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第七章 冒険編 大戦争
ゴルド城侵入
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フォルスが牢屋に入れられている一方、真緒達は捕らえられたフォルスを救出すべく、ゴルド城前に辿り着いていた。
城門前には五人の兵士が厳重な警備を行っていた。そんな兵士達が身に付けている全身鎧や盾には、ヘッラアーデの紋章が描かれていた。
「どうやら城の警備はヘッラアーデの人間が引き受けているみたいだね」
「それなら正面突破しましょうか? 元を辿れば戦闘経験の無い一般市民が集まった集団な訳ですし」
「……いや、下手に騒ぎを起こせばフォルスさんの身が危険に晒されるかもしれない。ここは相手に気づかれない様に侵入しよう」
「そうですね。なら裏口に回り込みますか? ここよりは手薄かと思います」
「よし、回り込もう」
真っ向からの戦いを避けた真緒達は、警備が手薄であろうと予想した裏口に向かった。
***
裏口に回り込むと扉が一つあり、周りには物資が入っているであろう樽が置いてあった。そして予想通り、裏口には兵士二人しかいなかった。真緒達は互いに目配せすると、真緒とハナコの二人は身を隠しながらその場を離れ、一人残ったリーマは意を決して兵士達の前に躍り出た。
「どーも、こんにちは」
「何だ貴様、ここは部外者立入禁止だぞ。さっさと元いた場所に引き返せ」
「実は道に迷ってしまいまして……それで道をお尋ねしたいんですけど……」
兵士の忠告を無視して、どんどん近付くリーマ。
「人の話を聞け。ここは部外者立入禁止だ。今すぐ引き返さなければ、痛い目に合う事になるぞ」
「待て!!」
するともう一人の兵士が忠告している兵士を制止させる。そしてリーマの顔をじっと見つめて来た。リーマは生唾を飲み込み、額から冷や汗を流した。
「お前……何処かで……っ!!?」
バレると思った瞬間、身を隠していた真緒が兵士の口を塞ぎ、気絶させた。
「貴様っ!!?」
突然現れた真緒に驚きながらも、咄嗟に武器を引き抜こうとする兵士。しかし、引き抜く前にハナコが身動きを封じ、そのまま首を絞めて気絶させた。
「ふぅ、上手くいって良かった」
「この二人はどうしますか?」
「見づがらない様、樽の中に入れちまうだぁ」
「どうせなら鎧と盾を剥ぎ取ろう。身に付ければ、中でバレる可能性は低くなると思う」
「それは良いですけど、二人しか着る事が出来ませんよ? 後の一人はどうするんですか?」
「私に良い考えがあるんだけど、その前に……ハナちゃん、ごめんね」
「?」
二人しか変装出来ない状況の中、真緒は考えがあると述べた。しかしその直後、ハナコに対して謝罪した。ハナコとリーマの二人は不思議そうに頭を傾けた。
***
ゴルド城内。兵士に変装した真緒とリーマ。その間に両手をロープで縛り上げたハナコを挟みながら、横一列で長い廊下を歩いていた。すると前方から一人の兵士がこちらに向かって歩いて来た。
「「お疲れ様です!!」」
「おぅ、お疲れ様。いったいどうした?」
「はい、実は勇者一行の一人と思われる人物を連行して来ました」
そう言いながら兵士に変装した真緒は、ハナコを前に突き出した。ハナコは意気消沈しているのか、口を開かず黙ったまま俯いている状態であった。
「そうか、それならそのまま牢屋の方に向かえ。先に捕らえた勇者一行の一人と同じ牢で良いだろう」
「失礼ながらお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「何だ?」
「牢屋の場所は何処にあるのでしょうか?」
「……は?」
「「…………」」
完全に悪手だった。牢屋の場所が分からない以上、このまま連れて歩き回るのは危険だと考え、思い切って聞いてみる事にしたが、やはり誤った判断だった。
「いったい何言って……あぁ、そう言う事か……」
何かに気が付いた様子の兵士。いつでも戦える様に、真緒達は腰を少し落として戦闘の構えを取る。
「お前ら、最近入った新人だな?」
「「へ?」」
「いや、分かるよ。俺もヘッラアーデに入ったばかりの頃は、ゴルド城の構造を覚えるのに必死だったからな」
「えっ、あっ、そ、そうなんですよ!! この城、妙に複雑な構造していて覚えるのが大変で!!」
「だよな!! 特に本部であるここは滅多に来る事が無いから、余計分かりづらいんだよな……そもそも13支部なんて細かく分かれているから、混乱しちゃうんだよ。俺は第2支部にいたんだけどさ、そこの司教様が結構な変わり者でさ……」
自身の苦労話を長々と語り始める兵士。取り敢えず変装がバレた訳じゃない事に、ホッと一安心する真緒達であった。
「あ、あのー、それで牢屋の場所を……」
「あぁ、そうだったな。いや、すまんすまん、つい話し込んでしまった。牢屋へは、この廊下の突き当たりにある階段を一番下まで降りた所にある。側には牢番がいるから、そいつに引き渡しておけば後は勝手にやってくれる筈だ」
「ありがとうございます!!」
「それではこれで失礼します!!」
「おぅ、確りやれよ」
牢屋の場所を無事に聞き出せた真緒達は、兵士に感謝を述べると足早にその場を後にした。そんな真緒達の様子を見ながら、兵士は腕組みをしながら考え始める。
「そう言えばあの兵士二人、女みたいな声してたけど……今、ゴルド城に配置されている兵士は全員男だった様な……気のせいか」
が、すぐに気のせいだと判断して仕事に戻るのであった。
***
兵士に言われた通り、一番下まで降りると複数の鉄格子が設置された牢屋があった。
「どうやらここが牢屋で間違い無いみたいですね」
「フォルスさんは何処にいるんでしょうか?」
「あっ、誰か来る」
無事、牢屋に辿り着いた真緒達だったが、いざフォルスを探そうとすると近付いて来る人影に気が付き、慌てて口を閉じて黙った。
「こんな所で何をしている?」
現れたのは牢番を勤める兵士だった。
「はっ!! 勇者一行の一人と思われる人物を連行して来ました!!」
「ん、そうかご苦労様。それじゃあ後は俺が預かるから、戻って良いぞ」
「え?」
「どうした?」
「いや、確かめたりしないのかなって……」
あまりにもあっさりとした対応に、思わず問い掛けてしまった真緒。
「別に必要無いだろう。勇者一行の一人と思われる人物なんだろ?」
「え、えぇ……まぁ……」
「つまり顔が似ているという事だ。もし誤認だとしても、それは似ている本人が悪いってもんだ」
「そ、そんないい加減な……」
「だって既に何十人も似ている奴を処刑して来たんだから、今更何人誤認しようが関係無い」
「「「!!?」」」
その時、真緒達は背筋が凍り付く程の恐怖を感じた。ヘッラアーデにとってエジタスの仇である勇者一行を殺す事は優先事項と言える。しかし蓋を開けてみれば、そのやり方は酷く杜撰で適当。顔が似ているからという、たったそれだけの理由で何の罪も無い人達が命を奪われている。あまりに恐ろしい事実を知った真緒達は言葉が出なかった。
「さぁ、もう良いだろう。早くその囚人をこっちに渡せ」
「……す……」
「……す?」
「スキル“ロストブレイク”!!」
「げぼぉ!!?」
囚人を渡す様に急かす牢番に対して、反射的にスキルを叩き込んでしまった真緒。まともに食らった牢番は勢い良く吹き飛ばされ、突き当たりの壁に激突した。そしてそのまま気絶してしまった。
「はぁ……はぁ……はぁ……お、思わずやっちゃった……」
「マオさんは正しい事をしたと思いますよ。まさかヘッラアーデが、ここまでの外道だとは思いませんでしたよ」
「胸糞悪いだぁ……」
『……今の叫び声は……もしかしてマオか!!?』
すると、数ある牢屋の一室から聞き覚えのある声が聞こえて来た。
「その声は!!?」
真緒達は慌てて声のした牢屋へと走り出す。
「「「フォルスさん!!!」」」
そこには、救出目標であるフォルスが捕らえられていた。武器は取り上げられ、衣服は剥ぎ取られ、腰簑一枚だけの姿だった。
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「どーも、こんにちは」
「何だ貴様、ここは部外者立入禁止だぞ。さっさと元いた場所に引き返せ」
「実は道に迷ってしまいまして……それで道をお尋ねしたいんですけど……」
兵士の忠告を無視して、どんどん近付くリーマ。
「人の話を聞け。ここは部外者立入禁止だ。今すぐ引き返さなければ、痛い目に合う事になるぞ」
「待て!!」
するともう一人の兵士が忠告している兵士を制止させる。そしてリーマの顔をじっと見つめて来た。リーマは生唾を飲み込み、額から冷や汗を流した。
「お前……何処かで……っ!!?」
バレると思った瞬間、身を隠していた真緒が兵士の口を塞ぎ、気絶させた。
「貴様っ!!?」
突然現れた真緒に驚きながらも、咄嗟に武器を引き抜こうとする兵士。しかし、引き抜く前にハナコが身動きを封じ、そのまま首を絞めて気絶させた。
「ふぅ、上手くいって良かった」
「この二人はどうしますか?」
「見づがらない様、樽の中に入れちまうだぁ」
「どうせなら鎧と盾を剥ぎ取ろう。身に付ければ、中でバレる可能性は低くなると思う」
「それは良いですけど、二人しか着る事が出来ませんよ? 後の一人はどうするんですか?」
「私に良い考えがあるんだけど、その前に……ハナちゃん、ごめんね」
「?」
二人しか変装出来ない状況の中、真緒は考えがあると述べた。しかしその直後、ハナコに対して謝罪した。ハナコとリーマの二人は不思議そうに頭を傾けた。
***
ゴルド城内。兵士に変装した真緒とリーマ。その間に両手をロープで縛り上げたハナコを挟みながら、横一列で長い廊下を歩いていた。すると前方から一人の兵士がこちらに向かって歩いて来た。
「「お疲れ様です!!」」
「おぅ、お疲れ様。いったいどうした?」
「はい、実は勇者一行の一人と思われる人物を連行して来ました」
そう言いながら兵士に変装した真緒は、ハナコを前に突き出した。ハナコは意気消沈しているのか、口を開かず黙ったまま俯いている状態であった。
「そうか、それならそのまま牢屋の方に向かえ。先に捕らえた勇者一行の一人と同じ牢で良いだろう」
「失礼ながらお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「何だ?」
「牢屋の場所は何処にあるのでしょうか?」
「……は?」
「「…………」」
完全に悪手だった。牢屋の場所が分からない以上、このまま連れて歩き回るのは危険だと考え、思い切って聞いてみる事にしたが、やはり誤った判断だった。
「いったい何言って……あぁ、そう言う事か……」
何かに気が付いた様子の兵士。いつでも戦える様に、真緒達は腰を少し落として戦闘の構えを取る。
「お前ら、最近入った新人だな?」
「「へ?」」
「いや、分かるよ。俺もヘッラアーデに入ったばかりの頃は、ゴルド城の構造を覚えるのに必死だったからな」
「えっ、あっ、そ、そうなんですよ!! この城、妙に複雑な構造していて覚えるのが大変で!!」
「だよな!! 特に本部であるここは滅多に来る事が無いから、余計分かりづらいんだよな……そもそも13支部なんて細かく分かれているから、混乱しちゃうんだよ。俺は第2支部にいたんだけどさ、そこの司教様が結構な変わり者でさ……」
自身の苦労話を長々と語り始める兵士。取り敢えず変装がバレた訳じゃない事に、ホッと一安心する真緒達であった。
「あ、あのー、それで牢屋の場所を……」
「あぁ、そうだったな。いや、すまんすまん、つい話し込んでしまった。牢屋へは、この廊下の突き当たりにある階段を一番下まで降りた所にある。側には牢番がいるから、そいつに引き渡しておけば後は勝手にやってくれる筈だ」
「ありがとうございます!!」
「それではこれで失礼します!!」
「おぅ、確りやれよ」
牢屋の場所を無事に聞き出せた真緒達は、兵士に感謝を述べると足早にその場を後にした。そんな真緒達の様子を見ながら、兵士は腕組みをしながら考え始める。
「そう言えばあの兵士二人、女みたいな声してたけど……今、ゴルド城に配置されている兵士は全員男だった様な……気のせいか」
が、すぐに気のせいだと判断して仕事に戻るのであった。
***
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「どうやらここが牢屋で間違い無いみたいですね」
「フォルスさんは何処にいるんでしょうか?」
「あっ、誰か来る」
無事、牢屋に辿り着いた真緒達だったが、いざフォルスを探そうとすると近付いて来る人影に気が付き、慌てて口を閉じて黙った。
「こんな所で何をしている?」
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「はっ!! 勇者一行の一人と思われる人物を連行して来ました!!」
「ん、そうかご苦労様。それじゃあ後は俺が預かるから、戻って良いぞ」
「え?」
「どうした?」
「いや、確かめたりしないのかなって……」
あまりにもあっさりとした対応に、思わず問い掛けてしまった真緒。
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「つまり顔が似ているという事だ。もし誤認だとしても、それは似ている本人が悪いってもんだ」
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「だって既に何十人も似ている奴を処刑して来たんだから、今更何人誤認しようが関係無い」
「「「!!?」」」
その時、真緒達は背筋が凍り付く程の恐怖を感じた。ヘッラアーデにとってエジタスの仇である勇者一行を殺す事は優先事項と言える。しかし蓋を開けてみれば、そのやり方は酷く杜撰で適当。顔が似ているからという、たったそれだけの理由で何の罪も無い人達が命を奪われている。あまりに恐ろしい事実を知った真緒達は言葉が出なかった。
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「胸糞悪いだぁ……」
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すると、数ある牢屋の一室から聞き覚えのある声が聞こえて来た。
「その声は!!?」
真緒達は慌てて声のした牢屋へと走り出す。
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