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運命の日
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放課後、帰宅部のユウトは寮には戻らず、自分たちがいた養護施設へと向かっていた。
二人の思い出の場所はその施設の裏山にあった。
大きな樹の根元にある穴の中。
そこに二人で作った秘密基地がある。
(あそこ、俺だけじゃ入れないんだよな、アキラがいないと)
時間まではかなりある。
どこかで時間を潰そうか、そう思った時だった。
キキ――――ッ!
自転車が凄い勢いでドリフトを掛けて、ユウトの前で止まった。
ユウトは呆気にとられたが、よく見るとそれはアキラだった。
ゼエゼエと荒く息を切らしている。
「あれ、お前部活じゃなかったっけ?」
「ユウト……助けて」
「は?」
「これ、マネージャーに明日からの合宿の買い出し頼まれたんだけど……無理だし」
アキラはユウトにメモを差し出した。
訳が分からないまま、とりあえずメモを見る。
南瓜、胡瓜、馬鈴薯、人参、玉葱――
「なるほど……確かにお前には無理だな」
「だよね! 特にその、うま、すず……しょ? え、警察かなんか?」
「……っ」
ユウトは思わず吹き出した。
全く以てアキラらしい。久しぶりに笑った気がする。
「まあ、これはかなり意地の悪い書き方だよな。いいよ、俺も買い出しに付き合ってやるよ。どうせ暇だったし」
「マジ? やったー! ありがとユウト!」
そう言ってアキラはユウトに抱き付いた。
相変わらずなアキラを見ていると、ユウトはこれから自分がしようとしていることが、とても残酷に思えてならなかった。
二人の思い出の場所はその施設の裏山にあった。
大きな樹の根元にある穴の中。
そこに二人で作った秘密基地がある。
(あそこ、俺だけじゃ入れないんだよな、アキラがいないと)
時間まではかなりある。
どこかで時間を潰そうか、そう思った時だった。
キキ――――ッ!
自転車が凄い勢いでドリフトを掛けて、ユウトの前で止まった。
ユウトは呆気にとられたが、よく見るとそれはアキラだった。
ゼエゼエと荒く息を切らしている。
「あれ、お前部活じゃなかったっけ?」
「ユウト……助けて」
「は?」
「これ、マネージャーに明日からの合宿の買い出し頼まれたんだけど……無理だし」
アキラはユウトにメモを差し出した。
訳が分からないまま、とりあえずメモを見る。
南瓜、胡瓜、馬鈴薯、人参、玉葱――
「なるほど……確かにお前には無理だな」
「だよね! 特にその、うま、すず……しょ? え、警察かなんか?」
「……っ」
ユウトは思わず吹き出した。
全く以てアキラらしい。久しぶりに笑った気がする。
「まあ、これはかなり意地の悪い書き方だよな。いいよ、俺も買い出しに付き合ってやるよ。どうせ暇だったし」
「マジ? やったー! ありがとユウト!」
そう言ってアキラはユウトに抱き付いた。
相変わらずなアキラを見ていると、ユウトはこれから自分がしようとしていることが、とても残酷に思えてならなかった。
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