【R18】囚われ勇者は仮初の姉を手放さない

ドゴイエちまき

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5.★思い出して

 控えめだったクレイの吐息はすっかり荒い息に変わっていた。

 舌なめずりしたサフィアはてろりと糸を引く唾液を手で拭い、再び彼の腰に跨る。

 

「まだダメ。一緒に気持ちよくなろうね」

 

 あふれる蜜でぐっしょり濡れた下着をずらし、滾る熱杭に秘部を密着させる。触れ合うだけで自分でも驚くほど甘い声がこぼれ落ちた。



 しかし蕩けそうなサフィアとは対照的にクレイの顔は青ざめている。そこに少しの恐怖が混じるのは禁忌が思想に染み付いているからだろう。

 

「ダメだ、姉さん。俺たちは姉弟で……。そんなこと、姉さんはしちゃダメだ」



 もう体は十分に準備がでいているのに。この期に及んで首を横に振る弟を諭すよう、サフィアは優しく淫らに微笑む。

 

「大丈夫。だってお姉ちゃん、本当のお姉ちゃんじゃないもの」

「なに言って……。だって、父さん母さんが死んで、ずっと二人で……。あっ、姉さ……っ」



 じっくり味わいながら、潤う蜜窟は熱杭を少しずつ飲み込んでいく。体内を侵食していく熱は、ずっと見守り慈しんできたクレイ自身。

 ゆっくり埋まる感触はサフィアの全身を嬉しくわななかせ、赤いくちびるから恍惚とした吐息がもれる。

 

「あっ、レイが、わたしの中に……いるぅ。気持ちいい……」

「く、あ……、姉さん、ダメだ……」



 拘束されたクレイの抵抗などなんの障害にもならなかった。

 埋まりきった熱杭はサフィアの最奥を押し上げる。強すぎる快感で目の前が白く瞬くようだ。

 甘い声を上げたサフィアはまだ抗おうとするクレイと視線を合わせる。

 

「んっ……。ダメじゃないよ。ね、思い出して。本当にレイにお姉さんはいた? そんな人、いなかったよね? レイひとりぼっちだったよね? そこに私が現れたんだよね?」

「え……」



 クレイとの出会いはサフィアにとって衝撃的で忘れられない出来事だ。あの日の幼い弟を思い出すと今でも頬がゆるんでしまう。

 

「よーく思い出して。ほら、これが私の本当の姿。私たち、全然似てないでしょ?」



 擬態を解くなら今が良いのかもしれない。みるみるうちにサフィアの色彩が髪の先からグラデーションのように変化していく。

 クレイと同じ灰茶の髪は煌めく銀髪に、焦茶の瞳は血のような赤に。そして頭には丸まった黒い二本のツノ。

 

 呆然と目を開くクレイの瞳を赤い瞳でのぞき込む。

 もう必要がないから、あの日にかけた暗示は解いてあげる。



 ***

 

 勇者となりうる子どもがいる。

 サフィアがそんな情報を耳にしたのは今からほんの十年前。



 脆く弱い人間に興味などなかったけれど、勇者という者がどんな存在なのか知りたく、サフィアはふらりと人の国へ足を運んだ。
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