神様のミスで死んでしまった少女、お詫びに異世界転生しました!

鏡矢 蓮

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第一章 腐樹の森と呼ばれた地

第六話 代償と形代

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 私たちは今、休める場所を探している。…と言っても私は探すことを禁止されている。てか動くなって言われちゃった…。ミレアに癒してもらおうかなぁ…。
 その時だった。私の視界に一人の女性の姿が映った。その少女は黒いフードを被っており、そこから……白い髪を靡かせている。首元には青い宝石かな?そんな感じの物が見える。
「フローゲル、あそこに人がいるよ」
『むっ?分かったぞ。ってそんな馬鹿な話があるか、気配探知には何もかかってないぞ?』
「えっ?でも、あそこに…っていない」
 私が見たときには既にその場所に女性はいなかった。
『……魔力使用による幻覚かもしれんぞ?やっぱり無駄に動かんほうがいいじゃろう。さっさと探すべきじゃな』
「おーい。クレア、向こうに休めそうなところがあった。そこに行くぞ」
「はーい」
 アストさんがそう言ったので私は返事をしてそっちに向かった。

 アストさんに呼ばれてきたところは腐樹の森にしては珍しく、腐った木などは無く、静かに草木が揺れている音がなる。
『ほう?珍しい、と言うか初めて見たの。こんなところがあったのか…』
「……静かで良い所だね。とても落ち着けそう。でもフローゲルが知らないんだ?」
「そうだねー。こんなところ初めて見たかもー。こんなところがあるなんて分かってたらここに調査拠点とか建てそうだしねー」
 エルがそう言う。……調査拠点ってなに?調査する為の拠点ってのは分かるんだけど、なぜ、ここに建てる必要が…?って思ったので私はエルに聞いた。
「調査拠点ってなんでこんなところに建てるの?」
「うんー。だって、腐樹の森はそもそも腐ってる木があるでしょー?そんなところに建てて、木が倒れてきたら危ないから調査拠点を建てれないんだよー」
 あー、なるほど。確かにね。……でも、ここを荒らされたくないな…。唯一、残ってるかもしれない腐樹の森の自然なんだから…。
「クレア、考えてることって、ここを荒らされたくない…かなー?」
「っ…!?…また心読まれた…。そんなに分かりやすいかな…私」
「あはは、まぁ、結構出てるよー」
 そうだったんだ。注意しないとなぁ…。
「…ふわふわ…。なにか…いる?」
『むっ…気配探知にはなにもかかってないのじゃが』
 ……気配はなく、魔力…?なのかな。魔力察知を使ってみるかなー。って…なにこれ、周囲にたくさんの反応があるんだけど…。私は…。
「いっぱいいるね。魔力だけの存在…?なのかもね」
 と伝えた。フローゲルに睨まれたが、そんなの気にしてる暇ないから。仕方ないね。
「うーん。魔力だけの存在ねー…。あっ、精霊かなー?」
『なるほど、精霊なら確かに気配はないの』
 エルネがそう言ってフローゲルが納得したように声を出す。
 精霊、確か、姿は無く、存在は魔力で形成されている霊族の一種だっけ、基本的に姿はなく。その象徴としている物がある周囲に現われる…。って言った心霊みたいな奴。基本的に無害だけど象徴とするものを傷つけようとする者には罰を与えるとかなんとか。
「まぁ、精霊なら象徴に手を出さなきゃ無害のはずよ。休みましょうね」
 アリスさんがそう言うので、休むことにしよっと。そう思ったのだが…何か、騒がしく感じる…。
『クレア、精霊の声は耳に魔力を集中させることで聞こえる。聞きたければ、魔力を集中させるのじゃ』
「ありがと、フローゲル」
 フローゲルに教えてもらったと同じように、耳に魔力を集中させた。
『……女王様はまだお目覚めにならないの?』
『えぇ…でも、ここは辺は女王様のおかげで保っているし、感謝しかない。でも…目覚めないのは不安になるわね…』
 女王様…?ここの精霊には女王でもいるの?
「……フローゲルさん。勝手に【身体魔力付与】教えないでください。使い方間違えれば失明や四肢が動かなくなる可能性があるのに…」
 ……どんでもないの教えてくれたな。フローゲル、貴様。後で怒ってやる。アリスさんも早く教えてほしかった…。
『馬鹿じゃの。儂が教えたのは【神体強化】じゃ』
「どっちも変わらねぇーよ。馬鹿め」
 アストさんとフローゲルが喧嘩始めたけど気にしたら駄目だな。
『でも…でも…女王様って自然回復するはずよね?』
『えぇ…なのに目覚めない…。なにか、おかしいですわね。何かあったのでしょうか…』
 ……女王が目覚めない…。自然回復するからそれはおかしい…ってこと…でいいんだよね。それは奇怪だなぁ…。
「てか、【神体強化】の方が危険だわ!」
『ふん、クレアはそもそもリーゼル様からの加護があるだろう。それで壊死するなら、それまでじゃろう』
 アストさんとフローゲルはまだ言い合って…えっ?壊死するの?下手したら壊死するの?
「は?」
 アリスさんの声が聞こえたと同時に途端として、背筋が冷えた。これは…あれだ…。野生の勘とかで呼ばれる…第六感だ。てか、空気変わり過ぎて、精霊の声が聞こえない…。精霊も逃げちゃったのかな…。まぁ、いいや。なら解除ちゃおう。
『……なんじゃ…?突如として…空気が…』
「じゃやらのとかうるさいんですけど、さっさと、いつもの口癖に戻して、どうぞ。そして、さっさと人化して、正座しろゴミ」
 ……あれ?アリスさん、めっちゃ怖くない?……み、ミレアぁ…エルネぇ…どこぉ…。一人怖い、めっちゃ怖い。てか怖すぎて、二人の方向を見れない。
『こ、これでよろしいでしょうか…』
「まぁ、及第点。で、なんだって?もう一度言ってご覧?」
 フローゲル…?なにあの口調…。えっ?何があったの…ってレベルなんですけど…。アリスさん…怖い。怖い…。
「……クレア、大丈夫だ。俺がいるからな。怖いなら引っ付いてきてもいいから」
「……流れるようにボディタッチ推奨する変態め」
「おい、流石にひどくね?心配してやったのにひどくね?」
 アストさんをイジって遊んですこしだけ気を紛らわした。…でも、すこしだけ…良いかな。
 そう思い、私はアストさんに擦り寄った。
「……怖いよな。大丈夫だ。あれでもアリスタはお前の味方だから、勿論、俺もな」
 そう言ってアストさんは私の頭を撫でた。今は、撫でてくれる手があると安心する。
「……ねぇ、【神体強化】と【身体魔力付与】ってなに?」
 アリスさんが怒っている理由を知りたくてアストさんにそう尋ねた。そして返ってきた返信はこうだった。
「二つとも、代償のあるスキルだ。しかし、代償の大きさが違う。【身体魔力付与】は失明、四肢不全になる可能性がある。こっちはまだ死なないからマシな代償だ」
 それでも失明、四肢不全になるのか…。結構、それは怖いな。でも…なんで何もないんだろ…。
「代償って言うから必ず起きると思ってるだろ?違うんだ。この代償は解除に失敗すると発生するんだ。簡単に言うと、強制的に魔法が解除されたら代償が来る」
 なるほど…。えっ?なら怒る理由が…。
「なぜ、アリスタが怒っているのか…それはフローゲルがクレアに教えた【神体強化】による代償だ。【神体強化】使用中は…細胞が壊死していく。最終的には、体が崩れて崩壊する。って物だ。勿論、強制的に解除されたら、すぐに体は崩れ去る」
 えっ…フローゲル…は…そんな…ものを…?
「あいつは代償を舐めすぎている。あいつは大人基準で考え、クレアに【神体強化】を教えた。でも…実際は違う。大人なら1分で6000の細胞が壊死する。でも…子供の場合……1秒で1億の細胞が壊死する」
 えっ…私、何秒…?何秒使用してた?もう崩壊しててもおかしくない…。
「安心しろ、そんなに長い間は使用してなかったし、それに…俺が肩代わりしたからクレアにはなんも起きてないよ」
「えっ?……肩代わりって…アストさんが?アストさんが、私の身代わりになってくれたんですか?」
 それは驚愕の言葉だった。私が、受けてた代償を…肩代わりした…って…。それって…アストさんの…。そう思ったが、その考えは、アストさんの次の言葉でなくなった。
「安心しろ。俺自身じゃなくて、俺の形代に肩代わりさせた。だから俺はノーダメージな」
「……形代…?」
「そう、形代」
 形代って…確か…安倍晴明が使用してる印象がある。確か、どっかの無双ゲーで…。
「なんとなく思ってることは分かるが、ゲームは全く関係ないよ。ほら、これが形代」
 そう言って、私に形代を見せてくれた。しかし、その形代は私が想像していた形代の形をしているのだが…それは赤く染まっていた。
「これは身代わりの形代。普通の形代とは違うがな、でも、この形代と普通の形代では完全に用途が違う。身代わりの形代は神様に自分の生き写しを見せ、こっそり抜け出す為に使われたりするんだ。主に、此岸と彼岸の境界が近くなる日、お彼岸に行方不明になる子供がいたりするだろう?それは…大体、彼岸の世界に迷い込んでるんだ。その世界から抜け出す為に、使われる事が多い印象だね」
「は、はぁ…」
 全く分からない。てか長話過ぎない?……と思ったのだが、アリスさんの説教する声が聞こえてきたので、わざわざ長話にしてくれたんだな。と思うことにした。…って形代の用途って穢れや厄を写して流す…って印象が、私にはあるんだけど…どうなんだろ。
「あぁ、あと厄写しにも使われる印象があるが、それは普通の形代のやつだ。厄写しの形代って名称にすれば分かりやすいのに…って思った気がするが、気にしたら負けだから…ついでに言っとくと、普通の形代も身代わりにも使える。俺の持つ身代わりの形代は身代わりに特化した形代ってだけだ。普通って…言うか、そもそも俺しか持ってないと思うぞ」
「そ、そうなんですか」
 ……普通の形代が、私の良く知る。……あれ?なんでアストさんは…形代のことを知っているんだろう…。この世界に形代なんて物あるの?そもそも…。
「………そろそろかな。おーい、アリスそこまでにしとけー、クレアが怖がってるからなー」
 アストさんがそう言うと、説教の声が止まった。そして…。
「……森を出たら続きをしましょうか」
 なんて声まで聞こえてきた。……聞こえなかったことにしよ。そして、アリスさんが近づいてきて。
「大丈夫?気分悪いとかない?」
「はっ、はい、平気です」
 アリスさんから心配する言葉が聞こえたので大丈夫と伝えたのだが…その時、後ろから声が聞こえた。フローゲルの声だな。
『ほらな?ほらな?全然平気だって言ったじゃないか!』
 しかし、その声はアリスさんに聞こえてたらしく。
「あっ?フローゲルお前、話も聞けねぇ馬鹿なのか?言ったよな?身代わりをアストロが使用したから平気なだけであって、クレア自身が耐えたわけじゃねぇーからな?そこ分かれよ。大馬鹿が」
 ……悪口のバーゲンセールかな?って思えるぐらいの悪口。てか意外とアリスさんって口悪い…?
「だからアリスタ、素が出てる。素はクレア怖がらせるからやめとけって」
 ……アリスさんの素なんだ…これ、こわっ…。
「……てかアストロ。何、流れるようにクレアに擦り寄ってもらってるのよ。クレアちゃんもなんで頭撫でられてるのに嫌がらないのよ」
 アリスさんがそう言ったので私はこう返した。
「……だって…怖かったんだもん…。なんか撫でられると安心したから、今回は許した」
「許されたから撫でた」
「セクハラで訴えるね」
「おいこら」
 私が許した発言をしたら、アストさん、許されたから撫でたとか言ったから容赦なく訴えようとしたらツッコミされた。される要素なくない?
 そう思いながらも、休んだ私たちであった。
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