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第12話 胡蝶の夢
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#第12話 胡蝶の夢
――そして、現在。
事務室のソファにだらしなく体を預けながら、
ルカはナオの湯呑を奪い、ごくりとひと口すすった。
「――いやぁ、懐かしーな、俺の自作自演依頼。
この脚本力、もっと評価されていいと思うんだけどな?」
テーブルに突っ伏したナオが、顔も上げずにぼそりと返す。
「二度とやるな。」
「でもさ、求婚話もあれ以来一度も出てこねぇし?
そんなこんなでナオもルクシオン入りさせて、八方丸く収まりましたっと。」
わざとらしく、パチパチと手を叩く。
その瞬間、ソファの隣から低い声が落ちた。
「……ルカ兄、今ので全部説明完了ってこと?
いや、余計意味分かんねぇんだけど。」
「ルカさん、な。」
ルカは軽く返した。
冗談のようで、冗談じゃない声色で、
そこだけは律儀に譲らない。
クラウンがすっかり聞き流すようになったことも、
ルカはもうとっくにわかっていた。
……それでも、訂正せずにはいられないらしい。
――クラウンは、そのルカから一歩だけ距離を置くように身をずらし、
テーブルに突っ伏したままのナオのそばに、そっと近づいた。
少しだけ声を落として――
けれど、隣にいるナオにはしっかり届くように、問いかける。
「……ナオはさ、それで、本当に納得してんの?」
ナオは、ぴくりとまぶたを動かしただけで、すぐには答えなかった。
「いや、その……」
クラウンは少し目を伏せて、唇の端を引きつらせるように笑った。
「なんていうか、ルカ兄のノリって、独特すぎて。
茶化すし、急に“ダーリン”とか言うし……
ナオって真面目そうなのに、ふつうに返してるから、
正直、脳が処理落ちするっていうか。」
ようやくナオが顔を上げた。
その目は、どこか眠たげで――
でも、クラウンの迷いはすっかり見透かしているようだった。
「後悔してないか、って?」
「……うん。」
ナオは一度だけ息を吐いた。
そして、まるで苦笑のように、ぽつりとこぼす。
「……してたよ。ちょっとだけな。」
クラウンが、息をのんだ。
ナオは、ほんの少し肩を揺らして、続ける。
「でもな、多分――ウマが合ったんだよ、あいつとは。
俺のことも、面倒くさい性格だって分かってるはずなのに、
なんだかんだで、放っとかない。」
「……ウマ?」
「そ。あんなワガママハニーでも、
……まぁ悪くねぇ、ってな。」
ナオはそれだけ言って、再び視線を伏せた。
もうそれ以上、語る気はないらしい。
クラウンはしばらく黙って、それを見つめ――
最後に、ぽつりと呟いた。
「……ワケ分かんねぇ。」
---
室内に、ゆるやかな沈黙が降りた。
ルカがふうっと息をついて、頭の後ろで腕を組む。
――そのタイミングで、扉が開いた。
ノックの音はなかった。
けれど、それを咎める者もいない。
ふわり、と。
薬品とも、コーヒーともつかない、やわらかな匂いが室内を満たした。
白衣のようなロングコートを羽織った男が、手に銀色のカップを持って入ってくる。
「良かった、勢揃いだ。……ちょっと頼みにくい話があってね」
男は微笑みながら、まっすぐルカの方を見ていた。
クラウンは思わず、ルカとその男を見比べる。
(……誰だ?)
声に出すより早く、隣のナオがぽそりと告げた。
「――淡路光雅。ここの専属医。……“ミツさん”って呼べばいい。」
クラウンは、まじまじと男を見た。
たしかに清潔感はある。
けれど、どこか妙に色っぽい。
薬の匂いが、ひどくやさしく漂っていた。
「クラウンくん、だね。初めまして。……顔、見られてよかったよ。」
男は、にこやかに笑っている。
クラウンはなぜか、それだけで喉の奥が詰まったような気がした。
「で。話って?」
ルカの声に、男――ミツが一歩、前に出る。
「……"叉道街(さどうがい)"の馴染みの医者から、急ぎの連絡があってね。」
ルカの表情が、わずかに引き締まった。
「どうも最近、新種っぽい薬物が、静かに入ってきてるらしい。
しかも、いつものルートじゃない。見たことない形で広がってる。」
「……それで、ミツさんに話がきたと。」
ナオの問いに、ミツは静かに頷く。
「もう、処置に必要なストックも追いついてない。
あの辺りはずっと、パッチワークの医療体制でやってきたからね。」
「……あー、うん。……頼みにくい話なわけだ。」
ルカが、面倒くさそうに首を鳴らす。
けれど、その声音には――どこか、覚悟のようなものが滲んでいた。
「僕からのお願いは、そこに薬を持って行ってほしいんだよ。
……これは依頼じゃない。だから、断ってもいい」
「……ミツさんのお願いを、無下にするわけにもいかねぇよ」
ルカはそう言って、どこか渋い顔で頭をかいた。
茶化す余裕はなく、かといって断るつもりもない。
――最初から答えは決まっていた。だからこそ、その声には、ほんのわずかに諦めの色が滲んでいた。
ミツはそんなルカを見て、やわらかく目を細める。
「その代わり、僕個人から渡すよ。
危ない場所に行かせるんだから――せめて、僕の気が済む分くらいはね」
そう言って、ミツは手に持っていた銀色のカップを、静かにテーブルに置いた。
「詳細と荷物は、あとで渡すよ。
診療所の医者は、僕の古い知り合いだ。……信頼できる」
ルカが、ほんのわずかに口元を歪めて、ぼそりと呟いた。
「……あー……気が進まねぇ……」
クラウンは、ルカの顔を見た。
それまでの飄々とした空気が、どこかへ消えていた。
「……ルカ兄?」
「……ルカさん、だ。なんでもねぇよ。行くぞ、ハニー」
そう言って立ち上がったルカの背を、ナオが黙って追う。
クラウンだけが、その一瞬だけ見せたルカの“顔”に、
なぜか胸の奥をざらつかせながら、静かに見送っていた。
---
叉道街の夕暮れは、いつにも増して濁っていた。
アスファルトには無数のヒビ。
ごみ袋が破れ、内容物をぶちまけたような路地裏。
薬物中毒者らしき男がひとり、壁にもたれて口をぱくぱくと動かしている。
声は出ていない。だが、何かを喋っているようだった。
目を凝らせば、路地の奥――
男女問わず、似たような人影が点々と続いている。
ナオが、ちらりと視線を送った。
「……ここの空気、前よりも澱んでる気がする。」
「ああ。さっきの診療所、思い出しても吐きそうだ……。」
ルカが眉間を押さえながら、歩調を緩める。
床に転がった注射器。
倒れ込んだままの患者。
薬の不足で、手が回っていないのは明らかだった。
――それでも、あの医者は手を止めなかった。
諦めたような目で。
それでも、一人ずつに、確かに手を伸ばしていた。
その姿が、やけに脳裏に焼きついて離れない。
――と。
路地の先で、何かがしゃがみこんでいるのが見えた。
子供だった。
骨の輪郭が浮き出るほど、痩せこけた小さな背中が、
二人、寄り添うように並んでいる。
足元の地面を、じっと見つめていた。
何かを摘んでいる。ふたりとも、夢中だった。
ひとりが、それを指先でつまみ上げた。
もう片方が、不思議そうに小首を傾ける。
目の前に差し出されたそれを――
おもむろに、口の中へ入れようとした。
その瞬間、ルカが目を見開いた。
「――ッ、やめろ!!!」
何も考える前に、体が動いていた。
いつもの軽口も、余裕も、すべて吹き飛んでいた。
がむしゃらに駆け寄り、子供の手から、その粒を弾くように奪い取る。
子供が、驚いて目を見張る。
何が起きたのか分かっていない。
手の中から消えたそれを探して、ぽかんと口を開けていた。
「……ルカ……」
ナオが、思わず息を呑む。
ルカの目は、大きく見開かれたまま動かない。
その表情は、いつもの飄々とした仮面とはまるで別人だった。
ナオは、そっと子供の手を握る。
「悪い。……それ、お菓子じゃねぇんだ」
小さな手のひらに、小銭を握らせた。
その額が足りているのかは、分からない。
けれど、今この場から遠ざけるためには――それしかなかった。
子供たちは戸惑いながらも、互いの手を取り合って歩き出す。
その背を、ルカは黙って見送っていた。
拳を握りしめたまま、表情は変わらない。
――透き通る、青い粒。蝶の形。
手のひらの中に、それはまだ、確かに残っていた。
間違いなかった。
この街に、新しい毒が流れ込んでいる。
そしてそれは――
すでに、子供の手が触れる場所にまで、広がっていた。
――そして、現在。
事務室のソファにだらしなく体を預けながら、
ルカはナオの湯呑を奪い、ごくりとひと口すすった。
「――いやぁ、懐かしーな、俺の自作自演依頼。
この脚本力、もっと評価されていいと思うんだけどな?」
テーブルに突っ伏したナオが、顔も上げずにぼそりと返す。
「二度とやるな。」
「でもさ、求婚話もあれ以来一度も出てこねぇし?
そんなこんなでナオもルクシオン入りさせて、八方丸く収まりましたっと。」
わざとらしく、パチパチと手を叩く。
その瞬間、ソファの隣から低い声が落ちた。
「……ルカ兄、今ので全部説明完了ってこと?
いや、余計意味分かんねぇんだけど。」
「ルカさん、な。」
ルカは軽く返した。
冗談のようで、冗談じゃない声色で、
そこだけは律儀に譲らない。
クラウンがすっかり聞き流すようになったことも、
ルカはもうとっくにわかっていた。
……それでも、訂正せずにはいられないらしい。
――クラウンは、そのルカから一歩だけ距離を置くように身をずらし、
テーブルに突っ伏したままのナオのそばに、そっと近づいた。
少しだけ声を落として――
けれど、隣にいるナオにはしっかり届くように、問いかける。
「……ナオはさ、それで、本当に納得してんの?」
ナオは、ぴくりとまぶたを動かしただけで、すぐには答えなかった。
「いや、その……」
クラウンは少し目を伏せて、唇の端を引きつらせるように笑った。
「なんていうか、ルカ兄のノリって、独特すぎて。
茶化すし、急に“ダーリン”とか言うし……
ナオって真面目そうなのに、ふつうに返してるから、
正直、脳が処理落ちするっていうか。」
ようやくナオが顔を上げた。
その目は、どこか眠たげで――
でも、クラウンの迷いはすっかり見透かしているようだった。
「後悔してないか、って?」
「……うん。」
ナオは一度だけ息を吐いた。
そして、まるで苦笑のように、ぽつりとこぼす。
「……してたよ。ちょっとだけな。」
クラウンが、息をのんだ。
ナオは、ほんの少し肩を揺らして、続ける。
「でもな、多分――ウマが合ったんだよ、あいつとは。
俺のことも、面倒くさい性格だって分かってるはずなのに、
なんだかんだで、放っとかない。」
「……ウマ?」
「そ。あんなワガママハニーでも、
……まぁ悪くねぇ、ってな。」
ナオはそれだけ言って、再び視線を伏せた。
もうそれ以上、語る気はないらしい。
クラウンはしばらく黙って、それを見つめ――
最後に、ぽつりと呟いた。
「……ワケ分かんねぇ。」
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室内に、ゆるやかな沈黙が降りた。
ルカがふうっと息をついて、頭の後ろで腕を組む。
――そのタイミングで、扉が開いた。
ノックの音はなかった。
けれど、それを咎める者もいない。
ふわり、と。
薬品とも、コーヒーともつかない、やわらかな匂いが室内を満たした。
白衣のようなロングコートを羽織った男が、手に銀色のカップを持って入ってくる。
「良かった、勢揃いだ。……ちょっと頼みにくい話があってね」
男は微笑みながら、まっすぐルカの方を見ていた。
クラウンは思わず、ルカとその男を見比べる。
(……誰だ?)
声に出すより早く、隣のナオがぽそりと告げた。
「――淡路光雅。ここの専属医。……“ミツさん”って呼べばいい。」
クラウンは、まじまじと男を見た。
たしかに清潔感はある。
けれど、どこか妙に色っぽい。
薬の匂いが、ひどくやさしく漂っていた。
「クラウンくん、だね。初めまして。……顔、見られてよかったよ。」
男は、にこやかに笑っている。
クラウンはなぜか、それだけで喉の奥が詰まったような気がした。
「で。話って?」
ルカの声に、男――ミツが一歩、前に出る。
「……"叉道街(さどうがい)"の馴染みの医者から、急ぎの連絡があってね。」
ルカの表情が、わずかに引き締まった。
「どうも最近、新種っぽい薬物が、静かに入ってきてるらしい。
しかも、いつものルートじゃない。見たことない形で広がってる。」
「……それで、ミツさんに話がきたと。」
ナオの問いに、ミツは静かに頷く。
「もう、処置に必要なストックも追いついてない。
あの辺りはずっと、パッチワークの医療体制でやってきたからね。」
「……あー、うん。……頼みにくい話なわけだ。」
ルカが、面倒くさそうに首を鳴らす。
けれど、その声音には――どこか、覚悟のようなものが滲んでいた。
「僕からのお願いは、そこに薬を持って行ってほしいんだよ。
……これは依頼じゃない。だから、断ってもいい」
「……ミツさんのお願いを、無下にするわけにもいかねぇよ」
ルカはそう言って、どこか渋い顔で頭をかいた。
茶化す余裕はなく、かといって断るつもりもない。
――最初から答えは決まっていた。だからこそ、その声には、ほんのわずかに諦めの色が滲んでいた。
ミツはそんなルカを見て、やわらかく目を細める。
「その代わり、僕個人から渡すよ。
危ない場所に行かせるんだから――せめて、僕の気が済む分くらいはね」
そう言って、ミツは手に持っていた銀色のカップを、静かにテーブルに置いた。
「詳細と荷物は、あとで渡すよ。
診療所の医者は、僕の古い知り合いだ。……信頼できる」
ルカが、ほんのわずかに口元を歪めて、ぼそりと呟いた。
「……あー……気が進まねぇ……」
クラウンは、ルカの顔を見た。
それまでの飄々とした空気が、どこかへ消えていた。
「……ルカ兄?」
「……ルカさん、だ。なんでもねぇよ。行くぞ、ハニー」
そう言って立ち上がったルカの背を、ナオが黙って追う。
クラウンだけが、その一瞬だけ見せたルカの“顔”に、
なぜか胸の奥をざらつかせながら、静かに見送っていた。
---
叉道街の夕暮れは、いつにも増して濁っていた。
アスファルトには無数のヒビ。
ごみ袋が破れ、内容物をぶちまけたような路地裏。
薬物中毒者らしき男がひとり、壁にもたれて口をぱくぱくと動かしている。
声は出ていない。だが、何かを喋っているようだった。
目を凝らせば、路地の奥――
男女問わず、似たような人影が点々と続いている。
ナオが、ちらりと視線を送った。
「……ここの空気、前よりも澱んでる気がする。」
「ああ。さっきの診療所、思い出しても吐きそうだ……。」
ルカが眉間を押さえながら、歩調を緩める。
床に転がった注射器。
倒れ込んだままの患者。
薬の不足で、手が回っていないのは明らかだった。
――それでも、あの医者は手を止めなかった。
諦めたような目で。
それでも、一人ずつに、確かに手を伸ばしていた。
その姿が、やけに脳裏に焼きついて離れない。
――と。
路地の先で、何かがしゃがみこんでいるのが見えた。
子供だった。
骨の輪郭が浮き出るほど、痩せこけた小さな背中が、
二人、寄り添うように並んでいる。
足元の地面を、じっと見つめていた。
何かを摘んでいる。ふたりとも、夢中だった。
ひとりが、それを指先でつまみ上げた。
もう片方が、不思議そうに小首を傾ける。
目の前に差し出されたそれを――
おもむろに、口の中へ入れようとした。
その瞬間、ルカが目を見開いた。
「――ッ、やめろ!!!」
何も考える前に、体が動いていた。
いつもの軽口も、余裕も、すべて吹き飛んでいた。
がむしゃらに駆け寄り、子供の手から、その粒を弾くように奪い取る。
子供が、驚いて目を見張る。
何が起きたのか分かっていない。
手の中から消えたそれを探して、ぽかんと口を開けていた。
「……ルカ……」
ナオが、思わず息を呑む。
ルカの目は、大きく見開かれたまま動かない。
その表情は、いつもの飄々とした仮面とはまるで別人だった。
ナオは、そっと子供の手を握る。
「悪い。……それ、お菓子じゃねぇんだ」
小さな手のひらに、小銭を握らせた。
その額が足りているのかは、分からない。
けれど、今この場から遠ざけるためには――それしかなかった。
子供たちは戸惑いながらも、互いの手を取り合って歩き出す。
その背を、ルカは黙って見送っていた。
拳を握りしめたまま、表情は変わらない。
――透き通る、青い粒。蝶の形。
手のひらの中に、それはまだ、確かに残っていた。
間違いなかった。
この街に、新しい毒が流れ込んでいる。
そしてそれは――
すでに、子供の手が触れる場所にまで、広がっていた。
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