41 / 64
第21話 払え
しおりを挟む
#第21話 払え
――煙が、間を裂くように広がっていく。
その向こう、蜂須賀の背が、じわじわと遠ざかる。
(……また、手が届かない――)
息を詰める。喉が焼ける。
奥歯がきしむほど噛みしめながら、ルカはにじり寄ろうとした。
そのときだった。
冷たく、けれど一点を貫くような声が、鼓膜を震わす。
「……つぐみ。――払え。」
音が止まったような錯覚。
世界が、一瞬だけ静止した。
――ドン。
地鳴りのような音が、腹の底を打ち抜いた。
続いて、空気が爆ぜる。
紫煙が裂けた。
まるで“神の手”が空を払ったように、濃霧が左右へ吹き飛ばされていく。
視界が――開けた。
蜂須賀の背が、そこにあった。
傷ひとつなく、焦りを交えた目で、こちらを見据えている。
――だとしても。
(……道が……できた……っ!!)
「っ……!」
喉の奥が震えた。
迷いはなかった。
反射的に、ルカの足が、風の中を駆けた。
――遠く離れた、屋上。
風の音だけが、世界を満たしていた。
巨大な対物ライフルにしがみつくようにして、少女が息を吐いた。
体格には不釣り合いな銃身を、三脚と重りで必死に安定させながら、
微細な照準修正を指先で終える。
そのつぶらな瞳は、静かに、
スコープ越しに蜂須賀の姿を捉えていた。
「……着弾、確認。非命中。」
ヘッドセット越しのVの声に、つぐみは淡々と答える。
「通路、確保完了。――次のポイントへ、移動します。」
――風が、また吹いた。
駆ける足音。
肺が焼けるように痛む。
視界を切り裂いて、ルカの身体が宙を蹴っていた。
(――行ける。今度こそ、届く……!)
開けた煙の先に、蜂須賀の背中。
振り返ったその顔に、一瞬の硬直――
目が見開かれ、眉間にかすかな皺。
歪んだ口元に、もう余裕はなかった。
額に滲む汗。
足がわずかに後退しかける。
(見えた――)
「――ぜってぇ……逃がすかよッ!!」
咆哮と同時に、ルカの足が風を裂き、鞭が唸りを上げた。
疾風のような軌道で唸りを上げ、狙い澄ました一撃が、蜂須賀の足に絡みつく。
「――ぐッ……!」
バランスを崩した蜂須賀の体勢が傾ぐ。
足が止まる。それだけで、追いついた意味があった。
(――止めた……)
けれど――
「っ、く……!」
次の瞬間、ルカの膝が崩れた。
肺が焼け、頭が回らない。
毒の侵蝕が、確実に内側を蝕んでいた。
(……やべぇ、吸いすぎた……)
視界がぐらつく。
脚がもつれて、そのまま瓦礫の上に、ずしゃ、と倒れ込む。
荒い呼吸の中で、それでもルカは目を逸らさなかった。
霞む視界の先――蜂須賀を、決して見失わないように。
――逃がさねぇ。
地面に倒れ伏しながらも、ルカの右腕は震えながら鞭を握り締めた。
その先端は、確かに蜂須賀の足首を絡め取っている。
まるで執念のように、締めつける。
「逃げんなよ……蜂須賀ぁ……ッ!!」
嗄れた声が、毒に濁った空気を突き破った。
「お前は……奪ったんだよ。……一方的に、」
荒い息を吐きながら、言葉を絞り出す。
喉の奥が焼けるように痛い。それでも――声は止まらない。
「誰かの指示で動いて……言われたままに毒ばら撒いて……
どうせ、自分の手ぇ汚したつもりにもなってねぇんだろ?」
顔を上げる。
汗と灰塵にまみれた視界の先に、蜂須賀の姿があった。
鞭に捕らわれた足を引き剥がそうともがいているその様が、無様に見えた。
「俺が……全部、ぶっ潰してやる……ッ!」
目が、怒りに濁る。
「お前も――お前の後ろにあるもんも……
その正義ヅラした地獄も、全部だ!!」
手が滑りそうになる。
けれど、力は抜けなかった。
「逃げんなよ……お前がやったんだ……!」
鞭が、ぎち、と音を立てて締まる。
「――離さねぇぞ。もう、逃さねぇからな……ッ!!」
――足が、動かない。
焦ったように、何度も引き剥がそうとした。
だが、足首に絡んだ鞭は、まるで蛇のように喰らいついて離れない。
(……こんな…こんなことが……)
視線の先。
倒れたままのルカが、顔を上げてこちらを睨んでいる。
毒で朦朧としてるはずの目に、まだ“執念”が残っていた。
もう、逃げられない。
駒としての役目も、もう終わった。
(あぁ……)
喉の奥で、小さく乾いた笑いが漏れた。
(……捨て駒に…なるつもりは、無かった……)
だが失敗した時点で、回収なんてされない。
捕まれば、情報の秘匿のため、殺されるだろう。
――それなら、自分で幕を引くしかない。
舌の奥を、ゆっくり押し当てる。
奥歯に仕込んでおいた、割れば即死の毒入りカプセルが、そこにあった。
(……せめて、)
せめて、“この瞬間”だけでも。
支配されて死ぬんじゃない。
自分の意志で終わらせる。
相手の目を見て――自分で、引き金を引く。
ぐっと首を傾け、ルカを見下ろす。
「――私がいなくなっても、もう、“毒”は回っている。」
その目に焼きつけてやる。
“自分じゃ届かない場所”にいる者の顔を。
「――何も、変わりはしない。」
カチリ、と音がした。
次の瞬間、蜂須賀の喉がびくりと激しく跳ねた。
口の端から、泡立つような血がにじみ、
吐息とともに泡立ち始める。
「……ッ、が……あ……」
断続的に喉を鳴らしながら、肩が大きく揺れる。
その身体が、震えるように痙攣し、ぐらり、と後ろへ――
そして。
――音もなく、崩れ落ちた。
血の混じった唾液が、顎から地面へ垂れ落ちる。
目は、虚空の何かを見据えたまま、もう動かない。
まるで、笑っているような、
皮肉な安堵を、わずかに滲ませた表情を残して。
「……は……?」
その様子を、ルカは――ただ、見つめることしかできなかった。
「……なに、してんだよ……」
喉の痛みも、肺の灼ける感覚も――今はもう、どうでもよかった。
それよりも、胸の奥を刺した“何か”が、ずっと抜けずに残っていた。
「おい……嘘だろ……っ」
声が震える。
言葉にならない音が、喉の奥で何度も引っかかる。
「なんでだよ……! 逃げんなって言っただろ……っ!」
地面を這った指先から、爪が割れた。
握る力も残ってないくせに、ただ、何かを掴みたくて――手が、勝手に動いていた。
「話せよ……答えろよ……!っざけんなよ……ッ!!」
目の前の死体に怒鳴ったところで、もう何も届かない。
それでも、言わずにはいられなかった。
「なんでてめぇだけ……っ、てめぇだけ、楽になってんだよ!!
てめぇは……っ、あんなもん残して、全部投げ出し残して……逃げんのかよ!!」
喉が潰れるような声が、咆哮となってこぼれる。
「ふざけんな……!ふざけんな、ふざけんなッ!!」
崩れ落ちるように、地面に額をぶつけた。
震える肩が、噛み殺せない悔しさに、ぎし、と音を立てる。
「…くそ…、くそ、っくッ……そォ……!!!」
ぼろぼろと、涙が混じる。
声にならない叫びだけが、毒の残滓の中に響いた。
――その声が、耳の奥に残っていた。
うまく聞き取れなかった。
けれど、誰よりも知っている声だった。
(……ルカ……)
目も、動かない。
身体は、とっくに限界だった。
それでも、その声だけが――
心の底に、焼きついて、離れなかった。
(……無事、で……よかっ……た……)
それが、最後に浮かんだ想い。
意識は、ゆっくりと、
あの声を抱えたまま、静かに闇へと沈んでいった。
…そして、ルカもまた。
肩を揺らしながら、地に額を押しつけたまま、
そのまま――意識を手放した。
――煙が、間を裂くように広がっていく。
その向こう、蜂須賀の背が、じわじわと遠ざかる。
(……また、手が届かない――)
息を詰める。喉が焼ける。
奥歯がきしむほど噛みしめながら、ルカはにじり寄ろうとした。
そのときだった。
冷たく、けれど一点を貫くような声が、鼓膜を震わす。
「……つぐみ。――払え。」
音が止まったような錯覚。
世界が、一瞬だけ静止した。
――ドン。
地鳴りのような音が、腹の底を打ち抜いた。
続いて、空気が爆ぜる。
紫煙が裂けた。
まるで“神の手”が空を払ったように、濃霧が左右へ吹き飛ばされていく。
視界が――開けた。
蜂須賀の背が、そこにあった。
傷ひとつなく、焦りを交えた目で、こちらを見据えている。
――だとしても。
(……道が……できた……っ!!)
「っ……!」
喉の奥が震えた。
迷いはなかった。
反射的に、ルカの足が、風の中を駆けた。
――遠く離れた、屋上。
風の音だけが、世界を満たしていた。
巨大な対物ライフルにしがみつくようにして、少女が息を吐いた。
体格には不釣り合いな銃身を、三脚と重りで必死に安定させながら、
微細な照準修正を指先で終える。
そのつぶらな瞳は、静かに、
スコープ越しに蜂須賀の姿を捉えていた。
「……着弾、確認。非命中。」
ヘッドセット越しのVの声に、つぐみは淡々と答える。
「通路、確保完了。――次のポイントへ、移動します。」
――風が、また吹いた。
駆ける足音。
肺が焼けるように痛む。
視界を切り裂いて、ルカの身体が宙を蹴っていた。
(――行ける。今度こそ、届く……!)
開けた煙の先に、蜂須賀の背中。
振り返ったその顔に、一瞬の硬直――
目が見開かれ、眉間にかすかな皺。
歪んだ口元に、もう余裕はなかった。
額に滲む汗。
足がわずかに後退しかける。
(見えた――)
「――ぜってぇ……逃がすかよッ!!」
咆哮と同時に、ルカの足が風を裂き、鞭が唸りを上げた。
疾風のような軌道で唸りを上げ、狙い澄ました一撃が、蜂須賀の足に絡みつく。
「――ぐッ……!」
バランスを崩した蜂須賀の体勢が傾ぐ。
足が止まる。それだけで、追いついた意味があった。
(――止めた……)
けれど――
「っ、く……!」
次の瞬間、ルカの膝が崩れた。
肺が焼け、頭が回らない。
毒の侵蝕が、確実に内側を蝕んでいた。
(……やべぇ、吸いすぎた……)
視界がぐらつく。
脚がもつれて、そのまま瓦礫の上に、ずしゃ、と倒れ込む。
荒い呼吸の中で、それでもルカは目を逸らさなかった。
霞む視界の先――蜂須賀を、決して見失わないように。
――逃がさねぇ。
地面に倒れ伏しながらも、ルカの右腕は震えながら鞭を握り締めた。
その先端は、確かに蜂須賀の足首を絡め取っている。
まるで執念のように、締めつける。
「逃げんなよ……蜂須賀ぁ……ッ!!」
嗄れた声が、毒に濁った空気を突き破った。
「お前は……奪ったんだよ。……一方的に、」
荒い息を吐きながら、言葉を絞り出す。
喉の奥が焼けるように痛い。それでも――声は止まらない。
「誰かの指示で動いて……言われたままに毒ばら撒いて……
どうせ、自分の手ぇ汚したつもりにもなってねぇんだろ?」
顔を上げる。
汗と灰塵にまみれた視界の先に、蜂須賀の姿があった。
鞭に捕らわれた足を引き剥がそうともがいているその様が、無様に見えた。
「俺が……全部、ぶっ潰してやる……ッ!」
目が、怒りに濁る。
「お前も――お前の後ろにあるもんも……
その正義ヅラした地獄も、全部だ!!」
手が滑りそうになる。
けれど、力は抜けなかった。
「逃げんなよ……お前がやったんだ……!」
鞭が、ぎち、と音を立てて締まる。
「――離さねぇぞ。もう、逃さねぇからな……ッ!!」
――足が、動かない。
焦ったように、何度も引き剥がそうとした。
だが、足首に絡んだ鞭は、まるで蛇のように喰らいついて離れない。
(……こんな…こんなことが……)
視線の先。
倒れたままのルカが、顔を上げてこちらを睨んでいる。
毒で朦朧としてるはずの目に、まだ“執念”が残っていた。
もう、逃げられない。
駒としての役目も、もう終わった。
(あぁ……)
喉の奥で、小さく乾いた笑いが漏れた。
(……捨て駒に…なるつもりは、無かった……)
だが失敗した時点で、回収なんてされない。
捕まれば、情報の秘匿のため、殺されるだろう。
――それなら、自分で幕を引くしかない。
舌の奥を、ゆっくり押し当てる。
奥歯に仕込んでおいた、割れば即死の毒入りカプセルが、そこにあった。
(……せめて、)
せめて、“この瞬間”だけでも。
支配されて死ぬんじゃない。
自分の意志で終わらせる。
相手の目を見て――自分で、引き金を引く。
ぐっと首を傾け、ルカを見下ろす。
「――私がいなくなっても、もう、“毒”は回っている。」
その目に焼きつけてやる。
“自分じゃ届かない場所”にいる者の顔を。
「――何も、変わりはしない。」
カチリ、と音がした。
次の瞬間、蜂須賀の喉がびくりと激しく跳ねた。
口の端から、泡立つような血がにじみ、
吐息とともに泡立ち始める。
「……ッ、が……あ……」
断続的に喉を鳴らしながら、肩が大きく揺れる。
その身体が、震えるように痙攣し、ぐらり、と後ろへ――
そして。
――音もなく、崩れ落ちた。
血の混じった唾液が、顎から地面へ垂れ落ちる。
目は、虚空の何かを見据えたまま、もう動かない。
まるで、笑っているような、
皮肉な安堵を、わずかに滲ませた表情を残して。
「……は……?」
その様子を、ルカは――ただ、見つめることしかできなかった。
「……なに、してんだよ……」
喉の痛みも、肺の灼ける感覚も――今はもう、どうでもよかった。
それよりも、胸の奥を刺した“何か”が、ずっと抜けずに残っていた。
「おい……嘘だろ……っ」
声が震える。
言葉にならない音が、喉の奥で何度も引っかかる。
「なんでだよ……! 逃げんなって言っただろ……っ!」
地面を這った指先から、爪が割れた。
握る力も残ってないくせに、ただ、何かを掴みたくて――手が、勝手に動いていた。
「話せよ……答えろよ……!っざけんなよ……ッ!!」
目の前の死体に怒鳴ったところで、もう何も届かない。
それでも、言わずにはいられなかった。
「なんでてめぇだけ……っ、てめぇだけ、楽になってんだよ!!
てめぇは……っ、あんなもん残して、全部投げ出し残して……逃げんのかよ!!」
喉が潰れるような声が、咆哮となってこぼれる。
「ふざけんな……!ふざけんな、ふざけんなッ!!」
崩れ落ちるように、地面に額をぶつけた。
震える肩が、噛み殺せない悔しさに、ぎし、と音を立てる。
「…くそ…、くそ、っくッ……そォ……!!!」
ぼろぼろと、涙が混じる。
声にならない叫びだけが、毒の残滓の中に響いた。
――その声が、耳の奥に残っていた。
うまく聞き取れなかった。
けれど、誰よりも知っている声だった。
(……ルカ……)
目も、動かない。
身体は、とっくに限界だった。
それでも、その声だけが――
心の底に、焼きついて、離れなかった。
(……無事、で……よかっ……た……)
それが、最後に浮かんだ想い。
意識は、ゆっくりと、
あの声を抱えたまま、静かに闇へと沈んでいった。
…そして、ルカもまた。
肩を揺らしながら、地に額を押しつけたまま、
そのまま――意識を手放した。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】『左遷女官は風花の離宮で自分らしく咲く』 〜田舎育ちのおっとり女官は、氷の貴公子の心を溶かす〜
天音蝶子(あまねちょうこ)
キャラ文芸
宮中の桜が散るころ、梓乃は“帝に媚びた”という濡れ衣を着せられ、都を追われた。
行き先は、誰も訪れぬ〈風花の離宮〉。
けれど梓乃は、静かな時間の中で花を愛で、香を焚き、己の心を見つめなおしていく。
そんなある日、離宮の監察(監視)を命じられた、冷徹な青年・宗雅が現れる。
氷のように無表情な彼に、梓乃はいつも通りの微笑みを向けた。
「茶をお持ちいたしましょう」
それは、春の陽だまりのように柔らかい誘いだった——。
冷たい孤独を抱く男と、誰よりも穏やかに生きる女。
遠ざけられた地で、ふたりの心は少しずつ寄り添いはじめる。
そして、帝をめぐる陰謀の影がふたたび都から伸びてきたとき、
梓乃は自分の選んだ“幸せの形”を見つけることになる——。
香と花が彩る、しっとりとした雅な恋愛譚。
濡れ衣で左遷された女官の、静かで強い再生の物語。
【完結】結界守護者の憂鬱なあやかし幻境譚 ~平凡な男子高校生、今日から結界を繕います~
御崎菟翔
キャラ文芸
【平凡な高校生 × 妖従者たちが紡ぐ、絆と成長の主従現代和風ファンタジー!】
「選ぶのはお前だ」
――そう言われても、もう引き返せない。
ごく普通の高校生・奏太(そうた)は、夏休みのある日、本家から奇妙な呼び出しを受ける。
そこで待っていたのは、人の言葉を話す蝶・汐(うしお)と、大鷲・亘(わたり)。
彼らに告げられたのは、人界と異界を隔てる結界を修復する「守り手」という、一族に伝わる秘密の役目だった。
「嫌なら断ってもいい」と言われたものの、放置すれば友人が、家族が、町が危険に晒される。
なし崩し的に役目を引き受けた奏太は、夜な夜な大鷲の背に乗り、廃校や心霊スポットへ「出勤」することに!
小生意気な妖たちに絡まれ、毒を吐く蛙と戦い、ついには異世界「妖界」での政変にまで巻き込まれていく奏太。
その過程で彼は、一族が隠し続けてきた「残酷な真実」と、従姉・結(ゆい)の悲しい運命を知ることになる――
これは、後に「秩序の神」と呼ばれる青年が、まだ「ただの人間」だった頃の、始まりの物語。
★新作『蜻蛉商会のヒトガミ様』
この物語から300年後……神様になった奏太の物語も公開中!
https://www.alphapolis.co.jp/novel/174241108/158016858
ユニークアイテムな女子(絶対的替えの効かない、唯一無二の彼女)「ゆにかの」
masuta
キャラ文芸
恋と友情、そして命を懸けた決断。青春は止まらない。
世界を股にかける財閥の御曹司・嘉位は、U-15日本代表として世界一を経験した天才投手。
しかし、ある理由で野球を捨て、超エリート進学校・和井田学園へ進学する。
入学式の日、偶然ぶつかった少女・香織。
彼女は、嘉位にとって“絶対的替えの効かない、唯一無二の存在”だった。
香織は、八重の親友。
そして八重は、時に未来を暗示する不思議な夢を見る少女。
その夢が、やがて物語を大きく動かしていく。
ゴールデンウィーク、八重の見た夢は、未曾有の大災害を告げていた。
偶然か、必然か……命を守るために立ち上がる。
「誰も欠けさせない」という信念を胸に走り続ける。
やがて災害を未然に防ぎ、再びグラウンドへと導く。
その中で、恋もまた静かに進んでいく。
「ずっと、君が好きだった」告白の言葉が、災害と勝負を越えた心を震わせる。
それぞれの想いが交錯し、群像劇は加速する。
一人ひとりが主人公。人生に脇役はいない。
現代ファンタジーとリアルが交錯する青春群像劇。
本作は小説家になろう、オリジナル作品のフルリメイク版です。
後宮なりきり夫婦録
石田空
キャラ文芸
「月鈴、ちょっと嫁に来るか?」
「はあ……?」
雲仙国では、皇帝が三代続いて謎の昏睡状態に陥る事態が続いていた。
あまりにも不可解なために、新しい皇帝を立てる訳にもいかない国は、急遽皇帝の「影武者」として跡継ぎ騒動を防ぐために寺院に入れられていた皇子の空燕を呼び戻すことに決める。
空燕の国の声に応える条件は、同じく寺院で方士修行をしていた方士の月鈴を妃として後宮に入れること。
かくしてふたりは片や皇帝の影武者として、片や皇帝の偽りの愛妃として、後宮と言う名の魔窟に潜入捜査をすることとなった。
影武者夫婦は、後宮内で起こる事件の謎を解けるのか。そしてふたりの想いの行方はいったい。
サイトより転載になります。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
皇帝陛下の寵愛は、身に余りすぎて重すぎる
若松だんご
恋愛
――喜べ、エナ! お前にも縁談が来たぞ!
数年前の戦で父を、病で母を亡くしたエナ。
跡継ぎである幼い弟と二人、後見人(と言う名の乗っ取り)の叔父によりずっと塔に幽閉されていたエナ。
両親の不在、後見人の暴虐。弟を守らねばと、一生懸命だったあまりに、婚期を逃していたエナに、叔父が(お金目当ての)縁談を持ちかけてくるけれど。
――すまないが、その縁談は無効にさせてもらう!
エナを救ってくれたのは、幼馴染のリアハルト皇子……ではなく、今は皇帝となったリアハルト陛下。
彼は先帝の第一皇子だったけれど、父帝とその愛妾により、都から放逐され、エナの父のもとに身を寄せ、エナとともに育った人物。
――結婚の約束、しただろう?
昔と違って、堂々と王者らしい風格を備えたリアハルト。驚くエナに妻になってくれと結婚を申し込むけれど。
(わたし、いつの間に、結婚の約束なんてしてたのっ!?)
記憶がない。記憶にない。
姉弟のように育ったけど。彼との別れに彼の無事を願ってハンカチを渡したけれど! それだけしかしてない!
都会の洗練された娘でもない。ずっと幽閉されてきた身。
若くもない、リアハルトより三つも年上。婚期を逃した身。
後ろ盾となる両親もいない。幼い弟を守らなきゃいけない身。
(そんなわたしが? リアハルト陛下の妻? 皇后?)
ずっとエナを慕っていたというリアハルト。弟の後見人にもなってくれるというリアハルト。
エナの父は、彼が即位するため起こした戦争で亡くなっている。
だから。
この求婚は、その罪滅ぼし? 昔世話になった者への恩返し?
弟の後見になってくれるのはうれしいけれど。なんの取り柄もないわたしに求婚する理由はなに?
ずっと好きだった彼女を手に入れたかったリアハルトと、彼の熱愛に、ありがたいけれど戸惑いしかないエナの物語。
「お前みたいな卑しい闇属性の魔女など側室でもごめんだ」と言われましたが、私も殿下に嫁ぐ気はありません!
野生のイエネコ
恋愛
闇の精霊の加護を受けている私は、闇属性を差別する国で迫害されていた。いつか私を受け入れてくれる人を探そうと夢に見ていたデビュタントの舞踏会で、闇属性を差別する王太子に罵倒されて心が折れてしまう。
私が国を出奔すると、闇精霊の森という場所に住まう、不思議な男性と出会った。なぜかその男性が私の事情を聞くと、国に与えられた闇精霊の加護が消滅して、国は大混乱に。
そんな中、闇精霊の森での生活は穏やかに進んでいく。
白苑後宮の薬膳女官
絹乃
キャラ文芸
白苑(はくえん)後宮には、先代の薬膳女官が侍女に毒を盛ったという疑惑が今も残っていた。先代は瑞雪(ルイシュエ)の叔母である。叔母の濡れ衣を晴らすため、瑞雪は偽名を使い新たな薬膳女官として働いていた。
ある日、幼帝は瑞雪に勅命を下した。「病弱な皇后候補の少女を薬膳で救え」と。瑞雪の相棒となるのは、幼帝の護衛である寡黙な武官、星宇(シンユィ)。だが、元気を取り戻しはじめた少女が毒に倒れる。再び薬膳女官への疑いが向けられる中、瑞雪は星宇の揺るぎない信頼を支えに、後宮に渦巻く陰謀へ踏み込んでいく。
薬膳と毒が導く真相、叔母にかけられた冤罪の影。
静かに心を近づける薬膳女官と武官が紡ぐ、後宮ミステリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる