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1.扉を開くと
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何だか最近異世界転生ものというのが流行っているらしい。なんだったら浸透してるらしい。自分も見たことがあるが、確かに最強になれて、もてもてになってってなったら、すごくいいなと思う。でも正直僕は、そんなところにいっても大して活躍出来ないんじゃないかなって思う。
スキルとか色々備わって出来ることが沢山増えるんだろうけど、結局はその人自身が強いんじゃないかって、そう思ってる。もちろん憧れはある。向こう側に行ってみたい。でもそれって僕なのかっていうと、なんか想像出来ない。僕はこの世界から、向こうの世界を覗いていたい。それこそ、物語に入り込むくらいに。
りんとー、時間よーと母さんが台所から声を掛けてくれる。はーい、と返事をして僕はいつものように扉を開けた。
閑静な住宅街、家を囲むように生えている雑木林、あまり車の通らない車道。晴れ渡った空。いつもの風景。会社に向かうであろうスーツ姿の人、同級生、住宅街を抜けた三叉路では車が走ったり止まったり。信号では、少し気だるい、知らない人が三、四人固まるちょっとした人混み。
いつものルートでいつもの呼吸で学校のグラウンド脇を過ぎて玄関口で靴を下履きに履き替える。今日も何事もない一日がはじまる、そう思いガラガラと教室の扉を開けた。
そしてそこに広がる光景に唖然とした。 ど こ だ こ こ は 。
目の前に広がるのは中世を描いた洋画にあるようなセット。いやセットじゃない、部屋だ。まず目に入ったのはやたら豪華なカーテンのかかった窓。この窓の装飾、彫金もすごい。そしてやたら大きくて高級そうなベッド。布団もふっかふかというかごわごわというか。他にもやたら豪華なタンスやら化粧台やらカーペットやらが置いてある。なに?なにこれ?
「申し訳ございません!申し開きもございません!」
突然後ろから泣きそうな、いやもう泣いてるんじゃないかと思うような女性の震え声が聞こえてきた。
混乱した頭で振り返ろうとすると、足元のめちゃくちゃ重い何かにつまずきそうになる。
「わ、わ!」
何とかこけずに済んだが…。なんだこれは。ドレス…なのだろうか。腹のあたりから大きく膨らんだやたらめったらレースやフリルのある紫色の服を着ている。う、動き辛い。またこけそう。
「だ、大丈夫でございますか!?」
その女性…多分10代…いや、ハタチか?のいわゆる本場仕様のメイドさんみたいな恰好の人が僕の体を支えようとしてくれている。実際には触れないようにしつつ。なおかつ何だか。心配しているわりには少し口角が上がっているような?
「え、う、うん、大丈夫」
「…え…?」
普通に返事をしたのだが、メイドさんは信じられないものを見たかのような顔している。ていうかこれ僕の声?なんか妙に高い、し…綺麗だ。
「あ、あの、失礼ですが、リザリア様?」
「ん?」
他に人はいなさそうなので返事をしてしまったが…リザ…?はい?誰だ?その刹那。
「う゛っ!?」
頭の中に白いフラッシュがたかれたかのように一瞬意識が吹き飛ぶような感覚に襲われる。同時に、頭の中に誰かの意識が入ってくるような。いや…違う、これは、じぶん…の…?ぼく…?いや…わ
たくしの…。
「つうっ…!」
初めての感覚に、足元がふらつき、よろよろと後ずさりする。
「リザリア様!」
今度こそメイドは私の異変に気付き、体を支えようとしてくる。が、私はその彼女の前に白いウェディンググローブのような手袋をした左手のひらをすっと突き出す。
「あなたに心配されることなんてなくってよ。昨晩少し寝入りが悪かっただけ」
そうだ。私はリザリア、羞花閉月、聡明英知であり由緒正しきロスタ家長女にして皆が敬う前大戦の英雄サールの血を継ぐ侯爵令嬢。それがわたくしリザリア・ロスタ。
※当初主人公の名前は“リーゼロッテ”にしていたのですが、ふと思いついて検索をかけたところ、なんとすでに“リーゼロッテ”様は存在しており、しかも商用かつタイトル名にもなっている!
主人公の名がモロ被りというのはナニカと思いましたので、投稿同月23日に“リザリア”に改名致しました。
なおそのリーゼロッテ様の作品ですが試し読みのみですが大変面白うございました。
スキルとか色々備わって出来ることが沢山増えるんだろうけど、結局はその人自身が強いんじゃないかって、そう思ってる。もちろん憧れはある。向こう側に行ってみたい。でもそれって僕なのかっていうと、なんか想像出来ない。僕はこの世界から、向こうの世界を覗いていたい。それこそ、物語に入り込むくらいに。
りんとー、時間よーと母さんが台所から声を掛けてくれる。はーい、と返事をして僕はいつものように扉を開けた。
閑静な住宅街、家を囲むように生えている雑木林、あまり車の通らない車道。晴れ渡った空。いつもの風景。会社に向かうであろうスーツ姿の人、同級生、住宅街を抜けた三叉路では車が走ったり止まったり。信号では、少し気だるい、知らない人が三、四人固まるちょっとした人混み。
いつものルートでいつもの呼吸で学校のグラウンド脇を過ぎて玄関口で靴を下履きに履き替える。今日も何事もない一日がはじまる、そう思いガラガラと教室の扉を開けた。
そしてそこに広がる光景に唖然とした。 ど こ だ こ こ は 。
目の前に広がるのは中世を描いた洋画にあるようなセット。いやセットじゃない、部屋だ。まず目に入ったのはやたら豪華なカーテンのかかった窓。この窓の装飾、彫金もすごい。そしてやたら大きくて高級そうなベッド。布団もふっかふかというかごわごわというか。他にもやたら豪華なタンスやら化粧台やらカーペットやらが置いてある。なに?なにこれ?
「申し訳ございません!申し開きもございません!」
突然後ろから泣きそうな、いやもう泣いてるんじゃないかと思うような女性の震え声が聞こえてきた。
混乱した頭で振り返ろうとすると、足元のめちゃくちゃ重い何かにつまずきそうになる。
「わ、わ!」
何とかこけずに済んだが…。なんだこれは。ドレス…なのだろうか。腹のあたりから大きく膨らんだやたらめったらレースやフリルのある紫色の服を着ている。う、動き辛い。またこけそう。
「だ、大丈夫でございますか!?」
その女性…多分10代…いや、ハタチか?のいわゆる本場仕様のメイドさんみたいな恰好の人が僕の体を支えようとしてくれている。実際には触れないようにしつつ。なおかつ何だか。心配しているわりには少し口角が上がっているような?
「え、う、うん、大丈夫」
「…え…?」
普通に返事をしたのだが、メイドさんは信じられないものを見たかのような顔している。ていうかこれ僕の声?なんか妙に高い、し…綺麗だ。
「あ、あの、失礼ですが、リザリア様?」
「ん?」
他に人はいなさそうなので返事をしてしまったが…リザ…?はい?誰だ?その刹那。
「う゛っ!?」
頭の中に白いフラッシュがたかれたかのように一瞬意識が吹き飛ぶような感覚に襲われる。同時に、頭の中に誰かの意識が入ってくるような。いや…違う、これは、じぶん…の…?ぼく…?いや…わ
たくしの…。
「つうっ…!」
初めての感覚に、足元がふらつき、よろよろと後ずさりする。
「リザリア様!」
今度こそメイドは私の異変に気付き、体を支えようとしてくる。が、私はその彼女の前に白いウェディンググローブのような手袋をした左手のひらをすっと突き出す。
「あなたに心配されることなんてなくってよ。昨晩少し寝入りが悪かっただけ」
そうだ。私はリザリア、羞花閉月、聡明英知であり由緒正しきロスタ家長女にして皆が敬う前大戦の英雄サールの血を継ぐ侯爵令嬢。それがわたくしリザリア・ロスタ。
※当初主人公の名前は“リーゼロッテ”にしていたのですが、ふと思いついて検索をかけたところ、なんとすでに“リーゼロッテ”様は存在しており、しかも商用かつタイトル名にもなっている!
主人公の名がモロ被りというのはナニカと思いましたので、投稿同月23日に“リザリア”に改名致しました。
なおそのリーゼロッテ様の作品ですが試し読みのみですが大変面白うございました。
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