最強の男ギルドから引退勧告を受ける

たぬまる

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新たな日常

北の騒動とその後のサリー

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 急報はその日の午後もたらされた。
 別の大陸の中央国最強の軍がシール王国最北端の海から攻め込んできたという。
 瞬く間に北端の町を占拠した軍は、そこで改めて宣戦布告してきた。
 あまりの常識外な行動に対応が遅れたため王都はまだ対応が出来ていなかった。
 商業ギルドの転移の鏡を使って最速で情報が届いたのがドラゴニアであった。

「兄貴、すまねっすが北の町スノーデンを助けてほしんす。オイラの配下も身動きが取れなくなったみたいなんっす」

 頭を下げてきたトッポの方にポンと手を載せると

「任せろ」

 と子供のような笑顔を向けた。

「パンダヌキ、行くぞ」
 
 ブラウンはそう言うと転移してスノーデンへと飛んで行った。

 スノーの城壁に裸の男を縛りつけ兵士達は棒でつくなどの暴力を振るっていた。
 その光景を見たブラウンは、体中に闘気を漲らせ駆け出していく。

「手加減は無用だ」

「もきゅ!」

 パンダヌキも熊のような大きな身体になると、城壁の外の兵士達を薙ぎ払っていく。
 ブラウンも剣を振るう毎に兵士が飛び、辺りから悲鳴が上がる。

 二人の進撃は止まらず、城壁の兵士が消えるまで5分もかからなかった。
 吊るされた男達を助け出し、そのまま町中に駆け込むと、家々は破壊され、火を放たれ、壊滅状態になっていた。

「あそこか」

 敵兵は城の前で陣を組み、迎え撃つ姿勢を見せていた。

「左を頼む、俺は右を行く」

「もきゅ~」

「解った・・・やってくれ」

 ブラウンの了承を得るとパンダヌキは左右に巨大な火炎弾を打ち込むと、逃げ場を失った兵は中央部に殺到し、陣形は崩れ去った。

 そこに二人の突撃を受け、次々吹き飛ばされていく。

 正に縦横無尽に駆け回る一人と一匹の前に煌びやかな鎧を着た男が現れた。

「貴様ら女の首を刎ねるぞ!抵抗をやめろ!」

 しかし二人は止まらない、ブラウンに目を移した瞬間男は吹き飛ばされてもんどりうって転がる。
 パンダヌキが一瞬の隙を突いて男を吹き飛ばしたのだ。

「く、卑怯者め!おい貴様俺と勝負しろ!中央国最強の将軍が相手をしてやる」

 ブラウンは無言で剣を構えるが、その瞬間男の意識は飛んでしまった。
 怒りのあまり本気の闘気をぶつけてしまい、100回以上死ぬイメージが湧き、闘うことも無く勝負がついてしまった。
 それをみて、残りの兵士達は降伏した。

「終ったぞ、中央国という隣の大陸の軍だった」

「な!そうなんすね、助けてくれて嬉しいっす。
 再建はコッチの方で受け持つんで、兄貴は帰って休んでほしいっす」

「解った」

 通信を終えてブラウンはパンダヌキに乗ってノンビリ空を飛んで帰路に着いた。


 ミネルバの場合

 トッポから中央国が攻めてきた事を聞いたミネルバは、ドラゴニアを飛び出していた。

「あいつら!私に恥をかかせやがって」

 中央国王城は、いつに無く緊張に包まれていた。

「まだ、別働隊と連絡は付かないの?」

「は、未だに・・・」

 国王は焦っていた。ミネルバの襲来で前国王は連れ去られ、国は混乱したと言えど、まさか、馬鹿将軍の軍団を隣の国に派遣していたとは思っていなかった。

「止めないと・・・今度こそ滅びる・・・」

 焦りのあまり、頭を抱えて震える国王に家臣団も胃が痛いのか胃を押さえ大きくため息をつく。

「き、来ました炎龍です!怒り狂っている様に見えます」

 その刹那、”ドーン”と重い音が響き

「おまえら~私によくも恥をかかせたな!!!!」

 炎を纏って歩くミネルバに、全員が腰を抜かし震え上がる。

「お、お、おおおおおおおまちを!しばししばしお待ちを」

 国王は震えながらも辛うじて声を上げると、ミネルバはウソは許さないといった目で睨み付けた。

「じじ、実は前国王が我らにも内緒で兵を送っていたのです!!、解ってすぐに撤退の命令を送ったのですが、居場所が解らなくて・・・やらかしたなら、煮るなり焼くなりご自由にして頂いて結構です!
 我らは知らなかったのです、お許しを」

 そう言ってがたがた震えて頭を抱えてしまった。

「わかった、だが、我が国に来て釈明してもらうよ」

 そう言ってミネルバは国王を摘むと飛んでいってしまった。

「陛下・・・どうぞご無事で」

 家臣たちは祈るしか出来なかったという。


 

盗賊団の場合

「おい、サリー。北の町が開放された、俺達の出番だ行くぞ」

「あ、やっとですか?あいつら趣味の悪いことしやがって叩きのめしましょう」

「あ、それはもう終ってるから、町の再建がメインだ」

「ちぇ~」

 すっかり盗賊団に馴染んだサリーはタンクトップにズボン姿で腰にナイフを差していた。

「町の再建も確りと人の役に立つ、そう拗ねるな」

「そうですね、かなり腹が立ってて。
 昔の私なら知ろうとしなかったですけど・・・」

 少し遠い目をして寂しそうに笑うサリー。

「もし、謝りたい人が居るなら、いつか謝りに行こう。
 俺も一緒に頭を下げてやる、許してもらえないなら、許されるまで謝ろう」

「ダンさん・・・彼はそんなに器の小さい人じゃないです・・・でも心強いです」

 そう言って穏やかな笑顔を向けると、ダンの背中を叩いて

「さあ、行きますよ。
 私人助けして少しでも自分の罪を償いたいんです」


 そう言って駆け出していった。


「まったく、トッポの旦那も意地が悪いぜ」


 次の日には北の町に入って炊き出しと建設を始める盗賊たち、シール王国の義賊の話はこうして密やかに広がっていくのだった。。
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