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テディをぎゅっと抱きしめて、綺麗に拭いてもらった顔をお腹の毛に埋める。
「怖くない。大丈夫」
もう今日何度目か分からない優しい言葉を聞きながら身体の力を抜く。ズボンとパンツが少しだけ下ろされた。
「ゆっくり息をして。大丈夫……」
お尻の肉が持ち上げられ、肛門に空気が触れた。恥ずかしくて、つい力を入れてしまう。
「諒、大丈夫……力が入っていると入らないから、少しだけゆっくりしてみようか」
「ん……」
ふう、と意識して息を吐く。
「そう、上手だ。いいこ」
また子供扱い。けれど今はそれが心地いい。子供だから仕方がないのだと思えるのだ。子供で、自分ではできないから篠崎にしてもらうだけ。子供だからお尻を見られても恥ずかしくない。これはただの看病でお世話だから、だから――
「あっ」
「大丈夫、ほら、もう終わったよ。ちゃんと入った。出てしまわないように、少しだけ力を入れておけるかな」
ズボンと下着を直すと、篠崎はゴミ箱を手に消えた。
お尻の異物感はすぐに消えた。きっと体温が高いせいですぐに溶けたのだろう。テディにぎゅっと抱きついて、篠崎が戻るのを待つ。
「諒」
「はい……」
「お尻痛くないかな」
「大丈夫です……あの、すみません……」
「諒が楽になるなら何でもするよ」
そう言って後ろから抱きしめてくれる。安心できる腕の中。すぐに薬が効いたのか、それとも時間感覚がおかしかったのか、あっと言う間に眠りが訪れた。
「あ……ん?」
目が覚めた。カーテンの隙間から光が差し込んでいる。腕の中にはテディ。でも背後に体温も感じる。
「起きたか」
「すみません……」
「どうして謝る。体調はどうかな」
「はい。もうすっかり」
「熱を測ろう」
体温は三十六度五分。すっかり平熱だ。
「よかった。もう目は回っていないな」
「あ、そういえば……」
よかった、と篠崎はもう一度言った。
壁時計を見ると時間はすでに十時を過ぎている。座薬が何時だったかはもう覚えていないけれど、きっともう効果は切れているはずだ。それで平熱なら、きっともう大丈夫だろう。
「ありがとうございました」
テディを離し、身体の向きを変える。
「どういたしまして。体調が落ち着いて本当によかった」
「ありがとうございます」
「でもまだ完治じゃない。今日は一日ベッドでいいこにするんだよ」
「……はぁい」
また子供扱い。でも嬉しい。体調を崩したことがないから、看病してもらう経験もなかった。迷惑を掛けてしまったことは申し訳ないけれど、とても幸せな時間だったような気もする。――楽になったからそう感じるだけかもしれないけれど。
「何か食べれそうかな」
「んー……まだちょっと」
空腹は感じないけれど、喉が渇いている。ゼリーが飲みたい。
「ゼリー、飲みたいです」
言ってみると、篠崎は喜んだ。頼まれるのが嬉しいと言う。
「何味がいいかな」
「何でもいいです」
「じゃあリンゴ味にしよう。持ってくる」
額にキスを受けると、たまには体調を崩すのも悪くないかもしれない、と思った。
「怖くない。大丈夫」
もう今日何度目か分からない優しい言葉を聞きながら身体の力を抜く。ズボンとパンツが少しだけ下ろされた。
「ゆっくり息をして。大丈夫……」
お尻の肉が持ち上げられ、肛門に空気が触れた。恥ずかしくて、つい力を入れてしまう。
「諒、大丈夫……力が入っていると入らないから、少しだけゆっくりしてみようか」
「ん……」
ふう、と意識して息を吐く。
「そう、上手だ。いいこ」
また子供扱い。けれど今はそれが心地いい。子供だから仕方がないのだと思えるのだ。子供で、自分ではできないから篠崎にしてもらうだけ。子供だからお尻を見られても恥ずかしくない。これはただの看病でお世話だから、だから――
「あっ」
「大丈夫、ほら、もう終わったよ。ちゃんと入った。出てしまわないように、少しだけ力を入れておけるかな」
ズボンと下着を直すと、篠崎はゴミ箱を手に消えた。
お尻の異物感はすぐに消えた。きっと体温が高いせいですぐに溶けたのだろう。テディにぎゅっと抱きついて、篠崎が戻るのを待つ。
「諒」
「はい……」
「お尻痛くないかな」
「大丈夫です……あの、すみません……」
「諒が楽になるなら何でもするよ」
そう言って後ろから抱きしめてくれる。安心できる腕の中。すぐに薬が効いたのか、それとも時間感覚がおかしかったのか、あっと言う間に眠りが訪れた。
「あ……ん?」
目が覚めた。カーテンの隙間から光が差し込んでいる。腕の中にはテディ。でも背後に体温も感じる。
「起きたか」
「すみません……」
「どうして謝る。体調はどうかな」
「はい。もうすっかり」
「熱を測ろう」
体温は三十六度五分。すっかり平熱だ。
「よかった。もう目は回っていないな」
「あ、そういえば……」
よかった、と篠崎はもう一度言った。
壁時計を見ると時間はすでに十時を過ぎている。座薬が何時だったかはもう覚えていないけれど、きっともう効果は切れているはずだ。それで平熱なら、きっともう大丈夫だろう。
「ありがとうございました」
テディを離し、身体の向きを変える。
「どういたしまして。体調が落ち着いて本当によかった」
「ありがとうございます」
「でもまだ完治じゃない。今日は一日ベッドでいいこにするんだよ」
「……はぁい」
また子供扱い。でも嬉しい。体調を崩したことがないから、看病してもらう経験もなかった。迷惑を掛けてしまったことは申し訳ないけれど、とても幸せな時間だったような気もする。――楽になったからそう感じるだけかもしれないけれど。
「何か食べれそうかな」
「んー……まだちょっと」
空腹は感じないけれど、喉が渇いている。ゼリーが飲みたい。
「ゼリー、飲みたいです」
言ってみると、篠崎は喜んだ。頼まれるのが嬉しいと言う。
「何味がいいかな」
「何でもいいです」
「じゃあリンゴ味にしよう。持ってくる」
額にキスを受けると、たまには体調を崩すのも悪くないかもしれない、と思った。
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