13 / 26
十三話 元公爵令嬢、うっかり前世がバレる
しおりを挟む
「さぁ、もう着くわよ。窓の外に見えるのが、ランカスター伯爵邸ね」
「で、でっか……! 流石、うちと比べて伯爵邸はレベルが違いすぎる……!!」
「そう? あまり気にしたことなかったわね。セラフィーナ時代はもっと大きい家に住んでいたから……」
馬車がゆっくりと速度を落とし、伯爵邸の門の前で止まる。
私は乗車した時と同じように、馬車から先に降りてフリージアに手を差し出した。
フリージアはその手を慣れない動作で取って、顔を少し赤く染めながら馬車を降りる。
「……セシリア様って、スパダリ属性だよね……」
「すぱだり? なによそれ」
「王子様みたいにかっこいいってこと!」
「……王子様、ねぇ……確かに美形だったけれど、そんなに良いものかしら」
私の呟きに、フリージアが不思議そうに首を傾げる。
そういえば、この子には私が前世で王太子の元婚約者だったこと、伝えてなかったわね。
「詳しい話は、お茶を飲みながらしましょうか」
***
「え!? セシリア様って、王子様の婚約者だったの!?」
庭に響き渡るような大声で、フリージアが叫んだ。
淑女として、そんな大きな声をお茶会中に出すのはどうかと思うけれど……二人きりのお茶会だもの、指摘するのも野暮な話ね。
「そうよ。まぁ、『元婚約者』だけどね」
「……なんで婚約者じゃなくなっちゃったの?」
……まぁ、気になるわよね。
本当はあまり……知られたくはないけれど。でも、フリージア……いえ、ユリは全て話してくれたんだもの。
なら、セラフィーナもちゃんと自分の話をするべきだわ。それが礼儀ってものよね。
「簡単な話よ。王太子とは元々恋愛感情のないパートナーだったのだけれど……彼に好きな人ができたうえに、冤罪を次々と被せられてしまったの。その結果、無事に私は身分剝奪からの処刑エンドというわけ」
「セシリア様って、セラフィーナ様の時も悪役令嬢だったんだ?」
「あなたの国の言葉で言うなら、そうなんでしょうね」
口を大きくあんぐりと開けて固まってしまっているフリージアをスルーして、お茶を口に含む。
……うん、今日の紅茶も最高ね!
「な、なに優雅にお茶飲んでるの!? セラフィーナ様、そういう大事なことは早く教えてよぉ~!」
「別に、前世は前世だもの。私達は今を楽しまなきゃ……そうでしょ?」
「そうなんだけどさぁ……」
複雑そうな表情をしているフリージアに笑いかけてあげると、彼女はなんとか納得したようだった。
だって、今は私の前世なんて本当にいいのよ。それより私が話したかったのは、『攻略対象』が誰か、という話だもの。
「ねぇフリージア、確認したいのだけどいいかしら」
「? なに?」
「攻略対象って、一体何人いるの?」
私がそう問いかけた途端、フリージアの目がギラリと光った。
____なんだか、変なスイッチを押しちゃったみたいね……。
「よくぞ聞いてくれました! 『花の乙女』……通称『はなおと』には、四人の攻略対象がいるよ! それに加えて、エドナ様とソフィア様との友情ルートがある感じ!」
「よ、四人!? そんなにいるの……?」
「うん! 一人目は、セシリア様の弟のギルバート様でしょ? で、二人目が……」
フリージアが二本目の指を折った、その瞬間。
「俺が、なんだって?」
「ギ……ギル!? なんでここに……!」
どこからやってきたのか、さっきまでいなかったはずのギルが突如会話に参加をしてきた。
というか、どうしてここにいるのよ!
「いや……俺の家でもあるんだから、いるだろ、普通に」
____紛れもなく、正論だわ。
「それより、あんた達声デカすぎ……会話丸聞こえなんだけど」
「え!? ど、どこから聞いてたの!?」
「最初から」
「う、うそ……ちょっと、フリージア、どうしましょう!?」
「やばい! 本物のギルバート様、顔面偏差値高すぎるんですけど……! 眼福~~!」
____もう、肝心な時にこうなっちゃうんだから! というか、あなたの推しは私じゃなかったの!? いえ、別になんでもいいけれども!!
「……っていうわけで、セシリア、あんたが本当は何者なのか……ちゃんと俺にも教えてくれるよな?」
私が焦っているのにも当然気付いているでしょうに、ギルは素知らぬふりをしながらその整った顔面でにっこりと告げてきた。
しかし、その表情からは確かな圧が感じられて……。
「は、はい……全部話します……」
……私は、大人しくギルに従うことしかできないのだった。
「で、でっか……! 流石、うちと比べて伯爵邸はレベルが違いすぎる……!!」
「そう? あまり気にしたことなかったわね。セラフィーナ時代はもっと大きい家に住んでいたから……」
馬車がゆっくりと速度を落とし、伯爵邸の門の前で止まる。
私は乗車した時と同じように、馬車から先に降りてフリージアに手を差し出した。
フリージアはその手を慣れない動作で取って、顔を少し赤く染めながら馬車を降りる。
「……セシリア様って、スパダリ属性だよね……」
「すぱだり? なによそれ」
「王子様みたいにかっこいいってこと!」
「……王子様、ねぇ……確かに美形だったけれど、そんなに良いものかしら」
私の呟きに、フリージアが不思議そうに首を傾げる。
そういえば、この子には私が前世で王太子の元婚約者だったこと、伝えてなかったわね。
「詳しい話は、お茶を飲みながらしましょうか」
***
「え!? セシリア様って、王子様の婚約者だったの!?」
庭に響き渡るような大声で、フリージアが叫んだ。
淑女として、そんな大きな声をお茶会中に出すのはどうかと思うけれど……二人きりのお茶会だもの、指摘するのも野暮な話ね。
「そうよ。まぁ、『元婚約者』だけどね」
「……なんで婚約者じゃなくなっちゃったの?」
……まぁ、気になるわよね。
本当はあまり……知られたくはないけれど。でも、フリージア……いえ、ユリは全て話してくれたんだもの。
なら、セラフィーナもちゃんと自分の話をするべきだわ。それが礼儀ってものよね。
「簡単な話よ。王太子とは元々恋愛感情のないパートナーだったのだけれど……彼に好きな人ができたうえに、冤罪を次々と被せられてしまったの。その結果、無事に私は身分剝奪からの処刑エンドというわけ」
「セシリア様って、セラフィーナ様の時も悪役令嬢だったんだ?」
「あなたの国の言葉で言うなら、そうなんでしょうね」
口を大きくあんぐりと開けて固まってしまっているフリージアをスルーして、お茶を口に含む。
……うん、今日の紅茶も最高ね!
「な、なに優雅にお茶飲んでるの!? セラフィーナ様、そういう大事なことは早く教えてよぉ~!」
「別に、前世は前世だもの。私達は今を楽しまなきゃ……そうでしょ?」
「そうなんだけどさぁ……」
複雑そうな表情をしているフリージアに笑いかけてあげると、彼女はなんとか納得したようだった。
だって、今は私の前世なんて本当にいいのよ。それより私が話したかったのは、『攻略対象』が誰か、という話だもの。
「ねぇフリージア、確認したいのだけどいいかしら」
「? なに?」
「攻略対象って、一体何人いるの?」
私がそう問いかけた途端、フリージアの目がギラリと光った。
____なんだか、変なスイッチを押しちゃったみたいね……。
「よくぞ聞いてくれました! 『花の乙女』……通称『はなおと』には、四人の攻略対象がいるよ! それに加えて、エドナ様とソフィア様との友情ルートがある感じ!」
「よ、四人!? そんなにいるの……?」
「うん! 一人目は、セシリア様の弟のギルバート様でしょ? で、二人目が……」
フリージアが二本目の指を折った、その瞬間。
「俺が、なんだって?」
「ギ……ギル!? なんでここに……!」
どこからやってきたのか、さっきまでいなかったはずのギルが突如会話に参加をしてきた。
というか、どうしてここにいるのよ!
「いや……俺の家でもあるんだから、いるだろ、普通に」
____紛れもなく、正論だわ。
「それより、あんた達声デカすぎ……会話丸聞こえなんだけど」
「え!? ど、どこから聞いてたの!?」
「最初から」
「う、うそ……ちょっと、フリージア、どうしましょう!?」
「やばい! 本物のギルバート様、顔面偏差値高すぎるんですけど……! 眼福~~!」
____もう、肝心な時にこうなっちゃうんだから! というか、あなたの推しは私じゃなかったの!? いえ、別になんでもいいけれども!!
「……っていうわけで、セシリア、あんたが本当は何者なのか……ちゃんと俺にも教えてくれるよな?」
私が焦っているのにも当然気付いているでしょうに、ギルは素知らぬふりをしながらその整った顔面でにっこりと告げてきた。
しかし、その表情からは確かな圧が感じられて……。
「は、はい……全部話します……」
……私は、大人しくギルに従うことしかできないのだった。
40
あなたにおすすめの小説
十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!
翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。
「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。
そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。
死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。
どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。
その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない!
そして死なない!!
そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、
何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?!
「殿下!私、死にたくありません!」
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
※他サイトより転載した作品です。
悪役令嬢はモブ化した
F.conoe
ファンタジー
乙女ゲーム? なにそれ食べ物? な悪役令嬢、普通にシナリオ負けして退場しました。
しかし貴族令嬢としてダメの烙印をおされた卒業パーティーで、彼女は本当の自分を取り戻す!
領地改革にいそしむ充実した日々のその裏で、乙女ゲームは着々と進行していくのである。
「……なんなのこれは。意味がわからないわ」
乙女ゲームのシナリオはこわい。
*注*誰にも前世の記憶はありません。
ざまぁが地味だと思っていましたが、オーバーキルだという意見もあるので、優しい結末を期待してる人は読まない方が良さげ。
性格悪いけど自覚がなくて自分を優しいと思っている乙女ゲームヒロインの心理描写と因果応報がメインテーマ(番外編で登場)なので、叩かれようがざまぁ改変して救う気はない。
作者の趣味100%でダンジョンが出ました。
10日後に婚約破棄される公爵令嬢
雨野六月(旧アカウント)
恋愛
公爵令嬢ミシェル・ローレンは、婚約者である第三王子が「卒業パーティでミシェルとの婚約を破棄するつもりだ」と話しているのを聞いてしまう。
「そんな目に遭わされてたまるもんですか。なんとかパーティまでに手を打って、婚約破棄を阻止してみせるわ!」「まあ頑張れよ。それはそれとして、課題はちゃんとやってきたんだろうな? ミシェル・ローレン」「先生ったら、今それどころじゃないって分からないの? どうしても提出してほしいなら先生も協力してちょうだい」
これは公爵令嬢ミシェル・ローレンが婚約破棄を阻止するために(なぜか学院教師エドガーを巻き込みながら)奮闘した10日間の備忘録である。
乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?
シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。
……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。
攻略対象の王子様は放置されました
蛇娥リコ
恋愛
……前回と違う。
お茶会で公爵令嬢の不在に、前回と前世を思い出した王子様。
今回の公爵令嬢は、どうも婚約を避けたい様子だ。
小説家になろうにも投稿してます。
私は《悪役令嬢》の役を降りさせて頂きます
・めぐめぐ・
恋愛
公爵令嬢であるアンティローゼは、婚約者エリオットの想い人であるルシア伯爵令嬢に嫌がらせをしていたことが原因で婚約破棄され、彼に突き飛ばされた拍子に頭をぶつけて死んでしまった。
気が付くと闇の世界にいた。
そこで彼女は、不思議な男の声によってこの世界の真実を知る。
この世界が恋愛小説であり《読者》という存在の影響下にあることを。
そしてアンティローゼが《悪役令嬢》であり、彼女が《悪役令嬢》である限り、断罪され死ぬ運命から逃れることができないことを――
全てを知った彼女は決意した。
「……もう、あなたたちの思惑には乗らない。私は、《悪役令嬢》の役を降りさせて頂くわ」
※全12話 約15,000字。完結してるのでエタりません♪
※よくある悪役令嬢設定です。
※頭空っぽにして読んでね!
※ご都合主義です。
※息抜きと勢いで書いた作品なので、生暖かく見守って頂けると嬉しいです(笑)
悪役令嬢は断罪の舞台で笑う
由香
恋愛
婚約破棄の夜、「悪女」と断罪された侯爵令嬢セレーナ。
しかし涙を流す代わりに、彼女は微笑んだ――「舞台は整いましたわ」と。
聖女と呼ばれる平民の少女ミリア。
だがその奇跡は偽りに満ち、王国全体が虚構に踊らされていた。
追放されたセレーナは、裏社会を動かす商会と密偵網を解放。
冷徹な頭脳で王国を裏から掌握し、真実の舞台へと誘う。
そして戴冠式の夜、黒衣の令嬢が玉座の前に現れる――。
暴かれる真実。崩壊する虚構。
“悪女”の微笑が、すべての終幕を告げる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる