良い?」
「ああ、勿論だともーーー!!?」
最後まで返答を聞かず手を離した真緒。ケイは、物凄い早さで落下していく。
「まさか、今までのは全て陽動!?本命はあの盗人だと言うの!?」
「これが、俺なりの償いだ!!」
スゥーに向かって落下していくケイは、右手を突き出した。
「させない!!」
向かって来るケイに息を吹き掛けるスゥー。息を浴びたケイは、右手と両足が凍ってしまった。
「これで万策尽きたわね!」
「いや……頭と左手が残っているなら何の問題も無い!!」
ケイは、凍っていない左手を突き出した。
「嘘!!?」
「すまない、しばらくの間眠ってて貰うぞ!“スリープ”」
「こんなの……ありえない……」
“スリープ”の力で眠くなってしまったスゥーは、そのまま無念にも寝てしまうのであった。
***
「…………ん、んん……」
「あ、起きた見たいですよ!」
スゥーが目を覚ますと、周りには真緒達が顔を除き込ませていた。
「気分はどうですか?」
「…………どうして私を殺さなかったの?」
自分が生きている現状に、納得が出来ないスゥー。
「だってスゥーさん、元々私達を殺す気なんて無かったじゃないですか」
「!!!」
今までクールを保っていた顔が、始めて崩れた瞬間であった。
「どうして…………そう思うの?」
「……もし、本当にスゥーさんが私達を殺す気でいるのなら、あんな鬼ごっこなんて回りくどい事をしないで、さっさと凍らせればいい筈です」
「……私は鬼ごっこが好きなのよ」
「だとしても、私達に苦戦せず簡単に氷付けに出来た筈です。それこそ、あの時の氷像を出していたら確実です」
「…………」
「でも、そうはしなかった。それは真の目的があったから……」
「…………」
真緒の言葉にスゥーは、沈黙を貫き通す。
「真の目的……それはスゥーさん、あなた自身が死ぬ事です!!」
「…………流石ね。そこまで見破られてしまったら、もうどうしようも無いわね……」
遂に観念したのか、スゥーは真緒の言葉を認めた。
「スゥーさん、どうしてこんな事を……」
「……一度ならず二度までも、私は町の人達を氷付けにしてしまった。そんな心が不安定になっただけで、力が暴走してしまう様な町長はいなくなった方が良いんです」
「本気で言っているんですか……?」
「…………」
「氷付けにしてしまった事は仕方ありません。誠心誠意謝るしか無いでしょう……でも、それでいなくなった方が良いと思うのは間違っています!!スゥーさんがいなくなるのを町の人達は望んでいません。前町長も……」
「えっ……?」
何故このタイミングで、前町長の話が出て来るのか理解出来ないスゥー。
「これ……前町長の部屋で見つけました」
そう言って取り出したのは、一通の手紙だった。その手紙をスゥーに手渡す。
「これは……?」
「前町長がスゥーさんに宛てた手紙です」
「!!」
前町長がスゥー宛に残した手紙。そんな話は一度も聞いた事が無かった。震える手を抑えながら、手紙の内容を読み始めた。
『スゥーへ
この手紙を読んでいるという事は、私は死んでしまったのだね。それとこの手紙では“スゥー”と記しているが、この名前は今夜伝えようと思っている名前だから、気に入ってくれるかどうか不安だ』
「ふふふ…………」
手紙でも相変わらずの町長で、思わず笑みが溢れる。
『さて、前置きはこの位にしてそろそろ本題と行こう。スゥー、実は君には隠していたが私は元々“山賊”だった』
「ええっ!?」
突然の告白に頭が追い付かない。
『山に住み、麓の村や町を襲っては金品や食料を奪っていた。しかしある日の事、いつもの様に近くの村を襲うとしたが、その襲った村は用心棒を雇っていた。当然仲間は全滅、何とか私だけ生き延びる事が出来て命からがら小さな洞穴へと逃げ込んだ。そう、その洞穴こそが“アンダータウン”に繋がる洞窟だった。今思い返しても恥ずかしい話だが、その時私はこの町を乗っ取ろうと考えた』
「町長が……“山賊”…………」
次々と明らかになっていく町長の過去。ずっと、生まれた時から町の住人だと思っていたのにまさか、自分と同じ他所から来た人だとは想像もしていなかった。
『結果は勿論失敗。そして私は当時の町長に罪滅ぼしという名目で、この町に住まわせて貰う事となった。だが今思えば、あれはあの人の優しさだったのでは無いかと感じる…………それから七十年。当時の町長は亡くなり、私が新しい町長として勤めている時に君に出会った』
「!!!」
『正直、初めて君に出会った時偶然か必然か、山賊だった頃の自分自身と重ねていたよ。でもまぁ実際は、私よりも素直で真面目な心の綺麗な子だったんだけどね。だからこそ、私はスゥーが次の町長になるべきだと判断した。君ならきっとやり遂げてくれると思った』
「町長…………」
スゥーは自分の不甲斐なさに嫌気が差していた。町長がこんなにも信じてくれていたのにも関わらず、その期待を裏切ってしまったのだから。
『さて……何故ここまで長々と自分の過去を明かしたのか……それは、もしかしたらこの手紙を読んでいる現在のスゥーは、自分自身の在り方について悩んでいるのでは無いかと思ったからだ』
「!!!」
町長の予想が見事当たっていた事に、驚きを隠せないスゥー。
『そんなスゥーに人生の先輩からアドバイスを送ろう。“人は何度だって生まれ変われる。生きている限り、悪人だって善人になれる”元山賊だった私が言うのだから間違い無い!!だが、いきなり言われても難しいのは承知だ。ゆっくりで良い、亀の様に遅くとも一歩一歩確実に進んで行きなさい』
「何度だって生まれ変われる……」
山賊に雪女。悪人だった者達がこうして代々町長を勤めている。昔のスゥーでは考えもしなかっただろう。
『もうそろそろ書く事も無くなって来た。最後に炎の王冠の使い方について、書き記しておく』
「炎の王冠!!?」
町長は炎の王冠の使い方を教える事無く、亡くなってしまった。しかし教えるのでは無く、書き残していたのだ。
『王冠は、その使用者が上に立つ人物として相応しいかどうかを見極めてくれる。認められれば自在に操れるが、そうで無ければ只の被り物だ。因みに私が炎の王冠を扱える様になるのに五十年を要した。スゥーも必ず扱える筈だ、そんな気がする。さて、これで私の話は以上となる。この手紙が私の亡くなった後に見つかる事を願い、机の中に閉まって置くとしよう』
「…………」
「スゥーさん、大丈夫ですか?」
手紙を読み終えたスゥーは、しばらくの間固まっていた。やがて優しく笑い始めた。
「ふふふ、町長らしいですね……」
丁寧に手紙を折り畳んだスゥーは、真緒達に向き直した。
「皆さん、ご迷惑をお掛けしました。私は只逃げていただけの様です」
「スゥーさん……」
「一度や二度の失敗で怖じ気づいてしまっていました。でもこれからは違います。今日から新しく生まれ変わった私をお見せします」
完全復活を果たしたスゥー。その表情は、自信とやる気に満ち溢れていた。
「スゥーさん、これ……」
真緒が取り出したのは、炎の王冠だった。
「…………」
「スゥーさんなら、きっと扱えます!!だって前の町長が扱うのに五十年掛かったのなら、同じ五十年町長として勤めているスゥーさんだったら、扱える筈です!!」
「マオさん……ありがとう」
真緒から炎の王冠を手渡される。
「!!!」
「な、何、眩しい!!」
その瞬間、炎の王冠が光輝き始め町全体を包み込んだ。
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