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僕たちのこじれた関係&君のPerfume(Spin-off)
君のPerfume ❷
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(side スヒョン)
俺とミンジェは繁華街から急いで事務所へ移動し、何とか遅刻せずに、練習室の扉を開ける事が出来た。
「間に合ったぁーっ!」
メンバーは全員そろっていて、皆ストレッチを始めている。ミンジェの声に顔を上げるヨングの姿が、視界の端にあった。
すぐには来ようとせず、俯くがちらっと俺の方も見た。ミンジェはそんなヨングを分かってるくせに、すぐに側へ行こうとしないで俺に笑顔を向けた。
「スヒョン、今日はありがとう」
そこまで言って、俺に内緒話をするため至近距離に身を寄せてくる。今までの流れは、わざととしか思えない。ヨングへの煽りが巧い。
" 今からヨングのとこ、行ってみる! "
俺は、ミンジェの拳に自分の拳をチョンっと当てて、頑張れよと伝えた。
「……スヒョンィヒョンと2人で行ったんですか?……僕も一緒に行きたかったです」
「待ち合わせすれば良かったね。ごめん」
二人の会話が聞こえた。ミンジェの秘密の買い物。ヨングは連れて行けなかった事に優越感を持つが、結局は不毛な話だ。
ふと、ミンジェの様子を見たら、もちもちの頬どころか耳や首まで桜色に染めて、口許を萌え袖で押さえていた。
な……。ヨングのやつ。
いったいミンジェに何を言ったんだ。
あんなに可愛い反応して、女子か!
そして、ヨングの表情……。
あ~あ。
俺は、ヨングの好きな人が誰か、分かってしまった。
それから数日後。
今日の個人練習は終わりということになり、ミンジェがまだ練習しているなら一緒に帰ろうとレッスン室へ向かった。
そしてドアをそっと開けた瞬間、聴こえてしまったのだ。
「ミンジェヒョン、可愛い!ははっ唇が尖っちゃって……」
ヨングの声、だった。
俺は、先日の杞憂が時間の猶予もなく襲ってきたのかと、焦って中を覗いてしまった。ドアの近くの壁にヨングが座って寄りかかり、練習に疲れて床で眠るミンジェを、膝に乗せていた。
これは数日前にも見た光景だ。もしかしたら、あの時からずっと……?
俺は動揺して、聴こえなかった振りをしながら二人の所まで歩み寄った。
「ミンジェ、連れて帰るけど?」
ヨングは、さすがにびっくりした顔をしているが、ミンジェを渡す気はないようだ。ミンジェの手を握って、離そうとしない。
「……………ミンジェヒョンは、今日も僕が連れて帰るので大丈夫です」
「じゃあ、先に帰ってる。お疲れ様」
「お疲れ様です」
なんだ、今の。
俺の天使は、あいつの物になったのか?
練習室の外に出て、茫然としたまま一人で宿舎に帰った。
俺のルーティンは、ミンジェに朝起こされて一緒に学校へ行き、事務所に行って一緒に練習してから宿舎に帰る。ご飯を食べて俺の部屋でゲームしたり、本を読んだり。
同じベッドで眠って、朝ミンジェに起こされて……。
俺たちは、学校の授業中以外ほぼ一緒に過ごしていた。
だからこんな風に宿舎に一人で帰ってきて、一人でベッドに寝転んだら、ミンジェの声も温もりも無い事に気付いて寂しさを感じているなんて。
いつからミンジェにそこまで依存を?
恋人のように別れた訳じゃない。けれど、もう何かが違う。
ミンジェがヨングに思いを遂げたら、こんな日が来るだろうと、漠然と理解していたじゃないか。
俺は眠りに落ちながら、夜中にミンジェがいつの間にか隣で寝ている夢をみていた。
「ただいま、スヒョナ……」
「……おかえり」
俺は、布団の中に入ってきたミンジェに腕と足を巻きつけ、いつものように、眠った、はず。
夢か、現実か、分からなかった。
ミンジェの匂いを嗅ぐヨングを、何度か見たことがある。俺と目が合うと、口許に人差し指を当て、" 内緒ですよ?" とでも言うかのように、微笑む。
ミンジェの匂いを好ましく思うのは、何もお前だけじゃない。
俺だってずっと一緒に過ごしていて、同じベッドで眠っていたから、ミンジェの匂いを嗅いで落ち着いた気持ちになるし。
それが、香水によって匂いが変わったばかりか、そこはかとなくヨングの匂いも混ざって、とてもイライラする。
そして、……その事実に、寂しくなる。
でもまぁ、ヨングにしたって?ミンジェの匂いに俺の匂いが混ざってて、イライラしただろうからお互い様な?
その日はSNSに上げる写真を撮るため、ヨングとミンジェ三人で交互に撮影していた。そして、気がついてしまった。二人が、同じ香水を使っている事に。
俺の認識では、交際中のカップルが……。
無言でミンジェを見つめた。
ミンジェは、不思議そうに俺を見た。
「なに?何で僕を見るの?」
「お前ら、同じ匂いがする。もしかして……」
思わず呟いてしまった一言に、ミンジェは赤くなった後、小さく頷いた。嬉しそうな糸目の笑顔になった。
「後でちゃんと話すね。……スヒョン?どうかした?」
多分俺は泣きそうな気持ちを堪える余り、複雑な表情になっていたんだと思う。
声は出せず、ただ、首を横に振った……。
俺とミンジェは繁華街から急いで事務所へ移動し、何とか遅刻せずに、練習室の扉を開ける事が出来た。
「間に合ったぁーっ!」
メンバーは全員そろっていて、皆ストレッチを始めている。ミンジェの声に顔を上げるヨングの姿が、視界の端にあった。
すぐには来ようとせず、俯くがちらっと俺の方も見た。ミンジェはそんなヨングを分かってるくせに、すぐに側へ行こうとしないで俺に笑顔を向けた。
「スヒョン、今日はありがとう」
そこまで言って、俺に内緒話をするため至近距離に身を寄せてくる。今までの流れは、わざととしか思えない。ヨングへの煽りが巧い。
" 今からヨングのとこ、行ってみる! "
俺は、ミンジェの拳に自分の拳をチョンっと当てて、頑張れよと伝えた。
「……スヒョンィヒョンと2人で行ったんですか?……僕も一緒に行きたかったです」
「待ち合わせすれば良かったね。ごめん」
二人の会話が聞こえた。ミンジェの秘密の買い物。ヨングは連れて行けなかった事に優越感を持つが、結局は不毛な話だ。
ふと、ミンジェの様子を見たら、もちもちの頬どころか耳や首まで桜色に染めて、口許を萌え袖で押さえていた。
な……。ヨングのやつ。
いったいミンジェに何を言ったんだ。
あんなに可愛い反応して、女子か!
そして、ヨングの表情……。
あ~あ。
俺は、ヨングの好きな人が誰か、分かってしまった。
それから数日後。
今日の個人練習は終わりということになり、ミンジェがまだ練習しているなら一緒に帰ろうとレッスン室へ向かった。
そしてドアをそっと開けた瞬間、聴こえてしまったのだ。
「ミンジェヒョン、可愛い!ははっ唇が尖っちゃって……」
ヨングの声、だった。
俺は、先日の杞憂が時間の猶予もなく襲ってきたのかと、焦って中を覗いてしまった。ドアの近くの壁にヨングが座って寄りかかり、練習に疲れて床で眠るミンジェを、膝に乗せていた。
これは数日前にも見た光景だ。もしかしたら、あの時からずっと……?
俺は動揺して、聴こえなかった振りをしながら二人の所まで歩み寄った。
「ミンジェ、連れて帰るけど?」
ヨングは、さすがにびっくりした顔をしているが、ミンジェを渡す気はないようだ。ミンジェの手を握って、離そうとしない。
「……………ミンジェヒョンは、今日も僕が連れて帰るので大丈夫です」
「じゃあ、先に帰ってる。お疲れ様」
「お疲れ様です」
なんだ、今の。
俺の天使は、あいつの物になったのか?
練習室の外に出て、茫然としたまま一人で宿舎に帰った。
俺のルーティンは、ミンジェに朝起こされて一緒に学校へ行き、事務所に行って一緒に練習してから宿舎に帰る。ご飯を食べて俺の部屋でゲームしたり、本を読んだり。
同じベッドで眠って、朝ミンジェに起こされて……。
俺たちは、学校の授業中以外ほぼ一緒に過ごしていた。
だからこんな風に宿舎に一人で帰ってきて、一人でベッドに寝転んだら、ミンジェの声も温もりも無い事に気付いて寂しさを感じているなんて。
いつからミンジェにそこまで依存を?
恋人のように別れた訳じゃない。けれど、もう何かが違う。
ミンジェがヨングに思いを遂げたら、こんな日が来るだろうと、漠然と理解していたじゃないか。
俺は眠りに落ちながら、夜中にミンジェがいつの間にか隣で寝ている夢をみていた。
「ただいま、スヒョナ……」
「……おかえり」
俺は、布団の中に入ってきたミンジェに腕と足を巻きつけ、いつものように、眠った、はず。
夢か、現実か、分からなかった。
ミンジェの匂いを嗅ぐヨングを、何度か見たことがある。俺と目が合うと、口許に人差し指を当て、" 内緒ですよ?" とでも言うかのように、微笑む。
ミンジェの匂いを好ましく思うのは、何もお前だけじゃない。
俺だってずっと一緒に過ごしていて、同じベッドで眠っていたから、ミンジェの匂いを嗅いで落ち着いた気持ちになるし。
それが、香水によって匂いが変わったばかりか、そこはかとなくヨングの匂いも混ざって、とてもイライラする。
そして、……その事実に、寂しくなる。
でもまぁ、ヨングにしたって?ミンジェの匂いに俺の匂いが混ざってて、イライラしただろうからお互い様な?
その日はSNSに上げる写真を撮るため、ヨングとミンジェ三人で交互に撮影していた。そして、気がついてしまった。二人が、同じ香水を使っている事に。
俺の認識では、交際中のカップルが……。
無言でミンジェを見つめた。
ミンジェは、不思議そうに俺を見た。
「なに?何で僕を見るの?」
「お前ら、同じ匂いがする。もしかして……」
思わず呟いてしまった一言に、ミンジェは赤くなった後、小さく頷いた。嬉しそうな糸目の笑顔になった。
「後でちゃんと話すね。……スヒョン?どうかした?」
多分俺は泣きそうな気持ちを堪える余り、複雑な表情になっていたんだと思う。
声は出せず、ただ、首を横に振った……。
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