笑顔の絶えない世界~道楽の道化師の軌跡~

マーキ・ヘイト

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最終章 笑顔の絶えない世界

集結する想い

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 スゥーの活躍により、微かな希望の光を照らされた。しかしエジタスのシバリングが、希望の光を打ち消した。スゥーが諦め掛けたその時、空の彼方からジェド海賊団の船がエジタスの胸に激突し、真緒達の窮地を見事救った。



 「ジェドさん……いったい、どうやってこんな所まで来たんですか!?」



 最大の疑問。自分達がいる魔王城から、ジェド達のいる“クリアビーチ”までかなりの距離がある。とても一、二日で行ける距離では無い。そんな真緒の問いに、船の手すりで仁王立ちするジェドは得意気に笑みを浮かべた。



 「俺達は“海の男”だぜ?勿論、海を渡って来たのさ!!波に乗ってくれば、簡単に辿り着く事が出来る!!」



 「な、波って言いますけど……こんな所に波なんか…………えっ、これって……“水”?」



 その場にいる全員が気が付いた。足元に、いつの間にか水が張っている。爪程の厚さの水が張られていた。足元の水に気が付いた一同は、その発生源を探る為に慌てて振り返った。



 「あ……ああ!!」



 「おいおい嘘だろ!?」



 「あ、あれは…………!!」



 するとそこには、人魚の女王を中心に数人の人魚達が両腕を高く掲げており、更にその後ろには、巨大な水の波が存在していた。そして側には確りと、リーマ達三人が立っていた。



 「じょ、女王様!?」



 「お久しぶりですね。マオさん、ハナコさん、フォルスさん。微力ながら加勢しに参りました」



 そう言いながら女王達が両腕を下ろすと、後ろに存在していた巨大な水の波が一瞬で崩れ去り、只の水となって辺り一面に広がった。



 「そうか……人魚達の水魔法で生成された波を使ったから、ここまで渡って来れたのか……」



 「で、でも皆さん……どうしてこんな遠い所まで来てくれたんですか……?」



 「それは、あなた方の事が心配だったからです」



 「「「えっ?」」」



 女王が当たり前の様に発した言葉に、真緒達はいまいち理解出来なかった。



 「始まりは、空一面が真っ赤に染まった事でした。そしてそれからすぐに、あの巨大な生き物が突如姿を現しました」



 「……肉と骨……世界中がらがぎ集めるっで言っでいだのは、本当だっだんだなぁ……」



 「私達は、現れた生き物の距離と方角から、丁度マオさん達がいる場所ではないかと思いました。そう考えた私達は直ぐに行動を起こし、急いでここまでやって来たという訳です」



 「そうだったんですか……ありがとうございます。それで、あの巨大な生き物の事なんですが……実は……」



 とても言いづらかった。まさか、今までずっと旅をしていた仲間の一人だなんて、精神的にも辛いものがあった。



 「大丈夫ですよ。話は全部、リーマさん達から聞かせて頂きました」



 「そ、そうなんですか!?」



 真緒が視線を横にずらし、リーマ達の事を見ると、リーマがウィンクをして返事を返してくれた。



 「だけどまさか、スゥーさんに続いてジェドさんや女王様達まで来てくれるだなんて…………」



 「ふふ、喜ぶのにはまだ早いですよ。実は……「この出来損ないの魚類どもがぁあああああ!!!」……!!?」



 女王が何かを言おうとした時、エジタスが怒りの声を上げる。それによって、全員の目線がエジタスに注がれる。



 「地上に出ず、永遠に暗い海の底で暮らしていれば楽に死ねたものを……助けに来たつもりらしいが、貴様らの死ぬ時間が早まっただけに過ぎない!!」



 するとエジタスは拳を両手に作り、突き刺さった船にいるジェド達目掛け、思い切り高く振り上げると、勢い良く振り下ろした。



 「ま、不味い!!総員、船を棄てて飛び降りるんだ!!!」



 ジェドの叫び声と共に、船に乗っていた船員達が船を棄てて、一斉に飛び降りた。



 「あっ!!大変ですよ!!ジェドさん達が飛び降りました!!急いで助けに行かないと!!」



 「マオさん、大丈夫ですよ」



 「で、でも!!」



 飛び降りたジェド達を見て、真緒達が急いで助けに行こうとするが、何故か女王に止められてしまった。



 「大丈夫なんです。さっき言いそびれてしまいましたが、実は私達の他にも、助けに駆け付けてくれた人達がいるのです」



 「えっ……?」



 「あの人達とは、ここに来る途中の“ヘルマウンテン”で合流しました」



 「“ヘルマウンテン”だと……お、おい……それってまさか……!?」



 「いつ見ても素晴らしいです。空を自由に飛び回る姿、あの人達こそまさに……」



 その瞬間、真緒達の頭上をいくつもの影が勢い良く通り過ぎた。その影に気が付いた一同は、慌てて空を見上げる。するとそこには、翼を広げて大空を飛び回る勇ましい姿があった。



 「“空の支配者”!!」



 真緒達の頭上を通り過ぎたいくつもの影、その正体はフォルスの故郷で出会った鳥人族だった。



 「ビント!!クク!!それに、トハさん!!」



 その中には、フォルスの幼馴染みであるビントとクク。そして祖母であるトハがいた。三人を含んだ鳥人達は、船から飛び降りたジェド達を一人一人助け始めた。



 「へへっ、ありがとうな」



 「礼なら、フォルスちゃん達に言いなさい。フォルスちゃん達の友人に悪い子はいない。だから助けたんだよ」



 「それで?“作戦”の方はどんな感じなんだ?上手く行ってるのか?」



 「あぁ、丁度船が壊される所だ」



 「あら、それなら最後の仕上げと行きましょうか」



 ジェド達が鳥人達に助けられる中、ビントがジェドに作戦の進行状況を伺い、順調に進んでいると分かると、ククが最後の仕上げに取り掛かる。その時、勢い良く振り下ろしたエジタスの両手が、ジェド達の船を破壊した。



 「こ、これは!!?」



 エジタスが、ジェド達の船を破壊した瞬間、船の内部から細かい黒い粒子が辺り一面に飛び散った。



 「今だ!!クク、合図を送れ!!」



 「分かってるわよ!!」



 そう言うとククは、胸元に掛けてあった小さな角笛を鳴らした。



 「グォオオオオオ!!!」



 「な、何!?」



 「こ、この腹の底から響き渡る雄叫び……まさか!?」



 角笛が吹かれたその瞬間、再び真緒達の頭上を一頭の巨大な影が、雄叫びと共に通り過ぎる。忘れられない。真緒達に、大きな絶望と成長を与えたその姿。



 「「「ド、ドラゴンだぁあああああ!!!」」」



 「グォオオオオオ!!!」



 ヘルマウンテンでの激闘。真っ赤な鱗のドラゴンが真緒達の前に姿を現した。そしてそんなドラゴンの頭の上に、誰かが乗っている事を確認出来た。



 「ほほ、良い子じゃぞぉ」



 「えっ、なっ、ま、まさかあの頭の上に乗っているのって……“族長”!?」



 ドラゴンの頭の上に乗っていたのは、何と族長であった。族長は、褒めながらドラゴンの頭を優しく撫でる。



 「さぁ、一気に行くぞ……“ブレス”じゃ!!!」



 「グォオオオオオ!!!」



 族長がドラゴンに命令しながら、エジタスに向けて指を指すと、ドラゴンは族長の言葉に従い、鼻から大きく息を吸い込んでエジタス目掛けて、口から勢い良く炎を吐いた。



 「ま、まさかこの黒い粒子は!!?」



 気が付いた時には既に遅かった。ドラゴンの炎が黒い粒子に触れた途端、大爆発が引き起こされた。



 「ぐはぁ!!!」



 「やった!!作戦成功だ!!」



 「これで、かなりのダメージを与えられた筈だよ!!」



 黒い粒子の正体は“火薬”。大砲の玉の発射の際に使う火薬を、予め一ヶ所にまとめて置き、エジタスにわざと壊させる事で周囲に撒き散らしたのだった。



 「す、凄いわ……」



 「あのエジタスを圧倒している……」



 「これがマオ達の……築き上げてきた想いの力なんだ……」



 サタニア達も驚く程のコンビネーション。以前から、人魚の女王と鳥人の族長は面識があったとは言え、ここまでの連携にはさすがに、驚きの表情を隠せなかった。



 「よっと、どうだったマオ?俺達の作戦は?」



 「ジェドさん……凄い!!凄過ぎますよ!!」



 「皆が集まった事にも驚きだが、まさかあそこまでの連携攻撃が出来るだなんて……」



 「オラ……空いだ口が塞がらないだよぉ……」



 地上に降りて来たジェド、トハ、ビント、クク、そしてドラゴンとその頭の上に乗っている族長に、真緒達は絶賛の声を上げる。



 「そ、それにしても族長……このドラゴンをよく手懐けられたな……」



 「ほほ、手懐けてなどおらん。ワシとドラゴンは、深い深ーい友情という名の糸で結ばれているのだよ」



 「ゆ、友情?」



 「族長ったら、フォルス達が里を後にしてから毎日、ドラゴンの元に遊びに行ったのよ」



 「ほほ、最初はドラゴンも煙たがっておったが、毎日足を運ぶ事で徐々に仲良くなってな……今では親友の関係じゃよ」



 「は、はは……マジか……」



 族長がドラゴンの頭を撫でると、ドラゴンは気持ち良さそうに目を細め、喉を鳴らした。そんな光景に、苦笑いを浮かべるフォルスであった。



 「そうだ、お前達にもこれをやるよ」



 そう言うとジェドは、懐からポーションを真緒達とサタニア達、それぞれに手渡した。



 「えっ!?ジェドさん!?これって!?」



 「見ての通りポーションさ。俺達だって馬鹿じゃない。あれだけで、エジタスの奴を倒せるとは思っていない。ここからは、小細工無しの真っ向勝負……お前達の力が頼りだからな」



 「ジェドさん……ありがとうございます!!」



 ジェドから快く受け取ると、一同はポーションを全て飲み干した。



 「マオさん」



 「リーマ……リーマもポーションを貰ったんだね」



 「はい」



 真緒達の元に戻ったリーマは、MPが切れた時の表情とは違って、とても自信に満ちた表情だった。



 「マオウサマ。タダイマモドリマシタ…………」



 「サタニア様、ご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした」



 「ゴルガ、クロウト……謝るのは全てが終わってから……今は一緒にエジタスを止めよう!!」



 「カシコマリマシタ」



 「分かりました。微力ながら加勢させて頂きます」



 所々穴が空いていたゴルガも、穴が塞がり完全回復した。クロウトもエジタスと戦う事を決意した。



 「さて……これで役者は全員揃った訳だ……“形勢逆転”だな……エジタス?」



 揃った大所帯を見ながら、ジェドは得意気な表情を浮かべながら、エジタスに軽い挑発を言い放った。



 「…………“形勢逆転”……だと?」
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