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新たなる出会い
剣気の集う地へ
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リィナが旅に加わってから、早くも一月が経過した。
ライザルド一行は国中を巡り、まだ見ぬ逸材を探して人々と会い、町を歩き、山村にも足を運んだ。しかし、明確に「これぞ」と呼べる者には、いまだ出会えていない。
とはいえ、旅を続ける中で、いくつかの新しい発見もあった。
──ゼクスの、国民からの絶大な人気である。
街に入るたびに、ゼクスは人々から声をかけられる。握手を求められ、サインを頼まれ、子どもたちからは目を輝かせて見上げられる。彼の歩く先には、人の輪が自然とできる。
「ゼクス様だ……!」「ほんものだ!」「グラフェスに出てた人だよ!」
そんな声があちらこちらで飛び交う。ゼクスはそれらに、一切の驕りを見せず、一人一人に笑顔で応えていた。
(……なるほどのう)
ライザルドは心中で頷いた。
(この男……わしが思う以上に、国に尽くし、愛されとる。顔だけの男ではなかったということじゃ)
ゼクス自身は、国を背負う覚悟を常に胸に抱いている。グラフェスで大きな成果こそ残せていないとはいえ、四度も出場し、王国の誇りを守り続けてきた歴戦の騎士団長。その背中に、国民の信頼が宿っているのも当然のことだった。
一方で、最年少の旅仲間であるアルネも、確実に成長を見せていた。
ライザルドの課す日々の修行は、過酷を極めた。体術、魔力操作、基礎の反復、反応速度、視界の広さ、あらゆる鍛錬を積み重ねる日々。
アルネは愚直にそれをこなした。泣き言一つ言わず、黙々と稽古に打ち込み、日々少しずつ、魔力の練度も動きの鋭さも上がってきていた。
ただし──
「まだ、拙いのう」
ライザルドはぼそりと呟いた。
実戦形式の手合わせでは、ゼクスにも、そしてリィナにも、いまだアルネの攻撃が一度も当たったことはない。
特に、素手のみで戦うリィナの動きは、まるで人ではないかのような精密さを誇っていた。蹴り、掌打、肘打ち、体捌きすべてに無駄がなく、鍛錬に鍛錬を重ねてきたことが伝わってくる。
──それでも、ライザルドは確信していた。
(こやつには、芽がある。あと二年と少し……それだけあれば、間に合うやもしれん)
そんな折だった。立ち寄った村の食堂で、ある情報が舞い込む。
「そういえば来週、この近くで剣術大会が開かれるらしいですよ。王国中の道場から腕自慢が集まってきて、三十以上の剣術流派がぶつかり合うとか」
その言葉に、ライザルドは目を丸くした。
「ほう……そんな大会があるとは初耳じゃ。セリオスには、そんな規模の武術大会が存在しておるのか」
「ええ。この国ではかなり有名でして、上位に入賞すると騎士団からのスカウトもあるそうです。実際、ゼクス団長の部下にもこの大会出身の方が数人いるって噂ですよ」
「ふむ……ほう……! それは面白そうじゃのう」
ライザルドの眼が光を宿した。
逸材を探す旅において、強者たちが一堂に会する場は、何よりも重要な機会。出場者だけでなく、観客席にも剣の道を志す者が集まるはずだ。
「よし、次なる目的地はそこに決まりじゃ!」
ライザルドは即断した。
ゼクスも頷き、リィナも何も言わずその判断に従った。
──旅は続く。
セリオス王国の地を巡り、まだ見ぬ逸材との邂逅を求めて──。
ライザルド一行は国中を巡り、まだ見ぬ逸材を探して人々と会い、町を歩き、山村にも足を運んだ。しかし、明確に「これぞ」と呼べる者には、いまだ出会えていない。
とはいえ、旅を続ける中で、いくつかの新しい発見もあった。
──ゼクスの、国民からの絶大な人気である。
街に入るたびに、ゼクスは人々から声をかけられる。握手を求められ、サインを頼まれ、子どもたちからは目を輝かせて見上げられる。彼の歩く先には、人の輪が自然とできる。
「ゼクス様だ……!」「ほんものだ!」「グラフェスに出てた人だよ!」
そんな声があちらこちらで飛び交う。ゼクスはそれらに、一切の驕りを見せず、一人一人に笑顔で応えていた。
(……なるほどのう)
ライザルドは心中で頷いた。
(この男……わしが思う以上に、国に尽くし、愛されとる。顔だけの男ではなかったということじゃ)
ゼクス自身は、国を背負う覚悟を常に胸に抱いている。グラフェスで大きな成果こそ残せていないとはいえ、四度も出場し、王国の誇りを守り続けてきた歴戦の騎士団長。その背中に、国民の信頼が宿っているのも当然のことだった。
一方で、最年少の旅仲間であるアルネも、確実に成長を見せていた。
ライザルドの課す日々の修行は、過酷を極めた。体術、魔力操作、基礎の反復、反応速度、視界の広さ、あらゆる鍛錬を積み重ねる日々。
アルネは愚直にそれをこなした。泣き言一つ言わず、黙々と稽古に打ち込み、日々少しずつ、魔力の練度も動きの鋭さも上がってきていた。
ただし──
「まだ、拙いのう」
ライザルドはぼそりと呟いた。
実戦形式の手合わせでは、ゼクスにも、そしてリィナにも、いまだアルネの攻撃が一度も当たったことはない。
特に、素手のみで戦うリィナの動きは、まるで人ではないかのような精密さを誇っていた。蹴り、掌打、肘打ち、体捌きすべてに無駄がなく、鍛錬に鍛錬を重ねてきたことが伝わってくる。
──それでも、ライザルドは確信していた。
(こやつには、芽がある。あと二年と少し……それだけあれば、間に合うやもしれん)
そんな折だった。立ち寄った村の食堂で、ある情報が舞い込む。
「そういえば来週、この近くで剣術大会が開かれるらしいですよ。王国中の道場から腕自慢が集まってきて、三十以上の剣術流派がぶつかり合うとか」
その言葉に、ライザルドは目を丸くした。
「ほう……そんな大会があるとは初耳じゃ。セリオスには、そんな規模の武術大会が存在しておるのか」
「ええ。この国ではかなり有名でして、上位に入賞すると騎士団からのスカウトもあるそうです。実際、ゼクス団長の部下にもこの大会出身の方が数人いるって噂ですよ」
「ふむ……ほう……! それは面白そうじゃのう」
ライザルドの眼が光を宿した。
逸材を探す旅において、強者たちが一堂に会する場は、何よりも重要な機会。出場者だけでなく、観客席にも剣の道を志す者が集まるはずだ。
「よし、次なる目的地はそこに決まりじゃ!」
ライザルドは即断した。
ゼクスも頷き、リィナも何も言わずその判断に従った。
──旅は続く。
セリオス王国の地を巡り、まだ見ぬ逸材との邂逅を求めて──。
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