最強の男ギルドから引退勧告を受ける

たぬまる

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ブラウン誕生

騒乱、ドワーフVSエルフ

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 グラスが王城に住み始めて2ヵ月後、アカネ王国に驚くべき報告が齎された。

 ドワーフが住むシブカミの国がエルフの住むモエギの国に戦争を仕掛けたというのだ。

「確かに元々両国は仲が悪かったが・・・」

 朝食中に国王は報告を聞いて机に両手を突いて頭を抱えてしまった。

「貴方・・・難民も出るでしょうから、国境近くに簡易村を作って受け入れないと」

 王妃の提案に国王は頷くと伝令兵に村の建設を指示しようとした。

「陛下、俺に行かせてくれないか?
 俺なら土魔法かんかの建築魔法が使えるし、いざとなったらある程度荒事も出来る」

 グラスの申し出に国王は驚いたような顔をしてジッとグラスの目を見つめた。

「お主の言葉は嬉しいが、なぜここまでしてくれる」

「俺は今までこんなに落ち着いたことは無かった。
 それに・・・」

 グラスがメイプルをチラリと見ると、メイプルは赤い顔をして俯いてしまった。

「ははは、そういう事か、それはそれで嬉しいことだな・・・
 では、建築兵200を率いて東の国境周辺に簡易村を作ってくれ」

「了解、じゃあ行ってきます」

 グラスが立ち上がろうとした時

「私も行きます、お父様良いでしょう?」

「ダメだ、村の建設が落ち着いてから行けばよい」

「そうよ、今はグラスさんを信じて待つのが・・・」

「私はこの国の王女として、少しでも出来る事をしたいのです。
 それにグラスが私を守ってくれますわ」
 そう言ってグラスを見つめるメイプルに、国王、王妃はこの娘は言い出したら聞かないと、首を横に振った。グラスは必ず自分が守ると微笑んで、メイプルを優しく見つめていた。

「・・・仕方が無い。グラス、おてんばな娘だがよろしく頼む」

 国王はそう言ってグラスに頭を下げた。

「任せてください」

 グラスの返事を聞いて国王はイスに腰を降ろした。
 王妃はメイプルの所に行くと

「メイプル・・・我侭はダメよ。グラスさんの言う事をちゃんと聞くのよ」

「はい」

 この日の昼、グラス率いる建築兵200とメイプルと護衛20メイド10が東の国境に向かって出発した。

 東の国境は王都から5日ほどの距離にある。周辺は草原が広がり見渡しが良く、国境線を仕切る山のように遠くから見える城壁が観光名所になるほど有名であった。
 
 グラス達は城壁を背にして、右側モエギの国側に早速村の建設を始めることにした。

「どのぐらいの広さが有ればいいだろうか?」

 グラスの問いかけに、建設兵の隊長のシロップが資料を確認しながら
「実は前例が500年前なので・・・当てにはなりませんが、当時は5キロ四方に壁を築き、難民を受け入れたとあります」
と、答えた。
 グラスは答えてくれるシロップを見ながら、フルフェイスの兜と鉄の鎧を着ている姿を見て、息苦しくならないのかな?と疑問に思っていた。

「じゃあ、そのぐらいの広さに魔法土壁を作るとするか」

 そう言ってグラスは地面に手を当てると

「え?魔法土壁なんて現在作る技術なんて・・・」

「ビルド・・・マジックマッド・ウォールズ」

 淡い光がグラスを中心に溢れて行き”ゴゴゴゴゴゴ”と音を立てて土壁がせり上がって来た。

「え?ええええええええええええええええ!!!!!!!!!!」

 シロップは腰を抜かしながらも声を上げて驚愕し、呆然としていた。
 他の建築兵も呆然としており、中には現実か確かめるために頬をつねるもの、壁を触って倒れるものも居た。

「よし、後は家だな。俺は街づくりは解らないからシロップ達に頼んでいいかな?」

「・・・」

 グラスは返事が無いので不思議に思い、首を傾げてシロップの肩に手を置いた。

”ガシャン!!”

 その途端、けたたましい音を立ててシロップが倒れてしまった。

「シロップ!」


 暫くして混乱が落ち着き、シロップ達はわらわらと町の建物の配置を決め、井戸を掘る準備をし始めていた。

「なぁ、井戸を掘って此処に水を溜めるんだよな?」

 グラスの問いかけにシロップは「そうですよ」と答えた。

「もし、此処に湧き水を引けたら掘らなくていいのか?」

「ええ、湧き水があれば早いのですが・・・まさか」

 グラスはひょいとため池の中央に行くと地面に手を置き

「クリエイト・ストーン・スタチュー&スプリング・ウォーター」

 そう唱えると水瓶を右肩に乗せ、ギリシャ風の服を着たメイプルの石像がせり上がり、その水瓶から水が流れ落ちてきた。
 グラスは再び飛び上がって元の場所に戻ると、驚きと喜びで小躍りをしているシロップの姿があった。

「にょ~、こ、これは凄いです!これなら!!
 グラス様、この図面の通りに水路を掘ってもらえますか?」

 シロップが広げた図面を見ると、グラスは頷いて再び地面に手を当てた。

「ディグ」

 とたんに地面が図面通りに沈み、石のように固められた水路が出来上がった。

「わ~わ~、ありがとうございます!後は我ら建築兵が建物を建てますよ」

 歌い出しそうなシロップを少し驚いたような顔で見つめたグラスは

「そうか、じゃあ俺はメイプルの所にでも行ってくるとしよう」

「どうぞどうぞ」

 弾む声で送り出され、グラスは国境門で受け入れ準備の指揮を取っているメイプルの所へと向かった。

 
 国境門は内側に鋼鉄の分厚い門扉があり、真ん中は青銅製の引き扉方の門扉、外側に魔法金属のミスリルと鋼の合金製の分厚い門扉の3枚の門扉を有する。

 そこでメイプルが門の守備兵に指示を出して、難民の受け入れ準備を始めていた。

 グラスはその様子を少し離れた場所で見ていた。

「あ、グラスさん。向こうは終ったんですか?」

 グラスを見つけてにこやかに手を振って近づいてくるメイプルに、グラスも優しい笑顔を向けた。

「ああ、魔法土壁と水路を作ったら後はシロップ達が作ると言ってな。
 様子を見に来た」

「シロップ達なら今日中に有る程度の建物が出来るでしょう。
 タイミング的にそろそろ難民の第一団が来そうだから助かりましたわ。」

「そうか、この国の土地は何処からなんだ?」

「そこのミスリル合金の扉からこちら側ですわ。本来なら向こうにも門があるはずなのですが、エルフもドワーフもそんなの無駄って作らなかったようなのです。」

 そう言って頬に手を当ててため息をつくメイプルの肩にグラスは手を置いて

「そんな奴らもいるな、だからこそ争うんだろうな」

 そう言っていると門の一番外側が騒がしくなってきた。
 二人は外門の所まで行くと、外門内にエルフが5人居り、その外にはドワーフが11名それぞれが斧を構え、怒鳴り声を上げていた。

「だから、もうこちら側に入っているので我が国が保護しているので渡せません」

 護衛兵の言葉も聞かず、ドワーフは怒鳴り声を上げる。

「煩い!渡さないというなら貴様らも殺してやるぞ!!」

「グラス・・・お願い」

「解った」

 メイプルに頼まれグラスはツカツカとドワーフ達の方へ進んだ。護衛兵に手を伸ばし、自分の後ろに下がらせると、ドワーフに向かって

「愚かな、もしこちら側に害を及ぼせば此方とも戦争になる。
 それでもいいのか?」

 ドワーフ達は面白いように挑発に乗り、「ぶっ殺してやる」と次々に斧をふるって襲い掛かってきた。
 グラスは左右上下と襲い掛かる斧をユラユラと揺れる様に交わし、何時の間にか抜いた剣で斧の頭を切り飛ばし、器用にその頭を剣で突き刺して行った。

 攻撃が止むと地面にドワーフ達の兜の角飾りが22本地面に落ちており、さらに斧の頭が11個グラスの剣に串刺しにされていた。

「さて・・・アカネの国に不法侵入だな。
 戦争でもするか?」

 グラスは剣に刺さった斧の頭を血振りの要領で払い捨てると、肩に剣を乗せて不適に笑った。

「バカな!俺達ドワーフを舐めんじゃねぇ!」

「お前ら行くぞ!」

「「おう」」

 ドワーフ達はグラスを囲み一斉に拳を叩きつけるが、グラスはあえてそれを受け、一歩も動かず全くダメージがあるように見えなかった。
 
「終わりか?」

「まだだ!」

 ドワーフ達が怒涛の如く殴り続けるが、やはりグラスはその場から一歩も動かず涼しい顔をしていた。

「さてと」
 
 攻撃の合間を縫ってグラスが大きく後ろへ跳ぶと、それを追いかけるようにドワーフ達は追いかけて再びグラスを囲む。

「逃げたということは少しはダメージがあるはずだ、逃がさず一気に畳み掛けるぞ!」

「「「おう」」」

 そのドワーフを見てグラスはニヤリと笑い、全身の筋肉を使うように腕を振りぬくと、囲んでいたドワーフ達が一斉に吹き飛び地面に転がる。

「護衛兵!すまないが不法侵入だ、捕えておいてくれ」

 唖然としていた護衛兵はグラスに声をかけられ慌てたように動き出し、次々と縄を掛けるが、一人のドワーフが護衛兵の隙を突いて転がるように逃げ出して行った。

「待て!」

「見逃していい。それよりみんな怪我はないか?エルフ達も大丈夫か?」

「我々は大丈夫です」

「私達も無事です、助けてくださりありがとうございます」
 
 護衛兵とエルフの返事を聞いて、グラスは嬉しそうに笑顔を浮かべると、メイプルに振り返った。

「流石ね、ドワーフは元々粗野なんだけど、今回は酷いわね」

「そうなんだ、少し警戒しておいたほうが良いかもしれない」

 その後、国境でエルフ達は一泊して建設中の町に行くことになった。
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