最強の男ギルドから引退勧告を受ける

たぬまる

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ダークエルフ

エルフ、過激派ダークエルフのその後

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 砂漠の大陸にエルフが戻されて5年の月日が流れ、自分達が大陸の東側元メディア川を中心とした地帯に転移させられた事がわかった事で、急激に村や街が広がっていき、今ではもう一つの大河の向こうに見える何処よりも自然豊かな地帯を狙って何度も渡河に挑戦していた。
 
 一方大陸の西側に転移させられたダークエルフ達は困窮の一途を辿っていた。

「くそ!あの川を越えれば自然豊かな土地が手に入る!同じ轍を踏まなければ我らの繁栄は間違いないのに!!」

 銀髪でかなりの大柄な体格の・・・いや太ったダークエルフがボロボロの天幕の中で、木の実をくりぬいたカップを地面に叩き付けた。
 彼の名前はズク。転移後リーダーをやっていた者を殺し、新たなリーダーとなった者だ。
 前のリーダーはエルフと同じく自然を大切にして、少しずつ探索をしようと提案していたが、ズク達は木を切り、青銅の武具を作ることを優先させようとしていた。

 その対立後、前のリーダーが暗殺され、その後一気にズクのグループがダークエルフの支配者になっていった。
 西側の森林地帯はたちまち枯れ、川も毒塗れになり、人の住めない土地が広がっていった。
 そんな時、かなり広い川の向こうに緑豊かな土地を発見した。
 だが流れが速く、遅々として土地にたどり着く事が出来なかった。

「ズク、反乱だ!直ぐ近くまで迫ってきてやがる」

「ちぃ、全員武装して迎え撃て!首謀者をとっ捕まえて見せしめに首を刎ねちまえ」

 ズクのグループ500人で何度も反乱を押さえつけ続けていたが、あまりの多さにダークエルフの人数もかなり減って来ていた。
 ズクのグループも当初の1/3に減って、明らかにグループ内からも不満が出ていた。

「お前ら!首謀者を差し出せば温情を持って迎えるぞ」

 ズクがそう言って投降を呼びかけるが、反乱軍は止まる気配が無い。
 次々に仲間が倒され、追い詰められたズクは最後まで抵抗をやめなかった。
 ズクの側近達は丸々と太っており、他のダークエルフとは確実に体型が違っていた。
 反乱軍は今までの恨みを晴らすように遺体を傷つけ、ズクのへそに蝋燭の芯を刺し火をつけた。
 火は3日3晩燃え続けたと言う。

 これによりダークエルフは新たな指導者を迎え、今までの政策を一変させていったと言う。

 新たな指導者を迎えた晩、ダークエルフの元に樹木の神「ユグドラシル」が降臨した。
 美しい翡翠色の長い髪を揺らめかせた美しいダークエルフの姿をしたその姿を見て、ダークエルフ達は膝を着いて祈りを捧げた。

「貴方達はかつてのエルフモドキと同じ過ち・・・いえ、それよりも愚かな道を進みました。」

「そ、それはズクが勝手に・・・」

ダークエルフの新たなリーダーが声を上げるが、ユグドラシルは聞こえないかのように言葉を続けた。

「この世界において、我が眷属とは貴方達は言えないようです。故に貴方達は虫としましょう」

「ま、待ってくれ!俺達はズクを討った!あいつとは違う!」

「そうだ、俺達はけっして同じ過ちは・・・」

 たまらず声を上げるダークエルフ達に、ユグドラシルは閉じていた目を開くと

「だまれ!自己の意見も述べず、自然を荒らすだけ荒らし、自らに累が及ぶと成れば争い、袂を分かつ道も自らの意見を持って言う機会もあったにも関わらず愚かな道ばかり行き、死者をなぶる行為を行なう。
 我はそのような者を我が配下とは思わぬ!」

 ユグドラシルが腕を振るうと金色の光がダークエルフを包み込み、身体を作り変えられる痛みに悲鳴を上げながらダークエルフ達は意識を失った。

 気がついたダークエルフ達は複眼や昆虫の羽根(空は長時間飛べない)などが生え、金属に触れられなくなってしまっていた。

 砂漠の大陸に住むダークエルフは虫の特徴を持った姿に帰られた。
 他の大陸のダークエルフとは別の種の誕生、砂漠の大陸に住むダークエルフ族の歴史に残る大事変が起こったのだった。


 それから5年後、エルフ達が砂漠の大陸に送られて10年。

 両種族はようやく川に挟まれた土地にたどり着いた。
 和平を持って両種族で大切に使おうと言うエルフに対して、
 追い詰められているダークエルフ?はエルフを襲い、追い払おうとしていた。

「エンジュちゃん、ここは私達のチームが引き受けるから、貴方はあの建物に早く行って」

 劣勢な中、カマー隊がダークエルフ軍を止めるためにその場に残ることに成った。
 最初から有った建物にエンジュ達が駆け込むと、中には大きなテーブルがあり、中央の所に手紙があった。

”エルフ、ダークエルフ達へ

 この手紙を読んでいると言うことは、良くも悪くも無事なんだろうね。
 ブラウンとヘーラが再生したこの大地の中心がここだよ。
 ここだけは僕の加護もあり自然が早く再生する土地だよ。
 仲良く使ってね。

 創造神”

 それを見たエンジュはこの土地こそ聖地であり、創造神は仲良く使うことを望んでいると知った。
 

一方カマー

 守りを引き受けたカマー隊は土魔法で土壁を作り、ダークエルフ隊相手に防衛戦を行なっていた。
 金属を使えないダークエルフはスリングや投石器などの兵器や棍棒などを使い、激しく攻め立てていた。

「みんな聞いて。
 このままじゃあ、私達も少なからずけが人が出る。
 大量に魔力を使うけど壁でダークエルフを囲んで一気にダークエルフ側に押し返しちゃいましょう」

「は!」

 そう言うと土壁をダークエルフを囲むように一気に動かす。元々ダークエルフはかなり人数を減らしていたため人数も少なく、円形にして包み込むのに成功し、一気に対岸まで押し出していった。

「どっせい!」

 カマーは気合一閃、地面に拳を打ち付けると巨大な土壁がダークエルフの橋の前にせり上がり、封鎖した。

 だが、その瞬間カマーは大地に倒れ気を失った。

「カマー様!」

 カマーの部下達が駆け寄るが、カマーの意識は戻らない。
 皆でカマーをエンジュの元に運び込んだ時、カマーの意識が戻った。

「カマー!大丈夫よね?」

 涙ぐみ心配そうに声をかけるエンジュに、カマーは優しく頬をなで

「大丈夫よ・・・暫くは何も出来ないけど、みんなをよろしくね」

 カマーはそう言って意識を失った。
 エルフは疑似魔石の魔力を使い果たすと、エネルギーが溜まるまで、眠りにつくのだ。
 その眠りがいつ醒めるかは不明だった。

 こうして100年に渡る聖地争奪戦争が勃発した瞬間だった。


――――――――――――――
 たぬまるです。
 
ダークエルフ編はこれで終わりです。
カマーは殺すには惜しいキャラになってしまい。
悩みましたが眠りについてもらいました。
ダークエルフ過激派の名称を如何しようかと悩んでいます。
虫人、インセクト?
 ご意見があれば教えてください^^
 また、ダークエルフとエルフのお話が読みたいとコメント頂ければ
外伝として書いて行こうと思っています
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