神の娘が行く月の教会創世記

たぬまる

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冒険者の町

冒険者生活と新たなる出会い

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 冒険者ギルドで紹介してもらった宿屋に部屋を取ると、翌日にアルテミスはドレスからショートパンツとあやめ色のTシャツに着替え、イーフリートのドロップアイテムの炎の具足を装備して、マチェットと待ち合わせした宿の食堂へ向かった。

 マチェットは動きやすいズボンと長袖のYシャツ、背中にはクレッシェントを背負っており、壁にもたれるようにしてコーヒーを飲む姿はとても様になっていた。

「おまたせしました」

「なに、約束の時間までは時間が有りますでの」

 二人が受けた依頼は、ノーフライバード3匹の納品とオリーブベリー40の納品だった。
 ノーフライバードは空を飛ばない代わりに、2メートルの体長と強靭な足を持つ走る鳥で、この辺りでは初心者殺しとも言われる獰猛な鳥だ。矢羽の材料や、食肉用、そして何よりその骨は弱い魔物を数回払う魔道具になるという、正に捨てるところの無いモンスターだった。

 そして、オリーブベリーは同じく初心者殺しのオリーブトレントに生っており、回復薬の基本薬液になり、そのどちらも常時依頼で何時も品薄な物だった。
 理由としては手間の割りには金額が低く、人気が無いからであった。

「では、私はオリーブベリーの採取に行きますね」

「アルテミス様、やはり一人で行かれますか?」

「二手に分かれた方が効率が良いでしょう」

 アルテミスは意見を変えそうに無いことを確認すると、マチェットは諦めたように了承して、二人は西の森へと出かけて行った。

 西の森は日が良く入り、見通しも良い森で、アルテミスは空を見上げ、朝日を気持ち良さそうに浴びると森の奥へと進んで行った。

 オリーブトレントは基本的に風通しが良く、日当たりが良い場所に群生し、一匹が敵認定すると一斉に襲い掛かってくる恐ろしいモンスターだが。

「♪~♪~」

 次々にオリーブベリーを摘み、次々に木を替えていく。

「これはいいですか?」

 オリーブトレントは枝を揺すり返事をする。
 こうしてアルテミスはオリーブトレントに聞いて回収する事で安全も回収していった。

 オリーブトレントから無理やり摘まないお陰で品質も最高級の物となり、オリーブトレントは自分の要らない実を取ってもらう事で気持ちが良い(オリーブトレントにとっては散髪&ヘッドスパのような物)であり、お互いにWin-Winな状態だった。

 鼻歌に合わせて気持ち良さそうに枝を揺らし、アルテミスも機嫌良く収穫して行っていると、オリーブトレントから、もう少し奥の泉の所のエンシェントオリーブトレントも採取して欲しいと言っているという意思を感じ、奥に行って見ると、泉の側に巨大なオリーブトレントが立っていた。

「貴方からも採取しても良いの?」

”是非頼む、出来ればワシの葉も1/3ほど落として欲しい”

「あら?テレパスが使えるのね。では落として欲しい場所をテレパスで送ってね」

”感謝する”

 こうしてアルテミスは日が傾くまで、エンシェントオリーブトレントの剪定をして、お礼に貰った大量の実と葉を持って帰る事になった。


 一方マチェットは

 昼を回る頃には20羽のノーフライバードを仕留め、今まさに21羽目をその目に捉えていた。

”シュパン”と矢が走り、ノーフライバードの頭を正確に捉え、その場でバタリと音を立てて倒れた。ノーフライバードを木に吊るし、血抜きをし始める。

「前よりも技が切れるようになっておるな・・・」

 吊るしたまま、内臓を抜き下処理をしていき、アルテミスから貰った無限鞄から、鉄紫蘇の葉に内臓を包み、肉と骨を切り分け同じ様にして鞄にしまって行く。

「今日はここまででよいじゃろう、技は冴えておるがよる年波には勝てぬな」

 そう言って腰をトントンと叩き、身体を伸ばす。
 実は熟練の冒険者でもこの短時間で21羽のノーフライバードを狩るのは不可能に近かった。
 殺気に敏感で、猛スピードで逃げるノーフライバードを仕留めるコツは一撃で仕留めるのが一番なのだが、素早いノーフライバードには簡単に交わされてしまうのだ。

「おいおい爺さん、そいつを俺達によこせよ」

 マチェットが振り向くと、汚い髭面の3人の冒険者が棍棒を片手にニヤニヤと笑い近づいてきていた。

「は、わずらわしいのう」

「何言ってやがる、さっさと寄こせ」

 そう言って棍棒を振りかぶり襲い掛かってきた。

 マチェットは身を軽くひねって距離を取り、3本の矢を番えて一斉に打ち出すと、矢は真っ直ぐ三人の肩を貫き、2人は木に縫い付けられ、リーダー格は驚き、腰を抜かしたように後ろ向きに這いずって逃げようとしていた。

「こらこら、人を襲う盗賊行為をして生きて帰れると思っとるのか?」

「や、ゆあめりょよ」

 涙を流し、縺れた舌でやめろと言いながら、必死に手を振って近寄らせないようにしようとしていた。

「フン!」

 弓についているシールド部分で男を殴りつけ意識を刈り取ると、縫い付けられた2人も縛り上げ、町に戻って行った。

 町に戻ると衛兵に事情を聞かれ、審議の天秤の審判を受けて、犯罪奴隷の報奨金の受け取り書にサインをして、冒険者ギルドへ戻る頃には日が傾き始めた時間になっていた。

「す、凄いですね。ノーフライバードをこんなに取ってくるなんて記録ですよ!」

「そうか?前に居た村ではもっと取っていたが?」

「え?そ、その村は何て名前ですか?」

「ソクナハ村だが?なぜかの?」

 不思議そうに、首を傾けるマチェットにコスタリカは真剣な顔をして

「やっぱりですか、ソクナハ村は間違いなく違法売買をしていますね。
 確りと調べて結果をお知らせしますね」

「よう解らんが任せましたぞ」

「マチェットさん、先に帰ってたんですね」

 マチェットが振り向くと、アルテミスが帰ってきていた。

「私も査定を頼みます」

 そう言ってオリーブベリーを山のようにトレーに乗せると、コスタリカが慌てたように異次元トレーを取り出し何とか収納できた。

「こ、これも凄い事です、暫くお待ちください」

「後これは何か使い道がありますか?」

 そう言ってエンシェントオリーブトレントの葉と実を一つずつ取り出すと、コスタリカは軽く首を捻って奥に居た男を呼び寄せた。

「こ、これは!!!君これを何処で?!!!!!」

 ヒョロッとした黒髪の男はアルテミスに掴みかからんばかりに身体をカウンターから乗り出し、血走った目で問いかけてきた。

「剪定のお礼に貰いました」

「何の剪定でもらえるんだ!!エンシェントオリーブトレントの実と葉をもらえる剪定なら僕がする!!さぁその情報をよこせ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 絶叫する男の後頭部を思い切り手にしたハンマーで引っぱたくと、男は「ぐぉぉぉ」と声を上げしゃがみ込む。

「いい加減にしなさい!次に暴走したら、ぶっ殺しますよ。
 で?これはなんなんですか?」

 冷笑を浮かべ男を見下ろすコスタリカは、持っていたハンマーより5倍の大きさのハンマーを召喚する。
 ハンマーの周りに刺がついており、片側は鋭く尖っていた。

「ぐぉぉぉ、こ、これはエリクサの材料だよ。
 エンシェントオリーブトレントから取れると言われている、虹の実と五葉の葉、後はエンシェントオリーブトレントの蜜が有れば完成するんだ・・・はぁはぁ欲しい・・・」

”ちゃき”

 コスタリカがハンマーを構えると、男は青い顔をして俯いて震え、動かなくなった。

「相当なレアアイテムみたいですね、よろしければオークションで販売されたほうが良いと思います」

「そうね、彼みたいなのも居るみたいだしお願いするわ」

 そう言ってコスタリカに実と葉を預けると、依頼書を書いて冒険者ギルドを後にしようとした。

「助けてください!!」


 ある冒険者の告白

 僕たちはF級に上がって直ぐ東のフルティ鉱山にあるダンジョンに挑戦していた。
 冒険者はH級から始まりEまでが初心者とされ、Fになると半ダンジョンに挑戦できるようになる。
 先輩冒険者から話を聞いていて、はやる気持ちが抑えられなかったのだ。

「ね~ケイン一階層だけだよね?」

「勿論、でも俺達なら3階層まで行ける気がするけどね」

「そうだな、我輩達ならな。
 だが、今日は下見だ、じっくり行こう」

 俺達のパーティーは剣士の俺ケインと、火魔法師のリリー、フォートレスのガンツとバランスの取れたパーティー編成だった。
 
 やはり俺達はバランスが良く、1階の地図に沿って着実に探索を進め、鉱石もそこそこ集まった時に事件が起きた。

「ね、ねぇケイン、あの人たち動きがおかしくない?」

「ホントだ」

 前方から4人組の冒険者がこちらに向かって走ってくる。

「あ!トレインだ!逃げるぞ」

 俺がそう言って振り向くと、ガンツがリリーの脇腹を槍で突き刺し、俺のほうに蹴り出していた。

「悪いな、我輩は死ぬ気が無い」

 俺はリリーを受け止め、追いかけることも出来ずに皮の袋からポーションを取り出し、傷口に振り掛けると同時に、4人の冒険者が

「悪いな、後は任せるぜ」

 いやな笑顔を残して走り去っていった。
 ポーションの効果が表れるのに少し時間がかかる。俺はリリーを近くの細い鉱石の掘り後に隠すと、物凄い数のゴブリンを迎え撃つために剣を抜いて、堀跡の前に立ちふさがった。

「さぁ来い!」

 どれぐらいの時間戦い続けたのだろうか?最後のゴブリンの首を刎ねたのと同時に腹が熱くなり、目の前が暗くなった。

 次に目が覚めた時は戦乙女のような美しい女性が俺を覗き込み、その後ろで白いローブを血に染めたリリーの泣き顔が見えた。

「泣くなよ・・・お前の泣き顔は見たくないんだよ」

「うわぁぁぁぁ、ケイン良かった、良かったよぉ」

 俺は泣き喚くリリーの声を子守唄に、再び深い闇のような眠りに落ちた。

 そして再び目を覚ますと、俺の手を握ってベッドの横で眠るリリーが見えた。

「生き残ったのか・・・でももう右手を失った俺は・・・」

 そう言って右手で頭を軽くかいた・・・え?

 俺は色白になった右手を見て固まってしまった。

「あ、ケイン、良かった」

 リリーは俺が起きた気配を感じたのか、顔を上げ泣きそうな顔をして喜んでくれた。

「なぁ、リリー俺の右腕・・・どうなったんだ?」

「私が気がついた時、右腕を失ってお腹を割かれたケインが倒れていたの。持っていたポーションでは傷を塞ぎきれなくて・・・
 冒険者ギルドまで何とか運んだんだけど。
 そこで、聖女様が居てね!あっと言う間にケインの身体を癒してくれて、その時に腕も生えてきたの。
 もう、私感動しちゃって・・・」

「そうか・・・聖女様にお礼を言いに行かないとな」

「うん、ケインが動けるようになったらね。
 もう3日も寝てたから、もう少し休まないと歩けないよ」

「そんなに寝てたのか?
 そうだ!ガンツの野郎は?」

「それがね、聖女様の使徒のマチェット様があっさり捕まえてくれてね。
 罪は天秤で解ってるんだけど、冒険者ギルドの裁判と、ダンジョンギルドの裁判待ち。
 ついでにトレインした冒険者も捕まえてくれたよ」

「ははは、聖女様には感謝しかないな」

 こうして俺とリリーは運命の出会いをして、第二の冒険者生活を始める事になった。


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