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夢うつつ 《有栖》
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私は夢を見ていたのかしら。
ママと二人暮らし。
ママはいつも寂しそうだったな。
私がいても寂しそうに遠くを見ていた。
夢。
新しい家族ができる夢。
パパ、お兄ちゃん、竜之介、チャチャ。
パパが好き。
ママが好き。
お兄ちゃん、竜之介が好き。
チャチャが無惨な姿で見つかる悪夢。
お兄ちゃんと幸せなちいさなキスをする夢。
お兄ちゃんは私の初恋だったのかな。
パパの手が私の幼い胸に伸びて、耳の中に舌を差し入れられる夢。
ママが、ママが私を罵り、私のベッドで首から血を流して動かなくなる酷い悪夢。
悪夢。悪夢。
竜之介と眠る夢。
学校、華ちゃん、桃くん。
パパ。
パパと再会する夢。
パパに犯される悪夢。
海。真っ暗な海。
正直、すべてが夢のよう。
幸せな夢、悲しい夢、酷い悪夢。
そんなこと、兄や竜之介に言ったら、すごく心配するだろうし、すごく悲しませてしまうだろうから、言えない。
あやふやでバラバラになりそうな記憶や思考を、繋ぎ止めようとしたり、ばらばらに壊してしまいたいと願ったり、その繰り返し。
ひどい悪夢のような記憶は夢で、甘い優しい夢のような記憶は現実なのだと、信じていたくて矛盾だらけの夢と現実の記憶を必死に繋いでみたり、また解いたり。
眠る度にあやふやな記憶の海に飛び込んでいくのは辛いけれど、目が覚めた時、竜之介の顔が間近に見えて、ドアを開けたらいつも兄が笑っておはようと言ってくれる、それだけは、夢とは思いたくなくて、しっかりと現実だと自分自身に刻みたくて、ほっぺをつねってみるみたいな感覚で自分を傷つけてしまいたくなる。
痛みは現実だと教えてくれるから。
鏡に映った自分の首の痕や手首の痕が、間違いなくこれだけは現実だと伝えてくれるようで…。
そんな考え方は間違っているかな?
ママと二人暮らし。
ママはいつも寂しそうだったな。
私がいても寂しそうに遠くを見ていた。
夢。
新しい家族ができる夢。
パパ、お兄ちゃん、竜之介、チャチャ。
パパが好き。
ママが好き。
お兄ちゃん、竜之介が好き。
チャチャが無惨な姿で見つかる悪夢。
お兄ちゃんと幸せなちいさなキスをする夢。
お兄ちゃんは私の初恋だったのかな。
パパの手が私の幼い胸に伸びて、耳の中に舌を差し入れられる夢。
ママが、ママが私を罵り、私のベッドで首から血を流して動かなくなる酷い悪夢。
悪夢。悪夢。
竜之介と眠る夢。
学校、華ちゃん、桃くん。
パパ。
パパと再会する夢。
パパに犯される悪夢。
海。真っ暗な海。
正直、すべてが夢のよう。
幸せな夢、悲しい夢、酷い悪夢。
そんなこと、兄や竜之介に言ったら、すごく心配するだろうし、すごく悲しませてしまうだろうから、言えない。
あやふやでバラバラになりそうな記憶や思考を、繋ぎ止めようとしたり、ばらばらに壊してしまいたいと願ったり、その繰り返し。
ひどい悪夢のような記憶は夢で、甘い優しい夢のような記憶は現実なのだと、信じていたくて矛盾だらけの夢と現実の記憶を必死に繋いでみたり、また解いたり。
眠る度にあやふやな記憶の海に飛び込んでいくのは辛いけれど、目が覚めた時、竜之介の顔が間近に見えて、ドアを開けたらいつも兄が笑っておはようと言ってくれる、それだけは、夢とは思いたくなくて、しっかりと現実だと自分自身に刻みたくて、ほっぺをつねってみるみたいな感覚で自分を傷つけてしまいたくなる。
痛みは現実だと教えてくれるから。
鏡に映った自分の首の痕や手首の痕が、間違いなくこれだけは現実だと伝えてくれるようで…。
そんな考え方は間違っているかな?
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