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第七章 冒険編 大戦争
真緒パーティー VS 実験体M-005(前編)
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「クラウドツリーで戦ったと言えば、魔食の事だろうけど……」
「どうしてそんな物をヴォイスさんが持っているんですか!?」
「知りたいですか? それは遡る事、丁度一年前。我らが大司教エイリス様は、神であるエジタス様の事について調べていました。そんなある日、エイリス様はエジタス様が使っていたであろう秘密の隠れ家を発見しました。そこでエジタス様の日記……そして実験途中だった魔食のサンプルを手に入れたのです!!」
「秘密の隠れ家……そんな所があっただなんて……」
「そんな場所を私達よりも先に見つけた大司教エイリス……いったい師匠とは、どう言う繋がりなのでしょうか?」
「それらを持ち帰ったエイリス様は、ヘッラアーデの魔法研究部門に魔食のサンプルを手渡し、更なる改良を施しました。結果、生まれたのがここにいる実験体M-005……という事です」
ヴォイス司教の言葉に反応を示すかの様に、うにょうにょと怪しく蠢いた。
「まさかあの魔食と再び相見える事になるとは、思いもしてなかったよ」
「以前、ハナコさんが魔王城で戦ったという魔食も、あんな見た目でしたか?」
「うーん……何だが、違う気がずるだぁ。オラが戦っだ魔食は、見境無ぐ襲い掛がっで来る狂暴な奴だぁ。ごんなに大人じぐは無がっだだぁ」
今もうにょうにょと蠢くだけで、真緒達目掛けて襲い掛かって来る気配は感じられなかった。
「さて、お喋りはここまで……そろそろ始めさせて頂きましょうかね。M-005、目の前にいる三人を殺しなさい!!」
「「「!!!」」」
ヴォイス司教が命令を下した瞬間、うにょうにょと蠢くだけだった実験体M-005は、真緒達目掛けて猛進し始めた。
「あれに触れぢゃ、駄目だぁ!! 少じでも触れだら、MPを吸い取られでじまうだぁ!!」
「成る程、基本的な能力は魔食と大して変わらないという事ですね。それなら……“ウインド”!!」
そんな中、リーマが魔導書を開き、魔法を唱えると、目の前に風の渦が生成された。
「そして……“ウォーター”!!」
続けて、風の渦に水を流し込んだ。渦の中を水が高速で回転し始める。
「リーマ!! 危ない!! 避けて!!」
リーマがあれこれと準備している間、実験体M-005は目の前まで迫って来ていた。真緒が危険を知らせようと大声を上げた。
「まだです……引き付けて……引き付けて……今です!!」
当たる直前、真横に回避したリーマ。猛進していた実験体M-005は、リーマが生成した水入りの風の渦に勢い良く突っ込んだ。その瞬間!!
「こ、これは!!?」
「魔食が……“凍った”!?」
実験体M-005の全身を巨大な氷が包み込んだ。それにより、動きが完全に停止した。
「どうですか? 風属性魔法と水属性魔法の合体魔法。名前を付けるとするなら……“アイスロック”!!」
「いつの間にこんな凄い魔法を!!?」
「今回の旅で色々な事を学びました。ロストマジックアイテムという人知を越えた道具。私の中で、魔法という分野の幅が広がった様に感じました。そんな私の成長の証が、これなんです!!」
「圧巻だぁ……あの魔食を一撃で倒じでじまうだなんで、驚ぎだぁ……」
「ふふっ、魔食は空気中に漂っているMPの粒子を吸収し続けている限り、死ぬ事が無いと言われていますけど、こうして氷付けにしてしまえばMPを取り込む事は出来ません」
「さて、とっておきの切り札が倒されてしまったけど……どうする? まだやる?」
完全勝利。勝利の余韻に浸かる真緒達は、余裕の表情を浮かべながらヴォイス司教に問い掛けた。
「全く……そうやって勝手に結論付けるのは、少々早計だと言えますよ?」
「いったいどう言う……っ!!?」
その時、パキッという何かが割れる音が聞こえた。嫌な予感を覚えた真緒達は、ゆっくりと音のした方向に顔を向けた。するとそこには、氷の牢獄を内側から破壊して自由になった実験体M-005がいた。
「そ、そんなあり得ません!!! まだ充分にMPを吸収出来ていない筈……それなのにどうしてあんな活発に動けるんですか!!?」
完全に封じ込めたと思っていた分、その自信が打ち崩され、中々目の前の現実を受け入れられなかった。
「これまでの魔食と思って貰っては困ります。実験体M-005は、他に類を見ない全く新しい兵器なのですよ」
「くっ、それならもう一度凍らせるだけの事です!!」
「そうはさせませんよ!!」
再び魔法を唱えようとするリーマ目掛けて、ヴォイス司教が斬り掛かった。
「きゃあ!!!」
「リーマ!!」
「今、助げるだぁ!!」
「あなた達は実験体と遊んでいて下さい!!」
「「!!?」」
ヴォイス司教が手を振るうと、実験体M-005が二人目掛けて猛進し始めた。
「ぐっ……邪魔しないで!!」
三十人近くの死体が寄り集まった巨体が、華奢な体つきの真緒に勢い良くぶつかった。そんな中、咄嗟に剣を押し当て、吹き飛ばされない様、耐えて見せた。
「マオぢゃん!! スキル“インパクト・ベア”!!」
ハナコの強烈な一撃が、実験体M-005の横っ腹に直撃した。勢い良く吹き飛ばされ、そのあまりの衝撃から空中分解を起こし、空から複数の死体が落ちて来た。
「ありがとうハナちゃん」
「大丈夫だがぁ!? MPはどれ位吸われだだぁ!!?」
魔食に触れられたら最後、MPを根こそぎ吸い取られてしまう。一瞬だったとはいえ、魔食に触れてしまった真緒を心配するハナコ。
「えっ!? あっ!? えっと……何とも無いみたい……?」
体の感覚を確かめる真緒だったが、これといって変化は見られなかった。
「本当だがぁ? 無理じでないだがぁ?」
「本当に大丈夫だよ。運が良かったみたい」
「…………」
「それよりも、早くリーマの援護に向かわないと!!」
「わ、分がっだだぁ!!」
体に変化は無いと分かると、二人は急いでヴォイス司教と交戦しているリーマの援護へと向かった。
「“炎の槍”!!」
「くっ……まさか魔法使いが接近戦にも長けているとは……驚きました」
一方、リーマは燃え盛る槍型の炎を生成し、ヴォイス司教と真っ向から渡り歩いていた。
「あなたも随分と戦い慣れているじゃありませんか」
「ヘッラアーデには二種類の人材が存在します。戦闘向きと非戦闘向き、私は前者だった。それだけの話ですよ」
「そう言えば、ヘッラアーデの人材はレッマイルから募集しているんでしたね」
「えぇ、そもそもヘッラアーデは神であるエジタス様を崇める為の宗教国家。中には一般人だっています」
「そんな人達を危険な事に巻き込んで……罪悪感は無いんですか」
「罪悪感? 神に仕える事が出来るのに罪悪感などありましょうか? 寧ろ、その身を捧げられて感謝している筈ですよ」
「あなたに聞いたのが間違いでした。これ以上、ヘッラアーデの更なる犠牲者が増えない為にも、必ず倒して見せます!!」
「それはこちらの台詞……人々の希望を奪う背徳者め……ここで成敗してくれる!!」
ぶつかり合うナイフと炎の槍。互角に思える攻防だったが、徐々に炎の槍がナイフを溶かし始めた事で戦況が変わり始めていた。
「もう諦めたらどうですか? 明らかに力不足です」
「はぁ……はぁ……煩い……私はヘッラアーデ13支部の司教なんです……例えこの命が散ろうとも、あなた達を倒さなければならないのです」
「ヴォイスさん……」
「リーマ!! 大丈夫!?」
「リーマぢゃん、大丈夫だがぁ!?」
「あっ、マオさん、ハナコさん!!」
更にここで、真緒とハナコの二人と合流を果たした。最早、ヴォイス司教に勝ち目は無くなった。それなのに何処か涼しげな表情を浮かべていた。
「実験体はどうしました?」
「倒したよ、ここにいるハナちゃんがね」
「…………」
一方、ハナコ本人は浮かない表情を浮かべていた。
「それはそれは……では、あなた達の後ろにいるのはきっと見間違いなのでしょうね」
「「「!!?」」」
真緒達が慌てて振り返ると、そこには倒した筈の実験体M-005が散らばった死体をかき集め、再び形を保ち始めていた。
「そんな……確かに倒した筈なのに……いったいどうして!?」
「魔食と同じ性質を持つ実験体M-005。MPがある限り、決して死ぬ事は無いんですよ!!」
「このままじゃ、いつまで経ってもフォルスさんを追い掛けられません。どうしましょう……」
「でもだからって、このまま無視出来る程、甘くは無いと思う……」
「…………」
「さて、続けるとしましょうか。先にどちらが倒れるか」
そうして真緒達は、ヴォイス司教と実験体M-005による足止めで、思いの外時間を取られてしまうのであった。
「……可笑じいだぁ……」
「どうしてそんな物をヴォイスさんが持っているんですか!?」
「知りたいですか? それは遡る事、丁度一年前。我らが大司教エイリス様は、神であるエジタス様の事について調べていました。そんなある日、エイリス様はエジタス様が使っていたであろう秘密の隠れ家を発見しました。そこでエジタス様の日記……そして実験途中だった魔食のサンプルを手に入れたのです!!」
「秘密の隠れ家……そんな所があっただなんて……」
「そんな場所を私達よりも先に見つけた大司教エイリス……いったい師匠とは、どう言う繋がりなのでしょうか?」
「それらを持ち帰ったエイリス様は、ヘッラアーデの魔法研究部門に魔食のサンプルを手渡し、更なる改良を施しました。結果、生まれたのがここにいる実験体M-005……という事です」
ヴォイス司教の言葉に反応を示すかの様に、うにょうにょと怪しく蠢いた。
「まさかあの魔食と再び相見える事になるとは、思いもしてなかったよ」
「以前、ハナコさんが魔王城で戦ったという魔食も、あんな見た目でしたか?」
「うーん……何だが、違う気がずるだぁ。オラが戦っだ魔食は、見境無ぐ襲い掛がっで来る狂暴な奴だぁ。ごんなに大人じぐは無がっだだぁ」
今もうにょうにょと蠢くだけで、真緒達目掛けて襲い掛かって来る気配は感じられなかった。
「さて、お喋りはここまで……そろそろ始めさせて頂きましょうかね。M-005、目の前にいる三人を殺しなさい!!」
「「「!!!」」」
ヴォイス司教が命令を下した瞬間、うにょうにょと蠢くだけだった実験体M-005は、真緒達目掛けて猛進し始めた。
「あれに触れぢゃ、駄目だぁ!! 少じでも触れだら、MPを吸い取られでじまうだぁ!!」
「成る程、基本的な能力は魔食と大して変わらないという事ですね。それなら……“ウインド”!!」
そんな中、リーマが魔導書を開き、魔法を唱えると、目の前に風の渦が生成された。
「そして……“ウォーター”!!」
続けて、風の渦に水を流し込んだ。渦の中を水が高速で回転し始める。
「リーマ!! 危ない!! 避けて!!」
リーマがあれこれと準備している間、実験体M-005は目の前まで迫って来ていた。真緒が危険を知らせようと大声を上げた。
「まだです……引き付けて……引き付けて……今です!!」
当たる直前、真横に回避したリーマ。猛進していた実験体M-005は、リーマが生成した水入りの風の渦に勢い良く突っ込んだ。その瞬間!!
「こ、これは!!?」
「魔食が……“凍った”!?」
実験体M-005の全身を巨大な氷が包み込んだ。それにより、動きが完全に停止した。
「どうですか? 風属性魔法と水属性魔法の合体魔法。名前を付けるとするなら……“アイスロック”!!」
「いつの間にこんな凄い魔法を!!?」
「今回の旅で色々な事を学びました。ロストマジックアイテムという人知を越えた道具。私の中で、魔法という分野の幅が広がった様に感じました。そんな私の成長の証が、これなんです!!」
「圧巻だぁ……あの魔食を一撃で倒じでじまうだなんで、驚ぎだぁ……」
「ふふっ、魔食は空気中に漂っているMPの粒子を吸収し続けている限り、死ぬ事が無いと言われていますけど、こうして氷付けにしてしまえばMPを取り込む事は出来ません」
「さて、とっておきの切り札が倒されてしまったけど……どうする? まだやる?」
完全勝利。勝利の余韻に浸かる真緒達は、余裕の表情を浮かべながらヴォイス司教に問い掛けた。
「全く……そうやって勝手に結論付けるのは、少々早計だと言えますよ?」
「いったいどう言う……っ!!?」
その時、パキッという何かが割れる音が聞こえた。嫌な予感を覚えた真緒達は、ゆっくりと音のした方向に顔を向けた。するとそこには、氷の牢獄を内側から破壊して自由になった実験体M-005がいた。
「そ、そんなあり得ません!!! まだ充分にMPを吸収出来ていない筈……それなのにどうしてあんな活発に動けるんですか!!?」
完全に封じ込めたと思っていた分、その自信が打ち崩され、中々目の前の現実を受け入れられなかった。
「これまでの魔食と思って貰っては困ります。実験体M-005は、他に類を見ない全く新しい兵器なのですよ」
「くっ、それならもう一度凍らせるだけの事です!!」
「そうはさせませんよ!!」
再び魔法を唱えようとするリーマ目掛けて、ヴォイス司教が斬り掛かった。
「きゃあ!!!」
「リーマ!!」
「今、助げるだぁ!!」
「あなた達は実験体と遊んでいて下さい!!」
「「!!?」」
ヴォイス司教が手を振るうと、実験体M-005が二人目掛けて猛進し始めた。
「ぐっ……邪魔しないで!!」
三十人近くの死体が寄り集まった巨体が、華奢な体つきの真緒に勢い良くぶつかった。そんな中、咄嗟に剣を押し当て、吹き飛ばされない様、耐えて見せた。
「マオぢゃん!! スキル“インパクト・ベア”!!」
ハナコの強烈な一撃が、実験体M-005の横っ腹に直撃した。勢い良く吹き飛ばされ、そのあまりの衝撃から空中分解を起こし、空から複数の死体が落ちて来た。
「ありがとうハナちゃん」
「大丈夫だがぁ!? MPはどれ位吸われだだぁ!!?」
魔食に触れられたら最後、MPを根こそぎ吸い取られてしまう。一瞬だったとはいえ、魔食に触れてしまった真緒を心配するハナコ。
「えっ!? あっ!? えっと……何とも無いみたい……?」
体の感覚を確かめる真緒だったが、これといって変化は見られなかった。
「本当だがぁ? 無理じでないだがぁ?」
「本当に大丈夫だよ。運が良かったみたい」
「…………」
「それよりも、早くリーマの援護に向かわないと!!」
「わ、分がっだだぁ!!」
体に変化は無いと分かると、二人は急いでヴォイス司教と交戦しているリーマの援護へと向かった。
「“炎の槍”!!」
「くっ……まさか魔法使いが接近戦にも長けているとは……驚きました」
一方、リーマは燃え盛る槍型の炎を生成し、ヴォイス司教と真っ向から渡り歩いていた。
「あなたも随分と戦い慣れているじゃありませんか」
「ヘッラアーデには二種類の人材が存在します。戦闘向きと非戦闘向き、私は前者だった。それだけの話ですよ」
「そう言えば、ヘッラアーデの人材はレッマイルから募集しているんでしたね」
「えぇ、そもそもヘッラアーデは神であるエジタス様を崇める為の宗教国家。中には一般人だっています」
「そんな人達を危険な事に巻き込んで……罪悪感は無いんですか」
「罪悪感? 神に仕える事が出来るのに罪悪感などありましょうか? 寧ろ、その身を捧げられて感謝している筈ですよ」
「あなたに聞いたのが間違いでした。これ以上、ヘッラアーデの更なる犠牲者が増えない為にも、必ず倒して見せます!!」
「それはこちらの台詞……人々の希望を奪う背徳者め……ここで成敗してくれる!!」
ぶつかり合うナイフと炎の槍。互角に思える攻防だったが、徐々に炎の槍がナイフを溶かし始めた事で戦況が変わり始めていた。
「もう諦めたらどうですか? 明らかに力不足です」
「はぁ……はぁ……煩い……私はヘッラアーデ13支部の司教なんです……例えこの命が散ろうとも、あなた達を倒さなければならないのです」
「ヴォイスさん……」
「リーマ!! 大丈夫!?」
「リーマぢゃん、大丈夫だがぁ!?」
「あっ、マオさん、ハナコさん!!」
更にここで、真緒とハナコの二人と合流を果たした。最早、ヴォイス司教に勝ち目は無くなった。それなのに何処か涼しげな表情を浮かべていた。
「実験体はどうしました?」
「倒したよ、ここにいるハナちゃんがね」
「…………」
一方、ハナコ本人は浮かない表情を浮かべていた。
「それはそれは……では、あなた達の後ろにいるのはきっと見間違いなのでしょうね」
「「「!!?」」」
真緒達が慌てて振り返ると、そこには倒した筈の実験体M-005が散らばった死体をかき集め、再び形を保ち始めていた。
「そんな……確かに倒した筈なのに……いったいどうして!?」
「魔食と同じ性質を持つ実験体M-005。MPがある限り、決して死ぬ事は無いんですよ!!」
「このままじゃ、いつまで経ってもフォルスさんを追い掛けられません。どうしましょう……」
「でもだからって、このまま無視出来る程、甘くは無いと思う……」
「…………」
「さて、続けるとしましょうか。先にどちらが倒れるか」
そうして真緒達は、ヴォイス司教と実験体M-005による足止めで、思いの外時間を取られてしまうのであった。
「……可笑じいだぁ……」
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