6 / 81
友だちとのおしゃべり 《有栖》
しおりを挟む
「ねえ、今度、有栖のおうちに遊びに行ってもいい?」
華ちゃんがお弁当を食べながら出しぬけに言う。
あ、私も行きたいーと奈緒ちゃんも手をあげる。華ちゃんは1年のクラスから、奈緒ちゃんは今年のクラスで仲良くなったお友達だ。
「いいよ…でも、なにも変わったとこはないよ?
「そんなことないよ!有栖のお家、すごく興味ある……」
華ちゃんはなぜかワクワクしている。 奈緒ちゃんもうんうんと頷く。
私は少し困ってしまう。
そんなに楽しみにされても、本当に特に何もないし、私はあまりお友達との付き合いに慣れてない。2人に喜んでもらえるかな…。
「なんかさ、うわさ聞いたの。有栖、めっちゃイケメンのお兄さんと暮らしてるって…大学生なんだよね?」
「あ、私も聞いたことあるよ!立花きょうだいのお兄ちゃんは、そこらのモデルや芸能人よりかっこいいって!竜之介くんも美系だもんね。大学生のお兄さまなんてもっとかっこいいに決まってる…どんな人??」
私は二人の勢いに押されながらも、うーんと考える。
噂が一人歩きしてるな……。
奈緒ちゃんはうっとりとした表情になる。
「なんかさー、クールで知的な感じがしない?きっと大人の男性って感じなんだろうな~」
そうだね…大人ではある…。
落ち着いてて優しく包み込んでくれる感じ。わざとちょっとした冗談を言って場を和ませてくれたりして、いつもまわりを居心地よくしてくれる余裕がある。
心の中で頷いていると、華ちゃんが少しため息をついて続けた。
「でもさー…有栖も大変だよね…かっこいいお兄さんがふたりもいて、おまけに竜之介くんは過保護のシスコン…恋をするの難しいそう…」
目が肥えてるだろうしさーと、さらに続ける。
「華ちゃん…竜之介は兄じゃなく弟…」
私は何度目かの訂正をする。
「有栖のこと狙ってる男子けっこういるんだよ?でもいつも人工衛星みたいに竜之介くんがくっついているからアタックしにくいんだってみんなぼやいてるよ」
「誰が人工衛星だって?」
ひょいと竜之介が廊下から顔を出して、私を含めて3人ともビクッと肩を揺らした。
「ぴっくりした…!あ、有栖がモテるって話だよ?」
華ちゃんが竜之介に言うと、彼はふーんとつまらなそうに返事をした。
「ありす、テーブルにノート忘れてたよ。
5限、英語でしょ…?」
「あ、…ありがとう…」
そうして竜之介はパサッとノートを手渡してくれた。
「女子高生の自宅訪問、大歓迎だよ」
竜之介はにやりと笑って去って行った。
「竜之介くんってかっこいいんだけど、有栖の保護者してるせいか、妙に老成した雰囲気なんだよね…自分は高校生じゃないみたいな物言いするよね…」
竜之介のすっとした背中を見ながら、華ちゃんがクスクス笑った。
竜之介ったら、どこから話を聞いていたのやら。
華ちゃんがお弁当を食べながら出しぬけに言う。
あ、私も行きたいーと奈緒ちゃんも手をあげる。華ちゃんは1年のクラスから、奈緒ちゃんは今年のクラスで仲良くなったお友達だ。
「いいよ…でも、なにも変わったとこはないよ?
「そんなことないよ!有栖のお家、すごく興味ある……」
華ちゃんはなぜかワクワクしている。 奈緒ちゃんもうんうんと頷く。
私は少し困ってしまう。
そんなに楽しみにされても、本当に特に何もないし、私はあまりお友達との付き合いに慣れてない。2人に喜んでもらえるかな…。
「なんかさ、うわさ聞いたの。有栖、めっちゃイケメンのお兄さんと暮らしてるって…大学生なんだよね?」
「あ、私も聞いたことあるよ!立花きょうだいのお兄ちゃんは、そこらのモデルや芸能人よりかっこいいって!竜之介くんも美系だもんね。大学生のお兄さまなんてもっとかっこいいに決まってる…どんな人??」
私は二人の勢いに押されながらも、うーんと考える。
噂が一人歩きしてるな……。
奈緒ちゃんはうっとりとした表情になる。
「なんかさー、クールで知的な感じがしない?きっと大人の男性って感じなんだろうな~」
そうだね…大人ではある…。
落ち着いてて優しく包み込んでくれる感じ。わざとちょっとした冗談を言って場を和ませてくれたりして、いつもまわりを居心地よくしてくれる余裕がある。
心の中で頷いていると、華ちゃんが少しため息をついて続けた。
「でもさー…有栖も大変だよね…かっこいいお兄さんがふたりもいて、おまけに竜之介くんは過保護のシスコン…恋をするの難しいそう…」
目が肥えてるだろうしさーと、さらに続ける。
「華ちゃん…竜之介は兄じゃなく弟…」
私は何度目かの訂正をする。
「有栖のこと狙ってる男子けっこういるんだよ?でもいつも人工衛星みたいに竜之介くんがくっついているからアタックしにくいんだってみんなぼやいてるよ」
「誰が人工衛星だって?」
ひょいと竜之介が廊下から顔を出して、私を含めて3人ともビクッと肩を揺らした。
「ぴっくりした…!あ、有栖がモテるって話だよ?」
華ちゃんが竜之介に言うと、彼はふーんとつまらなそうに返事をした。
「ありす、テーブルにノート忘れてたよ。
5限、英語でしょ…?」
「あ、…ありがとう…」
そうして竜之介はパサッとノートを手渡してくれた。
「女子高生の自宅訪問、大歓迎だよ」
竜之介はにやりと笑って去って行った。
「竜之介くんってかっこいいんだけど、有栖の保護者してるせいか、妙に老成した雰囲気なんだよね…自分は高校生じゃないみたいな物言いするよね…」
竜之介のすっとした背中を見ながら、華ちゃんがクスクス笑った。
竜之介ったら、どこから話を聞いていたのやら。
0
あなたにおすすめの小説
【R18】熱い夜の相手は王太子!? ~婚約者だと告げられましたが、記憶がございません~
世界のボボブラ汁(エロル)
恋愛
激しい夜を過ごしたあと、私は気づいてしまった。
──え……この方、誰?
相手は王太子で、しかも私の婚約者だという。
けれど私は、自分の名前すら思い出せない。
訳も分からず散った純潔、家族や自分の姿への違和感──混乱する私に追い打ちをかけるように、親友(?)が告げた。
「あなた、わたくしのお兄様と恋人同士だったのよ」
……え、私、恋人がいたのに王太子とベッドを共に!?
しかも王太子も恋人も、社交界を騒がすモテ男子。
もしかして、そのせいで私は命を狙われている?
公爵令嬢ベアトリス(?)が記憶を取り戻した先に待つのは── 愛か、陰謀か、それとも破滅か。
全米がハラハラする宮廷恋愛ストーリー……になっていてほしいですね!
※本作品はR18表現があります、ご注意ください。
悪役令嬢、記憶をなくして辺境でカフェを開きます〜お忍びで通ってくる元婚約者の王子様、私はあなたのことなど知りません〜
咲月ねむと
恋愛
王子の婚約者だった公爵令嬢セレスティーナは、断罪イベントの最中、興奮のあまり階段から転げ落ち、頭を打ってしまう。目覚めた彼女は、なんと「悪役令嬢として生きてきた数年間」の記憶をすっぽりと失い、動物を愛する心優しくおっとりした本来の性格に戻っていた。
もはや王宮に居場所はないと、自ら婚約破棄を申し出て辺境の領地へ。そこで動物たちに異常に好かれる体質を活かし、もふもふの聖獣たちが集まるカフェを開店し、穏やかな日々を送り始める。
一方、セレスティーナの豹変ぶりが気になって仕方ない元婚約者の王子・アルフレッドは、身分を隠してお忍びでカフェを訪れる。別人になったかのような彼女に戸惑いながらも、次第に本当の彼女に惹かれていくが、セレスティーナは彼のことを全く覚えておらず…?
※これはかなり人を選ぶ作品です。
感想欄にもある通り、私自身も再度読み返してみて、皆様のおっしゃる通りもう少しプロットをしっかりしてればと。
それでも大丈夫って方は、ぜひ。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』
透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。
「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」
そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが!
突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!?
気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態!
けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で――
「なんて可憐な子なんだ……!」
……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!?
これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!?
ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆
ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~
紅子
恋愛
魂の修行を終えた私は、ご褒美に神様から丈夫な身体をもらい最後の転生しました。公爵令嬢に生まれ落ち、素敵な仮婚約者もできました。家族や仮婚約者から溺愛されて、幸せです。ですけど、神様。私、お願いしましたよね?寿命をベッドの上で迎えるような普通の目立たない人生を送りたいと。やりすぎですよ💢神様。
毎週火・金曜日00:00に更新します。→完結済みです。毎日更新に変更します。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる