1 / 23
プロローグ
1話 タイクツだ!
しおりを挟む
剣と魔法の世界。妖精やドラゴン。現実離れしたものになぜか人は惹かれるものです。かく言う私もその中の一人。暇なときはそんな世界を頭の中に描いて冒険をしてきました。現実逃避と言われればそれまでですが、このタイクツな日々を抜け出して異なる世界に行きたいと思うのも不思議なことではないでしょう…
学ランに身を包んだ僕こと郷 夕樹はどこにでもいる高校2年生だ。長身で髪が男子にしては長く、茶色の眼鏡をしている。こう書くとイケメンだが、実際は痩せていてひょろ長いオタク風だ。地元の進学校に通っており、ただただ勉強漬けの毎日を送っていた。
「よう、お前にしては早い登校だな」
そう言って通学路を歩く僕に話しかけてきたのは去年同じクラスだった柏谷 拓親。彼は間違いなくイケメンだろう。短髪でいかにもスポーツやってますという感じだが、自分と同じ帰宅部である。
「宿題を学校に置いたまま帰っちゃってさ、ホームルームが始まる前に終わらせないといけないんだ。柏谷は?」
「図書委員」
そう言うと柏谷は僕にスマホの画面を見せつけてきた。ネットニュースの記事だ。
「これ知ってるか?」
「そりゃあ学校中この話題で持ちきりだからね」
それはここ数日の間に連続して起こった失踪事件の記事だった。あまりに行方不明者の手がかりや痕跡がないので神隠しだとかで盛り上がっている。
「夕暮れ時に青白い光が現れてさ、それを見た人はみんなどこかへ連れ去られて帰ってこれないんだってよ」
「じゃあ何でその光のことを知ってるのさ」
所詮噂なんてこんなものである。そんなことより直近の問題は宿題だ。よりにもよって嫌いな数学なのだ。
学校が見えてくるにつれ、憂鬱な気持ちが高まっていく。僕は勉強が嫌いだ。学校が学校なだけに親からの期待は高い。だがどうもそれに答えようという気は起きない。どうせならもうちょっとファンタジーな世界に生まれて魔法の勉強ならしてみたかったなー、なんて考えてみたり。
その一方、現実ではいつもと変わりない1日が始まるのであった。
つまらない授業を受け、体育で汗を流し(僕は運動が苦手だ)、気が付けば教室に西日が差し込んでいた。最近は時間が経つのを早く感じてしまう。まあ毎日同じ行動をしていたらそうなるのも頷ける。
「…ごっちゃんまだ学ランなんて着てるの?」
そうやって話しかけてきたのは同じクラスの谷崎 彩夏、通称あやさん。ポニーテールの小柄な子だ。夕暮れの教室に2人きり。なぜこんなことになっているかといえば宿題が間に合わなかったので補習を受けているからである。彼女も同様。
「明日から6月だからね。もうワイシャツでもいいな」
「あ、この問題教えて~」
「話は聞こうよ…」
他愛もない話をしながらプリントをこなしていると、何かを思い出したかのようにあやさんが話し始めた。
「ねえ、神隠しの事件知ってる?あれってこの近くで起こってるんだって!それでね…」
まーたそれか、勘弁して欲しいね。
でも。つまらない日常から抜け出せるのなら、神隠しに遭うのもまた面白いかもしれないな。
馬鹿なことを考えながらぱっぱと課題を終わらせると帰る支度を始めた。
誤解を招かないように言っておくと僕は頭が悪いわけではない。宿題を忘れてしまっただけなのだ。もう一度言っておこうか。僕は頭が悪いわけではない。多分。
「宿題を忘れている時点で頭が悪いのよさ」
「心を読むな」
リュックを背負いながら答える。
「え?ほんとに帰っちゃうの?まだ半分も終わってないんだけど!ここの問題教えてー!待ってー!」
そして翌日。昨日と同じような一日がまた始まる、と思ったのだが今回は少し違うようだ。
朝のホームルームで担任がとんでもないことを言い出した。
「みなさん落ち着いて聞いてください。隣のクラスの柏谷君が…昨日の夕方から行方不明です」
学ランに身を包んだ僕こと郷 夕樹はどこにでもいる高校2年生だ。長身で髪が男子にしては長く、茶色の眼鏡をしている。こう書くとイケメンだが、実際は痩せていてひょろ長いオタク風だ。地元の進学校に通っており、ただただ勉強漬けの毎日を送っていた。
「よう、お前にしては早い登校だな」
そう言って通学路を歩く僕に話しかけてきたのは去年同じクラスだった柏谷 拓親。彼は間違いなくイケメンだろう。短髪でいかにもスポーツやってますという感じだが、自分と同じ帰宅部である。
「宿題を学校に置いたまま帰っちゃってさ、ホームルームが始まる前に終わらせないといけないんだ。柏谷は?」
「図書委員」
そう言うと柏谷は僕にスマホの画面を見せつけてきた。ネットニュースの記事だ。
「これ知ってるか?」
「そりゃあ学校中この話題で持ちきりだからね」
それはここ数日の間に連続して起こった失踪事件の記事だった。あまりに行方不明者の手がかりや痕跡がないので神隠しだとかで盛り上がっている。
「夕暮れ時に青白い光が現れてさ、それを見た人はみんなどこかへ連れ去られて帰ってこれないんだってよ」
「じゃあ何でその光のことを知ってるのさ」
所詮噂なんてこんなものである。そんなことより直近の問題は宿題だ。よりにもよって嫌いな数学なのだ。
学校が見えてくるにつれ、憂鬱な気持ちが高まっていく。僕は勉強が嫌いだ。学校が学校なだけに親からの期待は高い。だがどうもそれに答えようという気は起きない。どうせならもうちょっとファンタジーな世界に生まれて魔法の勉強ならしてみたかったなー、なんて考えてみたり。
その一方、現実ではいつもと変わりない1日が始まるのであった。
つまらない授業を受け、体育で汗を流し(僕は運動が苦手だ)、気が付けば教室に西日が差し込んでいた。最近は時間が経つのを早く感じてしまう。まあ毎日同じ行動をしていたらそうなるのも頷ける。
「…ごっちゃんまだ学ランなんて着てるの?」
そうやって話しかけてきたのは同じクラスの谷崎 彩夏、通称あやさん。ポニーテールの小柄な子だ。夕暮れの教室に2人きり。なぜこんなことになっているかといえば宿題が間に合わなかったので補習を受けているからである。彼女も同様。
「明日から6月だからね。もうワイシャツでもいいな」
「あ、この問題教えて~」
「話は聞こうよ…」
他愛もない話をしながらプリントをこなしていると、何かを思い出したかのようにあやさんが話し始めた。
「ねえ、神隠しの事件知ってる?あれってこの近くで起こってるんだって!それでね…」
まーたそれか、勘弁して欲しいね。
でも。つまらない日常から抜け出せるのなら、神隠しに遭うのもまた面白いかもしれないな。
馬鹿なことを考えながらぱっぱと課題を終わらせると帰る支度を始めた。
誤解を招かないように言っておくと僕は頭が悪いわけではない。宿題を忘れてしまっただけなのだ。もう一度言っておこうか。僕は頭が悪いわけではない。多分。
「宿題を忘れている時点で頭が悪いのよさ」
「心を読むな」
リュックを背負いながら答える。
「え?ほんとに帰っちゃうの?まだ半分も終わってないんだけど!ここの問題教えてー!待ってー!」
そして翌日。昨日と同じような一日がまた始まる、と思ったのだが今回は少し違うようだ。
朝のホームルームで担任がとんでもないことを言い出した。
「みなさん落ち着いて聞いてください。隣のクラスの柏谷君が…昨日の夕方から行方不明です」
0
あなたにおすすめの小説
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする
初
ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。
リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。
これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ
天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。
ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。
そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。
よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。
そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。
こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
社畜の異世界再出発
U65
ファンタジー
社畜、気づけば異世界の赤ちゃんでした――!?
ブラック企業に心身を削られ、人生リタイアした社畜が目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界。
前世では死ぬほど働いた。今度は、笑って生きたい。
けれどこの世界、穏やかに生きるには……ちょっと強くなる必要があるらしい。
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる