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過去編 二千年前
サタニア・クラウン・ヘラトス一世
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「グォオオオ!!!」
「スキル“インパクトフレア”!!」
コウスケがスキルを唱えると、持っていた純白色に輝く剣先から赤々と燃え上がる炎が生み出され、襲い掛かる魔族の体を焼き貫いた。
「くっ…………さすがは魔王城と言った所かしら……襲い掛かって来る魔族の強さが、今までのと比べ物にならないわ…………」
「この先に魔王がいる筈だ。ここでMPや体力を削らない様に、注意して進んで行こう…………」
私達は、魔王城の門番と思われる二匹のハーピーを倒し、遂に旅の終着点である魔王城へと乗り込んでいた。
「ん~、あそこにある大きな扉……もしかしたら、あの部屋に魔王がいるかもしれませんね~」
「「!!!」」
エジタスが指差した方向には、一際目立つ大きな扉が存在していた。
「きっとあそこよ!!間違い無いわ!!」
「皆、気を引き締めて行くぞ!!」
私達は気を引き締め直して、一際目立つ大きな扉を勢い良く開いた。
***
「「「…………」」」
勢い良く入るも、中は薄暗く目を凝らしても部屋の奥まで、確認する事は出来なかった。
「暗いわね…………」
「それに恐ろしい程に静かだ………」
「“恐ろしい”と感じるのは、貴様が少なからず恐怖という感情を抱いている証拠だ」
「「!!?」」
その瞬間、私達の誰でも無い重低音な声が部屋全体に響き渡った。そして同時に、壁掛けランプの火が手前から奥へと灯り始め、部屋全体を明るくした。
「そうであろう勇者……貴様は、この我に恐怖を抱いている」
その一番奥、豪華に彩られた玉座に一人の魔族が座っていた。頭の左右から生える捻れた二本の角、その容姿はお世辞にも美男子とは言えないが、短髪に彫りの深い顔でとても男らしい見た目だった。
「「…………魔王……」」
私達が、魔王の容姿に対して呆気に取られていると、玉座に座っていた魔王がゆっくりと立ち上がった。
「その通り、我こそが全魔族の頂点に君臨する唯一無二の存在、“サタニア・クラウン・ヘラトス”である」
魔王サタニアは立ち上がると大きく両手を広げ、自身の名を名乗った。その瞬間、私達の背中を悪寒が通り過ぎた。それは恐怖、魔王サタニアの言う通りその時の私達は確かに恐怖を感じていた。
「して……いったい何の用で我が城に乗り込んで来たのだ…………」
「こ、これ以上人間を襲うのは止めて下さい!!お互い、無駄に命は散らしたく無い筈です!!」
平和的な解決。それは、コウスケが望んだ結末。出来る事なら、魔王とは戦わずに話し合いで事を納めたかった。
「貴様はあれか?後生大事に育てた家畜を食料としては殺せないという、哀願主義者の持ち主なのか?」
「に、人間は食料じゃ無い!!」
「否、人間も食料の一種類なのだよ。この世に生まれ、育っている時点で他の家畜と何ら変わらない食料の一種、それは全ての生物にも言える。我ら魔族は、そんな貴重な食料源である人間という生き物を狩り、食べている。その日を生き残る為にな、貴様らが育てた家畜を食べて飢えを凌いでいる様にな。それなのに、貴様らは勝手に自分達は補食対象で無いと決め付け、人間を食べている我ら魔族を虐げ、殺して来た!!すると今度は、“無駄に命は散らしたく無い”………身勝手にも程がある!!!」
「「…………」」
コウスケの申し出に魔王サタニアは、己の今まで抱いて来た感情を爆発させた。生きる事において、食べるのは必ず必要な要素である。この世は弱肉強食、強い者が食い弱い者は食われる。魔族達はその事をちゃんと理解していた。しかし、私達人間はいつからか自分達を絶対的な強者と決め付け、殺されるのはおかしいと思い込んでしまっていた。その事に魔王サタニアは、怒りと疑問を抱いていたのだ。
「すまなかった…………俺達人間が、今まで魔族にして来た事は決して許される事では無い……罪は償う!!しかし、だからこそこの争いに終止符を打ち、互いに手を取り合うべきなんだ!!もう悲劇を生まない為にも…………」
「…………別に貴様らが謝る必要は無い……我々魔族も、人間達に数え切れない程の悪事を働いた……この争いはもう止まらない……貴様らと我のどちらかが死ぬまで…………」
その時の魔王サタニアは、何処か諦めた表情をしていた。冷たく感情の籠っていないその言葉は、私達の肩に重くのし掛かる。
「戦うしか……ないのか……?」
「あぁ、戦うしかないのだ…………」
「「…………」」
終始無言となり、静寂が場を支配した。コウスケと魔王サタニアの間に緊張が走る。
「フン!!!」
「っ!!!」
魔王サタニアは、玉座からコウスケのいる所へ一瞬で間合いを詰めた。魔王サタニアは瞬時に脇を締め、拳をコウスケに突き出した。
「スキル“物理無効”!!」
「!!?」
その瞬間、コウスケの体が半透明な膜に覆われた。魔王サタニアが突き出した拳は、コウスケの作り出した半透明な膜に防がれた。
「“物理無効”だと…………?」
魔王サタニアは、コウスケの唱えたスキルのあまりの異様さに危険を感じて、瞬時に後ろへ跳んでその場から離れた。
「これが俺の切り札……相手のどんな物理攻撃も無効にする。これがある限り、俺に物理攻撃は効かないぜ!!」
「そんなふざけたスキルを持っているとは……人間は何処まで傲慢なのだ…………」
「今度はこちらの番だ!!“フレイムバースト”!!」
コウスケが、魔王サタニアに向けて右手を突き出し唱えると、コウスケの掌から小さな火の玉が生成され、そのまま魔王サタニア目掛けて放たれた。
「いや……それはお互い様と言うべきなのかな…………スキル“魔法無効”」
「何!?」
その瞬間、魔王サタニアの体が半透明な膜に覆われた。コウスケが放った火の玉は、魔王サタニアが作り出した膜に当たると爆発した。しかし、魔王サタニアは全くの無傷だった。
「実は我も、貴様と似た様なスキルを持っていたのだよ。能力はその名の通り、相手のどんな魔法も無効にする。これがある限り、我に魔法は効かない」
「つまり……俺にはスキルか魔法。あんたにはスキルか物理しか効かない……という訳だな…………」
「そう言う事になるな…………しかし、このまま長引くのは面倒だ。殺れ“エジタス”」
「「えっ…………?」」
ブスリ
私は一瞬、目の前で起きた出来事に対して信じる事が出来なかった。エジタスの右手がコウスケの背中に突き刺さっていたのだ。
「エ、エジタスさん…………いったい何を…………がはぁ!!」
「コウスケ!!!」
エジタスは、コウスケの背中に突き刺さった自身の右腕を、勢い良く引き抜いた。その衝撃から、コウスケは前のめりになって倒れた。私は急いでコウスケの側まで駆け寄った。
「エジタス!!あんた、自分が何やっているのか分かっているの!!?」
「えぇ、勿論ですよ~」
そう言うとエジタスは、静かに歩き出して魔王サタニアの側まで歩み寄る。
「エジタスよ、ご苦労であった」
「勿体無きお言葉」
「ちょっと……どう言う事よこれは…………」
私は、現状を上手く理解出来ていなかった。エジタスの裏切り、魔王サタニアとの関係、頭の中がパンク寸前であった。
「我が説明してやろう。貴様らがずっと仲間だと思っていたエジタスは、何を隠そう我の忠実なる右腕なのだ」
「そんな……いつから……」
「ずっとさ……ある日、勇者なる者が異世界から転移して来たという情報を掴み、その情報を探らせる為に我の右腕であるエジタスを王国の宮廷道化師として、潜り込ませていたのだ。だがまさか、その勇者の仲間になるとは予想もしていなかった」
絶望。あまりにも悲しい現実に、思わず私は両膝を床に付けた。
「ずっと……じゃあ……あの楽しかった旅は…………」
「全て演技ですよ~。ですが、あなた達が私の事を本当の仲間の様に慕ってくれていた時は、心の底から笑えましたけどね~」
「くっ……うぅ…………」
悔しい。悔しい。悔しい。こんな奴の事を信用していた自分が、情けなく思えて来る。私は目から流れる涙を抑えられなかった。
「さて、真実も明らかとなった事だ。そろそろ止めを刺す事にしよう」
そう言いながら、魔王サタニアは止めを刺す為に倒れ伏しているコウスケに近づこうとする。
「…………ん、エジタスよ。その右手に持っている“王冠”は何だ?」
「えっ、あっ、これですか?これはですね~、“すり抜け”」
しかし、その前に魔王サタニアがエジタスの右手に握られている王冠に気がついた。魔王サタニアが問い掛けると、エジタスは嬉しそうに王冠を見つめ、そして…………。
「うっ…………!!!」
「この世界を“笑顔の絶えない世界”にする為に欠かせない物ですよ…………」
「!!?」
エジタスは、王冠を握っていない左手で魔王サタニアの体を突き刺した。
「エ、エジタス……貴様……何を……!!?」
「いやはや、魔王様。あなたも人の事を言えませんね~。人間の事を散々貶していますけど、あなただって自身の事を補食対象で無いと勝手に決め付けているではありませんか~?」
「がはぁ!!!」
エジタスは、魔王サタニアの体に突き刺さった自身の左腕を、勢い良く引き抜いた。その衝撃から、魔王サタニアは仰向けになって倒れた。そして、引き抜いた左手には右手と同じ様な王冠が握られていた。
「あなたは、自分達魔族が人間に殺されるのはおかしいと思い込んでいる。そんなあなたに人間を責める権利はありませんよ。人間と魔族……はぁ~、全く世の中なんて自分勝手な人だらけですね…………ですが、それも終わりを告げる…………今日を持ってこの理不尽な世界は終わり、新たなる世界が誕生する!!そして世界は平和になる!!!」
エジタスは両手に握り締めた王冠を掲げた。その時のエジタスは、いつもより不気味な笑みを浮かべていた。
「スキル“インパクトフレア”!!」
コウスケがスキルを唱えると、持っていた純白色に輝く剣先から赤々と燃え上がる炎が生み出され、襲い掛かる魔族の体を焼き貫いた。
「くっ…………さすがは魔王城と言った所かしら……襲い掛かって来る魔族の強さが、今までのと比べ物にならないわ…………」
「この先に魔王がいる筈だ。ここでMPや体力を削らない様に、注意して進んで行こう…………」
私達は、魔王城の門番と思われる二匹のハーピーを倒し、遂に旅の終着点である魔王城へと乗り込んでいた。
「ん~、あそこにある大きな扉……もしかしたら、あの部屋に魔王がいるかもしれませんね~」
「「!!!」」
エジタスが指差した方向には、一際目立つ大きな扉が存在していた。
「きっとあそこよ!!間違い無いわ!!」
「皆、気を引き締めて行くぞ!!」
私達は気を引き締め直して、一際目立つ大きな扉を勢い良く開いた。
***
「「「…………」」」
勢い良く入るも、中は薄暗く目を凝らしても部屋の奥まで、確認する事は出来なかった。
「暗いわね…………」
「それに恐ろしい程に静かだ………」
「“恐ろしい”と感じるのは、貴様が少なからず恐怖という感情を抱いている証拠だ」
「「!!?」」
その瞬間、私達の誰でも無い重低音な声が部屋全体に響き渡った。そして同時に、壁掛けランプの火が手前から奥へと灯り始め、部屋全体を明るくした。
「そうであろう勇者……貴様は、この我に恐怖を抱いている」
その一番奥、豪華に彩られた玉座に一人の魔族が座っていた。頭の左右から生える捻れた二本の角、その容姿はお世辞にも美男子とは言えないが、短髪に彫りの深い顔でとても男らしい見た目だった。
「「…………魔王……」」
私達が、魔王の容姿に対して呆気に取られていると、玉座に座っていた魔王がゆっくりと立ち上がった。
「その通り、我こそが全魔族の頂点に君臨する唯一無二の存在、“サタニア・クラウン・ヘラトス”である」
魔王サタニアは立ち上がると大きく両手を広げ、自身の名を名乗った。その瞬間、私達の背中を悪寒が通り過ぎた。それは恐怖、魔王サタニアの言う通りその時の私達は確かに恐怖を感じていた。
「して……いったい何の用で我が城に乗り込んで来たのだ…………」
「こ、これ以上人間を襲うのは止めて下さい!!お互い、無駄に命は散らしたく無い筈です!!」
平和的な解決。それは、コウスケが望んだ結末。出来る事なら、魔王とは戦わずに話し合いで事を納めたかった。
「貴様はあれか?後生大事に育てた家畜を食料としては殺せないという、哀願主義者の持ち主なのか?」
「に、人間は食料じゃ無い!!」
「否、人間も食料の一種類なのだよ。この世に生まれ、育っている時点で他の家畜と何ら変わらない食料の一種、それは全ての生物にも言える。我ら魔族は、そんな貴重な食料源である人間という生き物を狩り、食べている。その日を生き残る為にな、貴様らが育てた家畜を食べて飢えを凌いでいる様にな。それなのに、貴様らは勝手に自分達は補食対象で無いと決め付け、人間を食べている我ら魔族を虐げ、殺して来た!!すると今度は、“無駄に命は散らしたく無い”………身勝手にも程がある!!!」
「「…………」」
コウスケの申し出に魔王サタニアは、己の今まで抱いて来た感情を爆発させた。生きる事において、食べるのは必ず必要な要素である。この世は弱肉強食、強い者が食い弱い者は食われる。魔族達はその事をちゃんと理解していた。しかし、私達人間はいつからか自分達を絶対的な強者と決め付け、殺されるのはおかしいと思い込んでしまっていた。その事に魔王サタニアは、怒りと疑問を抱いていたのだ。
「すまなかった…………俺達人間が、今まで魔族にして来た事は決して許される事では無い……罪は償う!!しかし、だからこそこの争いに終止符を打ち、互いに手を取り合うべきなんだ!!もう悲劇を生まない為にも…………」
「…………別に貴様らが謝る必要は無い……我々魔族も、人間達に数え切れない程の悪事を働いた……この争いはもう止まらない……貴様らと我のどちらかが死ぬまで…………」
その時の魔王サタニアは、何処か諦めた表情をしていた。冷たく感情の籠っていないその言葉は、私達の肩に重くのし掛かる。
「戦うしか……ないのか……?」
「あぁ、戦うしかないのだ…………」
「「…………」」
終始無言となり、静寂が場を支配した。コウスケと魔王サタニアの間に緊張が走る。
「フン!!!」
「っ!!!」
魔王サタニアは、玉座からコウスケのいる所へ一瞬で間合いを詰めた。魔王サタニアは瞬時に脇を締め、拳をコウスケに突き出した。
「スキル“物理無効”!!」
「!!?」
その瞬間、コウスケの体が半透明な膜に覆われた。魔王サタニアが突き出した拳は、コウスケの作り出した半透明な膜に防がれた。
「“物理無効”だと…………?」
魔王サタニアは、コウスケの唱えたスキルのあまりの異様さに危険を感じて、瞬時に後ろへ跳んでその場から離れた。
「これが俺の切り札……相手のどんな物理攻撃も無効にする。これがある限り、俺に物理攻撃は効かないぜ!!」
「そんなふざけたスキルを持っているとは……人間は何処まで傲慢なのだ…………」
「今度はこちらの番だ!!“フレイムバースト”!!」
コウスケが、魔王サタニアに向けて右手を突き出し唱えると、コウスケの掌から小さな火の玉が生成され、そのまま魔王サタニア目掛けて放たれた。
「いや……それはお互い様と言うべきなのかな…………スキル“魔法無効”」
「何!?」
その瞬間、魔王サタニアの体が半透明な膜に覆われた。コウスケが放った火の玉は、魔王サタニアが作り出した膜に当たると爆発した。しかし、魔王サタニアは全くの無傷だった。
「実は我も、貴様と似た様なスキルを持っていたのだよ。能力はその名の通り、相手のどんな魔法も無効にする。これがある限り、我に魔法は効かない」
「つまり……俺にはスキルか魔法。あんたにはスキルか物理しか効かない……という訳だな…………」
「そう言う事になるな…………しかし、このまま長引くのは面倒だ。殺れ“エジタス”」
「「えっ…………?」」
ブスリ
私は一瞬、目の前で起きた出来事に対して信じる事が出来なかった。エジタスの右手がコウスケの背中に突き刺さっていたのだ。
「エ、エジタスさん…………いったい何を…………がはぁ!!」
「コウスケ!!!」
エジタスは、コウスケの背中に突き刺さった自身の右腕を、勢い良く引き抜いた。その衝撃から、コウスケは前のめりになって倒れた。私は急いでコウスケの側まで駆け寄った。
「エジタス!!あんた、自分が何やっているのか分かっているの!!?」
「えぇ、勿論ですよ~」
そう言うとエジタスは、静かに歩き出して魔王サタニアの側まで歩み寄る。
「エジタスよ、ご苦労であった」
「勿体無きお言葉」
「ちょっと……どう言う事よこれは…………」
私は、現状を上手く理解出来ていなかった。エジタスの裏切り、魔王サタニアとの関係、頭の中がパンク寸前であった。
「我が説明してやろう。貴様らがずっと仲間だと思っていたエジタスは、何を隠そう我の忠実なる右腕なのだ」
「そんな……いつから……」
「ずっとさ……ある日、勇者なる者が異世界から転移して来たという情報を掴み、その情報を探らせる為に我の右腕であるエジタスを王国の宮廷道化師として、潜り込ませていたのだ。だがまさか、その勇者の仲間になるとは予想もしていなかった」
絶望。あまりにも悲しい現実に、思わず私は両膝を床に付けた。
「ずっと……じゃあ……あの楽しかった旅は…………」
「全て演技ですよ~。ですが、あなた達が私の事を本当の仲間の様に慕ってくれていた時は、心の底から笑えましたけどね~」
「くっ……うぅ…………」
悔しい。悔しい。悔しい。こんな奴の事を信用していた自分が、情けなく思えて来る。私は目から流れる涙を抑えられなかった。
「さて、真実も明らかとなった事だ。そろそろ止めを刺す事にしよう」
そう言いながら、魔王サタニアは止めを刺す為に倒れ伏しているコウスケに近づこうとする。
「…………ん、エジタスよ。その右手に持っている“王冠”は何だ?」
「えっ、あっ、これですか?これはですね~、“すり抜け”」
しかし、その前に魔王サタニアがエジタスの右手に握られている王冠に気がついた。魔王サタニアが問い掛けると、エジタスは嬉しそうに王冠を見つめ、そして…………。
「うっ…………!!!」
「この世界を“笑顔の絶えない世界”にする為に欠かせない物ですよ…………」
「!!?」
エジタスは、王冠を握っていない左手で魔王サタニアの体を突き刺した。
「エ、エジタス……貴様……何を……!!?」
「いやはや、魔王様。あなたも人の事を言えませんね~。人間の事を散々貶していますけど、あなただって自身の事を補食対象で無いと勝手に決め付けているではありませんか~?」
「がはぁ!!!」
エジタスは、魔王サタニアの体に突き刺さった自身の左腕を、勢い良く引き抜いた。その衝撃から、魔王サタニアは仰向けになって倒れた。そして、引き抜いた左手には右手と同じ様な王冠が握られていた。
「あなたは、自分達魔族が人間に殺されるのはおかしいと思い込んでいる。そんなあなたに人間を責める権利はありませんよ。人間と魔族……はぁ~、全く世の中なんて自分勝手な人だらけですね…………ですが、それも終わりを告げる…………今日を持ってこの理不尽な世界は終わり、新たなる世界が誕生する!!そして世界は平和になる!!!」
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