最強の男ギルドから引退勧告を受ける

たぬまる

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怒りのハインツ

決戦!特務隊 前編

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 ハインツは治療の済んだ特務隊を戦列に復帰させ、陣形を組み直し出発した。

「ハインツ様、斥候が言うには前方の林が消滅していると報告が・・・」

「ああ、ブラウンさんが薙ぎ払ってくださったのでしょう、見通しが良くなってよかったです」

「あ、まだ戦って・・・あれって一方的な虐め?」

「ああ、あれは稽古ですね・・・懐かしいですね」

 隊長が責め掛かり、片腕で攻撃の全てをいなされ、蹴り飛ばされる。
 隊長は心なしか晴れ晴れしたような顔をして挑みかかっている。

「最初は悔しくて必死になるが、やっていくと父親に稽古をつけてもらっている気持ちになり、最後には喜びに変わっている。
 そういった魅力がある稽古ですよ」

 何処か懐かしそうに目を細めて二人を見るハインツの言葉を聞いて、ハインツもやったんだと驚くレズンとネザルード。

「私にもそんな時期があったんですよ」

「ハインツ様にもそんな時期が・・・可愛かったんでしょうね」

「ふふ、当時から陛下には可愛くないと言われていましたよ。
 生意気な鼻っ柱の強い子供でしたね」

「今度ジックリその話を聞かせてくださいね」

「今度ね」

 林が消え去った見通しの良い道を小一時間ほど進んで、ハインツ達は王都の門を潜った。

「さて、一旦特務隊を編制しなおしてから、スカパラ卿のお屋敷に行きますか」

「流石に陛下の密偵が見張っている中で逃げられませんよ。
 御身を清められてから向かわれては如何でしょう?」

「再編は私たちにお任せください」

「なら、その後に貴方達も入りなさい」

 そう言ってハインツは自室へ向かっていった。
 
 ハインツは国王へ報告を終え、再編した特務隊を引き連れスカパラ卿屋敷へと向かっていった。

 
 一方少し前のスカパラ卿屋敷

「旦那様、陛下の御使者がお越しでございます」

「何!こんな時に何の用だ!」

「それが・・・」

 困ったように後ろを見る執事。扉が大きな音を立てて開き、金髪色白の青年が入ってくる。
 青年は使者の証である真紅のマントの中央に王国紋を着け、白タイツに青いショートパンツ、袖や襟元に金刺繍の入った青いシャツ、腰にはサーベルのいでたちであった。

「君がスカパラ軍務3席だね?」

「何だ貴様は無礼な!」

 怒鳴りつけるスカパラ卿の事が気にならないのか、にこやかに笑いつつ

「僕はローレリッヒ財務1席、国王陛下からの王命を持ってきたんだよ」

「っ財務1席自らお越しとは・・・」

 そう言うとローレリッヒは懐から王の刻印がされた羊紙を取り出すと

「告げる、スカパラ卿の領地変えを行なう。
 1つスカパラ卿の領地スバル3県をガガーランド特務卿に譲渡する。
 1つスカパラ卿へ領地ガリンボリン4県を与える。

 以上を持って領地変えとする。」

「はぁ!何だそれは!スバルは父祖伝来の土地、それを新興貴族などになせ!
 しかもガリンボリンは最近開拓が終わり、未だ寒村しかない土地ではないか!」

 激昂するスカパラ卿に、冷めた目を一瞬向けるローレリッヒだが、次の瞬間にはにこやかな顔になり。

「スカパラ卿には現領地よりも広大な土地ですよ、それに・・・
 多分陛下は貴方の領地運営の手段を期待されているのかと。
 何せ貴方の代になって急に領都の城壁が3つも建つ隆盛振りに、大臣様方もこの度の事業はスカパラ卿以外居ないとご推挙されましてね・・・
 いやぁ羨ましい限りです、謹んで受けられますよね?」

「ぐっ」

 此処で断れば自身が不味い立場になるが、受ければ頑強な領地へ戻ることが出来ない・・・具申のために王城へ行けば確実につむ、スカパラは必死に頭を巡らせるが最良案が出てこない。

”時期が最悪だ・・・「何故この時期に」”

「ええ、実は1週間ほど前に開拓村から新たな領主をと求める声が上がりまして、議会が紛糾、国王陛下にご採択を願いまして今日まで時間がかかったんですよ。勿論受けられますよね?」

 スカパラを見つめるローレリッヒの瞳は拒否を許さないと言っている。
 しかもスカパラよりも階級が上、はっきり言ってて詰まりだった。

「わ、解りました・・・お、お、お受け・・・いたしましょう」

 真っ赤な顔をして承諾すると、ローレリッヒは手を叩いて喜び

「それは祝着です、僕もこれで肩の荷が下りましたよ。
 早速手続きのために王城へ行きましょう」

「な!それは明日にでも・・・」

「ダメですよ、こういった手続きは早めに行なうのが良いです。
 それとも王城に上がれない事情でも?」

「無い!無いが今日は少し用事が・・・」

「何、直ぐに終わります。僕のほうからお相手に王城へ上がって遅れると伝えておきましょう」

「ぐぅ、わ、解り・・・」

 了承を伝える瞬間、執事が飛び込んできた。

「だ、旦那様!ハインツ様の軍が我が屋敷を取り囲んでおります」

「な!遅かったか・・・」

「どうして副官殿が君を捕えに?」

「知らんのか?」

「勿論知っているよ、ただの確認・・・さて、僕は帰るとするさ」

「ま、待て、待ってくれ」

 必死に手を伸ばすスカパラだったが、その手をスルリと交わし、開きっぱなしの扉から顔と右手だけをのぞかせて。

「じゃぁね~☆」

「なんなんだ!あいつは!
 おい!屋敷に居る騎士はどのぐらいだ?!」

「はい、現在屋敷に居る騎士は12、兵士45でございます」

 執事の報告に少し顔をゆがめたが、少し考えると。

「よし、爺は扉を開き降伏せよ、階段に騎士5、この部屋に通じる通路に騎士5、この部屋に騎士を2
 兵士は2階エントランスに配置し、矢を射掛けさせろ、それ以外の兵は階段上がりに槍で上がってくる者を突かせろ」

「旦那様・・・ワシも最後まで」

「ならん!爺には俺の・・・守りの軍務卿と言われた俺の最後の戦いを語り継いで欲しい」

「・・・はい・・・御武運を」

 こうして執事が扉を開け投降し、いざ決戦となったが、ハインツは一切屋敷へ兵を向けることが無かった。

「ハインツ様、向かいの屋敷が買えました」

 ハインツはレズンにこの近辺に有るある程度特務隊も休める広さの屋敷を買うように指示を出していた。
 運良く真向かいの旧クロバ邸が買えたのだった。

「では最小限の特務隊を残してそれ以外は屋敷に撤退しますよ」

「は!」

 こうして、篭城するスカパラに対し、最小限の包囲を行なうハインツ特務隊の睨み合いが続いた。

「あいつ等は、此方が疲れるのを待っているのか?」

「閣下、この屋敷は王都でも5本の指に入る頑丈さを有しています。このまま篭城を行なう方がよろしいのでは?」

 警備の騎士の一人が提案すと。

「いや、あいつ等は300近い、屋敷の外に向かって矢を放っても大して効果は無い。
 むしろ引きこんで狭い場所での各個激撃破が理想だ、最後はせめて軍人としての意地を見せておきたいのだよ」

 スカパラはそう寂しそうに笑うと、騎士は胸に手を当てて
「我らも最後までお供いたしますぞ」

「助かる」


―――――――――――――――――――――
 たぬまるです

長いので2つに分けました^^
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