異世界人にバレたらヤバい⁉︎魔女はタブレットを愛用する(タイトル変更しました)

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さて、お迎えしましょう!

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 さくらはいつものようにアウトドア用の服に着替えるとリュックを背負い、足を踏み出す。

 彼等を迎え入れることに全く躊躇いがないかといえば嘘になる。1人で住むには広い屋敷に、生活の不便を補ってくれるタブレットやスマホのアプリ。さくらの場合は、スマートウォッチもかなり便利に利用できる環境だが、それでも孤独であることに変わりはない。

 メッセージには、今回、後見人として派遣されてきた彼等がさくらを危険に晒すようなことは無いとはっきりと書いてあったし、受け入れるにあたって住居まで準備してくれるほど至れり尽くせりだ。ここまで準備万端ならば受け入れてみても良いかもと判断するには十分だった。

 もちろん、彼等を受け入れることで、さくらの精神的負担が重くなることは避けられない。何よりもタブレットの存在を彼等に知られるのは問題な気がするので、しばらくはアプリの使用も控えるつもりだ。幸いなことに、パントリーにはかなりの食料が保管されているし、日用品もアプリを面白がって使っているときに買いだめたものがある。

 さくらは、これからの生活に起きるであろう問題点を考えながら、何度か歩いた森の中を軽快に進む。子どもの体になったからか疲れても回復は早いし、体力もついてきたようで、ちょっとした障害物なら軽々と乗りこえられるようになった。

 1時間ほど歩くと、ジークフリートたちが野営をしている場所に辿り着いた。時間は11時を過ぎた頃だったからか、各々が思い思いに活動しているようだった。

 さくらの到着にいち早く気づいたのはアーサーだった。

 「こんにちは、魔女殿。今からジークを呼んでくるので、こちらでお待ちいただけますか?」
と、少し大きめの椅子を勧めると、さくらの返事を聞かずにジークフリートが控えていると思われるテントに入っていく。それから間を置かずにジークフリートが落ち着いた様子でさくらのもとへ向かってきた。

 「こんにちは。お忙しい時間ではなかったですか?」

 「こんにちは、魔女殿。今は朝の鍛錬などが終わってゆっくりしている時間でしたのでお気になさらず。」

 さくらが声をかけると、昨日よりも柔らかい表情で返事をするジークフリートがいた。昨晩、アーサーに言われた言葉を気にしてか、意識しながら会話をすることにしたようだ。とはいえ、まだまだ砕けた感じにまではいけないようだ。

 「昨日は申し訳ありませんでした。私が届いていた手紙を確認し忘れていたようでして…。それで、帰宅してから手紙の内容を確認し、皆さんを受け入れるということでお迎えに来ました。」

 とりあえずは受け入れる方向で迎えに来たことを伝えるさくらに、聞き耳を立てていたのかジークフリート以外の一団が喜びの声をあげる。この様子からすると、随分と心配させていたようだ。

 「あぁ、それはありがたい。私たちを受け入れてくださることに感謝します。」

 「いえ、感謝など…。むしろ私が手紙をきちんと確認していれば、皆さんをここで野営をさせるようなことをしなくても良かったのですから、本当に申し訳なく思っています。それで、皆さんには私の屋敷のあるエリアに移動をお願いしたいのですが…。」

 「そうですね。移動はすぐに開始できますが、そろそろ昼食の支度の時間ですし、どうでしょう、昼食を食べてからの移動にしませんか?大したものはありませんが、魔女殿もご一緒に。」

 「ありがたいお誘いですが、皆さんも十分な食料をお持ちでないでしょうから、私は皆さんの食事が終わるまで薬草を摘みに行って来ますね。また、皆さんの準備が終わる頃に伺います。それでよろしいでしょうか?」

 このさくらの提案にジークフリートは「魔女殿を待たせるなどできない」と渋ったがアーサーが執り成すことで渋々と了承し、さくらは再び訪れることを約束すると薬草を摘みにその場を離れた。

 さくらは野営地から見えない場所まで移動すると、薬草を摘んだり、おにぎりを食べたりしながら時間を潰す。3時間くらい経った頃に、ジークフリートたちの元を訪れると、荷造りも済んでいつでも出発できる状態で待っていた。

 「皆さん、お待たせしました。それでは、これから皆さんに滞在していただく場所までご案内します。ここから私の足で1時間ほどなの場所になりますので、ついて来てください。」

 さくらは、それだけを伝えると森の中を自宅に向かってズンズンと歩きだし、ジークフリートたちも慌てて後に続くのだった。

 そして約1時間後、到着した場所を見てジークフリートたちは目を見張る。2階建ての立派な建物、そこが彼等の住居になるのだという。さくらは、共有エントランスから入ると、建物の説明を始める

 「皆さん、お疲れ様でした。こちらが皆さんに滞在していただく場所になります。個室になっていますのでお好きな部屋を選んで入ってください。部屋の鍵は、皆さんの魔力をドアにある四角い場所に流してください。それで魔力の登録が完了し、魔力が鍵の役割をしてくれます。部屋の中には必要最小限のものしかありませんので、もし何か必要なものが出てきたら教えていただければ、私で揃えられるものであれば準備します。」

 一息に伝え、満足した様子のさくらにジークフリートが慌てた様子で話し出す。

 「魔女殿、このように立派な建物を、しかも個室を準備など…。私たちはテントで構わなかったのです。それに私以外の者は、直に帰ることになっていますので…。」

 「うーん、それでも、しばらくは皆さんこちらに滞在されるんですよね?それだったらできるだけ快適な環境を整えてあげたいというのが普通じゃないですか?皆さんのテントが何らかの魔法で過ごしやすくなっていたとしても、不便がない訳ではないでしょ?私は、私のことを何も知らない、不安なまま危険地帯を抜けてまで来てくれた皆さんを、粗雑に扱うことはできません。なので、納得できないかもしれませんが、皆さんにはこちらに滞在していただきたいと思っています。」

 さくらは自分の意思をしっかりと伝える。それでも納得のいかない様子のジークフリートだが、そこにアーサーが割って入り宥める。
 
 「ジーク、お前が納得しない気持ちも分かるが、ここは彼女の気持ちを汲んでやるのが大人じゃないか?俺たちも、早々に帰るわけじゃないし、こうした個室で生活できるのは正直ありがたい。ここは、ありがたく滞在させて貰おうじゃないか。」

 ジークフリートは、深くため息を吐くと

 「そうだな。魔女殿、この度はこのような立派なものをご準備いただき感謝致します。」

 「ふふ…。まだ、腑に落ちてないでしょうけど、ご理解くださいね。」

 そう言うと、共有スペースなどの説明をし、夕食を一緒にしようと準備をしているから、日が落ちた頃に屋敷を訪れて欲しいと伝えると帰っていった。

 今回、ジークフリート共に魔女を訪ねて来たのは、総勢12名。内ジークフリートちアーサーを除いた8名はジークフリートの護衛として任命された騎士団員と王都でも名を馳せる冒険者。残り2名は女性冒険者だ。この女性冒険者は、元々は貴族出身という珍しい存在で、魔女が特別な存在であることから、貴族についてや女性しか対応できない事態が発生した時の要員として選ばれたのだった。

 前回、リーナが魔女としてこの世界に来た時も、同じように後見人一団が訪ねて来たが、その時には後見人だけが残り、他のメンバーは早々に帰って行った。だが今回のメンバーは、あまりにも快適な環境に帰ることを渋りだすのだが、それはまだ先のお話。

 
 
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