287 / 300
最終章 笑顔の絶えない世界
執念深い者
しおりを挟む
「くそっ!!いったい、どうしたらいいんだ!?」
「落ち着きなさい!!焦ってもどうにもならないわ!!」
アーメイデの出来事が起こる約数分前、肉の壁の外側では取り残された七人が、何とかして中に入ろうと試行錯誤を繰り返していた。
「何とかしてこの肉の壁を突き破って、中にいる二人を救い出したいけど…………」
「オレタチノコウゲキハ、スベテウケナガサレテシマウ……」
「この肉の壁を突き破るには、最低でも、受け流せない程の攻撃をしなければいけないと思われます……」
「だげど、オラ達の力を合わぜでも……肉の壁は突き破れながっだだぁ……」
「私達じゃ、力不足って訳かよ……」
やりきれない思い。七人の力を持ってしても、たった一人の道化師に太刀打ち出来ない。そんな辛い現実が、七人に重くのしかかる。
「今は、あの二人を信じて待つしか無いわ……」
「……だから……だからと言って、何もせずにじっとしている訳には……!!?」
その時だった。それまで全く反応の無かった肉の壁が、徐々に結晶化し始めた。
「こ、これは!?」
「な、何が起こっているんですか!?」
あまりに突然の出来事に戸惑い、混乱して動揺してしまう一同。
「分からない……分からないが……中で何かが起こっている……」
「この“結晶”って……もしかして……」
何かに気が付き始めるリーマだが、情報が少ない現状において、ドーム状の肉の壁が結晶化して行くのを、只見守る事しか出来なかった。
「あっ!!み、見て下さい!!あれ!!」
「「「「「「!!?」」」」」」
それは結晶化した肉のドーム状の頂点、その頂点に、小さなヒビが入っていた。小さなヒビは、次第に大きく広がり始めた。そして、結晶化した肉の壁全体に、ヒビが広がったその瞬間。
パリン!!
それはまるで、ガラスが砕け散った様な音だった。結晶化した肉の壁全体に、ヒビが広がった瞬間、脆く砕け散って雪の様にヒラヒラと舞い落ちる。
「な、何がどうなっているんだ……?」
「突き破れないと思っていた肉の壁が、あんなにあっさりと砕け散った……」
「やっぱり……この魔法は……」
「そ、それよりサタニア様達は、無事なのでしょうか!?」
自分達が突き破れなかった肉の壁が、意図も簡単に砕け散ったのに対して、少しばかり自信を無くしてしまった。そんな中、クロウトが中にいる筈の真緒とサタニアの安否を心配する。そして、結晶化して砕け散った肉の壁の中心に真緒、サタニア、そして死んだ筈のアーメイデに、その腹部を貫いているエジタスの計四人が立っていた。また、エジタスは元の大きさに戻っていた。
「「「マオ!!」」」
「「「「魔王様!!」」」」
「「あっ、皆!!」」
肉の壁が砕け散った事で、自由に動ける様になった真緒とサタニアは、七人の元へと駆け寄る。アーメイデは、エジタスに腹部を貫かれたまま、硬直状態が続いていた。
「良かった!!無事だったんだな!!」
「う、うん……何とかね……」
「それはそうと、これはいったいどう言う状況なんですか!?どうして死んだ筈のアーメイデさんが、生き返っているんですか!?そしてどうしてエジタスさんに、お腹を貫かれているんですか!?」
当然の疑問だった。少し離れている間に、死んだ筈の人間が蘇っていた。何も知らない七人は、頭がパンクしそうになっていた。
「えっと……何て説明したら良いんだろう……」
「取り敢えず、掻い摘まんで説明すると……エジタスの骨肉魔法によって、ゾンビ状態になって復活出来た……って所かな……」
「そ、そうだったのか……」
説明している時間が無い中、サタニアは要点だけをまとめ、全員に説明をした。
「それなら速く、アーメイデさんを助けましょう!!」
「リーマの言う通り、皆助けに行こう!!」
「「「「「「おぉ!!!」」」」」」
こうして八人が再び合流を果たした。そして腹を貫かれたアーメイデを助ける為、息を整えながら硬直状態の二人の元へと走って行く。
***
「……どうして……確かに……全身を結晶化させた……避けられる筈が……無いのに……」
一方、硬直状態の中でアーメイデとエジタスは話をしていた。腹を貫かれているのに対して、アーメイデは痛がる素振りを全く見せない。ゾンビの様な状態で蘇ったアーメイデにとって、痛みは既に感じる代物では無かった。その為、腹を貫かれても尚、冷静に会話する事が出来ているのだ。
「間抜けな魔法使い……良い事を教えてやろう……お前が肉の壁を結晶化させている間、危機感を覚えた俺は、全身の殆どの肉を外の地面に逃がしたのさ……そして予想通り、お前は俺の体を結晶化させ始めた。だがそれは、表面上だけの中身の無いダミーさ!!」
「ダ、ダミー!?…………いえ、そんな筈は無いわ!!あの時のあんたは、確りと喋って動いていたじゃない!!」
アーメイデの言う通り、もしも中身の無いダミーならば動く事は愚か、喋る事も出来ない筈である。
「…………」
するとエジタスは、アーメイデの目の前に、自身とそっくりな人形を生成した。
「こ、これは!?」
「これは、あの時と同じ中身の無い表面上だけのダミーだ……確かに……普通なら動く事も、喋る事も出来ない……だが……」
すると、エジタスそっくりな人形の目が不規則に動き出し、右腕を前に突き出しながら、下顎をガクガクと揺らし始めた。
「!?」
「「骨肉魔法を持ってすれば、こうやって俺の動きを、完全に真似してくれるのさ……お前は、俺の腹話術にまんまと嵌まったと言う訳さ!!」」
前と後ろ。前後から、エジタスの声が聞こえて来る。完全にハモっている二つの声が、ゾンビ状態のアーメイデに恐怖を掻き立てる。
「…………うっ!!」
するとエジタスは、アーメイデの腹部から自身の右腕を引き抜いた。アーメイデは、腹部に空いた穴を押さえながらその場に膝を付く。空いた穴からは、青白い光が大量に漏れ出る。そして目の前にいる人形も、エジタスに合わせて突き出していた右腕を下ろした。
「「…………だが、残念ながら所詮は中身の無い表面上だけのダミー……こうして……」」
エジタスは、ダミーの人形の頭を軽く叩いた。同様に、ダミーの人形もエジタスの頭を叩こうとするが、それよりも先に肉片となって崩れ落ちた。
「こうして……衝撃を与えれば、簡単に肉片になってしまう……それをまぁ、御丁寧に結晶化してくれたもんだ……」
「…………ぐっ」
皮肉を効かせたエジタスの言葉に、アーメイデは俯き、黙り込んでしまった。否定する事の出来ない事実であるからだ。
「スキル“一点集中”!!」
「!!!」
その時、フォルスがエジタス目掛けて肉眼では捉えきれない速さの矢を、勢い良く放った。しかし、エジタスは冷静にそれを回避する。
「スキル“大炎熱地獄”!!」
「!!!」
すると回避した直後、背後に回っていたアルシアが、エジタス目掛けてスキルを放った。
「遅い!!」
しかし、そこは規格外のステータスを用いて、常人離れしたバク宙で華麗に回避した。
「“ウインドカッター”!!」
「!!……小癪な!!」
すると今度はリーマが、バク宙するエジタス目掛けて鋭い風の刃を放った。しかしエジタスは、バク宙からの高速な横回転によって風の刃を受け流した。
「ウォオオオオオ!!!」
「な、何!?…………ぐっ!!」
受け流した瞬間、エジタスの元にゴルガが急接近する。そして有無を言わさず、巨大な拳をエジタス目掛けて突き出した。そんな拳に対して、エジタスは自身の右腕を巨大化させ、迫り来るゴルガの拳にぶつける形で突き出した。
「隙ありだぁ!!スキル“インパクト・ベア”!!」
「ぐはぁ!!?」
拳と拳がぶつかり合う中、エジタスの真横に現れたハナコは、エジタスの横腹目掛けてスキルを放った。そして遂に、怒濤の攻撃に対処し切れ無くなったのか、ハナコのスキルをまともに食らってしまったエジタス。そのまま勢い良く横に吹き飛ばされる。
「まだまだ終わりじゃねぇぞ!!スキル“バハムート”!!」
「シーラ様、お手伝いします!!“ダークエンチャント”!!」
攻撃は続く。吹き飛ばされたエジタスに重なる様に、翼を広げて空を飛んでいたシーラが、槍先から巨大な火の玉を生成する。そして更に、地上からクロウトがシーラのスキルに闇魔法を付与し、強化を施した。そんな強化された巨大な火の玉が、エジタス目掛けて放たれる。
「糞が!!」
それに対してエジタスは、右腕を自身の体に思い切りぶつけた。それにより、吹き飛ばされる方向が強制的に変わり、シーラのスキルを直前で回避した。
「ここに来ると思っていましたよ!!師匠!!スキル“ロストブレイク”!!」
「僕達は、エジタスの事を信じていたからね!!スキル“ブラックアウト”!!」
「!!!」
しかし、吹き飛ばされた先には真緒とサタニアが先回りしていた。エジタスの事を心の底から想っている二人だからこそ、エジタスが何処に回避して来るのか、予測する事が出来た。
「げはぁ!!!」
気が付いた時には遅かった。突然の連続攻撃に反応が遅れてしまい、最終的に真緒とサタニアの攻撃を、まともに食らってしまった。
「「「「「「「やったぁ!!!」」」」」」」
二人の攻撃を、まともに食らってしまったエジタスは、遠くの方へと吹き飛ばされる。何度も地面に叩き付けられる事で、何とか止まった。そんな光景を見て、七人は歓喜に震えた。
「あ、あんた達……」
「アーメイデさん、お怪我は……ありますよね……そりゃあ、お腹を貫かれて怪我が無いなんてあり得ませんものね……」
リーマがアーメイデの安否を心配する中、アーメイデは真緒達、サタニア達の見事な戦い振りに呆気に取られていた。
「今の攻撃は、中々効いたんじゃないか!?」
「流石に、あれだけの攻撃を食らえば、それなりのダメージは入っているだろう……」
「当たり前じゃない!!完璧な不意討ち連続攻撃、例えエジタスちゃんでも無傷で済む筈が無いわ!!」
「オラ達、出来る限りの事はじだだよなぁ?」
「はい、今の攻撃は私の見た限り、最高位の攻撃です」
「「…………」」
達成感。あのエジタスに、これまで感じた事の無い手応えを感じた。そんな手応えの良さに、七人は大いに喜んだ。しかし、約二名程がその手応えに納得していなかった。
「……嫌な予感がする……」
「…………僕もそんな予感がする」
「「!!?」」
その瞬間、地面から大量の死肉と遺骨が柱の様に飛び出して来た。しかも一本、二本では無く、百本近い死肉と遺骨の柱が飛び出していた。
「こ、これは!?」
「どうやら……まだ終わりでは無いみたいですね……」
「そ、そんな…………」
「あれだけの攻撃を食らって、まだ戦えると言うのか……何て執念深い……」
「それが、エジタスちゃんの恐ろしい所なのかもしれないわね……」
「コノタタカイハ、イツニナッタラ……オワルンダ……」
「それは勿論……どちらかが倒れるまで……じゃないでしょうか……」
「…………」
そんな中、アーメイデはエジタスの言葉を思い出していた。
“お前が肉の壁を結晶化させている間、危機感を覚えた俺は、全身の殆どの肉を外の地面に逃がしたのさ……”
「……あれはエジタスの、ほんの一部だったのね……」
自身の未熟さを痛感しながら、地面から飛び出て来る死肉と遺骨の柱を、じっと見つめるのであった。
「ここからが……正念場です!!」
「最後の最後まで、気は抜かない!!」
気合いを入れ直す真緒とサタニア。そんな中、地面から飛び出て来る百本近い死肉と遺骨の柱は、倒れているエジタス一ヶ所に集まって行く。そして徐々に、あの巨大な姿を取り戻すのであった。
「落ち着きなさい!!焦ってもどうにもならないわ!!」
アーメイデの出来事が起こる約数分前、肉の壁の外側では取り残された七人が、何とかして中に入ろうと試行錯誤を繰り返していた。
「何とかしてこの肉の壁を突き破って、中にいる二人を救い出したいけど…………」
「オレタチノコウゲキハ、スベテウケナガサレテシマウ……」
「この肉の壁を突き破るには、最低でも、受け流せない程の攻撃をしなければいけないと思われます……」
「だげど、オラ達の力を合わぜでも……肉の壁は突き破れながっだだぁ……」
「私達じゃ、力不足って訳かよ……」
やりきれない思い。七人の力を持ってしても、たった一人の道化師に太刀打ち出来ない。そんな辛い現実が、七人に重くのしかかる。
「今は、あの二人を信じて待つしか無いわ……」
「……だから……だからと言って、何もせずにじっとしている訳には……!!?」
その時だった。それまで全く反応の無かった肉の壁が、徐々に結晶化し始めた。
「こ、これは!?」
「な、何が起こっているんですか!?」
あまりに突然の出来事に戸惑い、混乱して動揺してしまう一同。
「分からない……分からないが……中で何かが起こっている……」
「この“結晶”って……もしかして……」
何かに気が付き始めるリーマだが、情報が少ない現状において、ドーム状の肉の壁が結晶化して行くのを、只見守る事しか出来なかった。
「あっ!!み、見て下さい!!あれ!!」
「「「「「「!!?」」」」」」
それは結晶化した肉のドーム状の頂点、その頂点に、小さなヒビが入っていた。小さなヒビは、次第に大きく広がり始めた。そして、結晶化した肉の壁全体に、ヒビが広がったその瞬間。
パリン!!
それはまるで、ガラスが砕け散った様な音だった。結晶化した肉の壁全体に、ヒビが広がった瞬間、脆く砕け散って雪の様にヒラヒラと舞い落ちる。
「な、何がどうなっているんだ……?」
「突き破れないと思っていた肉の壁が、あんなにあっさりと砕け散った……」
「やっぱり……この魔法は……」
「そ、それよりサタニア様達は、無事なのでしょうか!?」
自分達が突き破れなかった肉の壁が、意図も簡単に砕け散ったのに対して、少しばかり自信を無くしてしまった。そんな中、クロウトが中にいる筈の真緒とサタニアの安否を心配する。そして、結晶化して砕け散った肉の壁の中心に真緒、サタニア、そして死んだ筈のアーメイデに、その腹部を貫いているエジタスの計四人が立っていた。また、エジタスは元の大きさに戻っていた。
「「「マオ!!」」」
「「「「魔王様!!」」」」
「「あっ、皆!!」」
肉の壁が砕け散った事で、自由に動ける様になった真緒とサタニアは、七人の元へと駆け寄る。アーメイデは、エジタスに腹部を貫かれたまま、硬直状態が続いていた。
「良かった!!無事だったんだな!!」
「う、うん……何とかね……」
「それはそうと、これはいったいどう言う状況なんですか!?どうして死んだ筈のアーメイデさんが、生き返っているんですか!?そしてどうしてエジタスさんに、お腹を貫かれているんですか!?」
当然の疑問だった。少し離れている間に、死んだ筈の人間が蘇っていた。何も知らない七人は、頭がパンクしそうになっていた。
「えっと……何て説明したら良いんだろう……」
「取り敢えず、掻い摘まんで説明すると……エジタスの骨肉魔法によって、ゾンビ状態になって復活出来た……って所かな……」
「そ、そうだったのか……」
説明している時間が無い中、サタニアは要点だけをまとめ、全員に説明をした。
「それなら速く、アーメイデさんを助けましょう!!」
「リーマの言う通り、皆助けに行こう!!」
「「「「「「おぉ!!!」」」」」」
こうして八人が再び合流を果たした。そして腹を貫かれたアーメイデを助ける為、息を整えながら硬直状態の二人の元へと走って行く。
***
「……どうして……確かに……全身を結晶化させた……避けられる筈が……無いのに……」
一方、硬直状態の中でアーメイデとエジタスは話をしていた。腹を貫かれているのに対して、アーメイデは痛がる素振りを全く見せない。ゾンビの様な状態で蘇ったアーメイデにとって、痛みは既に感じる代物では無かった。その為、腹を貫かれても尚、冷静に会話する事が出来ているのだ。
「間抜けな魔法使い……良い事を教えてやろう……お前が肉の壁を結晶化させている間、危機感を覚えた俺は、全身の殆どの肉を外の地面に逃がしたのさ……そして予想通り、お前は俺の体を結晶化させ始めた。だがそれは、表面上だけの中身の無いダミーさ!!」
「ダ、ダミー!?…………いえ、そんな筈は無いわ!!あの時のあんたは、確りと喋って動いていたじゃない!!」
アーメイデの言う通り、もしも中身の無いダミーならば動く事は愚か、喋る事も出来ない筈である。
「…………」
するとエジタスは、アーメイデの目の前に、自身とそっくりな人形を生成した。
「こ、これは!?」
「これは、あの時と同じ中身の無い表面上だけのダミーだ……確かに……普通なら動く事も、喋る事も出来ない……だが……」
すると、エジタスそっくりな人形の目が不規則に動き出し、右腕を前に突き出しながら、下顎をガクガクと揺らし始めた。
「!?」
「「骨肉魔法を持ってすれば、こうやって俺の動きを、完全に真似してくれるのさ……お前は、俺の腹話術にまんまと嵌まったと言う訳さ!!」」
前と後ろ。前後から、エジタスの声が聞こえて来る。完全にハモっている二つの声が、ゾンビ状態のアーメイデに恐怖を掻き立てる。
「…………うっ!!」
するとエジタスは、アーメイデの腹部から自身の右腕を引き抜いた。アーメイデは、腹部に空いた穴を押さえながらその場に膝を付く。空いた穴からは、青白い光が大量に漏れ出る。そして目の前にいる人形も、エジタスに合わせて突き出していた右腕を下ろした。
「「…………だが、残念ながら所詮は中身の無い表面上だけのダミー……こうして……」」
エジタスは、ダミーの人形の頭を軽く叩いた。同様に、ダミーの人形もエジタスの頭を叩こうとするが、それよりも先に肉片となって崩れ落ちた。
「こうして……衝撃を与えれば、簡単に肉片になってしまう……それをまぁ、御丁寧に結晶化してくれたもんだ……」
「…………ぐっ」
皮肉を効かせたエジタスの言葉に、アーメイデは俯き、黙り込んでしまった。否定する事の出来ない事実であるからだ。
「スキル“一点集中”!!」
「!!!」
その時、フォルスがエジタス目掛けて肉眼では捉えきれない速さの矢を、勢い良く放った。しかし、エジタスは冷静にそれを回避する。
「スキル“大炎熱地獄”!!」
「!!!」
すると回避した直後、背後に回っていたアルシアが、エジタス目掛けてスキルを放った。
「遅い!!」
しかし、そこは規格外のステータスを用いて、常人離れしたバク宙で華麗に回避した。
「“ウインドカッター”!!」
「!!……小癪な!!」
すると今度はリーマが、バク宙するエジタス目掛けて鋭い風の刃を放った。しかしエジタスは、バク宙からの高速な横回転によって風の刃を受け流した。
「ウォオオオオオ!!!」
「な、何!?…………ぐっ!!」
受け流した瞬間、エジタスの元にゴルガが急接近する。そして有無を言わさず、巨大な拳をエジタス目掛けて突き出した。そんな拳に対して、エジタスは自身の右腕を巨大化させ、迫り来るゴルガの拳にぶつける形で突き出した。
「隙ありだぁ!!スキル“インパクト・ベア”!!」
「ぐはぁ!!?」
拳と拳がぶつかり合う中、エジタスの真横に現れたハナコは、エジタスの横腹目掛けてスキルを放った。そして遂に、怒濤の攻撃に対処し切れ無くなったのか、ハナコのスキルをまともに食らってしまったエジタス。そのまま勢い良く横に吹き飛ばされる。
「まだまだ終わりじゃねぇぞ!!スキル“バハムート”!!」
「シーラ様、お手伝いします!!“ダークエンチャント”!!」
攻撃は続く。吹き飛ばされたエジタスに重なる様に、翼を広げて空を飛んでいたシーラが、槍先から巨大な火の玉を生成する。そして更に、地上からクロウトがシーラのスキルに闇魔法を付与し、強化を施した。そんな強化された巨大な火の玉が、エジタス目掛けて放たれる。
「糞が!!」
それに対してエジタスは、右腕を自身の体に思い切りぶつけた。それにより、吹き飛ばされる方向が強制的に変わり、シーラのスキルを直前で回避した。
「ここに来ると思っていましたよ!!師匠!!スキル“ロストブレイク”!!」
「僕達は、エジタスの事を信じていたからね!!スキル“ブラックアウト”!!」
「!!!」
しかし、吹き飛ばされた先には真緒とサタニアが先回りしていた。エジタスの事を心の底から想っている二人だからこそ、エジタスが何処に回避して来るのか、予測する事が出来た。
「げはぁ!!!」
気が付いた時には遅かった。突然の連続攻撃に反応が遅れてしまい、最終的に真緒とサタニアの攻撃を、まともに食らってしまった。
「「「「「「「やったぁ!!!」」」」」」」
二人の攻撃を、まともに食らってしまったエジタスは、遠くの方へと吹き飛ばされる。何度も地面に叩き付けられる事で、何とか止まった。そんな光景を見て、七人は歓喜に震えた。
「あ、あんた達……」
「アーメイデさん、お怪我は……ありますよね……そりゃあ、お腹を貫かれて怪我が無いなんてあり得ませんものね……」
リーマがアーメイデの安否を心配する中、アーメイデは真緒達、サタニア達の見事な戦い振りに呆気に取られていた。
「今の攻撃は、中々効いたんじゃないか!?」
「流石に、あれだけの攻撃を食らえば、それなりのダメージは入っているだろう……」
「当たり前じゃない!!完璧な不意討ち連続攻撃、例えエジタスちゃんでも無傷で済む筈が無いわ!!」
「オラ達、出来る限りの事はじだだよなぁ?」
「はい、今の攻撃は私の見た限り、最高位の攻撃です」
「「…………」」
達成感。あのエジタスに、これまで感じた事の無い手応えを感じた。そんな手応えの良さに、七人は大いに喜んだ。しかし、約二名程がその手応えに納得していなかった。
「……嫌な予感がする……」
「…………僕もそんな予感がする」
「「!!?」」
その瞬間、地面から大量の死肉と遺骨が柱の様に飛び出して来た。しかも一本、二本では無く、百本近い死肉と遺骨の柱が飛び出していた。
「こ、これは!?」
「どうやら……まだ終わりでは無いみたいですね……」
「そ、そんな…………」
「あれだけの攻撃を食らって、まだ戦えると言うのか……何て執念深い……」
「それが、エジタスちゃんの恐ろしい所なのかもしれないわね……」
「コノタタカイハ、イツニナッタラ……オワルンダ……」
「それは勿論……どちらかが倒れるまで……じゃないでしょうか……」
「…………」
そんな中、アーメイデはエジタスの言葉を思い出していた。
“お前が肉の壁を結晶化させている間、危機感を覚えた俺は、全身の殆どの肉を外の地面に逃がしたのさ……”
「……あれはエジタスの、ほんの一部だったのね……」
自身の未熟さを痛感しながら、地面から飛び出て来る死肉と遺骨の柱を、じっと見つめるのであった。
「ここからが……正念場です!!」
「最後の最後まで、気は抜かない!!」
気合いを入れ直す真緒とサタニア。そんな中、地面から飛び出て来る百本近い死肉と遺骨の柱は、倒れているエジタス一ヶ所に集まって行く。そして徐々に、あの巨大な姿を取り戻すのであった。
0
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
通販で買った妖刀がガチだった ~試し斬りしたら空間が裂けて異世界に飛ばされた挙句、伝説の勇者だと勘違いされて困っています~
日之影ソラ
ファンタジー
ゲームや漫画が好きな大学生、宮本総司は、なんとなくネットサーフィンをしていると、アムゾンの購入サイトで妖刀が1000円で売っているのを見つけた。デザインは格好よく、どことなく惹かれるものを感じたから購入し、家に届いて試し切りをしたら……空間が斬れた!
斬れた空間に吸い込まれ、気がつけばそこは見たことがない異世界。勇者召喚の儀式最中だった王城に現れたことで、伝説の勇者が現れたと勘違いされてしまう。好待遇や周りの人の期待に流され、人違いだとは言えずにいたら、王女様に偽者だとバレてしまった。
偽物だったと世に知られたら死刑と脅され、死刑を免れるためには本当に魔王を倒して、勇者としての責任を果たすしかないと宣言される。
「偽者として死ぬか。本物の英雄になるか――どちらか選びなさい」
選択肢は一つしかない。死にたくない総司は嘘を本当にするため、伝説の勇者の名を騙る。
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜
あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい!
ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット”
ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで?
異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。
チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。
「────さてと、今日は何を読もうかな」
これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。
◆小説家になろう様でも、公開中◆
◆恋愛要素は、ありません◆
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜
サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。
〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。
だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。
〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。
危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。
『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』
いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。
すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。
これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。
異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~
松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。
異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。
「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。
だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。
牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。
やがて彼は知らされる。
その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。
金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、
戦闘より掃除が多い異世界ライフ。
──これは、汚れと戦いながら世界を救う、
笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。
【改訂版アップ】10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~
ばいむ
ファンタジー
10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~
大筋は変わっていませんが、内容を見直したバージョンを追加でアップしています。単なる自己満足の書き直しですのでオリジナルを読んでいる人は見直さなくてもよいかと思います。主な変更点は以下の通りです。
話数を半分以下に統合。このため1話辺りの文字数が倍増しています。
説明口調から対話形式を増加。
伏線を考えていたが使用しなかった内容について削除。(龍、人種など)
別視点内容の追加。
剣と魔法の世界であるライハンドリア・・・。魔獣と言われるモンスターがおり、剣と魔法でそれを倒す冒険者と言われる人達がいる世界。
高校の休み時間に突然その世界に行くことになってしまった。この世界での生活は10日間と言われ、混乱しながらも楽しむことにしたが、なぜか戻ることができなかった。
特殊な能力を授かるわけでもなく、生きるための力をつけるには自ら鍛錬しなければならなかった。魔獣を狩り、いろいろな遺跡を訪ね、いろいろな人と出会った。何度か死にそうになったこともあったが、多くの人に助けられながらも少しずつ成長し、なんとか生き抜いた。
冒険をともにするのは同じく異世界に転移してきた女性・ジェニファー。彼女と出会い、ともに生き抜き、そして別れることとなった。
2021/06/27 無事に完結しました。
2021/09/10 後日談の追加を開始
2022/02/18 後日談完結しました。
2025/03/23 自己満足の改訂版をアップしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる