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運命の日

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「それにしても誰だよ、こんな面倒なメモ書いたの」

「あーそれは、その……ユウトの、元カノの……」

 アキラは答えにくそうに、もごもごしている。
 あの女、やはり根に持ったか。
 そしてその矛先をアキラに向けたと言う訳だ。

「……そうなんだ、悪かったな」

 そう素直に謝った。
 アキラは少し驚いた顔をした後、心から嬉しそうに笑った。

「何だよ?」

「いや最近ユウト、ちょっと機嫌悪そうだったからさ。何かこう、嬉しくて」

 その言葉は、ユウトの心にチクリと小さな棘を刺した。
 アキラのこんな笑顔を見るのは久しぶりかもしれない。

(馬鹿……そんなことでいちいち喜ぶなよ)

 この笑顔を殺していたのは、他ならぬ自分だということは分かっている。

 ますます言いづらくなった……
 買い物になんて付き合うんじゃなかったと、酷く後悔が残る。


 買い出しの後、アキラに付いてユウトも一緒に学校へと戻った。
 着くなり、部員の方へつかつかと近付いてアミを見つけ出すと、例のメモをポンと軽く投げつけた。

「おい、アキラなら告げ口しないとでも思ったんだろ。生憎だったな、偶然そこで会った」

「え……あ、あの……」

 焦りで顔面蒼白となったアミに対して、ユウトは冷たく言い放った。

「やめてくれないかな、こういうこと。男に嫉妬とか馬鹿じゃねえ? 俺、もうしばらく誰とも付き合わないけどさ、誤解すんなよ。そっちの趣味は絶対ないから」

 何の感情もこもっていない、全くの棒読み。
 アミは目を潤ませながら走り去って行った。

「ええ……ユウト、それだけ言いに来たの?」

「そうだよ、悪いか。もう部活は終わりだろ。だったら早く行こう」

 決心が鈍る前にさっさと終わらせたい。
 明日から合宿なら、しばらくアキラと顔を合わせることも避けられる。

 今しかない、丁度いい。
 そう自分に言い聞かせた。 
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