世界は地球の手のひらで踊る

文月美森

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言い知れぬ不安

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「君はアキラちゃんに惚れとるね」

「……は?」

 まるで頭を軽い鈍器でカーンと殴られたような突然の衝撃。
 真面目に身構えていたというのに、思わぬ不意打ちにユウトは慌てた。

「『黄金比』というのは正解かもしれん。現に君は、アキラちゃんに惹き付けられて夢中になっとるじゃろ」

 全くの図星。

「いや、あのですね! 先程も言いましたけど、あいつは元々『男』だし、しかも俺とは兄弟同然に育った幼なじみで……」

「なんじゃあ、あんなに可愛い娘とずっと一緒にいて何もしとらんのかあ? 情けないのー」

 小馬鹿にされたようで、思わず少しムッとなった。
 早い話が、それは誘導尋問だったのだが。

「な、何もって言われると……キス、くらいは」

 するにはしたが、初めてキスをしたのもつい最近のこと。

「なんじゃ? チューしかしとらんのか」

「いや、というか関係ないでしょう! もうプライベートなことは放っておいて貰えませんかっ?」

 ユウトはいい加減に苛立ってきた。

「なるほど、やはりそうか」

「え?」

 やはり、とは? 自分とアキラに何があるのか。
 聞き方に問題はあるが、少なくとも教授は面白半分に聞いてきている訳ではなさそうだ。

「話が全く見えないんですが、それって俺たちに何か関係があるんですか?」

「ありありじゃて。ちなみに、ユウトくんは経験済、アキラちゃんは未経験。当たっとるじゃろ」

 びしっと言い当てられて、ユウトはたじろいだ。

「な……! ちょ、ちょっと待って下さい? 何でそんなことまで--」

 この人はどこまで深入りしてくるつもりかと、少し怖ろしくなる。

「あのアザはな、雌雄が決定すると消えるんじゃ。アキラちゃんの場合、純潔を失って初めて正真正銘の『女』になれるという訳じゃ」

 ユウトは一瞬言葉を失った。
 それはユウトにとって、とてつもなく重大な内容だった。

「それって……アキラはまだ『男』でも『女』でもない、と言うことですか? じゃあ、『男』に戻る可能性もあると――」

「アキラちゃんの心ひとつと言う所じゃろう。『女』になったきっかけは分からんが、少なくとも未だに『女』でいると言う事は、ユウトくんに対して何か強い想いや好意を持っているからとしか思えんのじゃが」
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